また君と、今度はずっと 〜If you can Cross to tomorrow〜 作:Simca Ⅴ
※バグったので差し替え。
ハグロ家。
メジロ家の分家であり、シンボリ家の遠縁に当たる新興財閥でもある。
そのハグロ家の基盤となっている羽黒グループの事業範囲は多岐に渡る。
例えば、羽黒グループは映画の配給会社も勤めており、小規模ながら芸能プロダウションも抱えているが、元々はツアーバスや観光事業を手掛けていた会社であり、アミューズメント施設や旅館事業の運営にも携わっている。最近はその縁もあってか、ウマ娘レースの事業にも参入し始めてる。特に中央の利権が及んでいない地方での活動や、もしくは海外でもウマ娘レースがメジャーではない国での経験を積み重ねていた。
しかし、ハグロ家の本元は、「黒松」という、元は
その黒松という人物は江戸時代末期に近代ウマ娘競技の文化が持ち込まれてから明治初期までを生き、「浅井家」のウマ娘を娶ったとされているが、その後の「黒松」の苗字は戦後まで歴史の表舞台から暫く姿を消している。
黒松の名が戦後の世の中で初めて登場するのは、やはり当時の九州ウマ娘協会の幹部委員として名を連ねた時であり、その後の黒松家は、北は福岡、南は鹿児島まで、一族が九州の大部分で影響力を持つ地元の名手や政治家として頻繁に九州の歴史書には登場するようになった。
そして、数代前の当主がメジロ家のウマ娘と婚姻したことから、この一家が後に「ハグロ」と呼ばれるようになった。
そのような環境故か、ハグロ家と黒松家は地方自治体と縁の深い財閥でもあり、地方再生プロジェクトに積極的な財閥の一つでもある。
特に、九州は黒松家によるテコ入れがそこそこ入っている。国鉄大隅線をJRに引き継がせるための交渉に関わっただけでなく、そのJR大隅線の鹿児島中央への延長に資金を供給したり、先ほどまでチーム[ライジェル]が乗ってきた路線バスも、元々は黒松家が創設した会社だったりする。
「実家の事業の関係で、僕の父上……つまり、養父は北海道から九州に引っ越すことになって。それで鹿屋のプロジェクトに関わっていたんです」
「……なるほど。それでこの近辺に住んでいたのか」
「あ、はい……」
この旅館の客室は多くても6人用なので、チーム[ライジェル]の10人と、チーム[セントーリ]の5人、さらにサムとエナも加えた合計で17人は、旅館の宴会場を借りて集まっていた。
それに加えて、サムはマヤノやヘリオスと部屋を駆け回っていた。
エアコンが効いているせいか、テンションが異様に高いヘリオスは、まるで親戚の子を相手にするかのような感覚でサムとの追いかけっこに興じてるようだったが、クーラーが無ければ茹だってしまうような環境だった。
「なるほどな……トレセン学園に入ったばっかりにしては、やけにゲートに慣れてて要領が良すぎると思ったんだよ。ここで練習を重ねていたなら納得だ」
「とはいえ、本当に付け焼き刃でした。小学5年〜6年の間だけしかここを走ったことがなくて、その後の1年間は関東に引っ越してトレセン学園への入学試験の準備を……」
「……ん?」
「……あれ?」
メジロパーマーとアイルトンシンボリは今の話に違和感を抱いた。
「小学校5、6年生の時に
クロススキッパーの話が聞き間違いでなければ……。
「あの……僕はその……」
「わかった、わかった。みなまで言わなくていい」
話を聞いていた矢萩は、これ以上は詮索しない方がいいと思った。
例えば、「何故、そのような苦労をしてまで中央トレセン学園に来たがったのか?」とか、「その1年間が本当に中央トレセン学園への入学準備だけに使われたのか?」などの疑問は浮かんだが、誰にだって、言いたくないことの1つや2つある。なので深追いはしなかった。
……尤も、クロススキッパー本人は吹っ切れているのだが、それを知るのはまた別の話である。
「……その後、私のお父様が黒松家の現宗主様との縁で、鹿児島旅行の際はこの旅館をよくご利用されるようになりまして」
スキッパーの言葉を引き継ぎ、ルビーは自分の実家とこの旅館との関わりに言及した。
そして、自分たちの背面で駆け回ってるマヤノたちを鬱陶しく感じ、駆け回ってるヘリオスの私服のズボンをスッと後ろ手に一掴みして、あっという間にすっ転ばせた。
「ぴゃぁっ!?」
「煩いですよ」
容赦ない塩対応がヘリオスを襲った。
顔を畳の上にぶつけて「いててて」と少々涙目のヘリオスは立ち上がりながら、
「うー……お嬢が塩ぃ……」
「いや、今のはヘリオスとマヤノが悪いと思うよ?」
「オレもそう思う」
「ぴえん……」
