日向如く   作:尾田栄~郎

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初投稿です。


第一話 うるせえ!日向は木の葉にて最強なんだよ!

 どうやら俺は死んだらしい。

 どこかで読んだ事ある風景……の中に、仙人みたいな爺さんが一人。

 

 なんだよ、駄女神じゃないのかよ。

 チェンジだチェンジ。話が違う。

 俺が生前求めてたのは可愛い女神様であって、見るからに神って感じの老いぼれじゃない。

 昔から女に縁がない人生を送ってきたし、死んだ後に女神様に会える権利くらいはあってほしい物だ。

 

 

「貴様に相手がいなかったのは自業自得だと思うが?」

 

 

 軽く青筋をたててる神様。

 思ったより創作物は神の本質に近かったらしい。

 

「ちなみに転生とかできる感じですか?」

「少しは立場をわきまえろよ小僧。確かに儂の力が暴発し……」

「ナルトの世界が良いです」

「わかった、もうそれでいい。はよう転生しろ。どっか行け」

「転生特典を要求する」

「なんじゃ。シスイの目か?塵遁か?もうなんでも良いぞ。次貴様が言った物を特典としてすぐにでも向こうへ飛ばしてやる。そして二度と迂闊に転生なぞやらん」

「白眼だ」

「……は?」

「白眼をくれ」

「正気か?……あれだぞ、さっきはケチってシスイの目とか言ったが、大筒木の血、全身柱間細胞、血継限界全部乗せとかもできるんじゃぞ?」

「何度も言わせるな。白眼だ」

「貴様、さてはナルト読んだ事ないな?白眼というのは写輪眼、輪廻眼と共に三大瞳術などと並び称されておきながら、幻術も忍術もさして強くはならず、ただちょっと周りが見えて視力が良いだけのハズレ瞳術の事じゃぞ?全方位が見えるとか言っておきながら死角がある景品表示法違反の眼じゃぞ?」

「俺は白眼が好きだ。何が好きかで自分を語れよ!」

「もうワンピースの世界行けよ」

「うるせえ行こう!」

「じゃから!」

「良いか?日向は木の葉にて最強!なんだよ……それ以外に言葉がいるか?」

「もはやバキの勢いすらあるが……まあ良かろう。どうやら儂は貴様を見くびっていた様じゃの」

 

 老人が静かにそう言うと、同時にゆっくりと意識が遠のく。

 転生か。住人として見るナルトの世界、楽しみだ。

 

 

 

 

 

 とは言ったものの。

 人生、転生してもなかなか上手くいかない物だ。

 

 俺がナルト世界に来て初めて見た光景は、父の顔。

 実物は初めて見る白眼に、額には卍。

 

 ハズレを引いた。

 

 俺の名はネジ。後に木の葉で最強とうたわれる天才児である。

 

 神と俺との間に認識の違いがあった。

 最強とは言ったけれども、最強に産まれたかった訳じゃない。

 

 日向は木の葉にて最強。そしてその日向始まって以来と言われる程の才能を持つ男、それがネジ。

 たしかに名実ともに最強と呼ばれるに相応しい男ではある。しかし、作中での扱いは悲惨も悲惨。

 

 初登場から嫌な奴感満載で、落ちこぼれ忍者のナルトに負け、サスケ奪還編ではそれまでブイブイ言わせてた白眼に弱点がある事が発覚し、終始ペインとは戦わず、最期は十尾が乱射した木片に体を穿たれ絶命。

  

 なんて見事な転落人生。

 おお神よ、嫌がらせが過ぎるのではないでしょうか。

 日向ネジ生存ルート開拓の始まりである。

 

 日向分家の朝は早い。

 宗家の為、子供時代から柔拳の英才教育の日々である。

 俺が三歳になった頃のタイミングで、掌を交互に打ち出す柔拳特有の練習が始まった。

 柔拳修行の片手間で、日々チャクラコントロールの練習も欠かさない。

 

 いくらネジが天才だからと言って中身の俺はチャクラなんて使ったこともない一般人。

 日常的にチャクラを使う感覚を体に叩き込んでおかないと、いざという時に不安が残る。

 まあ単純に手を使わない木登りとかやってみたかったのもある。

 幸い名家だけあって修行場所には困らなかった。

 水の上を走るのは……まあクーラーの代わりになったと思えば良いか。

 

 そうして三か月ほど経過したある日、俺はある事を思い出した。

 

「親父、死ぬやんけ!」

「……何の事だ?どうした、ネジよ」

 

 思い出したのが柔拳の修行中だったのは誤算だった。

 ざわめく日向分家の皆様。

 おっと。ネタバレしてしまったかな?

