綾小路清隆の妹として、全力で支えます 作:ぐれーぷ
体育祭まで遂に残り1週間。
最後の仕上げとして士気を高めるために、そして今までの躍進を祝して、私たちDクラスはレジャースポットのキャンプエリアでBBQを行っていた。
平田くんが中央に立ちみんなの視線を集める。
「──それじゃあ、今までのDクラスの快進撃とこれからの躍進に──乾杯」
「「「乾杯!!」」」
みんな各々手に持ったグラスを掲げた。中には勢いよく上げて中身を溢す生徒もいる。
打ち上げを楽しみにしてた生徒も多かったし仕方ないよね。かくいう私も打ち上げを楽しみにしていた1人だ。
クラスのみんなと打ち上げ、それは間違いなく普通の高校生にとって青春の1ページに刻まれる思い出。清にぃには普通で当たり前のことを経験し、思い出に残して欲しい。
「おかえり平田。大役ご苦労だったな」
「ただいま綾小路くん。そんなことないよ。これぐらい誰でもできるさ」
「そうか? 愛歌や堀北、櫛田ならできそうだが……少なくともオレには無理だと思うが」
「きっとできるさ。何事も挑戦だよ。綾小路くん」
他の生徒たち同様に清にぃも平田くんと学生らしい会話を繰り広げていた。
いいね。眼福だよ。私はもうこれで満足していると言っても過言じゃないね。
佐枝先生含め、クラス41人が流石に同じ席で食べることは出来ない。なので8人組の5グループに分かれた。
私のいるグループは、清にぃ、平田くん、須藤くん、山内くん、鈴音ちゃん、愛里ちゃん、恵ちゃん、私の8人だ。
そして佐枝先生はみんなのグループを転々として楽しむ形に。中々いい感じだね。
「愛歌ちゃん。やるよ。俺が超大事に焼いた肉だぜ」
「あ、うん。ありがとう山内くん」
お皿にお肉が乗せられる。山内くんが須藤くんと話している隙に、隣に座っている清にぃの皿に乗せた。
「おい。食べろよ」
「え、普通にいやだけど?」
「……はぁ」
なんだかんだ言いながら妹に弱い清にぃが好きだよ? って心の中で言った。鈴音ちゃんが清にぃは人の心を(こっちの都合によく)読んでくれて、読ませてくれるって言ってたからきっと伝わってる。気のせいか、俺も好きだぜマイパーフェクトシスターって聞こえた気がする。いや聞こえた。それはもうはっきりと。
「何考えてるかは大体予想はつくが……妄想は程々にしとけよ」
「……まじ? 鈴音ちゃんの言ってた通りじゃん」
「私がどうかしたのかしら?」
騒いでいると向こうで平田くんと体育祭について打ち合わせしていた鈴音ちゃんがやって来た。
「いや、最後に決めた1200m走の話しをしていただけだ」
「男性陣からは、須藤くん・平田くん・三宅くんの3人。女性陣は、小野寺さん・千秋ちゃん・鈴音ちゃんの3人。皆頑張って欲しいねって。特に私はアンカーになった鈴音ちゃんの活躍が楽しみだなって」
「……あなたたちもやっぱり納得いかないかしら?」
1200m走の走順を決める時、本当はアンカーは足の速い須藤くんが務める予定だった。
だけど鈴音ちゃんが須藤くんにアンカーを譲ってくれとお願いした。最初の理由は須藤くんが最初に走って内側のリードを取り、優位に運び逃げ切ると言う
ただやはりクラスで1番足が速く競争に燃えるタイプの須藤くんが、アンカーとして走った方が勝率が高い。逃げ切る側でも、追う側でも、最後に走る須藤くんのモチベは高いだろうからね。
でもそんな周りの意見に首を縦に振らない鈴音ちゃん。そんな鈴音ちゃんを疑問に思った櫛田さんが詳しく話を伺うと、どうやら兄である堀北生徒会長がアンカーで走るだろうから、そこに合わせて自分もアンカーになりたかったみたいだ。
そこで清にぃの助け舟もあり、アンカーは鈴音ちゃんが務めることになった。
「リーダーのおまえがそう決めたらそれに従う。オレはクラスの決定に従うだけだ」