「むー……だって、ルビーたちが難しい話するんだもん、政治家だの、浅井家だの、浪人だの……」
「浪人? 浪人って?」
「ストーップ。聞いてないならそのまま記憶の彼方に
「あ、え、えーとその……?」
「トレーナー、それを言うなら「忘却の彼方に」でしょ?」
スキッパー本人からすれば別に今更バラされて困るもんでもない話だったのだが、言い間違いをパーマーに突っ込まれた矢萩の「お口にチャック」宣言で、彼女の空白の1年間については厳重に封印されることになってしまった。
「スキッパーあねじょ、メイクデビューってなーに?」
「え、あ、メイクデビューっていうのはね……」
先ほどまで走り回っていたサムが今度はスキッパーの元にやってきて、そんな質問を投げかけてきた。
「簡単に言うとね、トゥインクルシリーズ……ううん、ウマ娘のレースで自分を初めてみんなにアピールする試合のことだよ?」
「あぴーる?」
「メイクデビューを勝てないと未勝利戦を勝たないといけないし……」
「あ! エナ知ってる。1着になったウマ娘さんがウイニングライブの真ん中?で踊ることができるんだっけ?」
「そう! その一度でも真ん中で踊れないと、その後の大きなレースに出れないんだ」
「えー? 厳しいねー」
「ねー。デビューするのはみんな同じはずなのにー」
競技者やトレーナーの立場としては中々に耳の痛い話だ。
ウマ娘レースというのも、結局のところ、ウイニングライブのセンターを奪い合う熾烈な競争、という表現に行き着く。
そして、それは同時に「弱肉強食」でもある。
先ほどクロススキッパーが言った「未勝利戦」。そこから勝ち上がれないウマ娘たちというのは、中央トレセン学園から地方トレセン学園へ転校、あるいはレースそのものから引退するなどして学園を去っていく。つまり、敗者は淘汰されるのだ。
しかし、目の前の幼いウマ娘2人の目は純粋で澄んでいる。
果たしてその厳しい現実を今教えるのは得策とは思えなかった。
代わりにヘリオスが仁王立ちして、スキッパーにビシッと指差してこう言った。
「……じゃあ、スキっぴー。何がなんでも、メイクデビュー勝たないとね!」
「え?」
「だって、サムちゃんとエナちゃんも見るでしょ? そのレース」
「うん! ヘリオスお姉ちゃん!」
「アスカお姉ちゃん頑張って!」
「!!」
この時。ヘリオスに激震が走った。
だが
「……ほぅら、2人だって応援してくれてるじゃん。ウチらもその日に備えて色々教えてきたっしょ? スキっぴーなら絶対勝てるってウチら信じてるもん!」
「そうそう! だけど……そのためにもね?」
そう言ってパーマーは、ミディペットボトルのスポーツドリンクを飲み干してしまったマヤノに目線を向けた。
そのパーマーからの視線に気付いてマヤノはキョトンとするが、すぐに、「あ、そっか」と思い出した。
「そうだよね、うん。スキッパーちゃん。まずはマヤが勝つところを見ててね!」
「え!? マヤノちゃんもレースに出るの!?」
「うん! 小倉記念の前の日! マヤがメイクデビューを勝って、ヘリちゃんパマちゃんにバトンタッチして繋げちゃうよー! その次の週がスキッパーちゃんのメイクデビューだったはず! 合ってるよね?」
この「合ってるよね?」という問い掛けは二重の意味を含んでいた。
即ち、一つはレースに出走する順番について。
もう一つは、今、ヘリオスとパーマーがクロススキッパーに言わんとしたこと。
答えは、どちらも正解だ。
ヘリオスとパーマーはお互いに肩を組みながら宣言した。
「その通り! 小倉記念は私たちがぶっちぎって勝ーつ!!」
「ウチらでスキっぴーの門出……船出?を盛大にお膳立てしてやっちゃおうよ!」
「おー!!」
そう熱くなる3人、だったが。
「御三方」
ダイイチルビーは敢えてマヤノ、ヘリオス、パーマーらの輪に割って入って、こう言った。
「熱くなるのは理解できます。あなた方の後輩愛やメイクデビューのためにエールを送っていることも。でも、1つお忘れでなくて?」
そう言われて、ヘリオス、マヤノ、パーマーの3人は「何のことやら」と首を傾げた。
その様子にルビーは「はぁ〜……」と溜め息を吐きながら、こう言った。
「……その次に控えている小倉日経オープンと北九州記念。勝つのは私たちです」
そうしてケイエスミラクルとダイイチルビーの眼差しがチーム[ライジェル]の面々に向けられた。……のだが。
「……あ」
「そうだったね」
マヤノとパーマーの口から出てきたのはそんなあっさりしたというか、間の抜けた言葉だった。
「へ?」
「いやぁ、その、すっかり馴染んでたから、ウチらとお嬢たちが違うチームだってこと忘れてた」
