綾小路清隆の妹として、全力で支えます   作:ぐれーぷ

11 / 41

光寿さん、白夜朝夕さん、神代リナさん、yuumarutaさん、まるまるまるこさん、白い子兎さん、高級なみかんさん、好評価ありがとうございました。

感想、お気に入り登録、誤字脱字報告もありがとうございます。助かります。

今月はもう1、2話で更新終わるかな?と思ったら感想などによってモチベが最高です。駆けれる内に駆けようと思います。立ち止まったら団長に怒られる…


2限目〜私は協力できない〜

 

 

 翌朝のホームルーム。佐枝先生から連絡事項で、昨日須藤くんが告白していたように、やっぱりCクラスと揉めたせいで、今ポイントの支給が遅れているとのことだった。須藤くんは佐枝先生の声を遮って皆に謝る。もう起きてしまったことだから仕方ない。

 須藤くん本人も手を出したと認めているのに、未だトラブルが解決してないのは、Cクラスが一方的に須藤くんにやられたと虚偽の申告をしているからだった。須藤くんは呼び出されたのは自分の方だと、Cクラスとは真逆のことを言っている。そこで話の食い違いが起きていた。もちろんCクラスからして見れば、須藤くんが虚偽の申告をしていると言い張っているのだが。結局こうなってしまったか。

 

「須藤曰く、誰かが居た気配がしたそうだ。このクラスに須藤とCクラスが揉めた所を見た生徒はいるか?」

 

 佐枝先生がクラスを見渡すけれども、誰も手を上げない。愛里ちゃんは少し申し訳なさそうに顔を下げていた。一瞬、愛里ちゃんと目が合うけど私はすぐに逸らした。他のクラスでも情報は集めているらしい。朝のホームルームはこれで終わった。

 クラスの反応を見てみる。最近須藤くんの素行はかなり良くなっていた。誰彼構わず睨むのはなくなり、バスケはレギュラー入りを果たし、休みの日には図書館で勉強をしている姿を見かけた生徒がいたぐらいだ。あれだけ毛嫌いしてた平田に勉強を教えてくれと頼む姿を見て、クラス皆で驚いたのは記憶に新しい。

 そんな訳で皆は須藤くんが濡れ衣を被せられていると意見が一致した。ここ最近の日頃の行いがこうして皆からの信頼を手に入れていた。

 よかった。本当にもう私が須藤くんに対して時間を使う必要がなさそうだ。

 その後、昼休みになり、皆で集まり須藤くんの話を改めて詳しく聞くことになった。メンバーは清にぃ、私、鈴音ちゃん、山内くん、池くん、櫛田さん、そして須藤くんの7人だ。

 

「最近は生活態度も改善されて来たと思ってたけれど、久しぶりにトラブルを持ち込んで来たと思ったら……厄介なトラブルを持ち込んで来たわね。須藤くん」

 

 鈴音ちゃんの言う通りだ。確かに皆も須藤くんに対して評価を上げていたが、この一件で少なからず評価が下がったのも事実。中には振り出しに戻った生徒もいるだろう。

 

「頼む堀北、また迷惑をかける。助けてくれ」

 

「……須藤くん、どうしてこんな事になってしまったか、あなた自身は分かっているのかしら?」

 

「ああ。全部俺の普段の言動のせいなのは分かってる。だからそれを治そうと思って俺は最近気をつけてたつもりだ。結果的にはこんなことになったから言い訳にしかならねぇけどよ……これからはより一層気をつける。頼む堀北、助けてくれ」

 

 本当に成長したね須藤くん。それと大体今回の事件の流れが分かった。もう私の役目はお終いかな……寧ろこれ以上は迷惑になるね。

 

「そう。分かっているならいいわ。須藤くんあなたの無実を晴らす為に協力する。でも覚えておいて。今回だけよ。次はないわ」

 

「堀北……! すまねぇ、助かるぜ」

 

「よっしゃー! んじゃあ皆で須藤の無実を晴らそうぜ!」

 

「ごめん。私は協力できない」

 

 

 

 

 

 

❀❀❀❀❀

 

 

 

 

 

「──よっしゃー! んじゃあ皆で須藤の無実を晴らそうぜ!」

 

 オレの隣に座る池は立ち上がりながらやる気を見せた。最初はやる気が無かったのにな。櫛田が協力すると知ったからこそこのやる気だ。

 池の言う通りこの7人で須藤の無実を晴らす……そう思われた話し合いだったが愛歌だけは違った。

 

