綾小路清隆の妹として、全力で支えます 作:ぐれーぷ
お気に入り、感想、好評価ありがとうございました。
今回もよろしくお願いします。
いつものことですが誤字脱字のオンパレードです汗
「──ごめんなさい。キーカードを……盗まれたわ」
そう謝る鈴音ちゃんは今まで見たこともない、自己嫌悪に染まった顔をしていた。
遡ること、森で食料探索をしていた頃。道中で山内くんが突然、鈴音ちゃんの頭に泥を被せた。展開を知っている私だったけれども、流石にあれはない。まじでない。私がもし鈴音ちゃんだったら退学に追いやるぐらいのことはしたと思う。余談だけど櫛田さんからの評価は上がったかもね。
泥だらけになっちゃった鈴音ちゃんは体を洗うため水浴び場に向かった。そして予想通り伊吹さんに荷物を漁られてキーカードを盗まれたと。
「謝って許されることじゃないと分かっているわ……」
「こればっかりは鈴音ちゃんのせいじゃないよ。それこそ見張りで私や櫛田さんが着いていくべきだった」
「愛歌の言う通りだな。おまえの責任じゃないぞ堀北」
「だとしても責任問題よ……幾ら体調が悪いからって、泥だらけだったからって……言い訳なんてできないもの。キーカードだけは絶対に手放しちゃいけなかった。口の中でも下着の中に忍ばせて水浴びをすれば……それこそ水浴びする前にあなたたち兄妹どちらかに渡しておけばこんな事には……」
ここで何を言って慰めようとしても無駄だろう。私が言った見張りを立てるのも、最終的にはリーダーである私がそれを思い付かなかったのが悪い……なんて言い出すに決まってる。
この件は表沙汰にしないことに決めた。後で平田くんにだけこっそり教えることもね。
「容疑者は2人。軽井沢さんか伊吹さん。どっちだと思うかしら?」
「伊吹さんだね。軽井沢さんは鈴音ちゃんが帰って来るまでシャワー室にいたから。いつものメンバーもいたから誰かに命令したって線も無いと思うよ」
「オレも伊吹だと思う。それにこう言うのは最悪な展開を考えるべきだ。軽井沢が盗ったならまだ『Dクラス』の生徒……伊吹の場合は『Cクラス』で他クラスだ」
この試験のルールでキーカードをDクラスの生徒と他クラスの生徒に盗まれた時、どっちの方が最悪かと聞かれれば間違いなく後者の他クラスだ。
それはそうと清にぃ? 鈴音ちゃんを追い込むようなことは言わないでよね。今にも泣き出しそうじゃんかー! 鈴音ちゃんを虐めていいのは私だけなんだからね。
「となると軽井沢さんの下着を盗んだのも犯人も伊吹さんになるわね。今度はキーカードを盗むなんて……危険な賭けだわ。名前だけ確認できればいい筈なのに」
「まぁまぁ、人の考えることを当てるなんて簡単じゃないよ?」
「ああ、そうだな。それに関しては伊吹を捕まえて聞けばいい。持ち逃げでもされたら終わりだ」
「……ええ、そうね。試験終了まで彼女から目を離すわけにいかないわ」
「だね。それじゃあそろそろ戻ろっか。あまりにも帰ってこないと怪しまれるよ」
「それもそうだな。戻るぞ堀北」
鈴音ちゃんの肩にポンと手を置いた清にぃ。キャンプに戻ろうと私と清にぃが歩き出そうとした時、鈴音ちゃんから先に戻るようお願いされた。
「すぐに私も戻るわ。お願い」
清にぃと顔を見合わせる。1人になりたい時もあるよね。わかったと返事を返し清にぃは皆の所に戻って行った。
私は本当にダメだ。大事な時にキーカードを盗まれるなんて。それも他クラスに……。こんな私だから兄さんに認められないのだろう。
分かっている。こんな時間は無駄だって。今は自分を責める時なんかじゃない、弱音を吐く時なんかじゃ無いことは。体調が悪いせいか憂鬱な気持ちになる。
落ち込むのは後にしましょ。今はやるべきことをやらなければ。そう思った時、私の顔が誰かの手に包まれた。目の前に視線を移すと綾小路さんがいつものように笑顔を浮かべていた。