……何とも空気の白ける答えである。
真剣に宣戦布告をしたつもりだったルビーだったが、途端に恥ずかしくなって顔を赤くしそうになる。
だが。
「でも別に、同じチームだろうと、違うチームだろうと関係ないから。ウチ、パマちんにも勝つつもりで小倉記念走るから」
「おー。言ったなー?」
「とーぜん」
「「ウェーイッ⭐︎」」
親愛な2人の間に燃え上がる炎と、散る火花。
親友だからこそ、一緒に走りたい。いつもいつだって真剣勝負。
そんな2人の姿を見ていて、ミラクルは微笑む。
恥ずかしくて顔を赤くしかけたルビーも平静を取り戻し、そして微笑んだ。
「あー、今お嬢笑った?」
「わ、笑ってませんから……」
「え、今絶対に……」
「しつこいです」
「あだっ」
ヘリオスからの追撃に耐えかねて彼女の額に軽くデコピンを入れるルビー。
そんな彼女たちのやり取りに、1人泣きそうになってる人物がいた。
その人物はみんなから見えない位置に顔を逸らした。
だが、勘の良いサブトレーナーと、ライバルチームの後輩トレーナーは気付くもので。
「どうしました?」
「いやぁ、妹たちがいつの間にか大きくなってたなぁ、って思うと俺、つい……」
「誰が誰の妹ですか。ヘリオスさんとパーマーさんはともかく、ルビーとケイくんとマヤちゃんはうちのチームの娘ですからね?」
そう小声で話すトレーナー陣。
射手園は近くに転がっていたティッシュボックスを矢萩に手渡し、
「ほら、大の大人がみっともない」
「これでチーンしてください」
「す、スマンな……」
「「うっわぁ」」
「兄貴、バッチぃ……」
「さすがに私でも引くわー……」
爆逃げコンビに青い顔されて引かれる担当トレーナー兼実兄。
「スマンて……」
そう謝りつつ、部屋のテーブルにあるものを置く矢萩トレーナー。
「これは?」
「小倉記念の出走表だ」
「あ。ネイチャの名前がある!」
「ウイニングチケットの名前もありますね……」
「そうだ。ネイチャはともかく、ウイニングチケットは急遽参戦を決めたらしい」
「何故に?」
「そうですよね。次走は菊花賞だったはず」
「それが、どうやら天皇賞・秋に出るみたいでな……」
「じゃぁ、小倉記念で予行演習的な?」
「マジかー。クラシック期で今脂がノリに乗ってるのがここに出てくるかー」
「おーい。そう言うくせに勝つつもりだろ?」
「「……」」
「まぁね」
「とーぜんじゃん、兄貴」
「よし、よく言った。というわけでな、チケゾーとネイチャ対策と。……それと、スキッパーの後学のため」
「僕の?」
「そうだ。小倉記念を見てしっかり学ぶんだ。同時に、その日に、これまでの特訓の成果を披露しよう」
「……はい!」
矢萩の言わんとすることを瞬時にクロススキッパーは理解した。
今回のレース、
そして、この半年間。
自分が目標としてきたレースを走るために日夜没頭して重ねてきたトレーニング。
その成果を白日の元に示すメイクデビュー。
その前に、その集大成を披露し、示さなければならない。
即ち、メイクデビューを勝利し、数多のレースを超えて、皐月賞を勝つためにこれまで積み重ねてきたものを模擬レースという形で、しかも───。
───数週間後、小倉記念当日。
観客席には昨日のメイクデビュー*3を勝利したマヤノと、ヘリオス、パーマーらの引率の代わりとしてレースを見守る射手園の姿があった。
『前日の曇り空が一転してカラッと晴れ渡る小倉レース場からお送りいたします! 今日の目玉は小倉、夏の重賞第二弾、G3小倉記念! 実況の古賀です』
『うまぴょい伝説の歌詞通りに天気は快晴、バ場状態は良の発表です。解説の井上です』
『井上さん、今日の注目株はズバリ?』
『そうですね、ナイスネイチャが自分は1番気になりますね』
『おぉ。クラシック期にここを走った時は休養明けで小倉のOPレースを2勝、その後の小倉記念では見事な差し脚を発揮して1着をもぎ取って行きましたからね』
『えぇ。そのナイスネイチャも今年で現役4年目。今年の春の大一番であるG1大阪杯では善戦を見せてくれました*4し、天皇賞・春では4着と健闘。今年は小倉開催のOP宮崎記念*5では2着に1バ身差を付けて勝利。続くG2小倉ウマ娘ステークス*6*7では芝1900m*8という距離で5バ身差の圧勝。ここでクラシック期の再現、2番人気ナイスネイチャ、再び勝利なるか!?』
「あははは……ちょっと、恥ずかしい……」
当のナイスネイチャはパドックにて「3」のゼッケンを付けた体操着姿でお披露目中だった。その最中に耳に入ってきた実況と解説の放送を恥ずかしそうに聴いて照れていた。
