日向如く   作:尾田栄~郎

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第十三話 葛藤上等

 戦いから二日後、風の国は国内で四代目風影の遺体が発見された事を公表し事件の発端は大蛇丸だとして木の葉に無条件降伏を宣言、木の葉もこれを受諾した。指導者を失った両国は互いの里の復興に専念する事で痛み分けとしたのである。

 

 三代目の国葬を終え、上層部はすぐさま次代火影の選出に取りかかったが会議は難航していた。火影は里の要石。彼らは先代の意向や候補者の実績、縁故、人格その他を総合的に判断した上でスポンサーである大名の認可を得、次代を決定する義務を負う。一連の行程はこの急場において既に彼らの頭痛の種であったが、更に話をややこしくしたのは先代――()()()の死没だった。

 

 四代目火影、嘗て"黄色い閃光"と謳われた英雄は12年前に殉職している。12年前のその日は彼の第一子の出産予定日。戦時下においては久方ぶりの吉報だった。当時母体には九尾が宿っており、出産の負担が不測の事態を招かぬ様、里は万全を期していた……しかし。子を庇い、子の母ともども暴走した妖狐の爪に貫かれ……それが英雄の最期だった。里の平定の為、死にゆく英雄は我が子に九尾を託し静かに息を引き取った。残された民衆は半壊した里と一匹の忌み子を前に三代目の復権を望む。三代目は単なる為政者ではなく、万民の心の支えだったのだ。

 

 そしてその三代目すら亡き今、誰が後を継げるというのだろう。いわんや代わりをや、である。よしんば復興が叶ったとしても不安定な政権はいつか破滅を招く。本当の意味で里を安定させるなら、稀代の火影とでも言うべき器が必要なのだ。木の葉を支え、また芽吹かせる力。秘術・木遁を有した初代火影に匹敵する稀代の器。議論は二転し三転し、すったもんだの押し合いへし合いもありながら、選ばれたのは三忍千手(せんじゅ)綱手(つなで)であった。

 

「なぜ儂ではないのだ!ヒルゼンの後釜など儂しかおらんだろうが!」

「ぶちこわしだよ!!」

 

 

 対面に座るダンゾウは不服そうに造血丸茶*1を啜った。俺の正式な配属が決まる前、白庵である。何故ここにダンゾウが!?

 ちなみに百は奥で匿っている。根に取られたら最後俺が無音殺人術(サイレントキリング)される。

 

 

「儂は託されたのだぞ?それを上役共、『何が目的だ?』とぬかしおった……!後の世代を育てる為に、儂が稀代の火影となって里を導く!それの何が不満だと言うのだ。旧時代の遺物どもが、直に言伝を預かった儂をまるで厄介者の様に……けしからん!お前はどう思う!?」

「厄介者だと思います」

「なにを!?大体お前、不安定な時勢に初代の孫娘を据えるなど安直すぎると思わんか?今こそ儂の時代だろ!!」

「なぜ変に捻る……?」

 

 しまった、彼もまたNARUTOの悪役に共通する"全部一人でやる病"の持ち主だった。極左な理想主義と三代目の博愛主義が矛盾してエラー吐いてやがる。機能不全どころか完全誤作動だ。もはや対面に座す男は恥も外聞もない三代目の厄介オタクでしかない。俺の知ってるダンゾウを返せ。やっぱ返すな。

 

「あの、ダンゾウ様……そもそも何故俺にそんな頭痛がする様な話を?」

「相談に乗ると言ったではないか。それにお前と儂は似ているとも言っただろう。ヒルゼンが」

 

 そればっかかよ。似てねぇよ。三代目の見間違いだよ。

 とはいえ三代目ェ……俺をダンゾウに任せると言って、本当はダンゾウを俺に任そうって腹か?……業腹だよ、後世を育てる為にダンゾウ育てなきゃいけないって何のマッチポンプなんだ。それはもう呪いだ。くわばら、くわばらだ。

