また君と、今度はずっと 〜If you can Cross to tomorrow〜 作:Simca Ⅴ
私生活で抱えていた大きな問題に漸く解決の目処が見えて来た矢先に、最近、悪天候続きのせいか体調も崩してしまい、思うように執筆が進みませんでした。
ちなみに、初詣のシーンを描くために、実は船橋大神宮に行ってお参りしてきました。
年越しパーティーから一夜が明け、初日の出の光が日本に照りつけた。
深夜まで祝って騒いでいたチーム[ライジェル]とチーム[セントーリ]の新年は実にのんびりとした朝から始まった……のだが。
「くぁ〜はぁ……もう朝かぁ……」
アクビをしながら
……実は昨夜のパーティー後に無理矢理、徹夜仕事を敢行しようとした矢萩と宮松だったが、パーティーが終わって気が抜けたと同時に強烈な眠気に襲われてそれぞれ別々のソファーに横になって、矢萩も気が付いたら朝の9時だった。
宮松は一足早く起きていたらしく、「一旦トレーナー寮に戻ってお風呂に入ってきます」という置き手紙を残してチーム棟から姿を消していた。
起き上がった時に自分では掛けた覚えのない毛布が掛かっていたので、矢萩は後で礼を言おうとか考えつつ、まずは冷蔵庫に入れてあったコンビニのおにぎりを、電子レンジで温め過ぎず冷た過ぎず、ギリギリの塩梅で冷や飯を食べられる状態にまで持ってきてから食べる。
これが矢萩にとって新年最初の朝ごはんだ。
それからチームルームの洗面台でお泊まりセットの歯ブラシと紙コップを用意して、目覚ましを兼ねた歯磨きを始める矢萩。
だが、隣チーム[セントーリ]の部屋から何やら物音がする。
(……あいつ、もしかして?)
矢萩はすぐにも、「射手園くんもチームルームに泊まり込んで徹夜したのだろう」と推測した。
無理もない話だ。
射手園本人としては、マヤノトップガンに芝2000mを走り切るスタミナは十分に備わっていると判断してホープフルステークスに出走させて勝たせたまでは良かったが、その直後のマヤノは疲れ過ぎて立てなくなるほどに疲弊していた。
そんなことがあったものだから、最近の射手園はマヤノのことを過保護とも言えそうなぐらい労って、甘やかす頻度も増えていたらしい。
射手園トレーナー自身も「マヤちゃんのことを甘やかし過ぎかも……」と悩んでいて、矢萩は相談を受けたのだが、「年末年始だし、ちょうどいいからこの際思いっきり甘えさせてやれ」と背中を押した。
ついでに、「マヤノにクリスマスプレゼントがまだだろ?」と
だが、正月早々から育成計画やレース目標の選定とは。
(射手園くんはどこまで行っても真面目で一途だなぁ)
とか。
(若いなぁ)
などと、アラサー手前の矢萩はそんなことを考えながら新年初の歯磨きを念入りに進めていった。
そうしてボサボサの髪に自分で霧吹きの水を掛けて滑してから櫛で
そしたら、また隣の部屋から物音がした。
「……あいつ何やってんだ?」
10時に神社で待ち合わせ。
その約束まではまだ時間があったため暇だったので、矢萩はお出かけ用のトートバックを肩に引っ掛けてチーム棟の部屋を後にして鍵を掛けた。
時間は午前9時半。
「射手園くん、何やってんだ? 入るぞー」
そうしてチーム[ライジェル]の部屋をノックして訪れてみれば、
「ちょ、ま、待って、矢萩さん!」
「失礼するよ。やぁ……おは…よう、射手園くん?」
そこには───ウマ耳のカチューシャとウマ尻尾を付けられて、マヤノトップガンの勝負服のレプリカを着せられている射手園の姿があった。
「や、や、や、矢萩さん!? こ、これは、そ、その……」
「うー……むにゃむにゃ……イルちゃんはマヤのものぉ〜……」
「Oh……やっぱお前たちってそこまで関係進んでたんだな」
「違いますって!!」
しかも、彼にとって最悪なことに、マヤノトップガンが覆いかぶさる形でしがみついて離れてくれないまま寝てしまったようだ。
もちろん、矢萩はマヤノトップガンにとって射手園がただの幼馴染兼トレーナー以上存在で、射手園もマヤノトップガンのことを担当ウマ娘兼幼馴染以上の存在として互いに意識していること。2人の関係性はよーくわかっていた。
それについてダイイチルビーが嫉妬していることについても。
だからこそ、この「コスプレ」みたいな状況について矢萩は色々と察したが、射手園は全力で否定する。
矢萩本人としては、この恋のレースの勝者が誰であろうと、射手園とマヤノの関係が親密であることが明らかであっても、
射手園本人にも
「あぁ〜その……事を起こすのは、卒業してからにしてくれよ?」
「だから違いますよ!!」
先ほどから立てていた物音は、どうやら射手園がソファーから身じろぎしたり、マヤノを何とか起こそうと色々と試した結果のようだった。
しかし、マヤノは起きる気配がない。
……仕方ないので矢萩は一旦部屋を出て、チーム[ライジェル]の部室に戻り、クッキングタイマーを持ってきて、1分後にセットする。
「これで起きてくれればいいが……」
それから1分後。チーム[セントーリ]の部室内でクッキングタイマーのけたたましいアラーム音が鳴り響いた。
「うぅー……五月蝿いなぁー……」
マヤノは寝惚けながら部室のテーブルに置いたクッキングタイマーに手を伸ばそうとするが、それをひょいっと取り上げる矢萩。
「あ、あれぇ……?」
音源が移動した……?