『4番人気に上がってきたのは6番メジロパーマー。井上さん、如何でしょうか?』
『パリピムーブを絶賛披露中の彼女ですが、持ち前の芯の強さと落ち着きはそのムーブの下からもオーラになって漂っているように見えます。ただ、4番人気に留まってしまっているのはここ最近勝利から遠退いてるせいもあるかもしれませんね。前走の
「うー、痛いとこ突いてくるなぁー……」
そう言葉を漏らすメジロパーマー。
油断していたわけではない。しかし、最後の最後で二の足が伸びてきたライスシャワーに差し切られて敗北した悔しさが蘇り、苦笑いを浮かべる。
『その一方、同じチーム[ライジェル]所属の7番ダイタクヘリオス、今日は3番人気です』
『うーん、いつもと同じく落ち着きがない感じですね。とはいえ、3番人気まで上がってきたのは、前走のG1
「いやー、照れるなぁー」
そう言いつつ、右頬にピースサインを掲げるダイタクヘリオス。
『そして、今日の一番人気はこの娘。
「イェーイ!!」
『今日も元気いっぱいです! 前走は皆さんご存知のG1日本ダービー! 皐月賞バ、ナリタタイシンと、ステイヤーのビワハヤヒデを交わし、3年前のダービーでアイネスフウジンが刻んだレコードに次ぐ歴代二位のタイムで堂々の一着! なお、次走を菊花賞から秋の天皇賞に切り替えたとのことで、急遽この小倉に来てくれました!』
『そのウイニングチケット、今日は10番のゼッケンをつけての登場。ダービーと同じバ番です。果たしてダービーと同じ差し足を発揮してくれるのか期待したいところ。続いて11番───』
【───G3小倉記念、発走の時刻まで今暫くお待ちください】
同じ頃。
鹿屋ウマ娘軽運動場。
ここはかつて地方レースの舞台となっていた鹿屋レース場の施設をほぼそのまま流用し、鹿児島県が管理しているウマ娘専用の運動場の一種。
その際に黒松家とハグロ家が発起人となり、ダイイチ家などからの出資もあって、機材のほとんどを一新。
正面スタンド前の巨大モニターも去年据え付けられたばかり。
いくら中継映像とはいえ、生放送な上に、この運動場全体で聴こえるよう、あるいはしっかりと見えるよう、大音量・大画面の迫力ある映像が提供される。
この運動場のウマ娘用レーンの向こう正面の直線芝コース上では赤いジャージを着たウマ娘たちが一塊となってランニング中であった。
その集団の先頭を走っているのは、栃栗毛の髪で、胸の上部分に青い柄が入った紺色のジャージを着ているウマ娘。
胸の部分に「さいたまトレセン学園」という白い刺繍が入っている。
なお、その集団のかなり後ろ側に、尾花栗毛の金色に輝くような栗毛のウマ娘と、彼女たちよりも明らかに幼いウマ娘が緑色のジャージを着て追走していた。
その様子をスタンドから双眼鏡で眺めているのは、照りつける太陽ですっかり日焼けしたアラサー手前の男が1人。
「中央トレセーン!」
先頭を走るウマ娘がそう掛け声を腹の底から出すと、
「ファイッ、オー! ファイッ、オー!」
後続のウマ娘たちがそう掛け声を返して応じた。
そして、走行してる内に正面スタンド前まで戻ってくると、やや寂れた状態ながらゴールポストとして残ったままの〔鹿屋レース場〕のゴールラインを超えてから、全員が減速していく。
「ひぃ、ひぃ、……ふぅ……」
1600mの芝コース。練習用とはいえ、芝の張り具合は彼女たちが本番で走るレース場のコースと大差がないように作られている。
地方レース場ですらない無い、(ウマ娘用とはいえ)ここは軽運動場なのに、あまりにも設備が整っていて整備も行き届いていることに先頭を走っていたチーム[ライジェル]のサブトレーナーであり、元ウマ娘走者でもあった宮松ことフレアカルマはただただ感嘆を覚えるばかりだった。
スタンド前で待っていたアラサー男、つまりはチーム[ライジェル]のチーフトレーナーである矢萩はクーラーボックスを持ってきて、1600mのコースを一通り走り終えたばかりのウマ娘たちにドリンク類を差し入れた。
「お疲れさん」
「……矢萩トレーナー、あたしの走りどうだった?」
「うん、スイープの走りはだいぶ安定してきたな。ケイくんも暑さに慣れてきたか?」
「は、はい。これなら日経オープンも大丈夫そうです」
「良かった。ルビーちゃんは大丈夫か? 疲れてない?」
「……えぇ。大丈夫です」
射手園が帰ってくるまで引率を引き受けることになった矢萩は、本来担当外であるはずの
矢萩は、スイープトウショウ、ケイエスミラクル、そしてダイイチルビーらに声を掛けて、各々にスポーツドリンクを手渡す……のだが。
「矢萩んあにょ、あたいん走りどうやった?
