デート・ア・ヴァルヴレイヴ   作:とりマヨつくね

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今日はアクション三点盛り! 
早くしないと色々怖いからもう逃げる!


弾丸は放たれた

 時刻は正午。たんたんたんたたん♪ と軽やかなリズムを刻みながら狂三は円を描くようにくるくると回る。

 

「もう少し、士道さんとの学校生活を楽しんでもよかったのですけれど──まあ、致し方がありませんわね」

 

 

 少し名残惜しそうに言うが、彼女は止まるつもりなど毛頭ない。

 上空からその光景を見る者がいれば、その異常に気づいたかもしれない。

狂三が通った場所が、薄暗くなっているのであった。

 まるで、狂三の軌跡から、影が消えないように。

 

「そろそろ、潮時ですわね」

 

 そして、カッ、と踵を地面に突き立てた。

 すると屋上を中心に薄暗い線で描かれた円が、ジワジワと面積を広げ、屋上の全域を覆い尽くし、校舎の外壁を伝い、校庭を侵食し、やがて学校を中心とする街の1区画を覆わんばかりに。

 

「──きひ、きひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」

 

 

 狂三は恍惚とした表情を浮かべ、

 

 

「ああ……士道さん、士道さん、愛しい愛しい士道さん。貴方はこれでも私を救うだなんて仰いまして?  私を助けると仰いまして?  あなたの力がどれだけの呪いが込められると知らずに……」

 

 

 着実に組み上がっていく虚空を見据え、自らを救うと言った少年を待ち続けた。

 

 

 突如、それは襲った。

 全身に鉛の重りが乗っかったような倦怠感と虚脱感が襲った。

 まるで空気が粘性を持ったかのように、重くドロッと手足に絡み付いた。

 ハルトは膝をつき、なんとか立とうとして周囲の異変に気づいた 

 生徒達が、次々と苦しげなうめき声を発し、その場に崩れ落ちていく、異様な光景だった。

 慌てて近くに倒れた女子生徒の肩を揺すると、気を失っていた。

 

 

 

 

 

「な、なんだよ……これ!?」

 

 

 するとポケットから携帯が鳴る。 

 

 

『俺だ、無事か』

 

 

 すぐに応じると、聞こえてきたのはエルエルフの声だった。

 

 

「エルエルフ、これは一体どう言うことだよ!?」

「それは<時喰みの城>と呼ばれる広域結界だ。十中八九、狂三の仕業だろう。すでに五河士道が屋上へと向かった。いいか、ヴァルヴレイヴなら霊力の影響を軽減できる。犬塚キューマと山田ライゾウにもすでに伝えてある。すぐにヴァルヴレイヴを装備して屋上へ迎え。」

「くっ……わかった。来い! <火人>!」

 

 

 ハルトが名を呼び、<火人>を纏った。

 それと同時に、先ほどまで感じていた倦怠感も虚脱感もなりを潜めた。

 

 

「これなら……いける!」

 

 すぐに士道達と合流しようと、ジー・エッジで壁を切り裂こうとした時だった。

 

「ハルトさ〜ん」

 

 とても聞き慣れた、妖しく艶かしい少女の声が聞こえ、ハルトは切っ先を向けながら振り返る。

  

「あらあら……乱暴はいけませんわよ」

 

 そこには屋上にいるはずの、狂三が霊装姿で両手に長短の古式銃を握っていた。

 どう見ても異常な光景……だが、ハルトは冷静に剣を構えて。

 

「あなたは……『どの』狂三さん?」

「ハルトさん、それは無粋というものですわよ。あまり人に見られて気持ちが良いものではありませんから」

「関係ないよ。それよりもそこを退いてくれ。僕は士道を守らなきゃいけないんだ」

「きひひ、それはダァめですわよ。私と一緒に一曲踊ってくださいまし!」

 

 発砲音が鳴り響く─────

 

 

 ガキん! と金属と金属が弾かれる。

 そして青い軌跡と共に、キューマはフォルド・シックスを振るう。

 『狂三』は身体をしならせて回避し、その隙を狙うかのように引き金が引かれる。

 肩部のシールドを可動させ、弾丸を弾く。

 

「あらあら犬塚先輩、その両手に装備されているものは使用されないのですか?」

「悪いが、こんな狭い空間でぶっ放すわけには行かないんでね……!」

 

 狂三の問いに対し、キューマは余裕が無いように返答する。

 だが、それは仕方がないことだろう。

 なぜなら彼の操るヴァルヴレイヴ、<火打羽>は防御と中距離戦をテーマにした機体であり、そのため他のヴァルヴレイヴと比べて幅が大きいのである。

 更に学校の閉鎖空間、それも生徒達という人質がいるような状態では射撃も行えない。

 となれば接近戦しかないのだが、ハルトの<火人>のような接近用の兵装もない。

 もう何度、この攻防を繰り返しているのかわからなくなってきた。

 このままではダメだ。そう判断したキューマは、握っていた小鎌を捨て拳を握った。

 

「待っていてくれよ……ハルト、ライゾウ!!」

 

 小さく呟くと己の力を全てを込め─────

 

 解放と共にクレーターができた。

 すかさず黄色の拳達は、狂三に向けてラッシュ、ラッシュ、ラッシュ。

 

「まったく……無茶苦茶ですわね……! 乱暴な殿方は嫌われてしまいますわよ」

「うるせぇ! テメェみたいな女に好かれても一ミリも嬉しくねぇんだよ」

 

 ライゾウは<火神鳴>のアームユニットを束ね、狂三めがけて殴りつける。

 回避不可能の攻撃に狂三は防御姿勢を取るが、直撃すると少女の身体は大きく弾き飛ばす。

 

「俺は決めたんだ。もう仲間を失わないってな! テメェに関わって場合じゃないんだよ!!」

「きひひ、ああ……キキましたわ。昂ぶってしまうではありませんか!!」

 

 

「はあ……はあ……ここか」

 

 士道は、細かく息を吸って吐いたりを繰り返しながら言った。

 それにインカム越しから、令音が答える。

 

『ああ……エルエルフの話だとあまり時間はかけない方が良いみたいだ』

「わかった。必ず、狂三を救ってみせる」

『任せたよ、シン』

 

 士道は頷き、屋上に繋がる扉を開けた。

 屋上に出ても、ドロリとした空気は少しも晴れず、それどころか身体を襲う虚脱感が強くなった気になり、顔をしかめる。

 左右に目をやり、フェンスに囲まれた殺風景な空間。

 その中心に、彼女はいた。

 

「───ようこそ。お待ちしておりましたわ、士道さん」

 

 フリルに飾られた霊装の裾をくっと摘まみ上げ、微かに足を縮めて見せた。

 

 




士「あれ!? もう俺の活躍終わり!!?」
作「ソダヨ」
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