と同時に、手を伸ばした先に何もなく、空気を掴むような状態になったマヤノ。
「おかしいなぁ……」と思いつつ目を擦りながら起き上がると。
「……あえ? イルちゃん……?」
「ぉ……おはよう、マヤちゃん……」
漸く気付いたマヤノは既に射手園にウマ乗り状態となっており、顔を赤らめた射手園と目を合わせることになった。
「……やっと起きたか。見なかったことにしといてやるから早く出掛ける準備しろよー」
そんな2人がようやっと起き出したのを見届けてから矢萩はチーム[セントーリ]のチームルームを後にする。
彼が去った後、チーム[セントーリ]の部屋がまたドタバタしたのは言うまでもないことだった。
午前10時。
「「トレーナーさーん!」」
「トレーナーはん」
「「「トレーナー!」」」「兄貴ぃ!」
『あけましておめでとうございます!』
「改めて、あけましておめでとう。今年もよろしくな」
用事があって来られないアイルトンシンボリを除くチーム[ライジェル]所属のウマ娘たちが中央トレセン学園近くの神社で一堂に会した。
「……にしても、パーマーとヤマトは凄いな」
「……あはは、照れるなぁ……」
チーム[ライジェル]のメンバーたちは、初詣なのもあってか気合を入れてメジロパーマーは晴れ着姿でやってきた。
しかし、周りを見ると注目の的になっているのはパーマーよりも、
「普段のレースの勝負服姿、その上から羽織りか……良い感じだと思うぞヤマト」
「ほんまに!?」
「あぁ。大胆でクールなアレンジだ。勝負服にこんな活かし方があったとはな……」
「えへへ……」
「もぅ、トレーナー……」
「兄貴ぃ……?」
ダイタクヤマトの勝負服といえば、青地の着物をモチーフにしたものであり、着物に描かれた金魚と花火の柄と、紫掛かった菅笠を被った和装である。
この勝負服の特徴を活かしつつ、大胆にも勝負服の上から羽織りを着込み、普段は露出している肩部分を上手くカバーして肌を少な目にしている。
和装とはいえ勝負服をファッションとして用いて、この初詣の場に馴染むような大胆なアレンジ。それについて矢萩は素直に感心するのだが、ヘリオスのジト目と、パーマーの湿った目が矢萩を睨んでいた。
「おー、怖っ……」
ダイタクヤマトは巻き込まれたくないので矢萩とヘリオスとパーマーの三竦みからそそくさと逃げ出す。
「……あれ? あんたは確か」
「ダイタクヤマトさんですね? 殿下がお世話になっております」
ヤマトが一歩、安全地帯へ退避した先に、鹿毛で碧眼の文字通り日本人離れした顔立ちのウマ娘がクロアと共に晴れ着姿で現れた。
「ナタリアさん?」
「クロススキッパー様。あけましておめでとうございます」
「あ、あけましておめでとうございます」
オロールクロアットと共にイギリスから留学してきた付き人のナタリアである。
「あ、ナタリん」
「ナタリん?」
「ちょ、ちょっとやめてくださいヘリオス様……」
クラスメイトやチームメイトや知り合いに独特な呼び名を付ける癖のあるヘリオス。
そんな彼女に「ナタリん」呼びされたナタリアは恥ずかしがっていた。
皮肉だが、ナタリアとクロアがやってきたことで暫しの三竦みは終わり、
「ほら、ナタリアもご挨拶を」
「は、はい。矢萩様、この度は殿下が大変お世話になっておりまして……」
「あぁ、そんな畏まらなくてもいいぞ。こちらこそ至らぬところばかりで申し訳ないほどだ」
「いやいやいや、トレーナーさん、そんなことはないですよ。私に日本のことを教えてくれたのは矢萩さんだったじゃないですか。レースとか文化とかその他色々と……」
「チーフ!」
すると一歩遅れて、栃栗毛で日焼けした肌色のウマ娘が晴れ着姿で現れた。
「わぁ……」
「宮松、あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます! ごめんなさい、ちょっと遅れちゃいました」
「大丈夫だ。さて、……おい?」
スキッパーからの反応がないのでどうしたのかと矢萩は尋ねるが、よくその顔と視線の先に目をやると、明らかに
「おい、スキッパー!」
「……あ、は、はひぃ!?」
「……全く」
何となく理由を察した矢萩は少々歯切れ悪そうに、であるが、スキッパーを現実に引き戻すことに成功した。
「さて、並ぼうか」
「あれ、射手園さんたちは?」
「あぁ……あいつらはちょっと遅れるみたいだな」
チーム棟を出掛ける際の出来事について矢萩は少々濁し、LANEで射手園から「遅れる」と連絡があったことだけを簡潔に伝えた。
チーム[ライジェル]のメンバーは揃ったので、初詣の長い行列に並ぶことにした。