「ごめん。私は協力できない」

 

 須藤はもちろん、他の4人もまさかの発言に驚いていた。愛歌が放課後によく須藤とバスケをしていたことは、クラスや学年にはもちろんのこと、バスケ部でも有名だった。なんなら須藤は放課後、池や山内よりも愛歌と共にした時間の方が多いだろう。

 中間テストで須藤を1番応援していたクラスメイトは間違いなく愛歌だ。須藤がこの学校に残れたのは堀北や櫛田の活躍が大きい。でもそれは愛歌が須藤のことを理解し、歩み寄ってあげたからこそだ。そうじゃ無かったら最後まで須藤は勉強を放棄していたかも知れない。しかし所詮これも結果論だ。たらればを言った所で何も変わらない。

 オレは何が言いたいかと言うと、それだけ須藤を気にかけて仲良くしていた愛歌が、今は須藤のことを見捨てようとしていた。

 

「須藤くん、私と約束したよね?」

 

「……すまねえ。約束破っちまった」

 

「別に謝らなくていいよ。ただ約束破るような人に協力するつもりはないかな。それじゃあ私はこれで。この後、私は約束あるから」

 

 愛歌はそう言い残して去って行った。前に須藤へはもう時間を使わないと言ったが本当にそのつもりらしい。ここにいる5人は気づいていないかも知れないが、須藤は愛歌にやや依存している。

 この先、もしかしたら愛歌の存在が須藤の足を引っ張る可能性がある。須藤の成長を願っている愛歌にとって、それは望まないことだ。ならこの辺りで一線を引くのは正解だな。

 まだ学校生活が始まって約2ヶ月、この先3年近くある学校生活を考えれば余りにも短い時間。よくこの短い時間でここまで人を育てたものだ。素直に感心した。

 

「綾小路さんには驚いたけれども……須藤くん私は彼女の気持ちを理解できる。もしあなたが自分の過ちに気づいていなければ、私も彼女と同じで協力しなかったわ」

 

 それをお前が言うのか堀北。お前も自分の欠点に気づ……いや自覚はあるが目を逸らしている状態だ。欠点を認めろ。そうしてやっと堀北、お前は次のステージへ進化するはずだ。堀北自身が自分1人でやれることの限界に気づき、誰かに頼るという弱さ(強さ)を手に入れる必要がある。

 すると櫛田は早速情報収集をするべく、席を離れ先輩たちや同学年の他クラスの下へ話を聞きに行った。堀北も確かめたいことがあると言い残して何処かへ行く。時間的には特別棟じゃないな。アイツが他クラスへ行くとは思えない……となると──

 

「なあなあ、本当に綾小路ちゃんは手伝ってくれねぇのかな?」

 

 ──池から愛歌の話題が出た。自分の自慢の(道具)の話にオレは意識を向ける。まだ愛歌が協力してくれるかも知れないという、淡い望みを信じているみたいだった。残念だが池、愛歌は須藤のために協力しない。捉え方だが既に手伝っているとも言える。無茶苦茶かも知れないが愛歌は少なからずそう思っているだろう。

 

「俺が全面的に(わり)いんだ。無実を証明して謝る。次からは……いや、次からも気をつけねぇとな」

 

「……」

 

 おかしい。いや、違う。須藤は何か隠している。

 どう考えても今の須藤が理由もなく喧嘩をするとは思えない。煽られた所で流すだけの余裕を身につけているのは、こうして成長した須藤を見て分かった。心に余裕も出来て、嫌なことに対しても向き合って頑張っている。クラスでの力仕事を率先して手伝っているぐらいだ。そんな須藤が今更、Cクラスの生徒達に煽られた所で問題を起こすとは思えない。

 もしオレが今の須藤を怒らせるなら何をする? 見たところ須藤に目立った傷跡はない。なら暴力以外で怒らさせるには……なるほど、そう言うことか。まさかここまで依存しているとは思わなかった。もっと早くに線を引くべきだったな愛歌。

 

「にしても櫛田ちゃんといい、綾小路ちゃんといい、皆美人だよなあ。1度でいいから櫛田ちゃんのあの胸を好き放題にしてえ」

 

 池がとんでもないことを口にした。思わず周りに聞かれていないかオレは見渡す。幸い誰にも聞かれてないようだ。オレは何も言ってないのに、一緒に居るだけで同罪にされることがある。友人関係を見直すべきなのかも知れない。

 

「俺はやっぱ綾小路ちゃんかなあ。あの控えめだけども出るとこは出て引き締まった身体、水泳の授業の時なんてまじでやばかったな。脱いだらとんでもないことになりそうだ」

 

 山内もアクセル全開だ。須藤の様子は何とも言えない表情だ。顔を赤くしたと思えば、どこか申し訳なさそうな顔をしている。

 それはそうとコイツら、オレが愛歌の兄だってことを忘れてるのか? 

