今回はあまりハルトが活躍できなくてすいません。
だけど楽しめるようには頑張りました。
それではどうぞ。
「な、なんだ!?」
さっきまで賑やかだった教室が一気に静まり返る。
サイレンに次いで、機械的な音声が聞こえた。
「これは訓練では、ありません。これは訓練では、ありません。前震が、観測されました。空間震の、発生が、予想されますーーーー」
瞬間、静かだった生徒たちが一斉に息を呑んだ。
ーーーー空間震警報。
皆の予感が確信に変わる。
「空間震!? 皆、急いでーーーーーー?」
「おいおい、マジかよ」
「え〜だる〜」
ハルトが急いで避難を促そうとすると、皆の落ち着いて避難していく様子に思わず困惑してしまう。
「ね、ねえ、士道……」
「ん? どうかしたのか」
「ごめん、僕の認識が間違っていなければ、空間震っていつ起こるかどうかわからない危ない災害だよね」
「そうだな」
「普通、慌てたりしないの?」
「ああ、記憶のないお前は知らなくても仕方がないか。俺たちは小学生の頃から空間震のお訓練をやってきたから、冷静でいられるんだよ。それにちゃんと指示通りにシェルターに避難すれば何も問題ないよ」
「そ、そっか。何だか心配して損をした」
と言っても、ハルトも内心では凄く安心していた。
「そんなことよりも、お前、琴里の場所分かるか? 俺のスマホは少し調子が悪くて、GPSが上手くいかないんだ」
士道は、サイレンが鳴ってからずっと懸念していたことをハルトに告げる。
ーーーー絶対だぞー。空間震があってもだぞー。
そこでハルトは琴里との約束を思い出し、急いでスマホを取り出してGPSのアプリを起動させる。
いくら琴里であっても、こんな非常事態に約束を律儀に待っているとは思っていない。
だが、もし、もしもの事を考えて確認せざる得なかった。
「……! 士道、琴里が!」
ハルトの言葉を聞いて、士道の顔が青く染まった。
「あのバカ……!」
そう小さく呟くと、急いでシェルターと反対の方向へと走り出し、ハルトもその後を追った。
「おい! 五河、時縞、どこに行くんだよ」
「悪い、忘れ物を取りに行ってくる! 先に行ってくれ」
「士道、急ごう!」
「わかっている」
士道とハルトは、速やかに靴を履き替えると、転びそうなくらいの速度で外へ駆けていった。
校門を抜けて、学校前の坂道を転がるように走る。
「……っ、普通だったら避難するだろうが」
二人は、足を最高速で動かしながら不気味なくらい静かな街を走った。
改めてスマホを確認すると、琴里を示すアイコンがファミレスから一ミリも動いていない。
「どうして避難してねーーーー?」
目の端に映ったものに思わず言葉を止め、眉を顰める。
上空で複数の人影らしき物が見えたためだ。だが、そんなものを気にしていられなく鳴った。
「うわっ……!」
耳をつんざく爆音と、凄まじい衝撃波が彼らの体を数メートルほど吹き飛ばした。
「ってえ、ハルト、大丈夫か!」
「僕は大丈夫だよ。それにしても一体何が起こったんだ。」
まだチカチカする目を擦りながら、二人はそうぼやいた。
「分からない。だけどただ事じゃーーーーは?」
士道は、自分の目に映っているものが信じられなかった。だって、今の今まであった街が跡形も無くなっていたのだからだ。
「何だよ……これは!」
隣にいたハルトは堪え切れなくなったのか、呆然と呟いた。
まるで、周囲一帯が削り取られたかのような光景を見渡していると、士道は金属の塊らしきものを発見した。
「何だ?」
距離があるせいか、正確なフォルムまでは分からなかったが、それはまるで王様が座るような玉座のような形をしていた。
だがそこは重要ではない。
その玉座に足をかけるようにして、奇妙なドレスを纏った少女が立っていた。
「何であんな所に女の子が……」
「待って、士道。あの子、何か少し変だ」
「は、はあ? お前は何をいっているんだよ? 確かに変な服を着ているけどさ」
そんな会話していると、少女が気怠そうな顔をこちらに向ける。
士道達に気づいた……のだろうか。少女は玉座の背もたれに生えた柄を握り引き抜いた。
そこから現れたのは、何とも言えない幻想的な輝きを放つ大剣だった。
少女が剣を振りかぶると、ブンと振り下ろした。
「士道、危ない!」
危機を感じたハルトは咄嗟に体を突き飛ばした次の瞬間ーーーーーー。
士道が元にいた居場所に、光の斬撃が通り過ぎていった。
急いでこの場を離れようと、士道とハルトは走り出そうとする。
「ーーお前も……か」
「「!?」」
不意にそんな声が聞こえ、心臓が飛び上がりそうになる。
一拍遅れて、視界が思考に追いつき、一瞬までいなかった少女が目の前に現れた。
先ほどまでクレーターの中心にいた少女だ。
「あーーーー」
士道からそんな声が漏れた。
理由は単純、その少女が美しかったからだ。
水晶のような不思議な輝き放つ双眸、夜のように暗い黒髪、愛らしさと美しさを兼ね備えた顔立ち、状況やその特異性も相待って、どこを取っても士道の目を惹きつけるのには十分過ぎた。
「お前も……私を殺しにきたのか」
少女は悲しそうな目で言った。
その目を見て、士道の奥で何かがドクンと鳴った。
まるでその感覚に身に覚えがあるかのようにーーーーーー。
「っーーーー! そんな訳ないだろ!」
「何?」
士道の言葉に少女は眉を顰める。だが士道から視線を外して、空に顔を向ける。
つられるように士道達も視線を向けると、そこには複数の奇妙な服を纏った人間達だった。
「なんだ? あの人達?」
そんなハルトの言葉を聞いていないかのように、手に持っていた火器をこちらに向ける。
そして引き金を引くと、火器から無数のミサイルが発射され、こちらに向かってきていた。
少女は大剣を持っていない手を掲げ、ミサイル群を静止させる。
「こんなもの無駄だと、何故学習しない」
少女が言うと、掲げた手をギュッと握る。するとミサイルがひしゃげ、爆発を起こした。
その様子を見た人間達は狼狽を露わにするが、その内の一人がすぐに次の行動を起こす。
持っていた武器を捨て、剣状の武器を手にして接近し、少女に向かって振るう。
少女も大剣で迎え撃つ。
「ウワッ!」
その衝撃波は凄まじく、あたりの壁だの何だのを吹き飛ばしていく。
「なんだよ! 次から次へと」
「士道、ここは危ない! とりあえず逃げるぞ」
「あ、ああ」
ハルトの提案に士道が賛同しようとすると、後方に何者かが舞い降りた。
「あなたは……鳶一折紙さん!? いや、それよりもその格好は?」
ハルトの驚いた声を上げる。
「時縞ハルト……それと五河士道」
そして返答するように、士道とハルトの名を呼ぶ。
すぐに視線を少女に戻して剣を構え直し、少女と折紙の視線が交差する。
まさに一触即発の状況だったが、そこで士道のスマホが着信音が鳴り響いた。
それを皮切りに、少女と折紙が同時に地を蹴った。
そして二人は衝突し、その風圧に二人は転がり、塀にぶつかって気を失った。
あとがきです。
デート・ア・ライブⅣの最終回を見ました。
正直言って、素晴らしかったです。特に最後の5期決定のアレはマジで興奮しました。
その調子でエンゲージキスを見て、とてもテレビや雑誌で見せられない顔になっていました。
次回からは士道とハルトのコント……もとい訓練が始まりますので楽しみにしてください。