「これが日本の初詣ですか……」
「凄い人混みですね……」
いつもはトレーニングで神社前の階段を登り降りしている場所だったが、元旦から三ヶ日は参拝客で混雑する。
その様子を見てナタリアとオロールクロアットは噂に聞いていた日本の恒例行事を目の前にして圧倒されていた。
「おや? ガクさん?」
「リッターさん? ……あぁ、そうだ。あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます」
「あ、セイウンスカイさん、ヒシミラクルさん!」
「お、スキッパーちゃん」「やぁやぁ」
「「「「あけましておめでとうございます」」」」
神社の本殿まで続く長い長い列、長い長い階段を登る、その直前で。
チーム[マタリキ]のチーフトレーナーである
「ゼファっち、あけおめー!」
「ヘリオスさん、あけましておめでとうございます。……あら、あなたは確か」
「紹介するねー、この子はウチらのチームの後輩になったスキっぴーだよぉ」
「あ、はい、クロススキッパーです! もしかしてあなたが……?」
「あけましておめでとうございます。あなたがスキッパーさんですね? 初めまして、ヤマニンゼファーです」
「あぁ、やっぱり! 中距離までなら
クロススキッパーは目をキラキラさせながらヤマニンゼファーと握手をした。
「あ、あらあら……ふふふ。これは成長が楽しみなつむじ風さんですね……」
そうこうしている内に、一行は本殿でお参りを済ませた。
「あ、矢萩さーん」
「おぉーい、射手園くん遅かった……じゃないか」
「あらら……」
やや遅れてチーム[セントーリ]も到着。
マヤノは冬場仕様のパンツルック姿にフライトジャケット風の防寒着に身を包んだ状態で。
ケイエスミラクルに至っては、ウマ耳と尻尾が隠れていたらもはやイケメン男子と見紛うような少し大人っぽいファッションで初詣にやってきていた。
なお、スイープトウショウとダイイチルビーの2人は晴れ着姿……だったのだが。
「なんで射手園くんまで?」
「……聞かないでください……」
どういうわけか、
これだと、どこからどう見ても射手園は、事情を知らない人々からは少年ではなくウマ娘だと勘違いされることだろう。
「……あぁ〜……」
しかし、彼のすぐ後ろにいたダイイチルビーとスイープトウショウとマヤノトップガンのご満悦顔を見て矢萩は何があったのかをすぐ察して苦笑いする他なかった。
(射手園くん、おもちゃにされたか)
射手園トレーナーは矢萩が知る限りでは史上最年少で中央トレセン学園のトレーナー資格を取得した天才だ。
チームの規模こそ矢萩が率いる[ライジェル]のほうが大きくとも、[セントーリ]のチーフトレーナーである射手園の方がトレーナーとしての腕前が一枚上手だと感じている。
それだけに、良きライバルであり良き友人であり続けたいと互いに思っている矢萩と射手園であるが、射手園には出自に由来した幾つかの悩ましいことを抱えている。
例えば、射手園家は母方の先祖にイギリスで活躍した(しかもG1バにもなったという)ウマ娘たちがいて、それ故か、特に射手園 優にはウマ娘の血が外見上濃く出ている。
前髪のメッシュなどがその典型例であるのだが、他にウマ娘の外見的特徴といえば、(ウマ耳とウマ尻尾のことを除くと)本格化を迎えたウマ娘はそれ以後、壮年期に至るまで若々しい姿を保ったままである場合がほとんどであり、今年で19になるはずの射手園 優トレーナーの外見は、矢萩が出会った5年前から全くと言っていいほど変化がない。それこそ、男子の二次性徴期に見られる声変わりや喉仏の隆起といったものが射手園には全く起きていないのだ。
しかし、ウマ娘並みのスタミナや心肺能力が無く、ここは普通の人間止まり。
……射手園 優は本人曰く、ウマ娘の特徴と人間の特徴、それぞれを中途半端に持ち合わせて生まれてきた、という。
それが原因で幼少期の彼は幾度もウマ娘の特徴が発現した自身の姿に引け目を感じていたらしいが───それを変えたのがマヤノトップガンとの出会いだった、ということについて、矢萩は耳にタコができるほど聞かされてきた。
おっと、話が随分と脱線した。
……まぁ、そのような暗い過去やコンプレックスを抱えているにも関わらず、(恐らくは)ダイイチルビーとマヤノトップガンとスイープトウショウが
「……まぁ、本人たちが良いなら良いんじゃないかな?」
「だ、だから違いますって……!」
矢萩に今出来ることは、必要以上に弄らないこと。
