また君と、今度はずっと 〜If you can Cross to tomorrow〜 作:Simca Ⅴ
私生活の方でまだバタバタすることはあるかもしれませんが、その際はまた活動報告にてお知らせいたします。
今回は単発かもう一話投稿できるかどうかというぐらいでまた申し訳ないのですが……。
栗東トレセンからおはよう、こんにちは、こんばんわ。
クロススキッパーです。
臼井厩舎に入厩して早くも2週間が経ちました。
『はぁ……はぁ……はぁ……』
『頑張って。もう少し』
ここ2週間は身体の基礎作りと、
あとは、
今週の末には天皇賞・秋が控えているはずのアグネスデジタル先輩が芝コースでの併せ馬に付き合ってくれている。
けれども、片や
しかも、僕と同年代の馬たちはまだ入厩すらしていないパターンが多く、少なくとも、臼井厩舎には(今のところ)同世代がいない。
ベテランと素人の差は歴然であり、先輩は僕に合わせて走ってくれるけど、正直言って今はまだまだ800mですらキツい。
これでも牧場ではかなり走り回っていたはずなのに、やっぱり人を乗せて走るのとそうでないのとでは全く違ってくるかぁ……。
『はぁ……はぁ……はぁ……せ、先輩、ありがとうございました……!』
『良いよ。いつでも付き合うからね』
芝800mを走っただけで僕はバテバテ、デジタル先輩にとっては準備運動ぐらいにしかなって無さそうだ。
ゴールを超えて僕の背中からは調教助手さんが降り、デジタル先輩にはまだ騎手の四井さんが乗ったままだった。
「さて、デジタルは一旦休んだら、次は芝2000mを走ろうか。一回流してみるぞ」
「
「クロススキッパーは……もうしばらく休んだら馬房に戻るか」
「
「そんな「ガガーンッ」って顔してもダメだぞ」
「
「おーっととと、引っ張るな引っ張るなって」
「
調教助手の人が持っていた縄を引っ張って、僕は「まだまだ走りたい」とアピールする。
今日このまま終わるなんてのは勿体無い。僕のデビューまで時間がないはずなのに。
「一通りコースを走ってもらったけど、まだまだ体力が足りないな……」
「
『
ちょ、やめてよ、前世で死んだ時、海に突っ込んでたのに!?
……うわぁ……僕、もう、競走馬になるのやめようかな……。
「なんだ? いきなりションボリしちまった?」
「
「何だって、ディミトリ?」
「……あぁ、
「あぁ、なるほど……」
「でも、この馬、来る時青函航路を使ってましたからね」
「……つまり、それで
調教助手やディミトリさんにそう促されて、僕は渋々ながらプールトレーニングに向かった。ドナドナドーナ……。あぁ、まるで、あの歌に出てくる子牛のように手綱を引かれて……。
さらに1週間後。
『たーのーしー!!』
「わわわっ、今日も元気だなスキッパー!」
「
プールトレーニング、やり始めてみたら楽しくて楽しくて仕方ない!