 

「まぁ、恩返しと思う事にするか……」

「?」

「仕事のスイッチが入ったという話です。怒りのボルテージが上がったという話でもありますね」

「いかにも仕事に身が入らなさそうな話だな」

「ダンゾウ様。冷静になって考えてみれば、貴方は影として不可欠な要素が二つ欠けている。一つは求心力、もう一つは戦闘能力です」

「求心力?根を創り育ててきた儂がか」

「その根が根っから根暗なのがネックなのです。おかげでダンゾウ様は知名度が足りない。影として致命的な程影から程遠い。野心は求心力とは違います。初対面で総スカン食らった事をもうお忘れですか?」

「……あれはお前のせいではなかったか?」

「このスカポンタン」

「あ?」

「噛みました。甘んじて受けましょうと言ったのです」

「お前、あまり儂を見くびっていると本当に首が飛ぶぞ?」

「打ち首っちゃう訳ですね」

「少しは怖がれ……お前、流石に生首では生きられんのよな?」

「なるほど。叩っきられた状態でも減らず口を叩っけるかという問ですね?」

「そんな奇怪な問では断じてないが、その分だと首を断じられた所で飄々と語り続けそうではあるな……」

「いやいや無理ですって。断じて無理です。それが出来たらいよいよ妖怪ですよ。飄々どころかひゅーどろろです」

「なぜお前はそうも上手く言おうとして失敗するのだ……。待てよ、戦闘能力だと?儂は旧大戦を生き延びヒルゼンと影の座を争ったのだぞ」

「しかし大蛇丸には負けました。綱手様と同じ三忍の」

「あんなものを人と同じにするな」

「急に常識的な事言わないで下さいよ。びっくりするなあ」

「……一つ言いたいのだが、儂はお前ほど出鱈目では」

「じゃあ大蛇丸って何ですかね!?エリマキトカゲかな!?エリマキトカゲ丸なのかな!?」

「勢いで誤魔化すな!ていうか誰だ、そんな奴いてたまるか!」

「こほん。とにかく、今や三忍の実力は舌を巻くほどです。エリマキトカゲ丸の様に」

「その名を二度と出すな。さもなくばお前の舌を切る。……しかしネジよ、儂とてやられるばかりではないのだぞ?儂の右腕がその証左。これは奴から得た中で最大級の戦利品だ」

「誇らしげに呪物を撫でないで下さい。大体そういう絶望的な趣味してるから人気取りがお上手なんじゃないですか?」

「嫌味を言うな。そしてどうせならもっと上手く言え。だいたい何で知っておるんだお前は。これ根のトップシークレットだぞ」

「眼が良いのでね。雑食のダンゾウ様と違って俺はこの眼一筋なんです」

「お前も似た様な者ではないか?」

「なにを!?」 

 

 ダンゾウと問答をしていると見知った顔が現れた。中忍試験一次の夜に根の勧誘に来た使者である。おい白庵を暗部の集会所みたいに使うな。使者は威嚇の白眼には目もくれずダンゾウの前に跪いた。

 

「緊急の御報告に参りました。市街で上忍数名が"暁"なる侵入者二名と交戦し軽症。侵入者は逃走。御身に招集がかけられています。急ぎ火影屋敷まで」

 

 こういう時ダンゾウの判断は早い。俺は使者と共に消えたダンゾウに一拍遅れる形で戦闘用の装備を手に取り白庵から跳び出した。方向はダンゾウの真逆。里の外である。

 

 

 

――――――――卍――――――――

 

 

 