彼女たちの恋のレースを黙って見ていることぐらいである。
それからしばらくして。
「すごい人混みでしたね……」
「そうだったね……」
「そやけど、ここからはお楽しみの時間どす!」
「お楽しみ?」
「あれを見てみ」
参拝客のあまりの多さに疲れた顔をするスキッパーとマヤノだったが、そんな彼女たちにダイタクヤマトが示した先にあったのは、神社前の広場だった。
そこにはお祭りでよく見かけるような屋台が立ち並び、振袖姿の女性たちや、浴衣姿の男性たちの姿もあった。
なお、チーム[ライジェル]のメンバーたちはチーム[セントーリ]のみんなが参拝し終わるまで出店回りを待っていたが、天井トレーナー率いるチーム[マタリキ]は一足先にその喧騒に紛れて行った。
「お祭りですね……」
「せやせや。神社の催し物といえば屋台、屋台といえばお祭り。トレーナーはんたち、ちょっとの間、スキッパーとマヤノを借りてってもええ?」
「お? いいぞ、行ってこい」
「えぇ、マヤ、イルちゃんとお店回りたーい!」
「……同じくです」
「ちょ、2人とも……」
「そっか……射手園トレーナーはんも中々罪作りなお人やな……ほな、スキッパー。しっかりついてきてな!」
「は、はい!」
射手園の両腕はマヤノとルビーがガッチリとホールドしており、その姿を見送ったヤマトがスキッパーの手を引く形で2人は初詣のお祭りの喧騒へと紛れていった。
神社前を巡るとその屋台は多種多様だった。
食べ物の屋台としては、わたあめ屋に、焼きとうもろこし、焼き鳥、フランクフルト、焼きそば、ベビーカステラにチョコバナナ。たこ焼きにイカ焼きにお好み焼きにリンゴ飴。クレープの屋台もあれば、珍しいものとしてはケバブやポップコーン、じゃがバターの屋台というのもあった*2。
ゲームの屋台としては、お面屋に射的、輪投げ、ヨーヨー釣りなどもある。
「色々な屋台がありますね……」
「せやろ?」
「まるで遊園地みたいです」
「祭りちゅうのんはほんまに
なお、ざっと屋台を見てからヤマトは溜め息を吐きつつ苦笑してこんなことを言った。
「……少し残念なのは、冬場やと金魚掬いの屋台があらへん事どすなぁ」
「金魚掬い?」
「そや。うち、実は金魚掬いが得意なんや。その金魚たちも今、寮の部屋で飼うてるし」
「金魚……かぁ」
どこの屋台から回ろうか、そんなことを考えていたスキッパーは金魚掬いの話題を振られて、ふと、ダイタクヤマトの振り袖兼勝負服に使われている着物の柄に目をやった。
「ん? スキッパー、どうしたん?」
ダイタクヤマトがボーッとしてるクロススキッパーに如何したか尋ねると、
「……ヤマトさんの勝負服」
スキッパーがそんな一言を漏らした。
「え?」
「あ、いや、その……すみません。金魚の話題が出たから、ついヤマトさんの勝負服に目が行ってしまって。いつ見ても綺麗だなって、思ってます」
「……ははは、そやの、そやの。そら嬉しいね! ……まぁ、うちの勝負服は初詣じゃなくて夏祭りがモチーフなんそやけどもね」
2年前のスプリンターズSでダイタクヤマトが勝利した時の姿はクロススキッパーの脳裏に焼き付いて離れなかったが、今、ヤマトが着ているのは羽織りを追加した以外は全く同じ服。
それは、明るい夜空をイメージした紺色の生地に、花火と金魚をあしらい、紫の菅笠との組み合わせで成り立った勝負服であり、中山レース場の芝1200mを駆け抜けた時に着ていたものとほぼ全く同じものであるはずだったが、今は祭りの背景と喧騒も相まって、全く別の輝きを見せていた。
ちなみに、京都生まれのダイタクヤマトは夏祭りの屋台や盆踊りが大好きなのだが、金魚と花火の柄を勝負服に加えることを思いついたのは───、
「───まぁ、うちの勝負服のこだわりや自慢はまた今度や。それより、お祭りの出店を楽しまな損やわぁ。さぁて、どの屋台に行きたい?」
食べ物系の屋台か、ゲームの屋台か、第3の選択肢か。
……この時のスキッパーの決断は後程話すとして───。
───同じ頃。
船橋レース場駅───の隣の駅に、大神宮下がある。
ここには1900年以上の歴史を持つ「船橋大神宮」があり、ここでも初詣の長い列が続いており、今、一組のグループが参拝を終えた所だった。
〈あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします〉
その定型文と共に、メジロシクローヌは、自身とアイルトンシンボリ、それに担当トレーナーである丘部らと一緒に本殿前で撮った写真をメールでクロススキッパーに送信しようとしているところだった。