「清にぃと一緒かな。私は誰が何番目に走っても納得する。クラスのために走って貰うんだから、文句なんて言わないよ」
「……アンカーを務めるからには必ずいい結果を残すわ。私は1週間後の体育祭、1200m走で……兄さん……」
その続きは言わず、鈴音ちゃんは食べ物を口に含んだ。今、鈴音ちゃんの中で兄である、堀北生徒会長に対しての想いが変わろうとしている。こればっかりは私が口出しすることじゃない。鈴音ちゃんが自分で考え、悩み、答えを出さなければならいないこと。
清にぃもそれを望んでる。
「愛歌、ちょっといいか?」
「ん? どうしたの清にぃ」
辺りを見渡した後、清にぃは私の側に並ぶように立つ。
そして恵ちゃんに目配せをした。恵ちゃんは頷くと平田くんに数回言葉を交えたあと、違う席へと向かった。向かったのは櫛田さんがいる席。そこには佐枝先生の姿もあった。なるほど。このタイミングをずっと待ってたのね。
「……対策を聞きたいってこと?」
「話が早くて助かる。堀北がどうしてるのか、聞かせて貰えるか?」
何も聞いてないの? と質問したいけど、何も聞いてないから私に聞いてるんだよね。無駄な会話はやめておこう。
なので特に焦らすことも溜めることもなく、清にぃに鈴音ちゃんが何を考えているのか説明をした。
「何も。Cクラスに情報を流されて対策されてるよ。可哀想にね」
「そうか。助言してやらなかったのか?」
「うん。何もするなって言われたからね。静観してたよ」
「てっきり隠れて何かすると思ったんだがな」
「まさか。私は清にぃのことが最優先だよ。清にぃは私に内緒で恵ちゃんと一緒に、何かしてるみたいだけど?」
「ああ。時が来たら話す。気にしなくていいぞ」
何しようとしてるんだろう……なんか嫌な予感がするんだよね。清にぃが私に一切内容を話さないなんて。十中八九鈴音ちゃんのことだろうけど。それなら私に何も話さないのも納得が行く。今の私は鈴音ちゃんの味方だからね。
まぁ、ある意味遠回しに鈴音ちゃんのことで何かする……と教えてもらっているようなものだけど。
「しかし意外だな。無策で挑むとは思わなかった。最近の堀北を見てて助言しなくても、何か思いつく、対策をしなければ、となると思ったんだが」
「それは清にぃの言ったことも影響してるからだよ。鈴音ちゃんに最初相談された時、この体育祭の本質は筆記試験とあまり変わらない……って言ったんでしょ?」
「それはオレ以外に上級生も似たようなことを言ってただろ。この体育祭は特別試験ではないって。何でもかんでも教えてたら成長は見込めないぞ」
清にぃの視線の先に鈴音ちゃんがいる。また平田くんと何か相談しているようだった。
今の鈴音ちゃんは仲間意識を大事、歩み寄ろうとしている。それは今まで彼女がしてこなかったこと、不必要だと捨てたものだ。
人は慣れてないことを必死やろうとすれば手一杯になる。
つまり鈴音ちゃんは今、
きっと清にぃに助言を求めた時に、他クラスについて語っていれば、余裕はなくてもある程度は考えていただろうね。
「あ。そう言えば偵察の話、もっと詳しく聞いてもいい? ちょっと確認したいことがあるんだよね」
清にぃから鈴音ちゃんと櫛田さんを連れて、他クラスの偵察に行っていた話は聞かされていたが、引っかかることがあるので改めて話を聞きたいとお願いした。
「後で部屋で話す。ここで話すことでもないだろ」
「確かにそうだね。今はBBQを楽しみますか!」
「ああ。オレも楽しみにしていたからな。ある程度羽目を外して楽しむつもりだ」
「よし。じゃあ早速! 行こー! っと」
他のテーブルに遊びに行こうとしたら躓きそうになる。そんな私を清にぃが咄嗟に手を伸ばし支えてくれた。
「おい、気をつけろ」
「あはは。ごめんなさい。じゃあ改めて」
軽く足踏みしたあと、改めてみんなのところに行く。私は佐枝先生のいるところへ。
