また君と、今度はずっと 〜If you can Cross to tomorrow〜 作:Simca Ⅴ
悩んだ末に、反則技を使うことにしました。
なお、今回から1週間連続投稿いたします。
2018年9月初めのインドネシア。
赤い塗装の旅客機が滑走路に向かう途上でのこと。
「ねぇ、にーに。次のくうこうでのりかえて日本に帰るの?」
「そうだよ」
幼い妹と、歳が18は離れている青年が隣り合った座席に座っていて、そんなことを話していた。
「あっという間のインドネシア旅行だったよな」
「そうだねー」
「お母さんたちも来れば良かったのに。楽しかったよ、お父さん」
「そう言ってくれたなら、連れてきた甲斐があったってもんだ……お?」
父も青年も妹も。恐らくは客室にいるすべての人が、自分たちの乗っている機体の動きに気付く。
機体が
窓の外を見るとその感覚が正しいのがよくわかる。主翼の下に見える空港のアスファルトの地面が前へ流れていき、今、自分たちの機体は後ろへ移動してる最中だった。
なお
しばらくすると、後ろへ押される感覚は無くなり、今度はエンジンの音が上がり始め、機体が前へと動く。
彼らの乗る機体は駐機場を出て、今まさに滑走路に向けてタキシングを始めたところだった。
『レオニドエアー539便。滑走路16
『レオニド539、滑走路16Rより離陸許可了解』
管制官からの指示を受けて、日本人親子の乗る
だが、
「な、なんだ!?」
「!?」
離陸してたった数分で乗客たちも異常に気付いた。
機体が突然、機首から真っ逆さまに地面に向かってしまいそうな、嫌な重力加速度が掛かる。
「にーに、こわいよー!」
「大丈夫、大丈夫だから。この機体は最新鋭機のはずなんだから……」
隣で泣き出す妹の手を握る青年。
青年はもう片手を父の手に伸ばそうとした……が。
彼に次に襲いかかってきたのは、三つ。
衝突音と、体が突然バラバラになったような感覚の後に無くなったことと、目の前が真っ暗になったこと。
青年は永久に意識を手放す瞬間に気付いた。
(あぁ、墜落事故で死んだ……)
……思えば、日本を旅立つ前に見たあのアニメ、死ぬ前にもう一度見ておきたかった。
なんて言ったっけ。
そうだ、『ウマ娘プリティーダービー』だったか。
……なんで今、そんなものが頭に浮かんできたんだろうか?
スペシャルウィークや、グラスワンダー、サイレンススズカに、エルコンドルパサー、キングヘイローに、セイウンスカイ。
チーム[スピカ]と[リギル]のガチンコ対決、それに───
元ネタを調べた時、俺は泣いた。ボロボロに泣いた。
史実では、凱旋門賞を勝利したものの、予後不良になって天に召されたクロスクロウ。そのクロスクロウは天皇賞・秋で死にかけたサイレンススズカを救ってみせていた。
種馬になってから早世したエルコンドルパサーに、事故で亡くなったセイウンスカイ。
それに───スペシャルウィーク。インドネシアに来てから亡くなったと知った時はショックだった。
この旅行から帰ったら真っ先に会いにいくつもりで牧場にも連絡しておいたのに……。
アニメの中ではウマ娘になった彼女たちに救いがあったのは幸いだったし、これで余計に泣いた。大声で泣いた。夜中に。お陰でお母さんに怒られたっけ……。
あぁ……妹にも今年の有馬記念を見せてやりたかったのに……。
こんな死に方するなんて……。神様、何故だよ、教えてくれよ。……いるわけないか。
いるならこんなことや、あんな予後不良も起きなかったよな……。
……せめて、次に目を覚ましたら彼らが活躍していたり……いっそ、
───その願い。聞き届けよう。
……え?
作中で語られてる航空機事故は、実在のものをモデルにしていますが、日付や事故現場が異なります。
この辺りはクロスクロウがいたことによるバタフライエフェクトの一種と思ってください。
今作に望むものは?
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コメディ!
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シリアス……!
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スポ根!
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哀愁……
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ハッピーエンド!
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曇らせ、鬱展開……
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その他(コメント欄か活動報告へ)