デート・ア・ヴァルヴレイヴ   作:とりマヨつくね

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第二の精霊、青と黄の騎士

「ふうぅ……ここでいいのか」

『ええ。精霊も建物内に入ったわ。ファーストコンタクトは間違わないようにね』

「……了解」

 

 士道は頰に汗を垂らしながらそう言うと、インカムから手を離した。

 そして軽く息を整えると、周囲を見渡した。

 士道は今、商店街先に聳えるショッピングモールの中にいた。 

 

「…………」

 

 先月。このインカムをつけて<ラタトスク>の指示を仰ぎながら、十香と会話したときのことを思い出す。

 まさか、それからひと月経たないうちに、再び戦場に舞い戻ってくることになるとは思ってもみなかったがーー仕方があるまい。

 

『ーー士道。<ハーミット>の反応がフロア内に入ったわ』

「……!」

 

 不意に響いた琴里の声に、士道は身体を緊張させた。

 と、その瞬間。

 

「君もよしのんをいじめに来たのかなァ?」

 

 急に頭上から声が聞こえたのであった。

 そして精霊との対話が始まった。

 

                ◇

 士道が精霊との対話している頃。

 ショッピングモールの外、そこで複数のCR-ユニットをまとった人間が浮遊していた。

 対精霊部隊……ASTである。

 

「<ハーミット>がショッピングモールに立てこもったわ。そこのあなた、一応本部に建物の破壊許可を聞いてみて」

「了解」

 

 部隊の隊長である燎子が一人の隊員に命令を出すと、腹に力の入った声で返す。

 それと同時に別の隊員が、燎子によってきた。

 

「折紙、どうかしたの?」

「今回、ヴァルヴレイヴが現れていないから少し違和感を感じる」

「ああ、そういえば出ていないわね」

 

 今、この話に出ているヴァルヴレイヴとは、先月の<プリンセス>の時に折紙達の作戦行動を邪魔した赤い騎士のことである。

 なんでも顕現装置を作っているDEM社が極秘開発していた、CR-ユニットに変わる対精霊用の兵器らしい。

 だが今から二ヶ月ほど前に、強奪をされたと聞いていたが……まさか敵になるとは思いもしなかった

 その高い戦闘力から、後に脅威になると予想され最優先目標として指定されいる。

 

「もしかしたらヴァルヴレイヴの出現には、何かの条件があるのかもしれなーーーー」

「隊長! 許可が降りました!」

 

 燎子が言葉を終える前に、通るとは思っていなかった破壊の許可が降りたことを知らせる。

 これも顕現装置ですぐに元どおりにできる、復興部隊がいることで初めてなせる技である。

 

「折紙、この話はまた後で」

「了解」

 

 折紙が頷くと、燎子は部隊の全員に呼びかける。

 

「各員、照準を合わせなさい!」

 

 燎子の命令を受けて、折紙を含めた部隊の全員がその手に握っているアサルトライフルをショッピングモールへと向ける。

 そしてそのアサルトライフルの引き金を引こうとしようとした時だった。

 どこからともなく、緑色の光線が飛んできた。

 

「ッーーーー!」

 

 その射撃は、アサルトライフルの銃身のみだけを融解させた。

 よく見たら燎子だけでなく、幾人かアサルトライフル溶かされるか、随意領域(テリトリー)を展開して守っていた。

 

「一体、何がーーーー」

 

 折紙はビームが飛んできた方向へと視線を向ける。

 

「ーーあれはヴァルヴレイヴ?」

 

 噂をすればなんとやら。そこには例のヴァルヴレイヴがいた。

 しかし前に出会った時と少し形が違った。

 まず前に出現した時は、赤を基調としていたものが青を主体としており、その両肩には巨大な盾を備え付けていた。

 ヴァルヴレイヴ五号機<火打羽>。かつて()()()()()()で失われたはずの機体である。

 

「きゃあああ!」

 

 まだ理解が追いつかない折紙が唖然としていると、どこからか悲鳴が聞こえた。

 振り返るとそこに移っていた光景に、折紙の顔は驚愕に包まれる。

 何故ならそこにもう一体の()()()()()()()がいたのだから。

 ヴァルヴレイヴ三号機<火神鳴>。こちらも<火打羽>同様、苛烈な戦いの果てに失われた機体である。

 

