前回、ヴァルヴレイヴ無双させるって言いましたけど、尺の都合上前編後編に分ける事にしました。
だから、あと、あともう少しだけ待ってください。
それでは第9話をどうぞ。
数秒後、転送機が機械の駆動音と共に輝きを放った。そして次の瞬間、景色が学校の裏手へと一瞬で変わった。
一応何回か使っていたが、やはりイマイチ慣れない。
「士道、大丈夫?」
なぜこの場にハルトがいるかというと、遡ること数分前のことである。
士道は琴里達と別れた後、<フラクシナス>下部にある転送機に向かうと、ハルトとエルエルフが待っていた。
話をによると、ハルトに武器を持たせて、護衛として同伴することになったらしい。
最初は士道も反論をしたが、あくまで精霊の攻撃から守るための処置であること、ハルトも了承していることを告げられ、なんとか納得した。
「ああ、これぐらい何ともないよ」
ハルトに返答すると、首を動かして周囲の状況を確認してみる。
あの日の街と同じように学校が見るも無残な姿になっていた。
『士道、ハルト、聞こえているわね。今から精霊のいるところまでナビをするから、指示に従いなさい』
右耳につけたインカムから琴里の声が聞こえる。
「わ、わかった」
「わかった」
士道とハルト、それぞれが反応を返し、構内へと入ってくる。
そして二人は、琴里から送られてくる指示に従って、瓦礫で埋もれかけた近くの階段を駆け上る。
そして数分とかからず、指定された教室まで到着する。
扉が閉じているため、中の様子は窺えなかったが、この中に精霊が言うと思うと鼓動が早くなった。
士道は深呼吸する。
「てーーーーここ、俺のクラスじゃないか」
『あら、そうなの。好都合じゃない。地の利とまでは言わないけど、まったく知らない場所よりはよかったでしょ』
と琴里が言うが、士道が進級してからまだ日がそんなに経っていないため、そこまで知っているわけではない。
しかしそんな事を考えている場合ではない。精霊が気まぐれを起こす前に接触しなければならない。
『それじゃ、ハルトはそこで待機。士道は今すぐにでも精霊と接触して頂戴』
士道は意を決して教室の扉を開ける。
「ーーーー」
士道は小さく声が漏れた。
そこには赤く染まった教室の中心で、一人夕日を眺める少女の姿があった。
不思議なドレスに身を包み、黒髪をたなびかせた少女が、片膝を立てるようして座っていた。
頭の中で考えていた薄ぺっらな言葉なんて、一瞬で吹き飛んでしまった。
「ーーぬ?」
少女は士道の存在に気づき、目を完全に開いてこちらに視線を向けた。
そして士道は慌てて少女に言葉をかけようとした瞬間。
ーーーーヒュン、と。
少女が無造作に手を振るったかと思うと、士道の横を黒い光線が通り過ぎる。
視線をギギギっと横に向けると、まるで巨大怪獣の爪に引っ掻かれたような跡が出来ていた。
「ーー止まれ」
少女の鋭く凛とした声に、士道は思わず硬直させる。
「お前は何者だ」
「俺はーーーー」
『士道、待ちなさい』
士道が素直に答えようとしたところで、インカムから琴里の制止の声が聞こえてくる。
<フラクシナス>の艦橋では光のドレスを纏った精霊の少女が映されており、その周りには『好感度』をはじめとした配置されていた。
令音が¦顕現装置《リアライザ》で解析・数値化した各種パラメーターが画面下部に表示されている。
画面中央にウィンドウが表示される。
それはまるでギャルゲーの選択画面のようだった。
①『俺は五河士道。君を救いに来た!』
②『通りすがりの一般人です辞めて殺さないで』
③『人に名を訊ねるときは自分から名乗れ!』
「総員、選択。五秒以内」
クルー達は一斉にコンソールを動かす。その結果が琴里の元へと送られる。
「ーーみんな、同じ意見のようね」
「おいおい、一体なんだって言うんだよ」
琴里に制止された士道は、何とも気まずい空気に押しつぶされそうになった。
「.....もう一度聞く。お前は、何者だ」
少女が苛立しげに、目をさらに目を尖らせる。
その時ようやく琴里からの声が届いた。
「士道、私の指示に従いなさい」
「お、おう」