「鈴音ちゃん少し話そっか」
そんなことをしてる場合じゃ無い、そう返事をしたかったのだけれど、私はそれに頷いてしまった。私らしくない。
綾小路さんは下にビニールを広げ腰を下ろした。私もポケットに入ってたビニールを下に敷き、腰を下ろした。
「鈴音ちゃん私ね、本当に鈴音ちゃんのことが好き」
「……伝わっている。ちゃんと伝わっているわ綾小路さん」
「そっかそっか。私もちゃんと伝わってるよ。鈴音ちゃんが私のこと大好きで世界で一番愛してるって」
「そんな事を思った事は無いわね」
「あれ? おかしいな〜? あはは」
笑みを浮かべる彼女は本当に美しい。その笑顔は同性の私から見ても綺麗だと思う。とても華やかだ。
「綾小路さん1つ聞いてもいいかしら?」
「いいよ〜」
「あなたにとって綾小路くんは、兄は何?」
「大切な家族……ってこんな答えを聞きたいわけじゃないんだよね?」
「ええ。教えて欲しいの」
「ふむ。なるほどね」
綾小路さんの表情から笑みが消えた。真剣に考えてくれている。まったく……考える姿も絵になるわね。本当にすごい美貌だ。
数秒程悩んだ綾小路さんは答えてくれた。
「私の全てかな」
「綾小路さんの全て?」
「うん。清にぃが居るから今の私がいる。だから凄く感謝してる。清にぃのためになんでもしてあげたいの」
「……ブラコンね」
「お互い様でしょ? 照れんなって」
「……」
綾小路さんにとっての兄とは自分の全て。綾小路さんはそう答えた。よかったわね綾小路くん、あなたなんかでも尊敬はされているみたいよ。
「鈴音ちゃんこれは私の独り言だから気にしないでね。堀北生徒会長は鈴音ちゃんに凄く似てるよね」
私と兄さんが似てる?
「不器用な所が本当に。もっと素直になればいいのにって思う」
「……」
「それに清にぃや堀北生徒会長は、きっと私たち妹には好きなように生きて欲しいと思うんだ。やりたいように」
「好きなように生きる……自分のやりたいように」
「そそ。見守りたいんだよ。自分とは違う道に進む妹のことを。そして困った時に助けてあげたいの。兄としてかっこいい所を見したいから。だからこそ思う。お兄ちゃんじゃできないことで、私だけが出来ることで力になりたい。認めさせるの。守られるだけの存在じゃないんだぞって」
何故か昔のことを思い出した。本当に昔の事だ……それは夢だったと思うぐらい前のことを。兄さんが私の頭を撫でたくれた優しく温かい思い出。
兄さんにはできて私にはできないこと……そして兄さんには出来なくて私にしかできないこと──
「ありがとう綾小路さん、私決めたわ」
「うん? 何を決めたの?」
「私はもう兄さん──」
「まって鈴音ちゃん! 私たちのキャンプの方向からすごい煙が上がってる! 鈴音ちゃんごめん! 先に戻るね!」
そう言い残し綾小路さんは駆け出して行った。
あの煙が火事ではなく焚き火によるものだと信じたい。全く、次から次へと……最悪ね。
重い身体に力を入れ、私も駆け出した。
「清にぃ!」
向こうから愛歌が駆け寄って来る。その後方に堀北の姿も見えた。
「どうしたのこれ?」
「トイレの裏で火事が起きたみたいだ。災難続きだな」
「もう嫌になるレベルだね。因みに?」
愛歌が含みのある視線を向けてきた。どうやら察したようだな。
「ああ、正解だ」
「なるほどね。あっ、鈴音ちゃん早いね。トイレの裏で火事だって」
「はぁはぁ、本当に最悪ね。この火事も彼女の仕業と見るべきね。彼女はどこに?」
「ちょうど火事に気づいて向かった所だ」
「私たちも確認しに行きましょう」
オレ達は頷くと火事現場に向かう。
平田は勿論、殆どの生徒が集まっており伊吹の姿もあった。
堀北は伊吹を見つけると声をかけようと近寄るが、その横顔を見て立ち止まった。突然の火事に驚いている伊吹の姿が自然だったからだろう。