 "暁"は世界の転覆と再構築を目的とするNARUTO最大の秘密結社。構成メンバーは殆どが国際手配された抜け忍で昔は大蛇丸も在籍していた。それだけに内部は多様性を過学習させた様なキャラばかりというNARUTOお得意の、もといお特異の伏魔殿と化している。そもそもが打たれた出る杭の跳ねっ返り集団なせいか個々の荒々しいキャラメイクとは対照的に仲間に対する尊敬の念や情や細かな気遣いを感じさせる間柄であり、チーム全体の読者人気も高い。それなりに居心地の良さそうな抜け忍達が差別の蔓延る忍界の脅威になるという構図の皮肉っぷりは読者全員イタチ顔(ニッコニコ)である。

 

 当面の彼らの目的は尾獣の収集。我愛羅の一尾からナルトの九尾まで九体存在するチャクラの怪物を全て手中に収める事である。

 彼らの目標物(ナルト)は今朝、三忍の自来也に連れられて現在は忍を止め外に出ている綱手を探しに里を出ている。侵入者の報告が昼時だった事を加味しても、早ければ日中にはナルトと侵入者(イタチ)がバッティングする計算になる。無論追跡は白眼の十八番、抜かりはない。イタチェ……古傷のツケは払って貰うぜ。

 心の傷が疼くぜ!疼きすぎて武者震いするぜ!

 

 

 

 イタチは木の葉の近くの街道沿いをしばらく進んだ宿場町で隠密行動をとっていた。同地にいるナルトと自来也の裏をかく為だ。黒の外套に赤い雲の意匠を施した装束は暁特有。パリコレ並のお洒落着である。俺はイタチに気付かれない距離で後ろを取った。

 

 でもどうすっか。今の俺がイタチと戦っても勝ち目はない。()()()切るなら話し合いがマスト。かといって何年も前に殺した相手がひょっこり現れて冷静な話し合いになる筈はない。話し合いに応じる義理もない。そもそもイタチは一人俺に背を向けている。話し合いは対面でする物だ。とくれば……俺はテンテンに作って貰った巻物から"断刀・首切り包丁"を取り、チャクラによる肉体活性を行う。俺の解答は至ってシンプル。殺してでも冷静に(ツメタク)する。

 

「イタチィィィィ!!」

 

 俺渾身の儀典の一太刀。背後からの急襲。電光石火の一撃はしかし乱入した侵入者の片割れに容易く止められてしまう。千鳥に横から対応した男の速度に俺は目を見張った。それだけではない。男は青肌。鮫顔。断刀に並ぶ太刀を備え、それを超える巨躯。さらには太刀の先で俺の儀典を止める怪力。全てが規格外の男は俺を見て軽く嘆息し、顔に似合わず常識的な口調で語りかけてきた。

 

「これはこれは……かなり短くなっていますが、霧の首斬り包丁ではありませんか。……後ろからの攻撃といい、看過できませんねぇ」

「待て、鬼鮫(キサメ)

 

 鬼鮫、と呼ばれた鬼でも鮫でもない男は眼だけでイタチを振り返る。太刀と切り結んだ儀典は千鳥チャクラを失い依然として微動だにしない。まるで吸いつけられている様だ……というのは刀の特性上比喩でもない。

 

「私の"大刀(だいとう)鮫肌(サメハダ)"はチャクラを()()……おイタはいけませんねぇ?イタチさんのお知り合いですか?」

「ああ。そいつは日向ネジ。俺の相手だ」

「こんな子供がですか?」

「侮れない」

「可哀想に……」

 

 刀にかかる負荷が和らぐ。どうやら俺の処分先は鮫の餌から九尾の出汁に変わったらしい。や、やめろ!やめろめろめろイタチめろ!やるなら使え!フカヒレ!ボンバイエ!