『人に名を訊ねるときはーーーー』
「自分から名乗れーーーー!」
少女は不機嫌そうに顔を歪め、黒い球体を投げつけられる。
着弾したそれは、床に人がすっぽり入りそうな穴を作った。
『あれ、おかしいな』
「おかしいなじゃねぇ……ッ、殺す気か……っ」
「ーーーーれが最後だ。答える気が無いなら、敵と判断する」
士道の机の上から少女が言ってくる。
「お、俺は五河士道! ここの生徒だ! 敵対する意思はない!」
少女がゆっくりとした足取りで士道たちの方に寄ってくる。
そこで少女は「ぬ?」と眉を上げた。
「お前、前にどこかであったことがあるか?」
「あ、ああ、今月の十日に」
そこで合点がいったのか、少女はポンと叩く。
「思い出しぞ。確か変なことを言っていたやつか」
「変なこと……?」
士道はそう言って頭をかく。
「それで、貴様、私を殺すつもりがないといったな? ならおまえは一体何をしに現れたのだ?」
「……っ」
士道は、小さく眉を寄せ、奥歯をぎりと噛んだ。
少女への恐怖とか、そんなものより先に。
少女が士道たちの『殺さない』という言葉を、微塵も信じることができないのが胸を締め付けられる気持ちになった。
「ーー人間、は……ッ」
士道は張り裂けそうなほど喉を震わせた。
「お前を殺そうとする奴らばかりじゃ.....ないんだッ.....!」
「ーー嘘だ。私の会った人間は皆、私が死なねばならないと言っていたぞ」
「そんなわけ……ないだろッ!」
「……では聞くが。私を殺すつもりがないのなら、貴様らは一体何をしに来たのだ」
「き、君に会うためだ」
「私に?一体何のために」
「そ、それはーーーええと」
士道が口ごもると、琴里の声が右耳に響いてきた。〈フラクシナス〉の画面の中央にまたも選択肢が表示された。
①『君に興味があるんだ』
②『君と、愛し合うために』
③『君に訊きたいことがある』
「んー……どうしたもんかしらねぇ」
選ばれた選択肢に思わず琴里はあごをさすった。
「ーーき、君と……愛し合うために」
「……」
少女は手を抜き手にし、横薙ぎに振り抜く。
そして士道の頭上を風の刃が通り抜け____教室の壁を切り裂いて外へと抜けていった。
「ぬわっ.……」
「……冗談はいらない」
ひどく憂鬱そうな顔をして、少女が呟く。その様子に士道は思わず、唇をかむ。
ああ、この顔だ。士道の大嫌いな表情だ。
「俺は……ッ、お前と話をするためにここに来た」
「…………」
少女は黙る。
「内容は何だっていい。気に入らない内容だったら、無視したっていい。けど一つだけ分かってほしい。俺はーーーーッ」
『士道、落ち着きーーーー』
『『五河琴里(琴里)、今は』』
琴里が士道を止めようとしたが、エルエルフとハルトによって逆に止められてしまう。
ブレーキがなくなった士道は、少女に今までの思いをぶつけた。
「お前を否定しない」
「ーーーー!」
士道の言葉に少女は驚いたような顔をした。そしてしばしの間黙った後、士道に聞いた。
「シドーといったな」
「ああーー」
「本当に私を否定しないのか」
「ああ。それにそう思っているのは俺だけじゃない」
「ぬ?」
「そうだろ。ハルト」
「うん。当たり前だよ」
すると隣の教室に待機していたハルトが教室に入ってくる。
さっきから琴里がうるさいが、今はそんなことはどうでもいい。
「本当か?」
「本当だ」
「本当に本当か?」
「本当に本当だ」
「本当に本当に本当か?」
「本当に本当に本当だ」
士道が間髪入れずに答えると、少女は髪をクシャクシャとかき、鼻をすするような音を立てると、士道達に視線を戻した。
「ふ、ふん。そんなこと誰が信じるか。ばーかばーか」
「だ、だから、俺たちはーー」
士道はしつこく説得しようとした所で、少女は複雑そうな表情で口を開いた。
「……だがまあ、あれだ。どんな腹があるかどうかは知らんが、まともに話せる人間達は初めてだからな。……この世界の情報を得るために利用してやる」
「は、はあ?」
「べ、別に貴様らからこの情報を得るためだ。大事。情報超大事」
「士道、これって……」