愛歌の察しの通り、この火事はオレがマニュアルを燃やして起きたものだ。
「あー、ごめん。私ちょっと高円寺くんのところ行って来る。この火事で精神的にうんたらかんたら言ってリタイアされても困るから」
「そうね……お願いするわ綾小路さん」
「おっけ〜。じゃあ清にぃまた後で」
「ああ。転ぶなよ」
高円寺の下へ駆け出した愛歌。あいつの言う通りこの火事を理由に高円寺がリタイアする可能性は十分にありえる。1日を切ったから流石にありえないだろう……そう言った常識が通じないのが高円寺だ。
マニュアルが燃やされたことを知った堀北は目を伏せ頭を抑える。
平田は自分が管理していたから自分に責任があるといい、まずは消火が優先だと判断し川へ向かった。
「どうして次から次へと……ただ仲良くするだけでいいのに……なのにどうして」
普段の平田からは想像できない危うい雰囲気を纏っていた。クラスのリーダーとして皆を1つにしようと行動する平田。その精神的な負荷は相当なものだろう。
「平田、堀北のこと言えないぞ。おまえも他人に頼るべきだ」
「……ありがとう綾小路くん。充分に頼ってるよ」
今の平田には慰めは無駄だな。
「流石にこれは……流せないね」
それはそうだ。Dクラスの生徒ほぼ全員が既にこの火事を目撃している。それをうやむやには出来ないだろう。間違いなく真相を知りたがる……つまりまた下着が盗まれた時のように犯人探しが始まるわけだ。
水を汲み終え戻ると、案の定男子と女子による言い争いが始まっていた。
「平田悪いがクラスの皆を頼む。オレが消火しておくから」
「それがいいね……そっちは任せたよ綾小路くん」
平田から水の入ったペットボトルを受け取りオレは火元へ向かう。すると愛歌と高円寺も消火を行っていた。
「ん? これはこれはマイブラザー。いいタイミングだ。それだけ水があればもう十分だろうね」
「高円寺……まさかお前が協力してくれるなんてな」
「意外でしょ? 火の前でいきなり『これは映えるねぇ』とか言い出してポージング始めたから、手伝わせたの」
「それには語弊があるマナカ。私はただ美しい君が1人で消火活動しているのを見るのが居た堪れなくなったのだよ」
「ふーん、自分の意思ってことね。まぁ手伝ってくれたのは事実だからありがとう」
「よしたまえ。私と君の関係を考えればこれぐらい当然さ」
「オレからも感謝する。ありがとうな高円寺」
「ふふ、感謝されるというのは気分がいいねぇ。ついでに助言を1つ。もうすぐ雨が降る。雨を凌げる場所へ移動するといい」
高円寺はそう言い残すと森の中へと去って行った。
あの様子だと試験終了の最後まで残ってくれそうだな。それよりも問題は……こっちか。
オレと愛歌は少し離れた場所でクラスの成り行きを見守る。男子と女子の怒鳴り声はここまで届いていた。
「わー、荒れてる」
「だな。止めないのか?」
「それは私の役目ではないのです」
「逃げたな」
「やだなぁ。適材適所ってやつだよ」
「現状おまえが1番適材な人物で適所な場面だろ」
「そうだけどさ。今後もクラスの皆からリーダーを求められるのは嫌なんだよね。清にぃとしては私をリーダーにした方が色々とやりやすいだろうけど」
「分かってるならそうしてくれ」
「それは他の人でもできるよ。私には私にしか出来ないことをする。二学期から忙しくなるしね」
他の人でもか。となると堀北しかいないな。平田と櫛田じゃ無理だ。致命的な弱み、他者に知られては困る秘密を抱えている生徒がリーダーではこの先戦えないだろう。
勿論抱えていてもいい。だがそれが理由でクラスが崩壊する恐れがある場合論外だ。櫛田は言わずもがな、平田のあの様子じゃ過去に交友関係で何かあったのだろう。そこで問題を起こした……それが平田洋介がDクラスへと振り分けられた理由。
「お、本当に降ってきたね」