たまに、芦毛の先輩がプールを嫌がって大騒ぎしてる姿を見るけど、それなら僕がお先にー。
自分が前世で死んだ時のことをなまじ覚えていただけに、水の中に入るのが凄く不安だったけど、泳いでみたらそんなことはなく、むしろ泳ぐのがとても楽しい。
あと、厩務員さんや調教助手の人たちが「青函航路」がどうとか言ってたけど、実はあまり海の上のことは覚えていない。というか、渡った時間帯的に朝早かったし、移動中の馬運車に揺られて心地よく眠っていたせいか、さっきまで北海道にいたはずが、次に起きたら青森の陸道を走ってたぐらいしか覚えていない。
多分、プールで難なく泳げているのは、そのお陰なのかもしれない。知らんけど。
ということで僕の1日の調教メニューはある程度固まってきた。
まず、朝は目覚ましの代わりにプールトレーニングして、終わったら軽く朝食を食べて、それからはひたすらにコースを走った。ダート、芝、ポリトラックにウッドチップ……コースの空き具合によって日替わりだったのが逆に飽きが来なかった。
……っと、芝コースを走っていた時にこんなことがあった。
『初めまして?』
『あ、あぁ、……どうも?』
たまたま芝コースを使う日に来てみたら、例の「プールヤダヤダ」とのたうち回っていた芦毛の先輩がいた。
『えっと、君、どこか見覚えがあるんだけど……』
『あ。わかります? 僕、よくプールにいるんで』
『……あ、じゃあ、アレも見られてた?』
『あ、はい』
『うわぁ、恥ずかしい……』
一応羞恥心はあったのか……(遠い目)
『僕、クロススキッパーっていいます』
『あ、じゃあ。私はヒシミラクル』
ヒシミラクル……どこかで聞いた名前だなぁ。
待てよ、確か……。
『えっと……新馬戦から確か6連敗している、未来のG1三勝馬?』
……あ、ヤベッ。まだこの
なんて思っていたら、
『はははは……いやぁ、お恥ずかしい……G1三勝馬だなんて、私なんてまだまだ遠いよ。でも、私の戦績なんてよく分かったね?』
『えっと……まぁ、そうですね』
プールトレーニングしてる時に、多分、ヒシミラクルさんの厩舎の人だと思うけど、その人とディミトリさんたちが話しているのをたまたま小耳に挟んでた。
曰く、「1200mじゃ短すぎる」けど、「適正距離が1800mか2000mか、わからん」とか言ってた。
実際、未勝利戦で2000mを走って初めて掲示板に載れて、1800mをさらに一本走ったら、こちらは2着で惜しかったんだとか。
『はぁー……私、競走馬として才能ないかも……』
『いやいや、そんなことないですよ先輩』
……ただ、僕は単に未来知識を持っているからこう言えるのであって、今の先輩にとっては慰めにならないかもしれない。
……そういえば、ヒシミラクル先輩の次走といえば……。
『……マイルで、芝1800mで……』
『スキッパーくん?』
ちょっとでいい、思い出せ。
ヒシミラクル先輩は、
『……前足の骨膜炎?』
『?』
いや、今、芝コースに出てきているってことは、それはまだ起きていない。
それに今日はいつだ?
明日から11月。今日は水曜日。次の土曜か日曜にまたヒシミラクル先輩の未勝利戦があったはず……。
……あれ? そういえば……。
『……そういえば、ヒシミラクル先輩。次の未勝利戦はいつどこで、ですか?』
『は? え、えぇっと……また京都で、次の日曜日とか聞いてたけど……?』
京都……ラジオ……天気予報!
『先輩! 3日は雨が降ります!』
『え? 何を突然に?』
『いいから。僕のことを信じて欲しいです。3日の日、つまり土曜日が雨。しかも、今の季節は夏のようなかんかん照りではない。ということは次の日に先輩が走る京都のコースは湿ってるはず』
『えっと……まぁ、そうだよ……ね?』
『だから、先輩。4日の日は足元が悪いはずです。そこに気をつければ勝てるかもしれません』
『……わかった。アドバイスありがとう』
といっても、先輩が果たして勝てるかどうかはわからない。
僕が思い出せた成績は、精々、次の7戦目の結果がマイル戦で3着だったことぐらい。
しかも、その後の5ヶ月間は骨膜炎で療養中だったはず。
このアドバイスが、果たしてどこまで役に立つかは分からない。
でも、何もしないよりは良いかと思う。
……ちょっとお節介だったかもしれない、と反省したのは、ヒシミラクル先輩が日曜の朝早くに京都へ移動した後だったけど、
【ヒシミラクル! 外からヒシミラクルだ! 来た来た来た! そのまま差し切ってゴール! ヒシミラクルやりました! 新馬戦から数えて苦節7戦目にして初勝利、ラッキーセブンは本当にあった!】
馬房に戻ってレースをラジオで聞いていたら、その成果を目の当たりにした。
うーん……ホントに歴史を変えちゃったなぁ。
……まぁ、良いや。これで良いのだ!*1
ルーマニア人のディミトリのセリフ、全部ルーマニア語だと作中でのコミュニケーションに問題が出てくると考えたので、今回からこのようにしました。
ウマ娘クロススキッパーの秘密②
実は、海外で気象予報士の資格を持っている。
今作に望むものは?
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コメディ!
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シリアス……!
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スポ根!
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哀愁……
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ハッピーエンド!
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曇らせ、鬱展開……
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その他(コメント欄か活動報告へ)