お前はいつもそうだ(散らばったサンドイッチの具を前に両手で顔を覆う)。
今更ですが燈矢兄ちゃん関連のタグを追加しました。
懐かしいなァ。
昔の自分を鏡で見ているようだと、
+++
そのときの俺を思い返せば弟を殺しかけるほどクソガキだったし、ヒーローになった今だって上等な人間ってわけじゃない。この世に上等な人間って奴がいるのか知らねぇけど。オールマイトもどうだろうな。クソ親父は絶対に違う。
あーそうだ、クソ親父、轟炎司、エンデヴァー……お父さん。
ヒーロービルボードチャートJPNo.2のフレイムヒーローは、
そりゃあ見限られる前でも“個性”訓練は厳しかったし、家族サービスなんてものをやるような父親じゃなかった。それでも俺は、お父さんが大好きで、憧れていて、お父さんが俺に言ったような『
言ってしまえば、お互い幻想を押し付けあっていたんだろう。お父さんは完全無欠なヒーローではないし、俺は才能溢れるヒーローの卵じゃなかった。そして、俺にはお父さんしかいなかったけど、お父さんには焦凍がいて、だからお父さんは幻想を捨てられた。それだけの話だ。
夏くんに縋って泣くくらいに悲しかったし、冬美ちゃんやお母さんに八つ当たりするほど怒っていた。お父さんは焦凍ばかり見ている。俺を見てくれよ。だって、俺は……俺も、お父さんの息子だろ? 失敗作じゃないよ、俺だってやれるから、だから……!
バサリ、と本の落ちる音で顔を上げた。
中学生のころの記憶だ。お父さんは、俺が自分の“個性”で火傷をするから見捨てたんだと思っていて。なら、体質改善でも肉体改造でもして熱に対する耐性を身に着けられないか、ってお父さんたちには内緒で“個性”医療で有名な大きな病院を訪れた。面会した医者の言うことは期待外れで、耐性は後天的に得られないから“個性”を抑えられるようにしましょう、なんて、有り得ない提案だ。俺の価値は、お父さんを超える火力だけなのに。
ムシャクシャと苛立ち紛れに、せめて何か成果が無けりゃ帰れるかと、病院付属の図書室へ足を向けた。貪るように専門書でもなんでも読んでいたから気づかなかったのだろう、誰も居なかったはずの図書室にいつの間にか他の利用者がやってきていたようだ。
視界に入ったのは、床に落ちている子供向けの“個性”解説漫画と、ボンヤリと虚空を見上げる男か女かよく分からないガキだった。無視しとくかとも思ったが、集中力が切れていたし、それはヒーローらしくない、という正義感(ではなくお母さんの言葉に対する反発心)で、漫画を拾いあげた。
「落としたぞ」
「ん? んー…………あ!」
焦点のあってない眼がこちらを向き、フラフラと視線を揺らしてから声を上げる。一昔前のパソコンみたいな脳味噌の処理速度だな。
「ありがとう! お兄ちゃん、優しいね」
ニコニコ人懐っこい笑顔で漫画を受け取ったガキは何故か席に戻る俺の後ろをついてきていた。
「ボクはあーちゃ、じゃなくて、シュコウです、シュコウアイ! お兄ちゃんは?」
「……燈矢」
「燈矢兄ちゃん! ねぇねぇ何読んでるのー?」
うわウゼェ。面倒臭さが思わず表情へ出たが、こいつは遠慮することなく俺の手元を覗き込んで来る。
さっさとこのガキを追い払おうと開いた口は、首元に覗く傷痕によって閉じられた。同情や憐憫じゃなくて、ヒーローなら優しくするであろう存在だから、相手くらいはしてやろうと思っただけだ。話題があっちにいったりこっちにいったりな質問に、本を読みながら答えていく。
「普段何やってるの?」
「修行」
「いいなー、ボクもやりたい!」
「一人で瀬古杜岳を登れたら考えてやる」
「やったー! 修行ってどんなことしてるの?」
「最大火力でぶっ倒れるまで放出」
といっても本を読むのに意識を割きすぎて、よく考えないで適当に答えていたと思う。