空を見上げる。頬に一粒の雫が落ちる。高円寺の言う通り雨が降り始めた。
「堀北は伊吹を追ったのか?」
「うん。あっちに向かったよ」
「そうか。それじゃあ後の事は任せてもいいか?」
「わかったよ。ここはうちに任せて」
オレは愛歌に一切れの紙を渡した。紙切れには愛歌にやって欲しいことが書かれている。タイミングを見て平田への説明だ。
クラス皆の下に近づくといつの間にか伊吹が居なくなっていることに気がついたようだ。そして遂に本格的に雨が降り出した。
「やべ、雨だ。取り敢えず続きは後にしようぜ。平田指示をくれ! 平田? おい平田!」
「……んで……僕は……て」
小さく何かを呟いている。池の声が届いてないようだ。他の生徒も平田を強く呼ぶが反応がない。
平田が平常心ではないことは分かる。だがこのまま立ち尽くしていても仕方ないため、オレは平田の肩にそっと手を置いた。一瞬、びくっ、と震えオレの方へ振り返る。
「平田皆が呼んでるぞ」
「えっ……雨……っ! ごめん皆少し考えごとが……取り敢えず先に服を! 次に──」
「平田のやつ大丈夫か……?」
「須藤か。流石に色々ありすぎたからな。平田も大変だな」
「何事もねぇといいけどよ……少し心配だな。変なことにならねぇといいが」
どうやら須藤の話によると、中学の時に平田のような優等生が日々のストレスが積み重なり、ある日問題が起きたようだ。
須藤は今の平田からは似たようなものを感じるらしい。
「俺ちょっと平田の様子見ながら手伝ってくるわ。今のアイツを1人にするのは危ねぇ気がする」
「そうか。なら頼んだぞ須藤」
「おう! 俺の頑張りちゃんと伝えてくれよな!」
誰に? とは聞かなかった。堀北か愛歌しかいないだろう。それにしても須藤は本当にどんどん成長するな。
さてと……オレもある程度片付けが終わった事で2人が消えていった森の方を向く。堀北がちゃんと追いかけてくれて助かった。追いかけなくても問題はないが、追いかけてくれた方がやりやすい。
ここは愛歌に任せれば大丈夫だろう。2人を探しに森の中へと向かった。
愛歌から伊吹は武道を習っていると教えて貰っている。堀北も手強いが体調不良がピークに達しているであろう今、伊吹がやられることはないだろう。
足を止め身を低くする。視界に懐中電灯の光をとらえた。辺りを確認すると懐中電灯の光は2つ。合図を送り合うかのように点滅させると、その懐中電灯を持った2人が徐々に近づく。
それが誰なのか確認する必要はない。息を殺し気配が遠ざかるのをオレは待った。
周りに誰もいないことを確認し慎重に動く。2人がいた場所に近づくと意識を失っている堀北の姿があった。
(また泥だらけか。可哀想にな)
状況から察するにどうやら伊吹以外の何者かにも、ちゃんと現在堀北がリーダーであることは知ってもらえたようだ。
「あ……れ? どうして? ここにあ、あやの、っ、頭が、痛い」
「じっとしてろ堀北。相当熱が出ている」
「……いぶきさん……そう。やっぱ、り……キーカード盗んだの、伊吹さんだったわ」
「やっぱりそうか」
「私は……ダメね。クラスを負けに導いた」
「また次頑張ればいいだろ。キーカードをずっと隠すことは無理だ。どのクラスだって隙は出来る」
「違うわ……そのリスクは減らせたはずなの……私が誰かに頼っていれば、ね」
慰めても無駄か。事実堀北の言う通り信頼できる仲間が居れば交代でキーカードを隠せていた。少なくとも愛歌に頼ることはできたはずだ。それをしなかったことを後悔している。
「それと、龍園くんの声がしたような……おかしいわよね? 彼、リタイアしたはずなのに」
「夢にまで龍園が出るようになったか。悪夢だな」
「ふ……ほんと、最悪ね」
やはり龍園は残っていたか。伊吹が隠し持っていた無線機と、浜辺で見た龍園が持っていた無線機は同じだった。1人島に隠れて残っているとはな。中々出来ることじゃない。