 

「申し訳ありません。お父様。寝ておりました」

「私と拳を交わしながらか……!?」

「はい。父様の洗練された拳に見とれ、あまりの美しさに安らぎを覚え、つい……」

「そ、そうか……」

 

 ちょいと奇異の眼で見られたがまあ良いだろう。

 俺ぁ天才なんだ。天才にちょっとアレな所はつきものだろう。

 

 父親が死ぬ。これは由々しき事態だ。

 なにがかって言えば、俺が日向宗家との間に軋轢を生みたくないからだ。

 

 昔から思っていた。日向ヒナタの性格が内気で引っ込み事案なのは闇落ち日向ネジの存在が大きいのではないか、と。

 俺はヒナタが好きだ。しかし、従兄との仲はギスギスで父親からは冷遇された末にあの性格が成り立ったと考えると、不憫でならないのだ。だから俺はヒナタの頼れる兄貴、日向ネジでありたいのだ。

 しかしここで父ヒザシに死なれてしまうと、父親を殺されながらヒナタに接近する日向ネジが出来上がってしまう。

 まずい。怪しすぎる。宗家に「警戒してください」と言ってるような物だ。

 

 ヒザシの間接的な死因にあたる雲隠れが来るのはヒナタ様の3歳の誕生日の後。あと一年と少しといった所だ。

 

 あの時木の葉は雲隠れと停戦交渉を結んだ後の筈。事態を大きくすると原作通り戦争回避の為に日向一族が差し出されかねない。

 

 つまり、秘密裏に、そして殺さないように雲の忍を撃退する事が必要。

 目立つ外傷もなく、忍術や体術を無効化……柔拳しかない。

 

 少なくとも点穴を突く瞳術と技術が必要になる。あと一年で。

 

 時間は限られている。思い立ったら即行動だ。

 その日の修行を終えた後、俺は修行場へと向かった。

 

 まずは簡単なチャクラコントロールの練習として木登り。もうすっかり慣れた。

 水走りはやらない。というかあれ以降やりたくない。

 簡単に瞑想をして、静かにチャクラを練りこむ。

 練って溜めたチャクラを両目に集約させ、印。

 

「"白眼"!」

 

 ダメだ。両目に熱を感じるだけで視界に変化はない。

 もう一度。

 

「"白眼"!」

 

 やっぱりだめだ。もっとチャクラを練った方が良いのか?

「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」「"白眼"!」……。

 

 あれから何時間経っただろう。

 もうすっかり日が落ちて辺りを月が照らしている。

 分家の他の者は俺が修行を邪魔されると怒るのを知って、もう迎えに来なくなって久しい。

 

「"白眼"!……っ痛ってえ!」

 

 何回も眼にチャクラを集中させるうち、俺の眼を通る経絡系は強く痛む様になっていた。

 なにもしていなくても焦げ付く様な痛みが顔中を襲い、特にチャクラを流すと経絡系を電気で焼き切られていると錯覚するほどだ。

 

 しかし、この痛みは俺にある事を気づかせた。

 

 白眼を開眼させたとき、術者の目の周りには必ず経絡系が浮かび上がっていた。

 

「そうだ。痛む場所に沿ってチャクラを流せば良いんだ……!」

 

 今度こそ。いや体力的に見ても次が最後だ。

 

 もう一度、瞑想し、チャクラを練る。経絡系が痛む。痛みの流れを一本一本確かめるように精神を集中させて、集中が最大に高まった時、印!