まるで飼い主に褒めてもらいたい子犬のようにキラキラした目で矢萩トレーナーに飛びついたのは、前髪に、白く薄く伸ばされたタイ米のようなメッシュが入ったまだ幼さの残る鹿毛のウマ娘。
「もう、サムちゃん! トレーナちゃんにがっつきすぎ!」
それを横目に見ていた茶髪で同年代の鹿毛のウマ娘が、サムを矢萩トレーナーから必死で引き離した。
「えっと……メイショウサムソン、で良かったか? 確かに1600m、トレセン学園のみんなに着いて行ったのは凄かった、それは認める」
「
「でも、それはまだ1周だから。だろ? スキッパー、クロアット」
「えぇ。そうです。普段なら1600mのコースを1日10周ぐらいするから」
「え? ……えぇっと、1600かける10だから……」
「約16kmだよ、エナちゃん」
「16km……えっと……16000m!?」
「尤も、一度にそんな距離を走るわけではありませんが」
「うん。午前と午後で分けたり、たまに雨の日は屋内のジムやプールでトレーニングしているから」
「ひぇー……中央って、練習だけでそんなに走るんだ……」
そう言ってゲンナリした様子のサムちゃんことメイショウサムソン。しかしそれを小耳に挟んだ宮松サブトレーナーは、
「あら? それぐらい走るのは地方トレセン学園だって同じよ?」
「え? そうなの? ……スキッパーちゃん?」
「カルマさんの言ってる通りだよ? 僕のお従姉ちゃんもさいたまトレセン学園で同じ練習メニューをしていた時期あるんだから」
1600m。集団の後ろ側で一緒に併走してくれたクロススキッパーに「(宮松サブトレーナーが言ったことについて)それってホント?」と言いたげに尋ねようとしたが、宮松サブトレーナーの言ってたことを肯定した上に、自分の従姉であるクロスクロウがさいたまトレセン在籍時にやっていたという練習メニューのことを口にする。
それだけでメイショウサムソンとエナは、「トレセン学園って凄すぎる……」と圧倒されると同時に、2人とも「
そうしている内に、
「おい、始まるぞ」
と、デュランダルに声をかけられ、その場にいたトレセン学生たちとトレーナーは全員、正面スタンドのモニターに注目する。
【最後に18番ジャズステップがゲートに収まりました。G3小倉記念───】
一瞬の静寂。観客席も、テレビの前でレースを今か今かと待っている人たちも、今、鹿屋の練習場で巨大モニターを見ている者たち、全員の時間が止まったかのように静まる。
静寂を切り裂いたのは、「ガチャンッ」というゲートの開く音。
【───スタートしました! やはりハナを奪っていった、6番メジロパーマーと7番ダイタクヘリオス! 3番手に9番エフェメロンと4番ジャーマンケーキが続きます】
【シニア期3年目のベテラン二人がレース展開を引っ張って行きそうです。そこから1バ身ほど離れてフルールドシャマン、その後ろからジャズステップとレディアダマントが続きます、メモリアルゴラッソも逃げ。メジロパーマーとダイタクヘリオスから1バ身ほど離れた集団では逃げウマ娘同士が激しく争っています。その激戦区から2〜3バ身ほど開いて15番マッキラらが続いている。先頭を走るメジロパーマー、及び2番手のダイタクヘリオスらは第1コーナーから第2コーナーに向かっていく!】
【先頭メジロパーマー気持ちよく逃げている、先頭から後方まで縦長。ここで第2コーナーの丘を難なく超えて向正面の直線に入る!】
【メジロパーマー先頭のままだが、ダイタクヘリオスとの差は2バ身ほど。3バ身離れてレディアダマント、そのすぐ後ろにメモリアルゴラッソ……おっと、向正面に入るとこれはすごい。先頭からシンガリまで17バ身もあります。縦に長い展開】
【レースはまだまだ中盤、ここから巻き返しもあり得ます、4番手にシュプールムーバーが今上がってきて、5番手にマッキラ。6番手にメモリアルゴラッソ……おっと、7番手にウイニングチケットがいた。ジュエルルビーが8番手。9番手、ここにいたぞナイスネイチャ】
【第3コーナーに入り、ダイタクヘリオスとメジロパーマー加速!】
【それを合図にナイスネイチャとウイニングチケットがバ群をスルスルとかわしていく】
【第4コーナーを進んで直線へ向かう、残り400、ここでダイタクヘリオスがメジロパーマーを交わして先頭に立つ! この直線で勝負が決まるぞ!】
【ウイニングチケットとナイスネイチャが追走、外から捲って上がってくるぞ】
【残り200、ダイタクヘリオス先頭……いやここで外からウイニングチケットが飛んできた! ナイスネイチャ、3番手に上がったが伸び切れない、メジロパーマーはズルズル下がる、ウイニングチケット、猛烈な追い上げ!】
【先頭、2人のデッドヒートだ、ウイニングチケットが若干前に出た、今ゴール!】
【ウイニングチケット! 見事な差し足を発揮し、小倉記念を制しました! 2着、ダイタクヘリオス、3着はナイスネイチャ。メジロパーマーは4着です!】
「「「「あぁー!」」」」
最後の最後でダイタクヘリオスがウイニングチケットに差し切られて敗北したため、「鹿屋ウマ娘軽運動場」の正面スタンド前に備え付けられた大型モニターからレースを観戦していたチーム[ライジェル]のメンバーたちは一様に残念そうな声を上げた。
「残念!」
「悔しい」
「チーム[ライジェル]、小倉記念制覇ならず、ですね……」
「チケゾーはやっぱ強かったぁ……」
そうして正面スタンドの時計に矢萩が目をやると、そろそろ午後4時になりかけだった。
「……さぁて、もう4時だ。休憩は終わりだ。スキッパー」
「は、はい!」
「ケイくん、ルビーちゃん。準備はいいか?」
「えぇ、いつでもどうぞ」
「うん、オレは準備できてる」
「ありがとう。それとヤマト」
「はいはい。うっちは逃げでしょ?」
「そうだ。デュラン。お前は
「はいはい、わかってますって」
すると、会場にアナウンスが流れた。
ピンポンパンポーン、という懐かしい出だしから始まる。
『鹿屋軽ウマ娘運動場をご利用になられている皆様にお知らせします。本日午後4時30分より、芝コースにて模擬レースを開催いたします。ご利用の方々には大変ご迷惑をおかけいたしますが、模擬レースの5分前までに関係者の方々を除く全ての方にはコースからの退避をお願いします。繰り返し、運営本部よりお伝えします───』
「え?模擬レース?」
「何々? 野良レース
「バッカ。中央トレセン学園からウマ娘さんたちがここに
「えぇ?
