デート・ア・ヴァルヴレイヴ   作:とりマヨつくね

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遅くなってしまってすいませんでした。
その理由はまた後書きで、それでは本編へ


決意

 <フラクシナス>の医務室前の廊下にて、士道と十香は近くのベンチに座っていた。

 会話はない。ただ静寂だけが辺りの空気を支配していた。

 

「な、なあ……シドー……ハルトは大丈夫なのか?」

 

 あまりの静寂に耐えられなくなったのか、十香は士道に問う。

 

「……わからない」

 

 本当は大丈夫だと言ってやりたい。

 けれどハルトの異様な様子と、一日半経っても目が覚めていない。

 専門家ではない自分でははっきりと言えない。

 

「む、むう、無事であれば良いのだが……」

 

 十香は眉を寄せながら小さく呟くと、プシュッとスライド式の自動ドアが開き、医務室からエルエルフが出てきた。

 その姿を見た十香はいの一番に立ち上がる。 

 

「え、エルエルフ! ハルト……ハルトはどうなったのだ!?」

「安心しろ、夜刀神十香。『処置』はした。今は眠って安静にしている」

「そ、そうか……」

 

 エルエルフの説明に、十香は安心したように険しい表情からいつも通りの明るい表情に戻る。

 だが、はいそれで終わりとはならない。

 

「エルエルフ、教えてくれ。あれは……ハルトに一体何が起きたんだ」

「……わかった。ただし、一度しか言わない。しっかりと聞け」

 

 それからエルエルフは話し出す。

 

「まず、俺と時縞ハルトは、いわゆる転生者だ。と言っても時縞ハルトは、ヴァルヴレイヴに乗る前まで記憶を保有していなかったようだがな」

 

「は? それはどういうーーー」

「話は終わっていない」

 

 それからヴァルヴレイヴ、マギウス、RUNEのことを説明される(十香は話が難しすぎるため、眠っている)。

 精霊なんてものにあっているとはいえ、どれも信じられない話だった。

 

「そしてRUNEが不足すると、さっきのような発作が起き、RUNEを使い切れば最後に記憶と言う情報を消費して死ぬ」

「なっ! なんでそんなものにハルトを乗せているんだよ!」

「時縞ハルトが決めたことだ」

「だ、だからって……!」

「少なくとも、今のお前を精霊と会わせるよりは確実に上手くいく」

「っーーお前!!」

 

 怒りが頂点に達し、拳を振るう。

 しかしそれはまるで未来を予知していたかのように躱され、襟と裾を掴まれ背負い投げを行う。

 

「ぐはっ……!」

「動きが単調すぎる。迷いがある証拠だ」

「て、テメェーー!?」

 

 士道は睨もうとした時、首元に何か冷たい感触を感じた。

 どこから出したのか、エルエルフの右手には折りたたみ式のナイフ握り、士道の首すれすれまで突きつけていた。

 

「いくら異常な再生力があったとしても、首を切り落とせば死ぬだろう」

「な、何を……」

「覚悟がない奴に、アイツの覚悟をとやかく言われる筋合いはない」

 

 再び静寂と微かに感じるエルエルフの怒気がその場を支配する。

 そして次の瞬間。

 

 ウゥゥゥゥゥゥーーーーーー!

 

 <フラクシナス>艦内中に警鐘が響いた。

 

 

 「ーー来たわね二人とも。もうすぐ精霊が出現するわ」

 

 士道とエルエルフが<フラクシナス>の艦橋に着くなり、艦長席に座っている琴里からそんな言葉をかけてきた。

 

「了解」

 

 エルエルフが小さく頷き、艦橋下段のコンソールに腰を下ろした。

 

「ーーさて」

 

 と、士道が無言でいると、琴里が首を傾げるようにしながら問うてきた。

 

「あまり時間をかけられなくて悪いけど、腹は決まったかしら?」

「……っ」

 

 息を詰まらせる。が、そこで突然、再び、けたたましいサイレンの音が艦橋に鳴り響く。 

 そして男性クルーの叫び声を発せられる。 

 

「非常に強力の霊波を確認。空間震発生まで、三、二、一、来ます!」

 

 次の瞬間、モニターの映像の中心がぐわんと歪む。

 

「え……?」

 

 一瞬、映像を映し出している画面の方に問題があるのではないかと思ったがーー違う。

 空間に。何もないはずの空間に、水面に石を投げたような波紋が出来ていた。

 

「な、なんだこりゃ……!」

「あら? あなたは初めて見るんだっけ?」

 

 琴里がそう言うのとほぼ同時に、空間の歪みはどんどん大きくなっていく。

 画面に小さな光が生まれたかと思えば、爆音とともに画面が白く染められた。

 

「ーーっ!」

 