「もう一体……!?」

 

 だがそんなことを知らない折紙は急いで後方に飛ぼうとしたが、その一瞬の隙を見逃さず一気に距離を詰めてくる。

 

「折紙、危ない!」

 

 危険と感じたのか、近くにいた燎子は折紙を突き飛ばし、即座に防御用の随意領域を展開する。

 <火神鳴>の特徴である巨大なアームによるパンチが放たれ、その攻撃を受けた隊員がバットに当たった野球ボールが如く吹き飛ばされる。

 

「ッ! 覚悟!」

 

 折紙は近接武装<ノーペイン>を抜き取り肉薄する。

 一撃一撃なら、強力である<火神鳴>であるが、流石にこの攻撃は避けられまいと折紙は考えていた。

 しかしその読みは外れ、<火打羽>が割って入り、肩部の盾で防がれる。

 

「なっ……!?」

 

 攻撃は直撃すると、幻視していた折紙は目を丸くする。

 ASTの最新武装である<ノーペイン>を防ぐほどの防御力、そして即座に離れた距離を詰めれるほどの機動力。

 先月でその強さは十分体験したはずなのに、油断していた。

 そこで後ろに控えていた<火神鳴>が飛び出し、再び豪腕による連撃を叩き込んでくる。

 直撃ギリギリで随意領域を展開できたが、二桁も行かないところで砕け散り、折紙の腹に拳が突き刺さろうとした時だった。

 

「「「ーーーーーー!?」」」

 

 突如、ショッピングモールで巨大な爆発が起き、その場に居た者たちの視線が一点集中する。

 崩れかけたショッピングモールの中から、巨大な怪獣の影を出しながら。

 

 

あまりの非常事態に士道は焦っていた。 

 この場にいないはずの少女ーー十香がうさぎのパペットの首元を掴み上げ、

 

「おい、何か言ったらどうなのだ!」

 

 と言いながらぐらぐらと揺らす。

 そんな様子に、<ハーミット>こと『よしのん』が声にならない悲鳴を上げていた。

 体をチワワのようにプルプルと震わせながら、パペットを取り返そうと必死に十香の服を引っ張っていた。

 どうしてこんなことになったかというと、今から数分前。

 『よしのん』と接触した士道は、デパートを回りながら会話に花を咲かせていた。

 その最中、子供用のジャングルジムに登って遊んでいると、不意に体勢を崩した。

 士道はそれを受け止め、その際に士道と『よしのん』の唇が重なった。

 その一部始終を十香に見られたというわけだ。

 しかしフラクシナスにいたはずの十香が、なぜここにいるのだろうか。

 それに確実に『よしのん』とキスをした。

 それなのに、何故精霊の力封印できていないのだ。

 <フラクシナス>の解析でも好感度は、封印レベルまでいっていたのにーーーー。

 

「……! ……!」

「ぬ? な、なんだ? 邪魔をするな。今私はこいつと話しているのだ」

「ーーかえ、して……っ、くださ……っ」

 

 十香の手で高々と吊り上げたパペットを取ろうとしてか、『よしのん』がぴょんぴょんと飛び跳ねていた。

 

『ーー何しているの士道。よしのんの精神状態が揺らぎまくりよ。早く止めなさい!』 

 

 と、右耳に琴里の声が響く。

 士道は頰をかきながら、恐る恐る喉を震わせた。

 

「な、なあ、十香。その……それ、返してやってくれないか?」

「シドー、やはりこの娘の方が……」

「は? 何を言っているんだよ。そんなわけ……」

 

 ないだろ、士道はそう言って、次に十香を説得しようとした時だった。

 

「……っ、<氷結傀儡(ザドキエル)>……っ!」

 

 『よしのん』は、バッと上げたかと思うと、それを真下に振り下ろした。

 瞬間ーー床を突き破るようにして、その場に巨大な人形が出現する。

 

「なっ……」

 

 全長三メートルはあろうかという、ずんぐりとしたぬいぐるみのようなフォルムの人形である。

 体表は金属のような滑らかで、所々白い文様が刻まれていた。

 そしてその頭部と思しき箇所には、長いうさぎのような耳が見受けられていた。

 

「人形……」

「ーーなっ、これはーー!?」

 