 

「"白眼"!」

 

 視界が開けていく。前方、周囲から後頭部へと広がる視界。チャクラの点がみえる。虫だ、秋虫が鳴いている。もっと遠くの屋敷では、分家の人間が皆床についている。一人だけ、父様だけは寝ずに俺をまっていた。

 二人目の父親ではあるが、それでも父親なんだよな。

 

 帰ろう。家へ。

 

 こうして俺は、白眼を手に入れた。

 

「柔拳の修行を始めて三か月。柔拳の肝である白眼を独学で開眼するとは!ネジ、お前は天才だ!」

 

 翌日、朝起きてみれば家中がお祭り状態だった。

 三食お赤飯が炊かれそうな勢い。

 ヒザシ、お前そんな子供思いだったのか……。確かに描写はあったけども、ここまでだったとは。

 

 いや?それとも俺が天才なのか?

 これは胸張っちゃって良いのか?

 

 なんてな、油断は禁物。これではまだ雲の忍には勝てない。

 天才伝説が立つとしても、それはもっと先、堅実に生きた結果の方が箔がある。

 

「お父様の教えの賜物です」

「そういってくれるか!ネジよ、ああネジよ!」

 

 ……本当にこんなキャラだっけ?

 それともなんだろう、俺が天才過ぎて原作から軌道がそれていっているのか?

 だとすればよい兆候だ。俺が原作通りのミスター名前負けにならずに済むかもしれない。

 

 その日から俺の新しい日常が始まった。

 

 午前中はヒザシと一緒に柔拳の修行。

 いつもの内容に、実際にチャクラを流す柔拳の訓練が加わった。

 昼は休んで、午後からは白眼の修行。

 とにかく長時間、高精度な視界を保てるようになりたい。

 

 そして気づいたのだが、白眼は使えば使うほど瞳術が強まる物らしい。

 白眼の修行として、自身の背後にいる鳥の個体数を数えるネジお決まりの奴をやっているのだが、最初は5分も続かなかった白眼が、日に日に5分、10分と継続できるようになっていき、より遠くまで視野が広がってより多くの鳥を見つけられるようになっていくのを感じる。

 

 あれからまた2か月。ヒナタ様が2歳の誕生日を迎えられる頃には、俺はもう二時間以上白眼を継続できるようになっていた。

 

 柔拳の修行中のほとんどの間は白眼を継続する事。ヒザシからはそんな注文を受けた。

 白眼を開いている間は目元にチャクラが流れっぱなしなので、四肢にチャクラを流すだけでかなり精神力と体力を消費する。

 このころになると基本的にチャクラを伴った突きを主体として修行メニューが組まれていたので、午前中だけでほとんど全力を使い果たしてしまい、そのまま倒れこむように入眠という事がよくあった。

 

 それでもなんと3か月もたてば、午後の修行を再開できるくらいになった。

 

 期限まで残り9か月。

 9か月で柔拳を形にしないと、ヒザシは死ぬ。

  

 最後に考え付いた修行は、ただ走るという物だった。

 

 白眼を維持したまま、木登りの要領で里中の構造物を全力疾走。

 体力が尽きるまで、である。

 

 精神力と体力を極限まで追い詰め、精神エネルギーと身体エネルギー両方の底上げを行う。

 今できる精一杯を形にした修行方法。これでダメなら、もう後がない。

 

「"白眼"!」

 

 俺は走り出した。

 

「うぉぁっ!なんだあいつは!」

「目がやばいぞ!」

「ぎゃあああ!バケモノ!」

「早い!早いぞ!忍か?」

「いや、子供の様に見えたが……」

 

 なんだろう。ひとたび街に出ると、必ず悲鳴が聞こえる。

 なんでも、白目をむいた顔がバキバキのちっちゃい何かが町中を走り回っているらしい。

 いやー、なんか怖そうっすね。うん。幻術ですかね。

 

 午前中には柔拳、午後には百鬼夜行な修行を、9か月。

 

 そしてついに、雲隠れの里との停戦の日、ヒナタ様の3歳の誕生日がやってきた。

日向ネジ、性質変化はどれ?(参考までに)

  • 火遁
  • 風遁
  • 雷遁
  • 土遁
  • 水遁
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