 数秒の後、画面には今までとは全く違う光景されていた。

 そこには大きなクレーターが出来上がっていた。

 規模は少々小さいように見えるが、十香と初めて会ったことを思い出す。

 そして士道は気づく。

 クレーターの中心に人影のようなものが映っていることに。

 

「あの子は……?」

「これは行幸ーーと言いたいところだけど<ハーミット>なら妥当ね。規模が小さいわ」

 

 琴里は丁寧に説明しているが、そんなことどうでもいい。

 士道はモニターに映っている少女に釘つけになっていた。

 兎耳のついたコートと右手に装着した、やけにコミカルなパペットがが特徴的な少女だった。

 

「士道ーーどうかしたの?」

「俺ーーあの子にあったことがある」

「なんですって? 一体いつの話よ」

「つい昨日だよ……学校から帰る途中、急に雨が降ってきてーーーー」

 

 記憶を探りながら、昨日の出来事を簡潔に話した。

 すると士道の話を聞いた神無月が手にした端末に視線を落とす。

 

「当該時刻に主だった霊波数値の乱れは認められません」

「恐らく、夜刀神十香と同じだろう」

「……士道、なんで言わなかったの?」

「む、無茶言うなよ。会ったときは精霊だなんて思わなかったんだ」

 

 と、士道が叫ぶのとほぼ同時に、フラクシナス艦橋に設えられていたスピーカーから、けたたましい音が轟いてきた。

 

「……!? どうした……!?」

「五河士道。精霊が現れたと言うことは、動くのは俺たちだけじゃない」

「ASTか……」

 

 画面に目をやると、今し方少女ーー〈ハーミット〉と呼ばれる精霊がいた場所にミサイルを撃ち込まれ、煙が渦巻いていた。

 その周囲には、物々しい機械の鎧を着込んだ人間ーー対精霊部隊(アンチ・スピリット・チーム)のASTだった。

 ASTがそれに反応すると一斉に〈ハーミット〉を追跡する。そして身体中に装着していた部装から、夥しい量の弾薬を発射する。

 

「あいつら……あんな女の子に……!」

「今更何を言っているのよ、士道。十香の時に学習しなかったの? ASTにとって精霊がどんな姿形をしているかなんて関係ない。彼らにあるのは世界を守る使命感と、人類にとって危険である存在を排斥しようという、生物としての至極まっとうな生存本能だけ」

「だ、だからってーーーー!」

 

 士道が口を開いた瞬間、煙の中から再び少女が空に躍る。

 だがーー<ハーミット>は反撃しようとせず、ただ逃げ回るだけだった。

 

「ええ、いつものことよ。<ハーミット>は精霊にしては大人しい部類だからね」

「……っ、ならーー」

「ASTに情けを求めるなら無駄よ。彼女が精霊である限り」

 

 士道は唇を噛んだ。

 いやーー言葉を重ねるまでもなく、自分でも分かっていた。

 彼女の気象や、性格など、ASTにはなんの例外なく殲滅対象なのだ。

 分かっているはずだったーーなのに。

 士道は血が出るのではないかと思うほど拳を強く握り、静かに喉を震わせた。

 

「琴里、精霊の力さえなくなれば、空間震も、あの子が襲われることもなくなるんだよな」

「ええーーその通りよ」

「ーー俺にはそれが出来るんだよな」

「十香の現状を見て信じられないのでは、疑ってくれて構わないわ」

「……」

 

 士道はクシャクシャとかきむしってから、両手で頬を張った。

 そして、伏せた瞼をゆっくりと上げて、決意を発する。

 

「ーー手伝ってくれ、琴里。俺はあの子を、助けたい……!」

「ーーふふ」

 

 琴里は、どこか嬉しそうに、キャンディの棒をピンと立てた。

 

「それでこそ私のおにーちゃんたちよ。総員、第一級攻略準備!」

『はッ!』

 

 琴里の言葉と共にクルーたちがコンソールを操作する。

 士道が転送装置琴里が小さく「あ」と、小さく呟く。

 

「どうした?」

「ハルトは動かせないけど、代わりに<ラタトスク>の母体……つまりアスガルド社から派遣された工作員がASTを抑えてくれるみたいだから、あなたは心置きなく精霊をデレさせてやりなさい」

「お、おう、分かった」 

 

 謎に自信満々な様子に、士道は曖昧に返し艦橋を出た。

 

 

 




あとがきです。
えーと……まず、なんで遅くなったかと言うと、現在作成中のインフィニット・ストラトスの作成と、家の用事が忙しすぎて、キリの良いところまで書くには時間が足らない……だから少し短くせざる得ませんでした。
今日、出せなかった分は明日出します。だから許して……!
それではまた次回〜
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