「ああ、どうやら上手くいったみたいだな」
精霊とのファーストコンタクトに成功した事に、二人はほっと息を吐いたのだった。
◇
精霊とのファーストコンタクトに成功した士道とハルトは、安堵したのも束の間、少女が聞いてきた。
「シドー」
少女は、士道の名を呼んだ。
「な、なんだ?」
「早速聞くが、ここは一体どこだ? 初めて見る場所だ」
「え……ああ学校ーー教室、まあ、俺やハルトと同じくらいの奴らが勉強する場所だよ」
「なんと」
少女は驚いたように目を丸くした。
「これに全ての人間が収まるのか? 四十近くはあるぞ」
「いや、本当だよ」
士道は頰をかく。
そして即座にハルトが近くにあった椅子に座って、例を見せる。
「こんな風に座って、皆んな勉強に励んでいるんだよ」
「ほうほう」
少女は興味津々な表情で頷く。
今まで見たことがない表情を見せる少女に、士道は思わず口を緩めてしまう。
だが、それも仕方がないだろう。
少女は今まであった人間は大体、彼女を殺そうとするASTのような人間しかいなかったのだから、自然と厳しい表情になってしまうのだろう。
「なあーー」
そこである事に気づいた。
「ぬ?」
士道の様子に気づいたのだろう、少女は眉を寄せる。
しかし、すぐに納得したように顎に手を置く。
「そうか、会話を交わすなら名前がいるのか……」
そう頷くと、
「シドー、それとハルト。私に名前をつけてくれないか?」
「「え?」」
二人から変な声が漏れた。
((お、重い……))
少々……いやかなり……いいや物凄く難しいオーダーに二人は頭を抱える。
「これは中々にヘビーなの来たわね」
「ふむ。どうしたものかね」
「士道、ハルト、焦って変な名前をつけるんじゃないわよ」
取り敢えず現場にいる士道達に言うと、流れるようにクルー達に指示を出す。
「総員、今すぐ彼女の名前を決めなさい。そして私の端末に送りなさい」
そしてほぼ同時に、クルーはディスプレイに視線を落とす。
すでに何人かの案が送られて来ていた。
「ちょっと、川越! 美佐子ってあなたの奥さんの名前でしょ」
「す、すいません。思いつかなかったもので」
「……ったく、他は……幹元、これなんて読むの?」
「
「却下よ。それとあなたは金輪際、子供を持つことを禁止するわ」
「全く……もう少しまともなないの? 例えば……トメ!」
「トメ! 君の名前はトメだ!」
「士道、いくらなんでもそれは!」
ハルトが止めに入ろうとした瞬間、大量の光球がまるでマシンガンのように士道の周りを焦がした。
一歩でも動いたら、文字通り蜂の巣になっていただろう。
インカムから琴里が『あれ?』と聞こえた。なんとも無責任な話だ。
「何故だろうか。バカにされたら、無性に腹が立った」
「す、すまん」
「ふん。それでハルトは決まったのか?」
「う、う〜ん。思いつきはするんだけど、どれもありきたりすぎる」
「そ、そうか」
数秒の静寂の後、士道の口から
「十香?」
「ぬ?」
「ん?」
「ど、どうかな」
「…………」
少女がしばらく考え込むんだ後、
「まあ、トメよりはマシだな」
士道は見るからに余裕のない笑顔を浮かべながら後頭部をかいた。
◇
(四月十日にあったらから、十香とは安直だな)
艦橋下段に座るエルエルフはそんな事を考えていた。
だが結果的に精霊の好感度は上がっているので、なんとも言えなかった。
(それにしても……)
エルエルフは自らのディスプレイへと視線を落とす。
そこにはカタカナでトメと書かれていた。
(何故、この案が上手くいかなかったのだろうか? それだけはわからない)
エルエルフは、心の中でその事を疑問に思い続けた。
◇
「それでーートーカとはどう書くのか?」
「ああ、それはーーーー」
士道は黒板の方へと歩き、チョークを手にとって十香の字を書いた。
「ふむ」
少女は短く唸ると、士道の真似るように黒板をなぞろうとする。
士道はチョークがないと書けないと指摘しようとしたが、それよりも先に黒板に十香の文字が削られていた。
「なんだ?」
「い、いや……なんでもない」
士道が返答すると、少女は十香の文字をジッと眺める。