清にぃは船上試験で同じグループだった幸村くんのいるところへと向かった。
──あぁ、楽しいな。
土曜日。
クラスで誰がどの競技に出場するかを決める前に、オレは堀北と櫛田の3人で、他クラスの偵察をしに、朝から学校のグラウンドへとやって来た。
今オレたちは花壇の前にあるベンチに座っており、目の前ではサッカー部たちの練習している風景が広がっていた。
「──そろそろ本当の目的を教えてくれてもいいんじゃない? どういう風の吹き回しかな?」
そう呟く櫛田の表情は笑顔そのもの。しかし内心は違うだろう。
「どうもなにも、オレと櫛田は堀北に一緒に偵察に行こうと誘われた。それだけだぞ。な? 堀北」
「そうね」
「私は綾小路くんに誘われたけど」
「堀北にお願いされたんだ。ほら、2人ともなんか上手くいってないだろ? オレの方が誘いやすいからって。な? 堀北」
「……そうね」
「んー、私を誘った他クラスの生徒に詳しくて、接点が多いからだよね? でもそれなら綾小路さんでもよかったんじゃない?」
「愛歌は今色々と忙しいからな。大事な時期に兄が邪魔しちゃ悪いだろ」
「シスコンかな」「シスコンね」
「おまえら実は仲いいだろ」
さっきまでオレの質問に頷くだけだった堀北が、櫛田と一緒に呆れた目を向けてきた。
ここで自分の兄に構って貰えないからってそう嫉妬するな……なんて言おうものならまた暴力を見舞われるだろう。
「……うん。クラスメイトを疑うのはよくないよね! ごめんね2人とも。じゃあ早速だけど、サッカー部にいる他クラスの生徒たちを紹介するね」
どうやら……というよりやはり櫛田はオレと堀北が、自分のことを疑っていると気付いたようだな。
この偵察は表向きは他クラスの生徒の情報収集だが、本当の目的は前回の船上試験で櫛田が裏切った疑惑があるため、その真意を確かめることだ。
「お。久しぶりだな。櫛田桔梗ちゃんだっけか?」
「はい? あ! 南雲先輩! お久しぶりです!」
櫛田に声をかけたのは生徒会副会長である南雲雅だ。こうして対面するのは初めてだな。
「それに堀北先輩の妹の堀北鈴音と……愛歌の敬愛するお兄様も一緒か」
「初めまして南雲先輩。綾小路清隆です」
オレは軽く挨拶を済ませ、堀北もその場で会釈する。どうやら堀北は南雲と初めて話すみたいだ。
「やるなぁ綾小路。休日に美女2人を侍らせてデートか? 流石はアイツの兄だな」
「やめてください。妹が優秀すぎて、肩身の狭い兄の気持ちも考えてくださいよ」
「はは。悪い悪い。普通に羨ましくてな。これから部活だなんて……面倒くせぇ」
「おい、南雲! 聞こえてるぞ! 遅刻してるんだから早く来い!!」
サッカー部の顧問と見られる教師に、南雲が呼ばれる。すると南雲は少し焦った表情を浮かべ、急いで参加する準備を始めた。
「やべ。それじゃあ3人ともごゆっくり。
そう言い残し、練習へと参加しにグラウンドに入っていく。今は2チームに分かれて試合を行なっており、我らがエース平田の敵のチームに南雲は加わった。
平田のチームには他にも1年Bクラスの柴田もいた。柴田もサッカー部なだけあって足が速いな。体育祭の最後に行われる、全学年クラス対抗戦の1200m走の候補の1人だろう。
「それにしても相変わらず顔が広いな櫛田。まさか副会長とも知り合いだなんて」
「前に生徒会へ相談しに行ったことがあるんだけど、その時にね」
「そうだったのか。2年Aクラスのリーダーを務め、次期生徒会長であり、現生徒会長とも並ぶと言われている実力者らしいな」
「夏休みの時に一之瀬さんがそんなことを言ってたわね。現生徒会長と同格……ならその実力のほど、見せて貰おうかしら」
堀北といい愛歌といい、2人ともどうしてそんなに自分の兄で張り合うんだ? 最強じゃないと納得しないのか?
