また君と、今度はずっと 〜If you can Cross to tomorrow〜 作:Simca Ⅴ
かといって捨て置くのは勿体無い気もしたので、おまけ回として投下いたします。
ストックが出来てないので3話はもうしばらくお待ちください。
この世界ではない何処かの虚な世界。
一面が真っ白で殺風景な空間、しかし、コタツとブラウン管テレビが置かれているのが実にシュールすぎる。
そのコタツに入って目の前のテレビをじっと見ている白っぽい銀髪をした少女。
その頭からは馬のような耳、お尻からは同じく馬のような尻尾が生えていた。
なお、同じコタツにもう二人男が腰掛けていたが、片方は後光が差していて顔がハッキリと見えない初老の人物だったが、その雰囲気は何処か厳かだった。
もう片方は40代の中年に差し掛かろうとしている男。こちらの方はヤケ酒でも煽ったのか、大量の缶と瓶に体が一部埋もれていた。
テレビをギュッと凝視している少女もいよいよ目が疲れた様子だった。
「……退屈だ」
少女はそんなことを呟いた。
「なぁ、神様……」
「何だ?」
「退屈すぎるよぉ……テレビで地上の様子を見たり、前世のアニメやドラマ見続けるのもいい加減飽きたよー……」
「何じゃだらしが無い。お前さんが言い出したことじゃろう?息子や子供や親友たちのその後がどうなって行くのか見たいって」
「だとしても日がな一日コタツに入ってテレビ見っぱなしってのはつまんねーよ……ここだと尿意すら起きねぇし、誰かがフラッと現れてピンポン押してくるわけでもねーし……」
「むー。人間ってのはつくづく難儀なもんじゃなのぉ、馬がウマ娘になるとそんな面倒臭い気質が上乗せされるからまた厄介よのぉ」
「だって実際刺激なくてつまんないもん……早送りとかできんの?」
「というと?」
「俺の息子や娘たちが競い合うのは早くても来年か再来年、だからこのテレビでその時まで時間を飛ばせないか、って思ってさ」
「無茶言うでない。そもそも其方たちをここに繋ぎ止めておくだけでもだいぶ力を使ったのだぞ?」
「じゃぁどうすればいいんだよ?」
「ここだと地上に比べて時の進み方が早い」
「……え?何それ初耳なんだけど?具体的にはどれぐらい早いんだ?」
「そうじゃな……お前さんらの1日は24時間じゃったな?ここではその24時間が地上では240時間になる」
「ちょ、つまり、ここでの一日は地上での十日間になるってことか?」
「そういうことじゃ」
「そういうことはもっと早く言えよ……」
「とっくに気付いていると思ってたんだが」
「いや無理。流石に俺の賢さがSSでも無理。窓もないし昼夜の違いもわからないんじゃぁ時間感覚もわからなくなるってば」
「わがままじゃのぉ」
「はぁ……」
ウマ娘姿のクロスクロウは呆れ半分疲れ半分で溜め息を吐いた。
「……え、てことは何か?美鶴嬢ちゃんがホッパーを競走馬にしようと決断したところまではさっき見たけど、今地上の様子を見たらもっと状況が進んでるってことか?」
「まぁ、そういうことじゃな。じゃが……」
「……くふあぁ〜……」
続きを促そうとしたらあくびと眠気が一気に襲ってきた。
「……一先ずは寝た方が良かろう」
そう言うと神様は手を振り上げて、軽く平手を落とす。
すると、彼らの目の前に布団が落ちてきた。
「布団?……ここで寝ろと?」
「仕方あるまい。其方の本来の寿命が尽きるまであと20年も余っとる。その上、退屈だなどと漏らされては、他に時間を跳躍できる方法などこれしか思いつかんて」
「時間を跳躍?どう言うことだよおい?」
「ものの例えじゃ。寝ていたら時間が飛んだような感覚がするじゃろ?それに、ここで10時間寝ておけば、地上では100時間、つまり4日進むからの」
「そりゃ……そうか」
「其方が「起こして」と言った時に起こしてやるからその布団で寝とればいい」
「……ならお言葉に甘えることにしていいんだな?」
「だからさっきからそう言っとるだろ」
そこまで言われるとコタツからようやく立ち上がって、這うようにして布団に入るウマ娘クロスクロウ。
見た目は美少女なのに、行動はまるで休日のアラサーのサラリーマンみたいな仕草だった*1。
「……で、いつ起こせば良いかの?」
「そうだな……ホッパーが皐月賞……いや、新馬戦出る時になったら起こしてくれ。録画出来るなら頼んでいいか?」
「分かった」
「それじゃ……おやすみ……」
そのままウマ娘クロスクロウの意識は落ちていった。
「やれやれ……ではお望み通り……」
神様はコタツ台に置いてあったリモコンを手に取る。
見た目はHDレコーダーに付属しているタイプの長いリモコン。
だが、ボタン類には見慣れた「1〜9」と「0」の数字と、「電源」という文字以外には見慣れないものが羅列されていた。
神様はテレビにリモコンを向けて操作し、画面上に出てきた、「お任せ編集・録画」という項目をクリックした。
「……これで、起きた時のこやつらがどんな顔をするか楽しみじゃな。さて、わしは出掛けるとしようか」
神様はリモコンをコタツ台を置いてゆっくり立ち上がると、自ら指を鳴らす。すると、神様の姿は白い光に包まれて一瞬で消えてしまった。
この空間に残されたのは布団で深い眠りについたウマ娘一人と、コタツ台の上で泥酔のごとくだらしなく寝転がっている中年親父のみである。
……一応ここ死後の世界のはずなのに、なんて暢気なことか。誰かツッこんでほしい。
今作に望むものは?
-
コメディ!
-
シリアス……!
-
スポ根!
-
哀愁……
-
ハッピーエンド!
-
曇らせ、鬱展開……
-
その他(コメント欄か活動報告へ)