たまたま居合わせたギャラリーたちは何事かと思って騒めく。
そう、これこそが矢萩がクロススキッパーに言い渡した、「特訓の成果のお披露目場」。
これまでの併走トレーニングはマヤノトップガンとのマンツーマン。彼女たち自身で4つの脚質の使い方を覚えてきたし、これまでにチーム[ライジェル]、チーム[セントーリ]のメンバーたちとスキッパーはマヤノ以外とも併走を重ねてきた。
しかし、これまで大人数での併走トレーニングは行なってきたが、5人以上で行なう規模の模擬レースはスキッパーにとって4月以来の出来事だった。
30分後。
運動場の管理を任されてるスタッフ達のうち、ウマ娘のコースマーシャルたちが複数人で芝1600mコースを一周して、コース上にゴミが落ちてないか、誰かが退避し損なっていないかを確認した後、1600mコースの途中から800mのダートコースに繋がる部分を封鎖。
そして、第2コーナー直後の向正面の直線の始まり辺りに、練習用とはいえ出走用のゲートを配置する。
そのゲートには錆こそ浮いているが上に大きく、「KANOYA RACE COURSE」と描かれていた。
さながらそれは本物のレースのようで───。
───その約1週間後の小倉レース場。
スタンドからは、体操服姿ながら、本日の第6レース、メイクデビューに挑むクロススキッパーを、チーム[ライジェル]、チーム[セントーリ]、両チームのメンバーのほとんどがここに集まって見守っていた。
その肝心のクロススキッパー。
先ほどパドックでのお披露目を終えて地下通路を通ってターフへと向かっている最中だったが、
「なぁ、君」
そう後ろから声を掛けてきたのは、黒い2番のゼッケンを付けた鹿毛のウマ娘。名前は「メガマンジュデン」というらしい。そのウマ娘は、片足に包帯を巻いて、松葉杖を付いた姿でクロススキッパーの目の前に現れた。
「メガマンジュデンさん」
「クロススキッパー、と言うのか。君が私の出走を止めさせたってトレーナーから聞いたよ?」
「す、すみません。余計なことかもしれない、って思ったけど、どうしても止めた方がいいって直感して……」
「謝らなくていいよ。私も正直言うと、障害挑戦に転向しようと頭に血が上ってたみたいで……足に疲労骨折があることなんて、君が気付かなかったらどうなっていたことか」
前走の小倉第5レース。内容は障害未勝利戦だったが、目の前のメガマンジュデンはそれに出るはずだった。
ところが、クロススキッパーはメガマンジュデンがパドックに出てきた時、足に違和感を覚えている様子だと何故か直感で理解してしまった。
差し出がましいかもしれなかったが、急いでメガマンジュデンのトレーナーを探し出し、必死で出走を辞めさせた。
説得に手間取ったものの、「じゃぁそれなら」とバ体検査をさせたら、案の定、といったところだった。あのまま出走していたら……。
「君は命の恩人だ。だからこそ、先輩の1人として言わせてくれ。絶対に勝ってこいよ?」
「……はい!」
「それと、もし同じレースで走ることがあれば、その時は全力で挑ませてもらうからね?」
「はい。お待ちしています!」
それだけ言うと、メガマンジュデンは控え室に戻って行った。
それを見ていた矢萩はクロススキッパーを見つけてこう言った。
「あんまり褒められた行為ではないが……」
そう前置きしつつも、彼女の頭に手を置いて撫で始めた。
「……お前はホント、良い奴だよ」
だが、その手を離し、続けてこうも言った。
「だが、これからお前が挑む世界に存在するのはたった2つ。1人の勝者と、それ以外は敗者という無常の世界だ」
「えぇ……わかってます」
「いや多分わかっていない……実際に公式レースに出ていないから、こればっかりはレース前から
これまでに矢萩は5人のウマ娘たちをメイクデビューに送り出してきたが、どうにもこのメイクデビュー直前の緊張というものには慣れないものだ。
「……じゃぁ、1つ檄を飛ばしてやろう」
「檄ですか?」
「上手くないかもしれんが……これのせいで負けたら俺を責めてくれてもいい」
そう前置きし、咳払いをしてから、矢萩はクロススキッパーに檄を飛ばした。
「……迷いを捨てて、目の前のことに集中しろ」
「……はい!」
「ただし時には本能に従い、傲慢になってもいい。自分を見失わない限りは」
「……はぁ?」
「わかんない、って顔してるな? だがそれもきっと、メイクデビューを走ればわかるはずだ。出来れば勝ってほしい。だが、負けるにしても、今出せる全力を振り絞ってほしい。後悔の無い様に」