だがオレも南雲には興味がある。本来の目的……とは言い難いが、偵察に来ているため観察させて貰おう。もっとも、今回の体育祭では同じ紅組だが。
さて。その気になる南雲の実力だが、噂に負けない高い身体能力を持っていた。
「ちょ、平田すまん! 頼む!」
同じ一年生の生徒があっさりと南雲に抜かれ、平田がフォローに入るがその平田さえもあっさりと抜かれてしまう。
そしてそのままゴール前にまで駆け抜けゴール。瞬く間に一点を取った。
「わぁ、すごいね南雲先輩。流石は現生徒会長と並ぶ存在って言われるだけあるね」
「身体能力が高いことは、夏休みの時にプールで見かけた時から知っていたわ。身体能力が高いだけじゃ、今の生徒会長に勝てるとは思えないわね」
どんだけ負けず嫌いなんだこいつ。堀北兄も苦労するな。こんな妹の無茶振りの期待に応えているんだから。
「櫛田、堀北。この際だから教えてくれ。おまえたち2人の仲が悪い原因は、どっちにあるんだ?」
「……」
「うわ。それを今聞いちゃう?」
「そうか? 周りに誰も居ない、今だからこそだと思ったんだがな。そう何度も聞かれるのも嫌だろ? もし教えてくれたならこれ以上は何も質問しない」
櫛田は困った表情を浮かべたが、これ以上オレは何も質問しないことを櫛田と約束し、特別に教えてもらった。
ただその返事にオレは少なからず困惑する。
──私だよ。
堀北と櫛田の仲が悪い理由の原因は櫛田にあった。
色々考えてみたが、答えは出ないので一旦頭の片隅に置いとく。今度時間ある時に愛歌と考えることにしよう。
女性同士ならそういうこともあり得る、そうなったらオレにはお手上げだ。
「やぁ! 3人ともおはよう。珍しい組み合わせだね?」
オレたちにそう声をかけたのは平田だ。
どうやら休憩時間のようで挨拶しにきてくれた。
向こうで南雲がこっちを見ていたので、きっと平田にクラスメイトが来ていると教えたのだろう。そして平田ともう1人、1年Bクラスの柴田
「おはよう平田くん! 今日は綾小路くんたちに誘われて朝早くから偵察に来てるの」
「お? じゃあこの快速柴田のことちゃんとマークしてくれよな」
その場で足踏みを自身の足の速さをアピールする柴田。隠すつもりはないんだな。流石はBクラスと言ったところか。
「柴田くんは僕よりも足が速いからね。体育祭では当たりたくないよ」
「またまた〜。平田も十分速いだろ? それに一之瀬からおまえも相当できる、って聞いてるぜ? 綾小路」
柴田の返答にオレは思いだす。
前に佐倉を助けに行く時に、一之瀬に走るところを見られたな。別に本気で走った訳ではないが、走るフォームや走った後の息切れしてない姿を見て、オレが足の速い生徒として認識しているのだろう。
「こう見えても帰宅部のエースを6年続けているからな。いかに早く帰れるか日々研鑽している」
「あはは! 綾小路面白いな! さてそろそろ休憩も終わるし戻るわ。また話そうぜ」
愛歌から教えて貰った返しだったが、笑ってもらえて何よりだ。オレも自分の返答で相手が楽しんでもらえて嬉しい。
「平田そろそろ戻ろうぜ」
「そうだね柴田くん。3人ともまたね」
「うん。平田くんも柴田くんも部活、頑張ってね!」
「頑張れよー」
オレと櫛田の応援を背に、2人はチームの下へと帰って行った。
「さてっと……別の部活動の偵察に行こっか?」
櫛田の提案にオレと堀北は頷く。
もうこれ以上、サッカー部を見る必要もないだろう。
身体能力や運動神経の高さを確認するなら、次は須藤のいるバスケ部とかだろうか。そんなことを考えていると、長らく口を閉ざしていた堀北が言葉を発した。