「シドー、ハルト」
「な、なんだ?(なに?)」
「十香」
「「?」」
「私の名前だ……良い名だろう」
「あ、ああ……」
「そうだね……」
士道とハルトが笑顔で頷くと、十香は満足げな表情を浮かべた。
すると、十香は士道の方へと向けて、
「シドー」
と笑顔を士道の名を呼んだ。
その初めて見た十香の笑顔に、心臓がドクンと跳ね上がった。
「十香……」
夕焼けを背景に二人は良い雰囲気になりかけた次の瞬間。
「二人共! 伏せろ」
ハルトの声と共に、けたたましい轟音と共に弾丸が降り注いだ。
「なんだこりゃッ」
『チッ、ASTが攻撃を始めたわ! 士道は今すぐに回収をーー」
「ま、待ってくれ!」
『なによ。そんなに早く死にたいの? そういう願望は後でーーーー」
「もう少し、もう少しなんだ! だから俺に時間をくれ」
『はあ? だから何度もーーーー』
『五河琴里、ここは五河士道の案を採用すべきだ。このまま逃げてはただのヘタレだと思われてしまう。それでは本末転倒だ』
『だけれどーーーー』
インカム内で何かを話してあっているようであるが、今はそれどころではない。
現在、十香がバリアを張っているようであるが、それがどこまで保つか分からない。
「士道とハルトは逃げろ……同胞に殺されるぞ」
十香は先ほどの笑顔はなくなり、今にも泣いてしまいそうな顔で告げた。
「「ーーーー」」
その瞬間、二人の中で闘志のような何かが湧き上がった。
「なあ……琴里、話し合いは終わったか?」
『ええーーもう少しだけなら待って良いわよ。ただし、精霊に引っ付いていなさい。それとハルトは人目のつかないところで武装を装備しなさい』
「ああ、わかった。士道、十香のことは任せたよ」
そう言い残して、十香に気づかれないように教室を出た。
「勿論だ。お前もなるべく早く来いよ」
ハルトはハルトのやるべきことを、士道は士道のやるべきことを。
「何をしている? 早くーーーー」
「知ったことか……! 今は俺とお前の時間だ。あんな奴らほっとけ!」
そう言うと、十香の足元に座り込んだ。
「……!」
十香は驚いた顔をした後、士道の向かいへ座った。
◇
時々やってくる流れ弾をかわしながら、ASTからも士道達にも見えないところまで離れたところで、ハルトは自分の胸に手を置いた。
(イメージしろ。僕がアレに纏うんじゃなくて、僕がアレになるイメージだ)
するとハルトの体に粒子が纏わりつき、その姿を変貌させてゆく。
光がなくなる頃には、そこには一体の赤き化身が立っていた。
その名はヴァルヴレイヴ、かつて人間ではない者の技術によって作られ、人である事を辞める代償に莫大な力を得られる超兵器。
その中でも特殊な存在であったヴァルヴレイヴ一号機<火人>。
元の大きさより何倍も小さいが、その溢れ出てくる力は人目見ただけでわかった。
「急ごう、士道達が待っている」
ハルトはそう呟くと、軽くしゃがんだ後力任せに跳躍した。
そして赤い残光を伴って、ASTの部隊へと突進する。
「アンノウン出現! こちらに向かって来ます!」
「何よ、アレ!? 総員、目標変更! 先にアンノウンを倒すわよ」
隊長が指示を出すと、手に持っていたマシンガンをハルトへと向けられ、そして発砲する。
隙間なく迫ってくる弾丸。だが、その弾丸がハルトに届くことはなかった。
右腕を振るうと、その線になぞるように残光が出現し、全ての弾を弾いた。
ヴァルヴレイヴ、最大の特徴とも言える兵装、硬質残光である。
「「「「「なっーー!?」」」」」
その様子にAST隊員全員が狼狽し、一瞬隊形が崩れてしまう。
ハルトはその隙を逃さず、一人の隊員に接近する。
「え、はやーーーー」
隊員がプロテクト
安定翼を破壊された隊員は、真っ逆さまに墜落していった。
(よし、まずは一人……! まだ少し慣れないけどーーーー)
続いて、<ノーペイン>を持って接近する隊員に対して、硬質残光による斬撃で迎え撃ち、押し返す。
体制が崩れたところに、即座に後ろに回り込んで、先ほどと同じように翼を切り裂く。
(このまま出来る限りの時間稼ぎはさせてもらう……!)