 

「俺が可哀想だと!?鮫と人を足して割った様な顔して良く言えたなこの美形半魚人が!!」

「……どういう事です?」

「埒があかないな」

 

 鬼鮫の返答を待たずイタチが俺と目を合わせる。写輪眼の色がくるりと変わる。

 

 

 

「……ここが()()()の幻術空間か」

「!!」

 

 上下奥行きの感覚が狂う空間で、俺とイタチは再度相対した。ここはイタチの眼が作り出した幻術の世界。俺に破る術はなく、俺を殺す方法はごまんとある。ここでは俺とイタチの力量差はあの日以上に開いている。だが話し合いには相応しい。

 

「どこでそれを?」

 

 イタチは俺を見つめたまま眉一つ動かさない。

 

「さぁ?まあサスケに危害は加えてない。そこは安心して欲しいな、一族殺しのお兄さん?」

「……お前、ダンゾウの回し者か?」

「おっと、それは酷い誤解だ。全く……ざっけんなよお前ェ!?こちとらダンゾウに目ェ付けられてから碌な事がねえんだよ!三代目が死んでからは猶更なぁ!お前に解るか!?大嫌いな程大好きだった男を失って13歳相手に愚痴をする様になった老人がどんなものかお前に解るか!?その相手をしなきゃならない俺の気持が解るか!?大体大蛇丸が木の葉を襲ったのはお前が"暁"にいた奴と小競り合いなんかしたからだろうが!謝れよ!俺に謝れェェ!!」

「え、あ…………すまない」

「よし。つまるところ俺は情報通でね……さっき木の葉に来て見なかったか?元気なサスケ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……なぜだと思う?」

 

 しばしの沈黙。これが絶句でない事を祈ろう。多少強引な流れにはなったが、どうやら原作通りサスケの安全確認は済ましていたらしい。ポーカーフェイスは相変わらずだが手応えありだ。

 

「情報通はいても情報屋がいない、と考えるのが妥当だな」

「ご明察。流石の慧眼だ」

「命乞いにしては上出来だが、戯言だな。俺がお前の生死を握っている現状に変わりは無い」

「命は乞わない。情報通は俺だけじゃないしね。ただお前にとって俺が有益なら、恩返しさせてやっても良い」

 

 ここは完全なハッタリ。しかし数年前に殺した相手の口から怒涛の勢いで語られる知ってはいけない情報の数々と、それが流出する可能性。怖くないワケねえよなァ?

 

「しかし情報通、お前が俺に協力するメリットは?」

「サスケは可愛い俺の弟子。他には何も」

「視野が狭いな。弟子の為にその(かたき)の片棒を担ぐとは。しかもお前の(てき)でもある」

「ツケはいつか払って貰う。手数料付きでね」

「……全く良い性格をしている」

「上等」

 

 イタチは大仰に嘆息した。

 

「これは私的な質問だが……日向ネジ。なぜ今も忍をやっている?」

「……うーん、理由を聞かれても困るな。流れでもあったし、自分の為でもあるし、ほどほどに色々な物を背負ったからでもあるし……まとめるなら、お前に殺され損ねたから、かな?」

 

 

 

―――――――卍――――――――

 

 

 

 目が醒めると病室だった。イタチの幻術で眠っていたのか……という事はイタチの丸め込みには成功したらしい。あの事件の概要を知る俺を口留めに殺しにくる可能性やその他の不安要素は潰せた様で結構。そもそもおじさん(大蛇丸)とダンゾウと三角関係になった時の勢いで思いついた策だったが、冷静になってみるとかなり危ない橋だったんじゃないか?いけない、中忍試験からこっち、どうも俺の中の危険の基準が跳ね上がってる気がする。生存に命を懸ける本末転倒メソッドは俺の人生には不必要だ。認識を改める必要があるな。

 

 九死に一生の後は昔なつかし木ノ葉病院。トラウマの通りならこの後ナルトとヒナタが俺を見舞いに来る筈だが……入ってきたのはテンテンだった。

 

「なんだお前か」

「なんだとは何よ。ぶっ飛ばして病院送りにするわよ」

「病院はここだろ」

「じゃあぶっ飛ばして実家送り迎えしてあげるわ」

「迎えが来るの?病院から?」

「主に精神の」

「重症じゃねーか」

「それはそうと、アンタ知ってる?綱手様が来るのよ、綱手様!アンタんとこのナルトが呼び戻したらしいわ」

 