2人は初詣らしく気合の入った晴れ着姿を披露していた。
何故チームの違うアイルトンシンボリがここにいるのかというと、実は彼女の実家は千葉県の西側を走っている京成線の沿線上にあり、彼女の大伯父*3*4である丘部トレーナーと共に里帰りしていたためである。
彼とアイルは、中央トレセン学園へ入学する際の合格祈願や、レースの必勝祈願などのためにこの船橋大神宮を頻繁に訪れていたのだが。
久々に数日間、この年末年始を家族水要らずで過ごしている内に、丘部はアイルの変化や成長を感じていた。
「……アイル、お前、変わったな」
「……へ?」
お祭りの屋台を巡り歩いて、「船橋名物! ソースラーメン!」なる幟を出していた屋台から……アイルとローヌと丘部が訪れた際にラーメンを作っていたのは青いバンダナを付けたウマ娘*5であり、船橋トレセン学園の生徒たちが出店している屋台で買ったラーメンを美味しそうに食べながら、ベンチに腰掛けていた3人。
丘部がそれを半分程度まで食べた辺りで、ローヌがラーメンを完食してお花を摘みに行ってる間に、満腹でご満悦なアイルの横顔を見ていた丘部が、ふとそんなことを言った。
「変わった? ボクが?」
「あぁ。何というか……雰囲気が変わったな」
丘部はつい数年前のことを思い出していた───。
───それは矢萩がまだトレーナーとしての人生を受け入れていなかった頃のこと。
「……んの、バッカモーンッ!!」
その時の丘部は高血圧で倒れてもおかしくないような声量で、ドア越しに聞こえていた矢萩の「
「矢萩ぃ! 一体何考えてんじゃ!!」
「な、何、って一体何が?」
「聞こえとったぞ! 引退するってな!」
ただ、矢萩の言い分としてはその時、今日明日にでもトレーナーを辞めるというわけではなく、
しかし、それで丘部が引くわけもなく。
「聞いてましたか……」
「ったりまえだ。考え直せ。お前、折角中央のトレーナーの免許を取得して、たったの2年間で2人しかいない担当にそれぞれG1を勝利させたではないか。普通のトレーナーであれば、担当に重賞を勝たせるだけでも何年も掛かるものなんだぞ? にも関わらず、最初の担当を受け持って特別にチームルームも与えられたというのに、まだ3年も経ってないのに辞める? そんな生半可な気持ちでトレーナー業をしとったのか!」
まだこの時は、前述の言い分を矢萩から聞き出す直前であったのだが、この丘部の檄には本心が含まれていた。
丘部はこの時ですら大学を卒業してからこの道45年にはなろうかという大ベテラン(ちなみに、定年の60歳を既に超えていた)であったのだが、そんな彼も担当ウマ娘たちが重賞を制覇するだけでも2年、G1の栄冠を初めて手にするまでだと実に4年も掛かっているのに、彼の後発にあたる沖野や東条、矢萩、射手園たちはトレーナーになってから、皆たったの2年以内で担当たちにG1を勝たせている。
つまり、丘部は矢萩や射手園をダイヤの原石のような磨けば光る存在だと看破していた。
これがもし、矢萩の決意が固く、しっかりとした考えと
というのも、丘部自身は(体力や肉体の限界という抗い難い点で)トレーナーとして先が長くないことを直感していた。
だからこそ、自分の大切な
そしたら、これである。
託すより前に、矢萩の引退を引き留める必要が出てきたわけで、その矢萩本人から事情を聞き出してみる。
「生半可? とんでもない。むしろ俺は妹やその親友の人生に関われたことは喜ばしいことですよ。二人が揃ってG1を獲ってくれたことは既に最高の思い出になってます」
「じゃあ何故辞める?」
「最高の2人と出会えて指導できたから。だからこそ俺はここで降りたいんです」
「「えっ!?」」
矢萩がそう答えた時、彼の担当ウマ娘たち(といってもこの頃はまだ2人しかいなかった)が顔を赤らめるような反応をしていたことについて丘部は見逃さなかった。
「なるほど……その気持ちは少し分かるかもな」
丘部としては、矢萩の言い分が痛い程よく分かった。
だが、同時に矢萩の目を見て丘部は直感した。
(……こいつ、本当はトレーナーを続けたいんじゃないか?)と。
丘部は矢萩が述べた引退理由について、「トレーナーを続けたくない」というよりも、「トレーナーとしての人生をやめるために自分自身を納得させようとしている」ように聞こえたし、その後の問答からも、矢萩は心の奥底に「芽」が出ていることに自身が気付いていないことを丘部は感じた。
「……矢萩。お前はもうトレーナー以外の仕事は出来ないと思うぞ?」
そう言われた矢萩はムッとした。
「……それはどういう意味ですか?」