「櫛田さんちょっといいかしら」
堀北が立ち止まり、櫛田を見据える。
「うん? どうしたの? 堀北さん」
「この際だから単刀直入に聞くけれど……船上試験の時、他クラスに『優待者』の情報を流したのはあなた自身よね?」
流石は堀北。回りくどいことはせず、ど真ん中直球勝負。メジャー選手ばりのストレートを放ってきた。
「もう過ぎたことだし、今更掘り返すつもりもないから別に答える必要はないわ。私はそう確信しているのだから」
「や、やだなぁ。今日の堀北さん少し怖いよ?」
「……それを知った上で答えて。私は今後、あなたをクラスの仲間として信じていいのかしら?」
「……うん。勿論だよ。私はDクラスみんなの仲間だよ。みんなで一緒にAクラスを目指す。だから私のこと信じて?」
堀北は1度目を瞑り頷くと、再び歩き出した。
オレの目的は達成した。これ以上、2人と一緒に行動する意味はないな。
「それじゃあオレは先に帰るぞ」
「は? ちょっと綾小路くん!」
「え!? 綾小路くん帰っちゃうの?」
「元々堀北に誘われた身だ。堀北と櫛田の人脈の広さがあれば、オレが居なくても2人だけでやれるだろ? またな」
2人の返事を聞かずにオレは後のことは任せ、帰ることにした。
「──もう。清にぃ、それまた鈴音ちゃんに嫌がらせされるよ?」
BBQが終わった後、帰ってきた私は、偵察の時の話を聞くため清にぃの部屋に来ていた。
「今の堀北なら特に気にしないだろ。それにアドバイスを求めたのはアイツ自身だしな……こんなものか? 描き終わったぞ」
「それじゃあ目開けるね」
清にぃが色鉛筆を置き、私にスケッチブックを渡してくれる。
そこには机に座って両腕を枕に眠る、私の姿が描かれていた。
「うんうん。いい出来栄え。流石は清にぃだね」
「これぐらいならおまえも描けるだろ」
「描けないよ。私が何か描こうとしたら感情が入っちゃうもの」
清にぃの絵は良くも悪くも見たものをそのまま描き写す。そこに清にぃの喜怒哀楽と言った感情は乗らない。綺麗に見せようとも、汚く見せようともしない。ただそこにあるものを描く。
これほどの画力を持ちつつ、一切自身の感情を込めずに描くのは至難だ。流石はホワイトルーム最高傑作の清にぃだね。
「飽きないのか?」
「ん〜? 何が?」
「それでもう7枚目だろ。自分を描いてもらう事に飽きないのか?」
そりゃか最愛の人に描いて貰った絵画だからね。飽きるはずがない。
清にぃは入学早々にスケッチブックと、色鉛筆を買っていた。しかしずっと何も描かず、机の引き出しに仕舞われていたので、折角ならと私の絵を描いて貰っていたのだ。
「私も何か描こうかな」
「オレ以外を描けよ」
「清にぃのこと描こうと思ったのに残念。因みになんで?」
「なんとなくだ」
なら仕方ないか。
今日も1日が終わる。体育祭は間近。
鈴音ちゃんには申し訳ないけど、私は今回、力にはなれない。でもそれは鈴音ちゃんのために、そしてクラスのために必要なことだから。
そして何よりも──
「愛歌、じっと見つめてどうした? オレに何か言いたいことでもあるのか?」
「私、清にぃのことが好き。清にぃのためならなんでもするよ」
「そうか。オレもおまえが必要だ。期待してるぞ」
「うん! 任せて」
──清にぃがそれを望んでいる。
だから鈴音ちゃん、清にぃの期待に応えてね?
最後まで読んでくださりありがとうございました。
更新が遅れてごめんなさい。明日最新巻発売ですね。楽しみ。
誤字脱字のオンパレードですが、またお世話になります
追記
前回とだいぶ期間が空いたため、前回の偵察の話を深掘りする形になっています