そう思考すると、彼は更なる撹乱のため攻撃を仕掛けた。
ハルトがAST達を惹きつけている頃、士道と十香は向き合いながら話していた。
十香の力だろうか、時々やってくる流れ弾は二人を避けるように校舎を貫通している。
『ーーーー数値が安定してきたわ。可能だったら、彼女について色々質問してちょうだい』
少し考えてから、士道は口を開いた。
「十香」
「なんだ?」
「十香はどこから来たんだ?」
士道の質問に、十香に眉をひそめた。
「知らん」
「知らないのか?」
「ああーーーーどのくらい前だったか、私はそこに芽生えた。それだけだ。記憶は歪で曖昧。私自身、私がどういう存在かわからないのだ」
「そ、そういうんもんか」
士道はそう言うと、十香はフンと息を吐いて腕を組んだ。
「そう言うものだ。突然、この世に生まれ、その瞬間にはあのメカメカ団が空を舞っていた」
「メカメカ団?」
「あのビュンビュンうるさい奴らだ」
「ああ、アイツらか」
士道はASTのことを指しているのだろうと思いながら言う。
と、次いでインカムからクイズに正解したかのような軽快な音が鳴った。
『精霊の機嫌メーター七十を超えたわ。踏み込むならあと一歩よ』
「踏み込むって何をすればいいんだ?」
『デートに誘ったら?』
「ぶっ!?」
思わず吹いてしまう。
「ん、どうした士道」
「いや、なんでもない」
「さっきから何をブツブツと……やはり私を殺す算段をーー」
「違う! 断じて違う!」
慌てて、弁明する。
「なら言え。今なんといった」
「ぐ、ぐぬ……」
士道が小さくうめくと、インカムから琴里含めたクルー達による、熱い『デ・エ・ト』コールが聞こえた。
「あーもうわかったよ!」
士道は観念して叫びを上げた。
実際、琴里の言っていることはわからないわけではないのは分かるが、やはり少々恥ずかしくなる。
「なあ、十香」
「ん、なんだ」
「で、デートしないか?」
◇
「これで六人目……!」
また一人、戦闘継続不可能な状態にしたハルトはつぶやいた。
先ほどからハルトは、アサルトライフルの弾丸を避けたり、硬質残光で防いだりしているが、久々かつ慣れない纏うタイプヴァルヴレイヴの戦闘に体力を奪われる。
だが、ハルトの奮闘もあってか、士道達は上手くいっている。
(このまま……全員を無力化を……!?)
そこでハルトの思考は途切れる。
なぜなら、見慣れた銀髪の少女が光の刃を形成する剣を持って接近してきたためだ。
(鳶一さん……!)
<火人>がハルトだと知らない折紙は、容赦無く剣を振るう。
その斬撃をハルトは残光で防ぎ、すぐに距離を離した。
流石に硬質残光だけでは彼女を倒すことは不可能だと思い、ハルトは展開式の小鎌、<フォルド・シックス>を引き抜き、彼女と切り結ぶ。
数度の交差、それは凄まじい衝撃波を発生させ、あちこちの瓦礫を吹き飛ばした。
そこでハルトは気づいた。ハルトと折紙の角度から、士道達が見えてしまっていることに。
「なにあれ? 精霊に襲われている?」
隊長らしき女性が言うと、折紙は目を大きく見開く。
そして即座にハルトを蹴り飛ばし、士道いる方へとスラスターを吹かす。
(しまった!)
ハルトは折紙の考えを読み取り、急いで追いかけようとするが、残った隊員達が行く手を阻んだ。
◇
「デェトとはなんだ?」
「え、え〜と、それは〜」
士道が言葉を選んでいると、突如琴里が慌てた様子で話しかけてきた。
『士道、ハルトが一人取り逃がしたわ!!』
「は……!?」
思わず声を上げた瞬間、折紙が現れる。
それから一拍もおかずに、光の刃を出現させた<ノーペイン>で斬りかかる。
「
十香が声を上げると、それに応えるように地面から例の大剣が出現させ、<ノーペイン>と打ち合う。
それからは前と同じように、壮絶な攻防が行われていた。
下手に動けば確実に死ぬ、士道はそれだけはすぐに理解した。
「っ……」
その様子を呆然と眺めていると、
『士道、時間切れよ。<フラクシナス>で回収するわ。ハルト!
と琴里が叫んだと同時に開放感のある教室から真紅の鎧武者が赤い残光を伴って入ってきた。
「ハルト……なのか?」
「ああ、士道にコレを見せたのは初めてだったね。事情は後だ。とりあえず……ごめん!」
急に謝罪したかと思うと、ハルトは十香と折紙の元へ割って入る。
硬質残光で二人の攻撃を受け止めると、凄まじい光を放った。
その際の衝撃波が士道を襲うが、それを利用して校舎の外へと飛び降りる。
『ナイス!』
琴里の声が響くと同時に、士道の体に妙な浮遊感に包まれ、<フラクシナス>に回収されたのだった。
あとがきです。
はい、尺が大変な事になりました。
いや〜疲れた。
昨日といい、今日といい、ここら辺は折りが難しいですね。
まあ、一番は皆様に楽しんでもらうことですからいいんですけどね!
そして始まりましたね、ヴァルヴレイヴ無双。
これだよ、これがやりたかったんだよ!
そして少しお茶目を出すエルエルフ可愛い(^-^)ー
それではまた次回〜