その顔の奥底に眠るものが見えた丘部は確信し、齟齬から生じた誤りを正しつつ、こう言った。
「……私が言いたかったのはな。整備士としての腕前は衰えていなくても、きっとその仕事に満足できないと思うぞ?」
「え? ……何故そう思うんですか?」
「……流石に自覚は無いか」
独り言のつもりが口から出てしまった。
「それはな……」
それに、ついて丘部が言葉を続けようとした時、矢萩の両脇に控える形でこちらを見ているパーマーとヘリオスと目線が合って、それをやめた。
「……いや、私がそれを言うのは野暮というものだ。答えはお前自身が見つけるべきだろう。私もそうだったさ」
「丘部さんも?」
「あぁ。……で。すまない。本題を話してもいいか?」
「……あ。そういえば」
丘部がそもそもチーム[ライジェル]の部屋にまでやってきた要件は、矢萩が辞めるか否か、という議論をしたかったからではなく、自らの孫にも等しいアイルトンシンボリを矢萩に預けるつもりでいたからだった。
その後、紆余曲折を経て、
───思えばあれからちょうど4年になろうか。
「アイル……やっぱりチーム[ライジェル]は楽しいか?」
「は、はい。トレ…矢萩さんや、パーマーさん、ヘリオスさん。それに、ヤマトや、キャリーちゃん、デュランダルさんに、スキッパーちゃん、クロアさんも……皆さん良い人たちだし、一緒にいて飽きないです」
丘部からの問いに、アイルは屈託のない笑顔で即答した。
「そうか……」
チーム[プロクシマ]の現状は、例えるならば恒星が終焉を迎える直前のような状態になっている。
ただし、その理由としては丘部の年齢・体力的な問題が付き纏っている。
例えば、昨年の菊花賞でラストアンサーが勝利を飾った時ですら脳卒中を起こす一歩手前で病院に叩き込まれていたこともそうだが、その他、持病を多数患っているため、彼自身、プロクシマを大きくしたくても、今の丘部には現状の4人の面倒を見るのが精一杯だった。
これで最盛期のように12人も在籍していようものなら、一人一人を見ている時間が無く、指導が行き届かない状態になる。
もし今の自分がアイルトンシンボリを指導していたとして……G1を勝たせるどころか、今見せたみたいな笑顔すら見られなかったかもしれない。
「アイル……去年の東京大賞典。凄かったぞ」
「あ、ありがとう……ございます」
思えば、元々アイルトンシンボリはクラシック三冠制覇を志してトレセン学園の門を叩いた。
その門戸を開ける手助けをしたのは丘部自身だったが、彼女が父を亡くして母と共に日本へ渡ってきた頃からアイルの身体つきを見ていた。
その頃のアイルは、ごく普通なウマ娘だった。
しかし、ある日の夜───アイルの伯母が船橋レース場まで彼女をわざわざ連れてきて、さざんかテレビ杯を観客席で見せてからは明らかに変わっていった。
その身体つきの変化は、この道40年のトレーナーであれば見抜けないはずもなく。
何があったかを問い詰めれば、母の目を盗んで船橋レース場の一般開放日にレーストラックを走っていたんだというから、アイルといい、この娘の伯母といい、ウマ娘である以上は「走る」という本能には逆らえない、血は争えないな、と改めて思った(なお、丘部が問い詰めた時点で既にアイルは約半年に渡って船橋レース場の常連と言ってもいいぐらいに通い詰めていた)。
「……」
「……伯父さん?」
「あぁ、いや何……この目の前の道を左に行けば大神宮下の駅があるが、それを通り越して国道14号を辿れば、船橋レース場はすぐそこだったな」
思えば、アイルにとって船橋レース場は、彼女がウマ娘競技を始めるきっかけを与えた場所だった。
「今からでも行くか?」
「今日、元旦ですよ? やってます?」
「川崎か何処かで開催だったな……それをモニターに映してるかもしれん」
驚くことだが、年末年始のこの時期でも船橋レース場は開場しており、同じ南関東でレースがあればそれをターフビジョンに映している。ただし、お正月に初詣にと行事が被っているために客入りはいつもと比べて疎らである。
「船橋レース場のターフビジョンかぁ……」
アイルは船橋レース場のターフビジョンに映し出された中央G1や重賞、特に有馬記念を見てからは、「クラシック三冠と有馬記念を走って勝ちたい!」と願望を抱くようになった。
それらを走らせることについては、腐ってもベテラントレーナーの端くれとして叶えさせられる。
しかし、「勝利できるかどうか」は別の話だった。