 イタチに釘を刺した甲斐はあったという事か。

 綱手は三忍の紅一点。一部では木の葉で最も強く美しい女とされ、憧れるくノ一も多い。テンテンもその一人である。憧れの人が里に、それも火影になると聞けば同僚を精神病院送りにするのも無理はないだろう。……ここだけの話、他の三忍のスケベジジイ(自来也)エリマキトカゲ丸(大蛇丸)の変態コンビよりは真っ当なものの、尊敬される人なのかは疑問に思う。大量の借金抱えて博打やって"伝説のカモ"扱いされるというどこぞの賭博黙示録より黙示録してる一面が気になってしょうがない。

 

「聞いたよ、五代目だろ?弟子入りでも志願してみれば?」

「もちろん!アンタより頼りになりそうだしね」

「病み上がりに酷い事言うなぁ」

「寝てただけでしょ」

「文句あっか」

「そーだ、中忍試験の結果も発表だって。アンタ招集かけられてたわよ?私はただの伝言役。全く羨ましいわ」

「!」

 

 いよいよ俺は根の者になるのか。嫌だな。心底嫌だ。だがこれも百の為、もとい俺の為……てか百を根から守っても再不斬から怒られる火種は残ってるんだよな。折れた断刀……時間経過で保管場所に戻る筈だが、あれを見せて再不斬が穏やかに済ます筈はない。「百を守る為に」とか適当言おうものなら百が暴露話に尾ひれを付けて殺されかねない。正直に言おうものなら単純に殺されかねない。万事休すか。

 

 招集先は火影執務室。ノックし、促されるままに入室するとそこにはナルトとヒナタの姿があった。そしてついこの間まで三代目が使用していた火影椅子には既に新しい主――五代目が座っていた。否、脅威の"106㎝"が座っていた。見た事のない質量。感じた事のない重量感。そこには紛れもなく106㎝が居たし、まだ三代目の面影が色濃く残る執務室が放つ哀愁を押しのけて106㎝が存在した。その殺人的な光景を前に俺は呆然と立ちすくみ――ヒナタ様は呪印を使った。

 

「本日お前らを呼んだのは他でもない。私の口から中忍試験の結果を伝える為だ」

 

 一通りのたうち回った俺を一笑すると五代目は本題に入った。ハキハキした口調にヒナタ様を連想して頭痛がする。そしてさっき胸に気を取られて気付かなかったが隣に自来也が立っている。彼は初対面だが、とりあえず目つきが悪い。多分睨まれてる。

 

「まずうずまきナルト。お前は中忍試験において日向ネジとの試合で敗北したが、その内容は評価に値する。実力は並の中忍以上。文句なしの合格だ!」

 

 よっしゃあー!!と跳ねるナルト。中忍にしては落ち着きのない奴だが、木の葉丸やサクラの師匠でもある事を考えると意外に向いているのかもしれない。

 

「次に日向ヒナタ。お前は先の戦闘で下忍数名を指揮して敵と戦った。本来中忍試験とは部隊長の素質を測る試験。お前の指揮官としての手腕は好評だったぞ。合格だ!」

 

 実力を評価された事に対し手短に礼を言うヒナタ。しっかりしてるというか、こういう所を見る限りこいつは危な気ない出世街道を進むのだろう。その実一番危ない人なのに。

 

「最後に日向ネジ。……お前は少々特別な扱いになる」

「はい。解っています」

「そうか……なら説明は要らないな。お前を木の葉暗部"根"監査用特別上忍に任命する!」

「すみません。やっぱ何も解ってないみたいです」

 

 っていうか何それ?言葉の並びが不穏すぎるんですけど。まさか"根"を監査する仕事じゃないですよね。きっと植林の管轄とかですよね。いやぁ、緑あふれる職場なんて素敵だなぁーなんて。

 

「……"根"はダンゾウが統括する暗部養成機関だ」

 

 終わったァァァァ!!黒だ!黒ずくめの職場だァァ!!