 

「おいおい、人の妹で変な妄想をするな」

 

「別にいいだろ綾小路! お前だって妹で欲情したことぐらいあるだろ!? 妄想の1つ2つぐらいするだろ!?」

 

 コイツは何を言っているんだ。ネタか? どうしてオレが(道具)相手に欲情しなければならないんだ。それとも世の中の兄という存在は、妹に欲情して妄想するのだろうか? 今度堀北学に聞いて……やっぱりやめておこう。嫌な予感がした。

 そして山内の暴走は止まらない。

 

「大体なんだよ! ハーフ美少女で義理の妹でしかもブラコンって。どこのアニメの主人公なんだよ。どうせ同じベットで寝たりしてるんだろ!?」

 

「そこら辺はよく分からないが、義理だとしても家族で大切な妹だ。兄妹のスキンシップで一緒に寝るぐらいはするだろ」

 

「なんだとこの野郎!? 勝ち誇った顔をしやがって!!」

 

「いや、綾小路の顔はいつもこんな感じだろ」

 

「須藤は黙ってろ!!」

 

「お、おう」

 

 オレにも感情があったのかと少し喜んだが、須藤が間髪入れず変わらないと言われたので少しがっかりした。それはそうと山内の気迫に須藤が押された。男子高校生はエロティシズムになると強くなるのかも知れない。現にあの山内が須藤を気迫で黙らさせたのだから。

 

「どうせ一緒にお風呂に入ったり、あーんして貰ったり、膝枕して貰ったり、毎日ハグとかしてるんだろ!!」

 

「流石にお風呂には一緒に入らないぞ。それ以外はたまにして貰っているが……」

 

「なんだとテメェ!? 綾小路この野郎! もういっぺん言ってみろ!」

 

「流石にお風呂には──」

 

「うるせぇ! 黙れ! 自慢するな!」

 

 もう1回言えって言ったのはお前だぞ山内。オレは今何をやらされているんだ? 聞かれたことを正直に答えて、言われたことに従っているのに怒られた。文字通り意味不明だ。

 

「山内、諦めろって。お前じゃ綾小路ちゃんには釣り合わねぇよ。てか綾小路ちゃんと釣り合う奴なんてこの学校にいねぇって」

 

「うぐ、分かってるけどよ……くそ、俺に才能があれば綾小路ちゃんと付き合えたんだろうな」

 

 卓球で全国行って4番バッターで中学生にも関わらずインターハイに行く実力があって、TOEICで900点というハイスコアの記録保持者だ。十分才能には恵まれていると思うぞ。

 

「俺がもし櫛田ちゃんと付き合ったら……むふふ」

 

「おい池! お前! 櫛田ちゃんで何を妄想してんだよ!」

 

「何ってそりゃあ……ふひっ」

 

 全く同時に須藤とオレは引いた。

 

「クソー! 俺だって綾小路ちゃんで色々広げてやる」

 

 おーい山内、オレ()が目の前にいるんだぞ。アクセル全開でブレーキを踏むことを知らない2人。思わずため息を吐きたくなった。

 そんなくだらない妄想に勉強会以上の集中力で没頭する、2人に呆れていると須藤から話しかけられる。

 

「なあ、綾小路の好きなものってなんだ?」

 

「オレの好きなものか?」

 

「ちげぇよ。なんでお前の好きな物を俺が知りたがるんだよ。妹の方だよ妹。い・も・う・と」

 

 友達として知りたいとは思ったりするだろ。何となくオレじゃないのは察したが、僅かな望みをかけてそう返事をした。結果を見るに望みなんてなかった訳だが。

 

「愛歌か。最近だと歌とかダンスにはまってるな。食べ物だとデザート類は何でも好きだぞ。最近のマイブームはパンケーキとカヌレらしい」

 

「そうか……これが終わったらお詫びにカフェにでも誘うか」

 

