デート・ア・ヴァルヴレイヴ   作:とりマヨつくね

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無事投稿。
後半は、オリジナルの展開が多めになってしまっているかもしれません。
それでも良いって人はお楽しみください。
それではどうぞ!


日常

 十数分後。

 テーブルやら何やらを元に戻し、士道は台所で朝食を、ハルトと琴里はニュースを見ていた。

 

『ーー今日未明、天宮市近郊のーーーー』

「ん?」

 

 BGMぐらいに聞いていた士道から、疑問符を浮かべるような声が聞こえた。

 ハルトは、その理由はすぐに分かった。

 何故なら、アナウンサーの明瞭な声の中に自分達が住んでいる街の名前が出たからであろう。

 

「ここから近いな。何かあったのか?」

 

 画面には、めちゃくちゃに破壊された街の映像が広がっていた。

 まるで隕石が落ちたかのような、大きなクレーターが出来上がっていた。

 

「ああ、空間震か」

 

 士道はうんざりするような声で言う。

 空間震。空間の地震と呼ばれる、広域空間振動現象。

 発生原因、発生時期共に不明で、被害規模不確定の振動、爆発、消失、その他諸々の現象の総称。

 この現象が初めて確認されたのは、三十年前のユーラシア大空災である。

 その当時の被害は酷いもので、死傷者、行方不明者合わせて一億五千万人以上で今でも歴史の教科書に載るぐらいだ。

 

「でも、一時期は動かなかったんだよね? なんでまた増え始めているだろうね?」

「どうしてだろうねー」

 

 ハルトが聞くと、琴里は曖昧な返答をする。

 そう。空間震は一時期はその鳴りを潜めていたが、五年前に再開発された天宮市で発生したのを皮切りに、また発生し始めたのだ。

 

「なんか、ここら辺って妙に多くないか? 特に去年から……ハルトが家に来たぐらいから」

「おにーちゃん!」

 

 ハルトの顔が少し暗くなったことを察知し、琴里は士道に注意する。

 

「ああ、すまない」

「別に大丈夫だよ。気にしてない」

 

 ハルトには名前以外の記憶がない。去年の冬辺りに道端に寝ていたのを、現在の両親に拾われ、養子として迎えられた。

 最初は不安だったが、士道や琴里、現在の両親が良くしてくれた。

 勉強はある程度できるため、猛勉強して今年の春から転校生として入ることになったのだ。

 

 けれどやっぱり記憶がない事は、とても不安でーーーー

 

 そこまで思考したところで、琴里に頬を触れる。

 

「ほらほら、ハルトおにーちゃんも辛気臭い顔しないの」

「うん……ありがとう」

「それにしても少し早すぎる気はするわね」

「どうかしたの?」

「んん〜あんでもなあ〜い」

 

 ハルトは首を傾げた。

 

「あっ! 琴里! またご飯の前にアメを!」

「んー! んー!」

 

 いつの間にか口に咥えたチュッパチャプスを取ろうとするが、琴里は口をすぼめて抵抗する。

 

「はあ〜ちゃんとご飯も食べるんだよ……」

「おお、愛してるぞ。ハルトおにーちゃん」

「ハルト、お前またそうやって琴里を甘やかして……と今日は中学も始業式だよな?」

「そうだよー」

「じゃあ、午前に終わるってことだよな……リクエスト何かあるか」

 

 琴里は思案するように二つの髪を揺らすと、姿勢を正した。

 

「デラックスキッズプレート!」

「それって、ファミレスのメニューじゃん。当店ではご用意できません」

 

 士道の言葉に、琴里は「ええー」と不満の声を漏らす。

 

「別に今日ぐらいはいいんじゃない?」

「んーまあいいか」

「おおー! 本当かー!」

「おう。学校が終わったら、いつものファミレスな」

 

 士道がそう言うと、琴里は興奮した様子で手を振った。

 

「絶対だぞ! 絶対約束だぞ! ファミレスがテロリストに占拠されてもだぞ」

「「テロリストに占拠されたら店に入れないだろ(よ)」」

 

 ハルトと士道の同時ツッコミを気にせず、琴里はいう。

 

「絶対だぞー。空間震があってもだぞー」

「はいはい」

 

 琴里を見送り終えると、二人は高校のある方向に向いた。

 

「僕たちも行こっか」

「そうだな」

 

 

 士道達が学校に着いたのは、午前八時十五分だった。

 廊下に張り出されたクラス表を見る。

 

「二年四組か」

「僕も。同じクラスになれて嬉しいよ」

「ああ、僕もだよ」

「五河士道」

 

 二人が話しているところに不意にそんな声が聞こえた。

 後ろに振り向くと、そこには人形のような少女が立っていた。

 

「えっと…君は?」

「覚えていないの?」

「……う」

「そう」

 

 短く言って、その場を離れてしまった。

 

「士道、知り合い?」

「いいや、わからないけど」

 

 士道は頬をかき、眉をひそめた。

 何やら士道を知っているようだが、士道は彼女のことを全く覚えていない。

 

「とウッ!」

「ゲフッ」

 

 士道が悩ましていると、見事な平手打ちが士道の背中にクリーンヒットした。

 士道には、犯人はすぐに分かった。

 

「ってぇ、何しやがる殿町」

「おう、元気そうだな。セクシャルビースト五河」

「せく……なんだって?」

「セクシャルビーストだ。この淫獣め。少し見ない間に色づきやがって。いつの間に鳶一と仲良くなったんだ」

「お前、アイツのこと知ってるのか」

「ああ、成績は常に学年主席、運動神経抜群の才色兼備だぞ。彼女にしたいランキングで三位を下回ったことなんてないぞ」

「そんなに凄い人がここに居るんですか」

 

 ハルトが割って入ると、殿町は眉根をあげる。

 

「ん? お前は誰だ」

「ああ、殿町は知らなかったな。コイツは時縞ハルト。一応、俺の義理の弟だ」

「なっ……まさかコイツが琴里ちゃんの婚約したってのか。よくシスコンのお前が認めたってのか」

「んなわけあるか! ハルトは親父達が連れてきたんだよ」

「何だ、そう言うことか。全く焦せらせるなよ。と言うわけでお義兄さん、妹さんをください!」

「やるか!」

 

 そこで殿町は納得したように手をポンと叩く。士道と殿町の談話に、ハルトは思わず綻ばせてしまう。

 

「とにかくよろしくな、時縞」

 

「こちらこそ、よろしく」 

 

 差し出された手に、一瞬戸惑ってしまったがその手をぎゅっと強く握った。

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーー

 

 教室の窓ガラスを揺らしながら、不快な警報が教室中に鳴り響いたのであった。

  

 

 

 

 

 




あとがきの時間です。
まずは謝罪を。本当なら十香を出せるはずでしたが、思ったより文章が長くなってしまいました。
次回は、次回こそは必ず本格的に精霊を出せるようにします。
それではここら辺で、また次回会いましょう。
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