「燈矢兄ちゃんはすっごく頑張っているんだね!」
「当たり前だろ」
だけど、この答えだけは少し、考えた。
「……俺は、オールマイトを超えるヒーローになるんだよ」
それは、専ら自分に言い聞かせるための言葉で。例えお母さんが俺のなりたいものを疑って否定したって、俺は俺のなりたいものになるんだ。だって、それがお父さんが俺に灯した希望なのだから。噛み締めた奥歯を、ガキは知らない顔で、パァと瞳を明るくする。
「なれる! 絶対なれるよ!」
耳に届いた無邪気な言葉に、沸騰したような怒りが湧いた。おまえに何が分かる、知ったようなことを言うなよ。そんな言葉を吐き出そうと、ガキを睨みつけて息を吸い、そのまま止まる。
「燈矢兄ちゃんはオールマイトを超えるヒーローになれる!」
こちらを見つめるガキの眼は、ちゃんと俺を見ているのに、感情だって瞳に現れているのに、どうしても、俺なんか見てなくて、焦点がズレて虚像を見ているんじゃないかって、不安になる。いや、不安どころじゃない、こいつは俺を通して別のナニカを見ているんだと、確信できてしまう。止まった息を吐き出すこともままならず、静寂が場を支配した。そのとき。
「あーちゃん」
「うわっ!?」
急にガキが増えた。急に現れたものだからすげぇビビった、いや驚いただけでビビってはいないが? シュコウと同じ検査着を着ているガキは不貞腐れたような顔をしながら、シュコウの手を引いて、何やら話している。なんだガールフレンドか? 口元を引き攣らせながら、心の中で揶揄した。幽霊よりかは現実味があるだろ、チクショウ死ぬほど驚いた。あぁもう、今日は散々だ。
「またね、燈矢兄ちゃん。さっき言ってた修行のこと忘れないでよ!」
ブンブンと手を振るシュコウの笑みは相変わらず何処か空虚で、じわりと恐怖すら覚えてしまいそうになる。ガキ相手にそんな莫迦な。医者の話が長かったから、ガキの相手をしたから、俺は疲れているんだ。それにちょっと、ここしばらく悩んでばかりいたから、精神が不安定になっていたかもしれないし、気にすることは何もない。
そうだ。うん、きっと、そうだ。今日はもう、家に帰って早く寝てしまおう。その場を逃げるように立ち去って、さっさと今日のことを忘れることにした。
だが、どうしてか、あの眼が『ヒーローに対する期待』ってやつなんじゃないか? というおかしな考えが、俺の脳にこびりついて離れない。
そう、絵に書いたような見本が目の前に現れてようやく俺は、俺自身が抱えていた、お父さんへの
その幻想が
シュコウたちと出会った同じ病院で、お父さんが自分の炎で焼かれている映像を観たとき、頭をガツンと殴られたような衝撃もあれば、どこまでも冷静に『お父さんでも失敗するんだな』なんて初めて知ったような気がしている自分もいて、ゴチャゴチャになっている頭ン中から、身体はただただポロポロと涙を流していた。何も考えられない脳味噌は仕事を放棄し、目の前の光景から脊髄反射で、俺が自分の炎で燃えている情景を、瞼の裏にありありと映し出す。とても、見ていられるものじゃなかった。
でもあのとき、少しだけ、それでもいいじゃないかって思ったのも本当で。とても見ていられないけど、みにくくてしかたがないけれど、これだけ派手に燃えたら、最期くらい、お父さんは見てくれるかな? って、そんなことを考えでいた。
「今の君が見ていられないなら、見られるようになればいいんです」
すると、なんでかシュコウの口を両手で塞いでいるトガが、俺の顔を覗き込んだ。こいつの眼は、シュコウと正反対に、自分の底を見透かされているようで、やっぱり苦手だった。
「まだ君は、何者にもなっていないでしょう?」
問い掛けは、グチャグチャの思考を断ち切り、俺に問いの答えを探させる。何者か、なんて。俺は轟燈矢で、お父さんの息子で、それで……それで?
