今回も楽しんでください。
一体、どこにアンダーテイカーがあるんだ?
「ーーーーでこれが精霊って呼ばれる怪物で、こっちがASTでーーーー」
「ちょ、ちょっと待った!」
ペラペラと説明を始めた琴里を制するように、士道は声をあげた。
「何、どうしたの。せっかく司令直々に説明してあげているってのに。もっと光栄に咽び泣いてみせなさい。今なら特別に、足の裏を舐めさせてあげるわよ」
「ほっ、本当ですか!」
喜び勇んで声を上げたのは、琴里の横に立った神無月だった。
その様子に琴里は即座に、「あんたじゃない」と強烈な肘鉄が神無月の鳩尾に突き刺さる。
「ぎゃっホォう!」
そんなやりとりを眺めながら、士道は呆然と呟いた。
「本当に琴里なのか?」
「あら、妹の顔すらも忘れたの、
士道とハルトは頬に汗をひとすじ垂らした。
士道に至っては、自らの頬をつねって痛覚があるかどうか確認している始末だった。
ちなみに結果は、きっちり痛かったので夢ではないらしい。
「もう訳がわからなくて、頭がごちゃごちゃだ。お前、何をしているんだ? ここはどこだ? この人達は誰だ? それにーー」
「落ち着きなさい。まずこっちが理解してもらわないと、説明がしようがないのよ」
言って琴里は、艦橋の大モニタに指を差す。
そこには、士道達が遭遇した黒髪の少女と、機械の鎧に身を包んだ集団が映し出されていた。
「えっと、精霊っていたっけ?」
「そ。彼女が出現するだけで、己の意志とは関係なく、あたり一帯吹き飛ばしちゃうの」
琴里は両手を使って、爆発を表現する。
士道は、額に手をあてて渋面を作った。
「……悪い。ちょっと話が壮大すぎてよくわかんね」
「うん。まだ、アニメの話だと思う方が信じられるよ」
まだ状況を飲み込めていない二人に対して、琴里は肩をすくめながら吐息した。
「つまり、空間震って言うのは彼女が出現する時に発生する余波なのよ」
「「なーー」」
思わず眉根を寄せた。
世界を蝕む未曾有の災害の原因が、あの少女だというのかーーーー?
しつこいようだが、まだ信じられない。
「ま……規模はまちまちだけどね。それにしても、二人ともバカなの? 警報中に外にいるなんて」
「いや、だってお前これ」
士道はスマホを取り出すと、琴里の位置情報を表示させる。
やはり、アイコンはファミレス前で固定されていた。試しにハルトのGPSも確認してみると、同じ結果だった。
「ん? ああ、それね。盲点だったわ。だってここ、ファミレスの前だから」
「は……?」
「ちょうどいいわ。フィルターを切って」
琴里が言うと、薄暗かった環境が一気に明るくなった。
照明がつけられた訳ではなく、天井に掛けられていた暗幕が取り払われ、あたりには青空が広がっていた。
「わっ!?」
「なんだ、これ!」
いきなり事で、士道、ハルト共に驚愕する。
「ここは上空一万五千メートル。位置的には待ち合わせのファミレスの前に当たるわね」
琴里はそう言いながら指を二本立てると、神無月が代わりの飴を取り出し、手渡した。
「それと、こっちがASTね。精霊専門の特殊部隊で精霊を処理するのよ」
「処理って、具体的に何をするんですか?」
ハルトの質問に、琴里は当たり前のように眉を上げた。
「要するにぶっ殺すってこと」
「なっ……!」
琴里の言葉をまったく予想していたことではなかった。
しかしーー士道は心臓が引き絞られるかのような感覚に襲われた。
ーーーーお前も私を殺しにきたのだろう。
不意に、あの少女の今にも泣き出してしまいそうな表情を思い出す。
少女があんなことを言った意味が、ようやく理解できた。
「何もおかしいことはないわね。この世界に現れるだけで破壊をもたらす災害よ」
「だけど、お前言ったじゃねえか。空間震を起こすのは、アイツの意思ではないんだろ!」
「そんなの、AST達にとっては関係ないのよ。あるのは悪を滅しようとする正義の気持ちだけよ」
「違ぇよ。もっと他に方法はないのかよ」
「じゃあ訊くけど、どんな方法があると思うの?」
「それはーーーー」
琴里の発言で、士道は黙り込んでしまった。
その様子を耐えかねたのか、ハルトは思わず叫んでしまう。
「琴里! 本当に他に方法はないのか! みんなが笑顔になれるような、そんな夢のような方法はないのか」
「方法……ね」
ハルトの言葉に、琴里は待っていましたと言わんばかりに口角を上げた。
「そう、なら手伝ってあげる」
「は……?」
士道が口をポカンと開けていると、琴里は両手をバッと広げる。
「私たちが手伝ってあげるのよ。<ラタトスク>の総力をもって、士道をサポートしてあげる」
「なんだよ。どう意味だよ」
士道の言葉を遮るように、琴里が声を上げる。
「いい? 対処法は二つよ」
「二つ……?」
士道が問うと、琴里は大仰に頷き、人差し指を立てる。
「まずは一つ目、ASTのやり方。武力を持ってこれを殲滅をする。ただし前述の通り、精霊は高い戦闘力を持つため非常に困難だわ」
次いで、中指を立てる。
「そして二つ目。それには士道、あなたの力が必要よ」
「「えっ、俺(士道)?」」
士道とハルトはお互いの顔を見る。
「んで、その方法ってのはなんだよ」
言うと、琴里は小さく笑みを浮かべた。
「それはねーーーー精霊に恋をさせるの」
「「......はい?」」
うへーなんとか出せた。
今回はあんまりハルトが絡ませられなかった。
おまけに前回ちょろっと出たアイツもしばらく出番がない。
もう少し待ってくれ……あと数話でヴァルヴレイヴ出せるから……!