カイドウがウィーネを娘にするのは間違っているだろうか? 作:リーグロード
神聖で厳かな雰囲気に支配されたとある一室に、不遜とも捉えられかねない程にズカズカと遠慮容赦ない歩みで神ウラノスの元に急ぐ者がいた。
「ウラノス! 非常に言いにくい事だが面倒な事になった。ケルヌンノスファミリアがリヴィラの街を拠点に18階層以降の非正規ルートの開拓に乗り出している。狙いは十中八九
「ぬううう……」
フェルズからの突然の報告を聞いたウラノスは唸り声を出しながら眉間にしわを寄せる。別にこの事態を想定していなかったわけではない。
だが、あまりにも行動をするのが早すぎる。ファミリアというのは組織であると同時に家族でもある。
一蓮托生とはまでは言わないが、それでも個々人の意思や意見を尊重するというのは当然のことであり、
今はまだ
今回のケルヌンノスファミリアの遠征で
それは我々の望む未来にはなりえはしない。だからどうにかしてケルヌンノスファミリアの遠征を止めたいところなのだが……
「無理だろうな……」
「ああ、無理だな」
言葉による説得? 相手は情で動く人間ではなく、自身の快不快の感情で動く獣だ。自分達にとってメリットとならない話に貸す耳はないだろう。
ならば力による強制終了か? 説得以上の無理難題だな。ケルヌンノスファミリアはかつてのゼウスやヘラ以上の戦力を保有している。
下手をすれば人類の3大クエストである黒龍ですら討伐出来かねない強大な力だ。
そんな相手を力任せに止めようぜ! なんて提案するのはバカだ。
そうすると後は何が残る? 物資の凍結による脅迫か? 否、そんなことをすれば強奪という力任せな行動で全て奪われるのがオチだ。
彼らは善ではなく、どちらかと言えば悪寄りの存在のファミリアだ。
こちらが卑怯卑劣と言った手段で対抗すれば即座に暴力による飽和攻撃でぺんぺん草一本すら残さずにありとあらゆるもの全て奪い取られるのは目に見えている。
「結局、神と言えど弱者は強者の蹂躙にただ指をくわえて黙って見ていることしか出来ないというのか……」
「ウラノス……」
悲壮感が漂うウラノスに何も言えずにただ少しでも良き未来に繋がることを、フェルズは全知無能な神の前でただ祈るのみだった……。
♦
ダンジョンは人間に対してモンスターという牙を持って襲い掛かる。
それはどのような相手であろうと関係がなく、生み出されたモンスターはただ母であるダンジョンに侵入してきた不埒者を屠る為にその力を振るう。
「「「グモォォォォォッッ!!!」」」
「邪魔だ!」
だが現実は非情かな、圧倒的強者による一撃でモンスター達はすぐさま殴り殺され灰へと姿を変えたのだった。
その勢いに続いて、後ろをついてきている団員達も武器を手に声高らかにダンジョンを進む。
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
中層程度のモンスターの大群ではケルヌンノスファミリアの進行を止めることなぞできる筈もなく、団長であるカイドウを筆頭にキング、クイーン、ジャックは勿論のこと、飛び六胞を始めとする団員達もモンスターを蹂躙する。
その勢いはとどまることを知らず、各階層に部隊を分けてもモンスターからの進撃を跳ね返し続け、次々とマップに載っていない未開拓領域を埋めていった。
「首尾のほどはどうだ?」
襲い掛かるモンスターを片手で灰に変えたジャックは、マップを書いていた団員の1人に成果のほどを訊ねてみる。
「へい! 指示通りマップに載っていないエリアの壁も間隔を縫って破壊し、奥に続くルートがないかの確認の結果のところ、3つほど新発見したルートがありました!」
「なるほど……。それで、
「それは確認できませんでしたが、未発見の素材や未知のモンスターを発見、捕獲と討伐にも成功しており、これだけでもかなりの利益になります」
「バカ野郎!? カイドウさんらが欲しているのは
「ひっ!! す、すみませんでした!!!!」
「分かったらさっさとマップの完成を急がせろ!」
「「「「了解しました!!!」」」」
団員達のケツを叩くように怒鳴り上げるジャックの声に、全員が死に物狂いでマップを完成させていった。
そしてそれは他の階層でも同じことだった。
カイドウは唯我独尊と言わんばかりにダンジョンを破壊しながら進み続け、ダンジョンの防衛本能であるジャガーノートも自慢の金棒の一振りで肉体が半壊し、後続の団員からの追撃によって討伐された。
キングは冷静に効率よくマップを埋めてゆき、未開拓領域で発生したイレギュラーにも即座に的確な判断の下で対処していった。
最後に残ったクイーンはというと──
「ウィ~♪ 当たりを引いたの俺様の方か……」
「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
現状、目の前で武装したモンスターが自分のところの団員と争っている。
原因は単純に
「オノレ! 同族ヲ返シテ貰ウゾ人間!!?」
「悪いが抵抗するなら痛い目を見るのは覚悟してもらうぜ!」
「ムハハハ! ウチのファミリアを舐めんじゃねえぞ
葉巻を吸いながら余裕の態度で、抵抗する
それを睨みつけながらもジリジリと追い込まれていく自分と仲間たちに焦りを覚える。
「クソ! ドウスルリド!?」
「どうするもこうするも! 足搔くっきゃねぇだろ!!」
既に相当数の仲間がやられて捕縛されていっている。ここで自分達が諦めれば仲間たちが酷い目に会わされる。
その思いが今にも倒れそうな体に鞭を打ち立ち上がらせ続ける。
それに、希望ならまだある。
「ムハハハ! 流石はモンスター共だな。俺達ファミリア相手にここまで粘る奴らは地上でもそうはいねぇ。だがな、それだけだ。結果は変わらねぇ! これは俺からの優しさだ。大人しく投降しろ! これ以上、無駄に痛い目には遭いたくねぇだろ!!」
「誰がそんな真似するか!」
「寝言ハ寝テホザケ!」
クイーンの提案を速攻で蹴飛ばすリドとグロス。
だが現実は非常かな、ただの一般団員ですらまともに倒せていないこの現状でどれだけ吠えようとも事態は好転しない。
このまま健闘虚しく捕まってしまうのかと思われたその時──
『ブモォォォォォ!!!!』
ダンジョン内にモンスターの咆哮が轟いた。
その咆哮の正体にいち早く気づいたのは
「やっと帰って来たか!」
「ソウイン! ココガ踏ン張リドコロダ!!」
そして、次に彼らが取った行動は自傷覚悟の突撃だった。
「ああん? なんだなんだ?」
未だ余裕の態度を崩そうとしないクイーンだったが、その次の瞬間には咆哮が聞こえてきた方向から部下の団員達が
「へっ?」
『ブモォォォォォ!!!!』
その出来上がった道を全力疾走で駆け抜けてきた黒い体色のミノタウロスが、間抜けた面をしているクイーンに強烈な一撃をお見舞いする。
「ぶっへぇぇぇぇ!!?」
「「「「「よっしゃー!」」」」」
「「「「「ク、クイーン様ァァァ!!??」」」」」
まともにミノタウロスからの攻撃を受けたクイーンは思いっきり吹き飛ばされてダンジョンの壁に豪快に叩きつけられて沈んでいった。
『ブオォォォォ!!!!』
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リヴィラの街
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港町メレン
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テルスキュラ