「おい須藤! テメェ! 何抜け駆けしようとしてるんだよ!」

 

 そろそろ山内が鬱陶しくなって来た。2人が言い争っている間にオレもここから離れるとしよう。

 それにしても彼女か。オレが今1番付き合える可能性が高い、仲のいい女子は堀北と櫛田の2人だけだ。堀北は……ないな。じゃあ櫛田は……やはりないな。どうやらオレも彼女が出来るのはまだまだ先になりそうだな。

 

 

 

 

❀❀❀❀❀

 

 

 

 

「清にぃおかえり。どうだった? Bクラスで何か聞けた……?」

 

 放課後、清にぃや櫛田さんと山内くんに池くんは、Bクラスに訪ねていた。須藤くんの件で何か情報はないか聞き回ったけども、何も得られなかったみたいだ。

 

「なあ、愛歌。須藤はどうして喧嘩をしたんだと思う?」

 

「んー、あくまでも予想だけど……私か鈴音ちゃん、或いは両方の悪口でも言ったんじゃない? 今の須藤くんが怒る理由なんてそれぐらいでしょ。この間、山内くんが鈴音ちゃんの陰口を言ってた時も怒ってたし」

 

「やっぱりそうか。だから愛歌はもう須藤に関わらないつもりなんだな」

 

「できるだけね。私が理由で事件を起こされちゃ、この先色々と困るよ。この事件が解決したら多分、私に謝ろうと時間を作ろうとするでしょ? そこで仲直りして、それでも少し気まずい空気感を出せば私の望む結果になるよ」

 

 告白して振られた時に、明日からはいつもみたいに友達で接しよう……そう言われても前みたいには戻れない。それと同じで事件を解決して須藤くんが謝って来たとしても、私はもう前の距離感で須藤くんには関わらない。これからは鈴音ちゃんに意識を誘導させるつもりだ。本当は中間テストが終わった時にそうするつもりだったけど、清にぃと違って私は失敗した。きっと清にぃならもっと上手くやれるのに。

 

「なあ、愛歌。愛歌はオレのことが好きか?」

 

「大好き。世界で誰よりも清にぃのことを愛してる。私の全て。清にぃだけが私の生きる理由になってる」

 

「即答だな。ありがとう」

 

「事実だもん。それでいきなりどうしたの?」

 

「いや実は昼休みの時に愛歌が去った後──」

 

 ──なるほど。通りで山内くんの目が気持ち悪かった訳だ。気付かないフリをするのに大変だった。鈴音ちゃんに言われても全力で鈍感なフリをして無視した。どうやら清にぃは男女関係、恋仲の彼氏彼女の恋人関係に興味が湧いたらしい。将来清にぃには軽井沢さんや帆波ちゃんや佐藤さん、色んな女性が惚れる事になる。妹としましては? 最終的にはハーレムよりは一途に誰かを好きになって欲しいですね。

 

「彼女が欲しいな。どうすればできる?」

 

「簡単だよ。弱みを握って上下関係をしっかり教えて、自分に依存するように育ててればいいの。そうしたら彼女の完成よ」

 

「聞く相手を間違えたな」

 

「そうだよ。今までずっと一緒だったんだから分かる訳ないでしょ」

 

 前世も含め彼氏居ない歴=歳の私だ。今では別に欲しいとは思わないけれど。彼氏に使う時間があるなら清にぃに捧げたい。

 

「愛歌、特別棟に監視カメラを仕掛けたりしてないか? 櫛田の時みたいに」

 

「してないよ。仕掛けて置けばよかったと後悔してるとこだけどね」

 

「特別棟に監視カメラが仕掛けてあったならもう解決している筈だからな」

 

 堀北さんを特別棟に移動させて、監視カメラの有無を確認し、ダミーの監視カメラを仕掛けさせてCクラスの訴えを取り下げる……これをこの時から清にぃは思いついていたのかな? 

 もしそうなら凄すぎる。須藤くんのトラブルが明らかになってまだ2日目。

 思っている以上に、清にぃがとんでもない存在だと言うことを、私は改めて痛感した。





最後まで読んでくださりありがとうございました。

実はよう実で新しく1つ描きたい作品を思いつきました。取り敢えずメインのコチラを進めながら、毎日少しづつ書いて10話分ぐらい溜まったら投稿する予定です。

感想お待ちしております。次回もよろしくお願いします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。