「……それだけは分かりました」
クロススキッパーはターフを目指してまた歩き出す、が、
「……あと、もう1つ。きっとお前は従姉と比べられるはずだ。「お前の従姉の半分ぐらいでも才能があれば」と。そう言われても、根性でねじ伏せてみろ」
「……トレーナー!」
「案ずるな。お前には、目指した先の未来が例えお前自身の思ったものではなくても投げ出さずに走り続ける力がある。自信を持っていいぞ」
その言葉は、いつもはノリとビートの良い音楽で生きているような矢萩トレーナーとは同一人物とは思えないほど重い言葉だった。
地下道からターフへと上がってきたクロススキッパー。
ゼッケンの色は黄色で「5」となっている。
一方、矢萩もトレーナー用の観客席に戻ってきたのだが、ヘリオスは、向正面に設置されたゲートに向かうクロススキッパーの表情が双眼鏡越しで見る限り冴えない状態であることに気付く。
「ねぇ、兄貴ぃ。スキっぴーになんて言ってきたの?」
「……別にぃ」
「ホントにぃ?」
「いつも言ってるように、本能に従え、とは言った」
「……それ、半分以下じゃん。正直に言いなよ?」
「長くなるから割愛する。だが、ぶっちゃけると余計なこと言ったかも」
「……はぁー。やれやれ」
『小倉レース場今日の第6レース、メイクデビュー。9人のウマ娘たちが挑みます……』
『ゲートイン完了、出走の準備が整いました』
暫しの静寂の後、ゲートが「ガチャンッ」と音を立てて開き、
『スタートしました。……おっと、5番クロススキッパー出遅れた!?』
「えぇー!?」
「おいおいマジか……」
クロススキッパーのまさかの出遅れに矢萩は茫然自失。
他のメンバーたちはチーム[セントーリ]のミラクルと射手園トレーナーも含めて顔に手を当てたり、一様に頭を抱える。
『クロススキッパー、出遅れたがまだレースは始まったばかりだ。先頭は2番バイパーピアース。向正面の直線を行く! だが、短距離だ、ウマ娘達はもう加速していくぞ!』
『向正面からは全て下り坂です。勢いが付きやすい場面ですからね、後ろの子たちが巻き返せるか不安が残ります』
『そうこう言っている内に先頭が第3コーナーに入っていきます。ここから第4コーナーを回って行ったら、正面スタンド前の直線をあとはただひたすら爆走するのみ!』
『出遅れたクロススキッパーですが、現在、後方から3か4番手の位置まで進出してきました』
『しかし、先頭の子からシンガリまでおよそ13バ身差。巻き返せるかどうか……今先頭が変わりました1番ミニオーキッド。そのまま第4コーナーを回っていきます』
『ここからが勝負どころです』
「いけー!」
「スキッピー行け行け行けぇー!!」
トレーナー席からチーム[ライジェル]のメンバー達による応援が飛ぶ。
だが、クロススキッパーのメイクデビューを見守っているのは彼女たちだけではない。一緒に練習に付き合ったチーム[セントーリ]のケイエスミラクルとダイイチルビーも。
「従姉さん……」
さらに、別のトレーナー席には、チーム[プロクシマ]の一団が控えていて、その内の一人に、メジロシクローヌの姿があった。
彼女はすぐ横に座っているチーフトレーナーの丘部と手を繋いでいた。
同じ頃、鹿屋ウマ娘軽運動場では、スタンドから、ターフから。居合わせた人々から、今日この日を迎えるためにスキッパーと練習に練習を重ねてきたチームメイトたちと、宮松サブトレーナーに、いつの間にか一緒に練習に参加するようになった幼いメイショウサムソンとブエナビスタも。メイクデビューの行く末を見守り、声援を送り続ける。
鹿屋旅館でもクロススキッパーのメイクデビューの様子を支配人も、旅館の
───思い出すんだ、クロススキッパー。あの時と同じように走るんだ。
そう自分に言い聞かせながら、クロススキッパーはこのレースの1週間前に鹿屋で行なった模擬レースのことを思い出す。
あの時は、ダイタクヤマトさんが逃げでレースを引っ張っていた。
先行するケイエスミラクルさんに必死になってついていく自分を、差し足を発揮したダイイチルビーさんが、僕とミラクルさんごと差し切っていった。
それでもその後ろから追走してきたデュランダルさんが加速してきて、僕らを抜いたばかりのルビーさんを抜き去って、ヤマトさんと先頭の奪い合いを始めた───。
───それに比べたら何を自分は臆していたんだろう?