「オールマイトを超えるヒーローになりたいのでしょう?」
そうだよ、その通りだ。胸が悲嘆と嫉妬と憎悪でいっぱいになったって、お父さんが灯した希望は確かに俺の夢だ。そこにはお父さんに自分を見てほしいからっていうエゴしかない、かもしれないけど、それでも、ヒーローになりたいって気持ちは本当なんだ。その気持ちだけは疑わないでほしいんだ。
「ほら笑いましょう、燈矢くん。ヒーローはいつだって笑顔ですよ?」
項垂れた俺の顔に、トガの手が伸びる。笑わせるように、指で口元を持ち上げられた、仏頂面な奴が仏頂面のまま何を言っているんだよ、という言葉は、喉に引っかかったまま出て来ない。
「……おまえって、意外と優しいんだな」
代わりに出てきたのは、そんな言葉で。少し目を丸くしてから、すぐ露骨に嫌そうな顔をしたトガを見て、今度こそ俺は笑みを浮かべた。
お父さんの炎上動画(文字通り)は、厳重に管理されているもので、本来、家族とはいえおいそれには観せてはいけないものだと、学者先生が言う。
しかし、トガから話を聞いて俺の“個性”暴走を危ぶんだから特別に観せたのだと説明し、研究利用を口実としたので、形式だけでも研究結果を提出しなくてはならない、と続けた。
それから、もしかするとその研究が、元々俺が病院を訪れた理由を解決してくれるかもしれない、と人が良さそうな微笑みを浮かべながら勧めてきたものだから、少し考えて、俺は研究協力の契約書にサインをした。
「え、バカなんです?」
日を改めてやってきた病院で、シュコウになんでいるのか聞かれたから、掻い摘んで事情を話したらこの反応だトガこの野郎。
「おまえらカウンセリング室に行かなくていいのかよ」
「これから、みすたーのマジックショーが始まるんです」
「楽しみだね!」
誰だよミスター。
「ちょうどよかった、燈矢くんも一緒に見ましょう」
「は?」
「わーい! 燈矢兄ちゃんと一緒だー!」
「……やっぱり先生の用事を優先したほうがいいですよ。いってらっしゃい」
「よし、俺も見てくわ」
表情をコロコロと変えるトガは見ていて愉快だ。こいつが笑ったところは見たことないが。シュコウのがらんどうも、空っぽなのは心じゃなくて頭なんだと気づけば苦手意識は小さくなった。身の丈に合わない憧れに、居心地の悪さは感じたままだけれど。
“個性”の医療器具や矯正具をつけた子どもたちがわぁわぁ集まっている方へ目を向ける。ちょうどミスターって奴がやってきたようで、如何にもマジシャンという格好と仮面をつけた男が、手始めにステッキを花に変えて子どもたちに配っていた。それからトランプだとかハトだとかが消えたり増えたりする。
手品なんて興味なかったから、間近で見てもふーんとしか言えないが、子どもたちは子どもらしくはしゃいでいる。隣の子どもたちを見やると、意外なことにトガのほうが夢中になっていた。というより、シュコウは手品そっちのけでトガを眺めているんだが。その表情に虚ろなものは感じられず、年相応に見えるのは唯一の救いだろうか。そんなシュコウと俺の視線に気づいたのか、トガは口をへの字に曲げる。
「せめて燈矢くんはちゃんと手品を見てくださいよ」
「なんだよ、いいだろ別に」
「目の動きが知りたいんです」
目の動き? なんでそんなものを、と考えて、はたと思い当たった。
「それって、おまえの“個性”と関係あるのか?」
「“個性”?」
「ほら、消えたり現れたりするヤツ」
「あぁ、あれはただの技術ですよ。誰でも出来ます」
「シュコウ出来るか?」
「ボクには無理!」
「だよな」
あんなの誰にでも出来てたまるかと頷けば、トガはむぅ、と唸ってパタパタと手を動かす。