「ごめんなさい……」
「謝るぐらいなら信頼できる友達を作れ。そうすれば謝らずに済んだだろ」
「無理よ。今の私じゃ相手にされないわ」
堀北のそんな自虐に、むしろ兆しのようなものをオレは感じた。今の私じゃ相手にされない、堀北は変わろうとしている。心境の変化があったようだ。
「本当だったのね」
「何がだ……?」
「綾小路くん、あなた笑えるのね。バカされたのは不愉快なのだけれど……珍しいものが見れたわ」
「言っただろオレも笑うって。それにバカになんてしてない。やっとお前も仲間が必要だと分かってくれたのかと思ってな」
「……」
返事はない。だがその無言が答えそのものだった。
心を許せとは言わない。だが信用できる仲間が必要だ。それは堀北にとって他クラスへの武器になる。
「綾小路くん」
「病人がもう喋るな。じっとしてろ」
「……私1人の力で、Aクラスに上がってみせる……この考えを私は捨てるわ」
驚きのあまりオレは足が止まった。本当に堀北に何があったんだ? 今までの堀北には誰かに頼るという選択肢はなかった。選ぶことがなかった。今までの堀北ならこの逆を選んだ筈だ……1人で戦うことを。
考えられるとしたらあの時、愛歌と堀北が2人っきりになった時に、愛歌が何かした……それしか考えられない。
「でもいきなりは無理だと思うの。今までそうやって生きてきたから」
「ああ、そうだな」
「だから綾小路くん非常に癪なのだけれど、あなたみたいな人に言うのは不本意なのだけれど」
「おまえさては元気だな? 弱ってるふりだな? いい加減喋るのやめろ」
「ふ……ふ。力を貸して」
「ああ。堀北がダメな時はオレと2人で、それでもダメな時は愛歌と3人で。オレたちが手を貸してやる」
「あ、なたが? 素直に? ……そう、また夢を見てるのね。あなたは、綾小路くんはそんなこと言わないもの」
「確かにな。でも今は、今だけは頼るといい」
「……ええ、少しだけ休ませて。そうしたら直ぐにこの失態を取り戻すから……ごめんなさい」
そう言い残し瞳を閉じた。
堀北は変わろうとしている。立派だ。本当にそう思う。きっと本心なのだろう。変わりたいと思ったことは。
──だからオレも今この瞬間だけ本心で語ろう。
オレはお前を仲間だと思ったことはない。クラスメイトとして心配したこともない。
この世は『勝つ』ことが全てだ。過程は関係ない。
どんな犠牲を払おうと構わない。
その犠牲がお前でも平田でも──愛歌だったとしても変わらない。全ての人間が道具にすぎない。
──最後にオレが『勝って』さえいればそれでいい。
だから謝るな堀北。この状況は全てオレによって作られたものだ。お前が熱で倒れることも、伊吹がキーカードを盗むことも、火事が起きたことも。
時刻午後7時を回りもうすぐ8時になる頃、オレは堀北を抱えながら目的の場所へと辿り着いた。目の前には教員のテントと船が停泊している。
「ん? とまれ! ここへの立ち入りは禁止だ。失格になるぞ」
桟橋にかけられたタラップを上り船のデッキへ辿り着くと、教員がこちらの存在に気づき駆け寄って来た。本当は自分でリタイアして欲しかったんだがな。
「彼女はリタイアでいいんだな?」
オレはそれに頷いた。
──そして翌朝、遂に『無人島』での特別試験が終了する。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
√堀北も匂わせていくスタイル。無人島編は次回でようやくおしまいです。
今後の流れとしては、無人島終了→後日談(ドラマCD編)→干支試験→夏休みでの出来事数話→プール→愛歌からの重大発表、の流れです…まだまだ先ですね汗早く愛歌のやりたいことを書きたいのですが、中々難しい汗
遅くなりましたが次回もよろしお願いします!