「……お前はあの時、年上の子たちに混じってダートコースを走っていたな。私が初めてそれを見た時なんて、まるで自分の庭のように走り慣れていたよ」
「い、いやぁ、そんなことは……」
アイルが船橋レース場で自主練をしていることについて自白した次の日には、丘部は彼女の付き添いとして、コース一般開放日の船橋レース場に足を運んだ。
そこでアイルが「船橋レース場に足繁く通っていた」という言葉に偽りがないことは、地元の中高に通うウマ娘たちに混じって砂の地面を蹴り上げて走る姿が語っていた。
「お前は、ダートでも、泥濘みがあっても、一生懸命に、中高生たちに負けないぐらいに走っていたな……」
その姿を見た丘部は、アイルの足元がダートやバ場状態の悪い環境下にすっかり慣れてしまっていることに気付いた。
(思えば、あそこから別段、ダートから芝での脚の使い方を覚えさせて、何れはアイルを芝走者として矯正出来なくはなかった、そのはずだったが……)
だが、ダートを走れるのも才能の内だと考えた丘部は……迷ってしまった。
ベテラントレーナーである自分が、である。
こんなこと、ここ数年では一度もなかったのに。
「お前の最初の夢は、クラシック三冠レース制覇だったな」
「そ、そんな、昔のこと覚えてませんよ」
アイルは照れて否定するのだが、それは紛れもない事実であり、今の彼女の「人生のタペストリー」に欠かせない物でもある。
「……今更だが、その夢を叶えてやれなくてすまなかったな、アイル」
「お、伯父さん? そんな、別に謝らなくても……」
「いいや……私はトレーナー失格だったよ」
アイルの夢はクラシック三冠の獲得と有馬記念の勝利。
しかし、アイルの身体はダート向きであり、ダートG1も走らせて勝たせたい……。
トレーナーの本分は、担当ウマ娘の夢を叶えること。
ならば、ダートではなく芝に適応させるのが筋だというのに、今からダートに専念すれば、アイルならきっとダートの重賞、下手をすればG1の栄冠すらも手にできるかもしれない、つまり、自分の孫にダートG1を獲らせてやりたい、と瞬間的に思ってしまった。
「担当トレーナーと担当ウマ娘、その関係は教師と教え子。そこに身内贔屓を挟んでしまうのは、トレーナーとしてよろしくないと私は思っていた。その結果、お前を突き放すようなことになってしまってな……」
……そこで、この「迷い」の正体を丘部は直感した。
それは「身内贔屓」というか、アイルトンシンボリは彼にとっては孫にも等しい。
……「私情」を挟んでしまったのだ。
このような状態でアイルを指導しては、中途半端になってしまうと感じ、アイルには「年齢的に無理」だの、何だのと理由をつけて、丘部はチーム[プロクシマ]入りを諦めさせて突き放すようなことをしてしまった。
「うぅん、伯父さん、謝らなくてもいいよ。むしろそうしてくれたお陰で僕は今、ライジェルのみんなと楽しく過ごせているし……特にブラジルカップとかしわ記念を獲れたのがすごく嬉しいんだ」
「東京大賞典やチャンピオンズカップよりもか?」
「うん」
結局、丘部が矢萩に押しつける形でアイルはチーム[ライジェル]に加わった。
「……皐月賞、ブルボンさんに派手にやられたっけ」
「そうだな……あれは勝てるビジョンが私でも浮かばんかったよ」
「伯父さんが?」
「あぁ……」
アイルはクラシック三冠への挑戦を表明する傍らで、メイクデビューはダート1600m*6、札幌ジュニアステークスを勝利してからのホープフルステークス2着、京成杯1着などを経験し、皐月賞ではミホノブルボンの圧倒的な逃げを捉えきれずに3着……。
「……そこでジャパンダートダービーだったか」
「うん……トレーナーも思い切ったことをしたけど……」
ここで矢萩はアイルをダート路線へ転向させ、日本ダービー出走を取りやめて関東オークスへ直行させて、ここを勝利。そしてクラシック期7月前半に行なわれたジャパンダートダービーに出走させると、ここで念願のG1の栄冠を手にさせた。もちろん、地方か中央かの違いはあれど、G1には違いなく、芝かダートかの違いはあれど、アイルトンシンボリはダービーウマ娘になった*7。
……その結果を見ると、自分に果たして同じような思い切った決断が出来なかっただろうと思う。何故なら、皐月賞でミホノブルボンに敗れたならば、日本ダービーこそは勝利させようと躍起に……いや、ムキになっていたと思う。
「もしトレーナーさんがいなかったら、僕、G1獲れなかったかも」
「そうだなぁ……だがJDDを勝利できたのは間違いなくお前の実力だよ。ただ、その後は芝かダートか、ハッキリしない時期が続いたな?」