「簡単ですって。こう、相手の意識を逸したら、何も考えずに息を止めるのです」
「うーん、何も考えないのって難しいよ?」
「え?」
「え?」
それは嘘だろ。
「……その技術に目の動きが関連するかと聞かれたら、答えはイエスです。自分に対する
「話を戻すのか、戻していいのか?」
「ほらあーちゃん、これ完璧に出来るようになったら黒子のバスケごっこ出来ますよ」
「ほんと? ボク火神役やるー!」
やっぱりこいつ何も考えてねぇよ。半目で見やるも、二人は楽しそうにバスケか何かの話をしている。
マジックショーの後、学者先生のもとに向かうと、“個性”を調べるために、まずは“個性”なしとありの両方で体力テストをすることになった。俺と同じことをやりたいと勝手に参加したシュコウに“個性”なしの体力テストでいくつかの種目で負けたので、あいつのことを見直すとともに、もっと身体を鍛えようと心に決めた。“個性”の出力訓練ばかりで体力はあまり鍛えてなかったから、そこまでショックではない。だが次の機会があれば絶対にボコす。
時は巡り、俺は受験生となった。もちろん志望校はお父さんと同じ雄英、だってのに、入学願書すら出せそうにない。お父さんは絶対にダメだと猛反対しているし、お母さんも他の高校がいいんじゃないかと反対している。夏くんに相談してもいい案は出てこなくて、学校の先生は頼りにならないし、同級生は論外だ。となると、消去法で浮かんでくるのはあいつらの顔である。
瀬古杜岳を遊び場か何かだと勘違いしている二人の首根っこを捕まえようとして、鬼ごっこと勘違いした無駄に体力のあるシュコウと当然のように隠れたトガを追いかけたり探したりする手間がかかり俺はキレた。結果として瀬古杜岳でボヤが起きたが怪我人はいないのでセーフだろう。
とはいえ相手は小学生、何もかもを解決する策なんて期待していない。俺がやろうとしているのは真っ向からの正面突破、お父さんの説得である。何も無策ってわけじゃない、これでも模試ではA判定だし、お父さんの心配していた火傷だってそうそうしなくなった。正直、なんでこれで反対されているのか、怒りを通り越して困惑していた。
だから、お父さんの考えていることが知りたいんだ。俺の何がダメなのか、言ってくれれば、直すから。そのために、トガの力を借りたい。こいつは妙に自己評価が低いけれど、隠密技術はもちろん、人の心を見抜くことにも長けている。“個性”の『変身』と合わせて、ヒーローになったら結構活躍しそうだと思っていた、口にはしないが。それに、いまのところ人の感情を読んでやってるのが学者先生の煽りくらいだし、無自覚で相手の欲しがっている言葉を漏らしたりするから油断ならない。何かの拍子でファム・ファタールにでもなりそうなものだけれど、シュコウが隣にいるからな、ストッパーに……はならねぇな、むしろあいつが始めに破滅するだろう。南無。
心のなかで手を合わせたところでシュコウを餌にトガを釣って家に帰る。少し早くに帰りすぎてお母さんたちとエンカウントしつつ、トガたちと別れてお父さんのもとへ向かう。
「……こちらの建物には立ち入るなと言ったはずだが」
「しょうがないじゃん、お父さんがここにいるんだから」
目の前に仁王立ちお父さんは昔に比べて小さく見えた。俺の背が伸びたからだろうか。自然といつもより幼くなる口調に、苦笑しながら話を続ける。
「進路の話だよ。大事でしょ?」
「雄英、いやヒーロー科以外なら認める」
「……だから、俺は雄英がいいんだって。ヒーローになりたいんだ、それもただのヒーローじゃなくて、お父さんも、オールマイトも超えるようなヒーロー! なら、雄英を目指すのは当然じゃんか。ほら、前にも見せたけど、模試の結果だっていいし」