 士道と十香が同時に声を発する。

 『よしのん』はその背後によじ登ると、そこに設けられた二つの穴に差し込んだ。

 人形の目が赤く輝き、その鈍重そうな体躯を震わせながら、天井に向かって咆哮を上げた。

 それに合わせて、人形の全身から白い冷気が放った。

 

「冷たっ!?」

 

 思わず足を引っ込めてしまった。

 その煙は、まるで液体窒素から発せられているもののように、非常に低温であったのだ。

 

『ーーこのタイミングで天使の顕現……!? 士道、逃げなさい!』

「は、はあっ……!? て、天使ってなんだよ!」

 

 突然右耳に響いた琴里の叫びに、士道は思わず大声を上げてしまう。

 

『目の前に現れたでしょう! 精霊を護る絶対の盾・霊装と対を成す最強の矛! 精霊を精霊たらしめる「形をもった奇跡」よ! 十香の鏖殺公(サンダルフォン)を忘れたの!?』

 

 『よしのん』が小さく手を引いたかと思うと、氷結傀儡ザドキエルが低い咆哮とともに身を反らした。

 次の瞬間、デパート側面部窓ガラスが次々と割れ、フロア内部に凄まじい勢いの雨が入ってくる。

 しかし、それは窓が割れて入ってきたというよりも雨粒が窓ガラスを叩き割ったかのような感じだった。

 

「いぃ…….っ!?」

 

 士道は驚愕に目を見開くと、足を震わせながら、前方に聳える氷結傀儡(ザドキエル)を見る。

 ーー十香の方へと視線を向ける人形を。

 氷結傀儡(ザドキエル)が再び吠えると、充満した冷気からつららが生成され、重力を無視して十香に向かっていく。

 

「……ッ! 十香!」

 

 士道は考えるよりも先に、十香を守るように自分の背を氷結傀儡(ザドキエル)に向ける。

 

「なっ……シドー!?」

 

 十香の声が、鼓膜を震わせる。

 つららが士道の目と鼻先まで接近した時、空の中心がキラリと輝いた。

 光はまるで弓矢の矢のように、つららを貫き打ち砕いた。

 

「これは……一体?」

 

 士道は状況を飲み込めないかのように呆然としていると、一つの影が彼の元へと舞い降りた。

 

「ヴァルヴレイヴ……!? でも、十香の時とは形が……」

 

 そこにいたのは、ハルトが身に纏っていたヴァルヴレイヴと呼ばれる機械の鎧だった。

 しかし……その姿はかなり違っていて、肩に固定した巨大な盾と青い配色が特徴だった。

 

『お前が五河士道だな?』

 

 青いヴァルヴレイヴから放たれた声は、ハルトのものではなかった。

 ヴァルヴレイヴを操る事を出来るのは……ハルトだけではーーーー。

 そんな思考を遮るように、青いヴァルヴレイヴは話を続ける。

 

『残念ながら時間切れだ。この場は俺と山田がなんとかするから、お前はその子と一緒に<フラクシナス>で回収されてくれ』

「ちょ、ちょっと、それはどういうーーーー」

『聞きたいことは山ほどあるだろうが話はあとにしてくれ』

 

 それだけ言うと、青いヴァルヴレイヴは光り輝く残光を発生させながら飛んで行った。

 それと同時にふわりとした感覚に包まれ、視界に映っていた光景が変わる。

 そこは<フラクシナス>の内部だった。

 

「助かった……のか? 十香、大丈夫ーーーー」

「いいから早く離さんかーー!」

「のわっ……!?」

 

 十香によって顔を掴まれ、士道はその場に転がされる。

 

「と、十香……? どうしたんだってんだよ!?」

「うるさいっ! 話しかけるな! わ、私よりあの娘の方が大事なのだろう……!」

「は、はあ……? 何を言ってーー」

「うるさい! シドーのバーーーーーカ!」

 

 十香のそう言い残して、どこかへ走り去ってしまった。

  

 

 

 

 

 




あとがきです。
やっとだ。やっとやりたいことが出来た。もう皆さんも、期待もワクワクも止まらないですよね。
でもすいません。次は多分インフィニット・ストラトスの方出すと思うので、待っていてください。
それではまた次回。
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