「あ、あははは……」
誤魔化すかのように力無く愛想笑いをするアイル。
事実、JDDの後のアイルは、クラシック期は芝とダートの重賞を文字通り行ったり来たりしていた。
「しかし、まさか菊花賞を蹴ってブラジルカップに行くとは驚いた」
「ブラジルって聞いて、どうしても獲りたくなったんだ。お父さんのためにも」
「……そうだったな」
ブラジル。
アイルが幼い頃生まれ育った国であり、亡き父親の故国。
アイルが「ブラジルカップ」の存在を知った際には、G1の菊花賞への出走をわざわざ取り下げてまで挑み、そして勝利。
その勝利を、アイルは亡き父と、喧嘩別れした母に捧げた。
その足でそのままJBCレディスクラシックに出走して勝利したが、
「……何でステイヤーズステークスなんてローテに入れたんだ?」
「その……トレーナーが、「3600m走り切れるんだったら有馬だって勝てる!」なんて言ってたから、つい……」
「あいつ……」
そのステイヤーズステークスは無事勝利したのだが、その疲労が祟ってか有馬記念は5着という結果に終わっていた。
もちろん、その後に丘部は矢萩に厳重抗議を行なったものの……。
「でも、有馬記念……勝てなかったけれど、走れただけでも僕は満足
「そうか……」
あの有馬記念の後、久々に見た曾姪孫の顔からは、皐月賞で敗れた時の彩光を失った目からは一転して、憑き物がすっかりと落ちたように晴れ渡った笑顔を見せてくれた。
それからシニア期に入ったアイルは、一転してダート重賞に専念するようになった。
「その後のことは伯父さんも知ってるでしょ?」
「あぁ……メイショウホムラと激しくやり合って勝利したフェブラリーステークス、からの、かしわ記念と帝王賞……帝王賞は残念だったが、いい走りだったぞ」
「ありがとう」
帝王賞2着の後に、ブラジルカップ連覇、JBCクラシック3着からの、チャンピオンズカップと東京大賞典の連続勝利で、アイルはシニア期1年目を終えている。
「……お前は居場所を見つけられたんだな」
「え? 伯父さん今なんて?」
「おじ様、アイルトンシンボリさん、お待たせしましたわ」
追憶に浸るのはそろそろ終わりだ。
メジロシクローヌが2人の元へ戻ってきた。
「こら、トレーナーと呼びなさい。……では、行こうか」
「帰りますの?」
シクローヌからの問いに、アイルと丘部は目を合わせてから頷き、丘部は言った。
「……いや、船橋レース場に行こう」
「船橋レース場ですって? 今日は開場してますの?」
「調べたら……川崎開催を中継してるって」
「本当ですの!? おじ様…じゃなかった、トレーナーさん、
「あぁ、わかっている。一緒に行こうか」
「あ、でも……電車で行きましょうか?」
「……必要なら僕たちが負ぶっていくけど?」
「ちょ、アイルさん、ズルいです」
「家族特権だよ」
「バカ言えぃ、たった一駅だぞ。それに私だってここから船橋レース場ぐらいまでなら歩けるさ」
───ピロッ、ピロリンッ
「「「?」」」
誰かのスマホから着信音がした。しかも、
すぐにシクローヌとアイルはお互いにスマホを手に取るとそこには、
「……ふふふっ。お姉さまったら」
「あははっ……あっちも楽しそうだね」
メールを開くと、
〔あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします〕の定型文と共に、何枚かの写真が添付されていた。
例えば、腕を組んで仁王立ちしたグラサン姿の怪しいウマ娘たち*8や、様々な屋台を練り歩いてお好み焼きや焼きそば、フランクフルトなどを手に持ったり頬張ったりしてるチーム[ライジェル]とチーム[セントーリ]のメンバーたちの姿などが写っており。
クロススキッパーはというと、ケバブを頬張りながらカメラに向かってピースしていた。
「何だかケバブやエスニック料理が食べたくなりますわね……」
「うーん……あ、そういえば、船橋レース場の向かいのVivitにインドカレーのお店*9があったような?」
「お前たち、ラーメン食べたばっかりだろう?」
「いいでしょ? 伯父さん」
「ショッピングセンター……いえ、船橋レース場まで私たちがおじ様を背負って行けば丁度良い運動になりますわ」
「お、おい」
「あ、ローヌちゃん待って!」
「早い者勝ちですわ!」
シクローヌはいつの間にか丘部を背負って、アイルを出し抜いていた。
序盤は悪ノリから始まり、中盤はダイタクヤマトの勝負服とお祭りの話、後半はアイルトンシンボリのエピローグのイメージで執筆しています。
スプリング・ステークスの場面はまた次回。