ゲートが開くのを待っている間に何を考えていたんだろうか?
そんなことより、今を見ろ。
横を走る子も、僕を差し返してこようとする子の足も、先頭を走ってる二人も、
これは傲慢?
余計なことを考えるな。
今こそギアを上げてく時間じゃないか!
(!!)
その瞬間、クロススキッパーには世界が一瞬暗転して見えた。
(あれ……っ!?)
((!?))
気のせいか、クロススキッパーの前後にいた2番手と4番手のウマ娘たちが同時に萎縮したように見えた。
『先頭に立ったミニオーキッド、第4コーナーを抜けて直線へ……いや、後方から猛烈な追い上げを見せてるウマ娘がいるぞ! 5番だ、5番クロススキッパーだ!! クロススキッパー、大爆走!』
前を見ろ。走れ。
走れ、走れ、走れ。
差すんだ。差して抜け。
『ゴールまでわずか、ミニオーキッド、粘っているが苦しいか。外からクロススキッパー伸びてきた、そのまま2人もつれたままゴールイン!!』
『クロススキッパー、出遅れの事実上の最下位から全員を撫で切った。 出ました!アタマ差でクロススキッパー勝利!』
「「やったぁ!!」」
その結果に沸くチーム[ライジェル]とチーム[セントーリ]のメンバーたち。
新幹線で2時間の距離に離れてる鹿屋では軽運動場全体がまるでお祭り騒ぎのようになった。
後年。ある二冠ウマ娘はこう語っていた。
【確かに、あの時の彼女は世間では「まぐれで勝った」だの言われてますが、今思うとそれは正しかったかも。だけど、あのレースをリアルタイムで見ていて、時折彼女がレースで見せる「執念深さ」の片鱗があることに気付かされます】
【あの走りを見ていたからこそ、私が中央を目指すきっかけが出来たし、こうして鹿屋のロコドルも片手間ながらやらせていただいてます】
【結果的にはG1だと有馬記念で一回戦っただけに終わってしまいました。けど、私にとって、クロススキッパーはある種の通過点でありながら、尊敬できる先輩であることは一生変わりありませんから】
【今でもあの人は私にとって
───20○○年発行。「執念の天才児」より抜粋
◎鹿屋ウマ娘軽運動場について
今回の話で舞台になった鹿児島県鹿屋は大隅半島に実在する地域です。
しかし、ストーリーを書いてる時に調べ物をしていたら、検索の仕方が悪いのか、Googleマップが悪いのかはわかりませんが、「鹿屋軽種馬共同育成センター」と打ち込んでるはずが北海道や宮崎に飛ばされる事数回……当てにならないことに参ってしまったものの、鹿屋にもかつて「鹿屋競馬場」が存在したことが分かったので、その情報をベースにして、「鹿屋ウマ娘軽運動場」を作ってみました。
なお、ついでに国鉄時代に廃線になったはずの大隅線もちゃっかりJR移管後まで生き残ったことにして、しかも、国分駅から鹿児島中央駅まで延長に成功して交通の弁も良くしてみました。
◎九州ウマ娘協会(KAU)について
作中に登場するKAUを始め、このシリーズで前にもチラッと登場したSKAUなどの「NAUの傘下にあるとされている地方ウマ娘協会」のアイディアについては、ホッケ貝様作の、「転生したら倒産確定地方トレセン学園の経営者になってた件」よりリスペクトを得たものです。
ホッケ貝様、ありがとうございました。
◎没シュート。
このフレーズでお馴染みの『世界ふしぎ発見!』が先日レギュラー放送最終回となったのは皆さんの記憶にも新しいかと思いますが、実に38年も同番組が続いたというのだから驚きです。
自分はまさか『世界ふしぎ発見!』が最終回を迎えるなど夢にも思っていませんでした……。
◎作中の小倉記念について
今回の小倉記念には、モデルになった年のレースは特にはありません。
強いて言えば、天候や前後の日程については1993年と1994年の小倉記念の状況を参考に組み立てています。
◎クロススキッパーの固有スキルについて
今回の大幅加筆修正で一番変えたのはこの部分です。
(修正前は「クロッシング・スケープシオン」……どう言う意味だったか今ではさっぱりわからない)
今回、「Cross Changing Gear!」という名前に固有スキルを変更しましたが、これは自分がウマ娘の育成をしていて得た苦い経験から、「こんなスキルがあればいいのに」と思った効果を描写しています。
このスキルの効果を簡単に説明すると、「中盤でクロススキッパーは脚質を替えている」。つまり、最初は(出遅れという事故があったために)追込みで走り始めますが、中盤で先頭に立てない状況が続いたことで、最終的には脚質が逃げに変化しています。
後日、活動報告、ないしは後書きにて、とんでもないものを用意する予定です。
お楽しみに。
なお、次回からついにウマ娘編も時計の針が動きますよ〜。