 

「だが実際はほとんど里の組織図の中から独立していて、ダンゾウの一存による独断専行も多かったらしい。そこで今回私の就任に伴って本格的なテコ入れを行う事になった。そこでお前だ。敵を感知する千里眼、展開を先読みする先見の明、打開策を立て戦況を有利に運ぶ大局観……お前は眼が良い。監査官は適任だ。どうやって取り入ったのか知らないが、あのダンゾウも太鼓判だったぞ」

 

 お前(ダンゾウ)さえ!本当にお前(ダンゾウ)さえ居なければァァ!!

 

「ていうか何で監査対象が太鼓判!?そんなのが監査するの逆に駄目でしょ!!」

「しかしなぁ……あれに首輪を付けられるのはお前だけなんだ」

「驚くほど要らない信頼を得ている!?」

「お前は私の直轄でありながら"根"ではダンゾウと同等の権利を持つ特権的な忍となる。これはダンゾウと私の力関係を確定する為の政策でもある。苦しくはあるだろうが、活躍を期待している」

「間接的に俺の殺害を企てないで下さい!"根"による謀殺が決まった様な物じゃないですかそれ!」

「ダンゾウも快諾したんだ。そこまで危惧すべき事でもなかろう」

「無理があるでしょ!ダンゾウが快諾したなんて誰も信じないよ!あの組織絶対そんな上手く出来てないし!」

「じゃあその是正もお前の仕事だ」

「仕事が増えた!?」

「冗談だ。もちろん私もそんな事が起こらないよう細心の注意を払う。……だが覚悟はしておけ」

「覚悟って何!?造血丸より大切な物!?」

 

「うるせぇーのォ」

 

 ずっと黙っていた自来也が口を挟む。

 

「洒落は小咄が基本だ。お前が暗部如きにやられる訳がねーのォ。隠した所で、お前の実績はとうに並の天才やスパイが成せる範囲を超えている。変な疑いをかけられる前に黙って綱手の管理下に置かれてろのォ」

 

 ……既に変な疑いをかけられた痕跡があった。

 

「解りました……でも条件があります」

「何?」「何だと?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。合格者が3人は()()()()()。木の葉崩しでの俺達の活躍は多くの人々の記憶に残っています。三代目ロスの激しい今なら俺達が人々の希望となる事で新体制への変革を導くことが出来る。この環境がなければ監査は一時的な効果しか持たない。強引な政策に反発したクーデターだって起こりうる。これは"根"を正す為の絶対条件です」

 

 これは賭けだ。一介の忍の枠を超えた要請。しかし里の安定だけが"根"と利害が一致する頼みの綱なのだ。俺はこの賭けに負けるわけにはいかない。綱手は"伝説のカモ"なのだから。

 

「私相手にそこまで言ったんだ……お前が指定するメンバーはさぞ有能なんだろうな?」

「腕は保証します。この眼にかけて」

「……乗った!」

 

 五代目は大きく膝を打って立ち上がった。

 自来也は軽く額を押さえる。

 

「何を勝手な事を……また上層部がうるさくなるぞ」

「上等だ。責任は取るさ。私は五代目火影なんだからね!」

 

 

 


中忍試験合格者名簿

 

―合格―

ウズマキ ナルト

ヒュウガ ヒナタ

ヒュウガ ネジ

 

―補欠合格―

ロック リー

テンテン

イヌヅカ キバ

ウチハ サスケ

ナラ シカマル

 

―その他の中忍昇格者―

ヒュウガ モモ

 

*1
初登場。造血丸を煮出したお茶。

日向ネジ、性質変化はどれ?(参考までに)

  • 火遁
  • 風遁
  • 雷遁
  • 土遁
  • 水遁
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