「駄目だ」
差し出した紙を見もせずに、お父さんは首を横に振る。
「なんで」
「……昔からずっと言っているだろう、お前のためだ」
「っ、火傷のことなら! 大丈夫だよ、本当に、強がりなんかじゃなくてさ、俺は」
「話がそれだけなら早く戻るんだ」
それだけってなんだよ、まだ終わってないだろ、なぁ。頭にきたのは確かだけど、怒ったわけではなくて、ただ俺は、そうすることが正しいのだという感覚に身を任せて、お父さんに殴りかかった。
「諦めろ、お前はヒーローになれない」
プロヒーローに俺の拳は軽すぎて、片手であしらわれ、感情もないままそんなことを言われた。
「……お前は俺によく似ている。いつか必ず、胸に抱いた執念が自身を歪める。その先にあるものは、地獄でしかない……俺は、息子にそんな想いをさせたくない……わかってくれ」
「わかんねぇよそんなの!! 地獄に堕ちるって言うなら一緒に堕ちてくれればよかったんだ!!」
激情と共に溢れ出した炎は、それでも自分を燃やさないように橙色の低温なもので、心臓は熱く、頭は冷静に、俺の手を離れた炎は蒼々と燃え盛る。クソ親父が目を見開いて、炎に意識をとられた瞬間、息を止めて、何も考えずに、拳を振りかぶって殴りつけた。
人を殴った感触と一緒に、憧れが燃え尽きる音がする。お父さんと一緒なら地獄に堕ちたっていいって本気で思っていたんだ。でも、もうおしまいだ。クソ親父に背を向けよう。俺は俺のやり方で、ヒーローになって、No.1の座を手に入れて、見返して、いいや、高みから見下ろしてやるよクソ親父。あぁだから。
「安心しろよ、ヒーローはヒーローでも、おまえみたいなヒーローにはならないからさ。クソ親父」
まずはそうだなァ、仲間集めでも始めようか。スーパーヒーローばかりじゃ飽き飽きだ、戦隊モノだってヒーローのカタチだろ? 俺がブルーとして、イエローとレッドには心当たりがある。そんな未来像を描きながら、とりあえず今はもう一発殴らせろクソ親父。
+++
さて、ここまで延々と垂れ流し続けた幻燈は、つまり一体何だってんだってーと。
「ハァ……贋物の子はやはり、贋物か」
走馬燈って本当にあンのかよ、ということだクソったれ。
「あ? 贋物の子? おいおい、それ、もしかして贋物って
斬りつけられた痛みと血を失って朦朧としてきた意識を無視して、気を引くように声を上げる。赤い襟巻きに全身の刃物、ヒーローネットワークで話題になっていた『ヒーロー殺し』ステイン御本人だ。ヒーローが何人もやられているにもかかわらず、こうやって自由に出歩いているわ、“個性”は不明だわ、やってらんねェなぁ。なにより、妙な物音に釣られて路地裏に入った俺が間抜け過ぎて笑っちまうぜ。
「あぁそうだ。英雄を騙る私欲に塗れた贋物だ。粛清し、英雄の正しき姿を取り戻さねばなるまい」
「正しき姿、ねぇ」
身体は動かねぇし、“個性”も発動しねぇ。タイミングと挙動的に、血液を舐めることが発動の条件か? 量を求めてないことから、一滴でも舐めたら発動するのか、トガが羨ましがりそうだ。
「俺も、
口を回しながら様子を窺う。そろそろ、時間稼ぎも限界だろう。相手さんは焦れに焦れて、辺りには噎せ返るほど殺意が充満していた。
「俺に直接言われたら、それはそれでムカつくんだよなァ」
「俗な言葉だ。聞くに耐えん」
刃先が振り下ろされる直前、包帯みたいな白い布きれが、『ヒーロー殺し』を拘束した。
ヒミコ→スカーレット、ニャオハ
トーヤ→バイオレット、クワッス
アイ→スカーレット、ホゲータ
だと思います。