幼い頃のカムイとバイスのちょっとした会話。
子供バイスの性格はゴルドランのタクヤを意識して書いてます。
「なあカムイーー!あそぼーぜー!」
最近のカムイは全然オイラたちと遊びに行かない。一昨日だってピカピカ光る苔を見つけたからカムイにも見せてやろうって思ったのに、あのハゲじーさんとどっか行くからって断られた。
なーんかくやしい。このままだとハゲじーさんにカムイとられっぱなしで、もしかしたらもっと遠いとこに行っちゃったりして。
よーし、今日こそオイラたちとカムイは遊ぶんだ!リーダーのオイラが絶対つれて行ってやるんだからな!
「悪い。今日もハン博士といくとこがある」
「ええー!?またかよぉー!」
誘って早速のおことわりに、堪忍袋の緒がかたーーいオイラでもムカッとしてしまう。さすがに連続でことわられるとたまってきた文句を一個や二個は言いたい。けど、カムイはホントに悪いなって顔で言うから怒るに怒れなくなる。
ガンリューやゴズロにも言われた。今日もきっと忙しいからカムイのほうからあそびに来ない内はあそべないよって。
……わかってるんだけどさ。忙しいのも、じーさんにつれられてあっちこっち行きたいわけじゃねーのも。……なんなんだよ、なんでこんなにカムイのことつれまわすんだろ。
「ちぇー。最近よくじーさんとどっかいくよな。なあ、なんで?」
「知らない。おれはただつれられていろんなスタッフから礼節とかマナーとか教えられてるだけだ。あ、でも」
「んー?なんだよ」
「最近人間の歴史をよく教えられてる。憎いところも……いいところも」
人間。カムイに半分流れてる血はアイツら人類のものだ。実験で生まれてきたって聞いたけど、オイラたちにはそんなこと関係ない。なんだってオイラたち地リュウ一族はハチュウ人類からイジメられてるハチュウ人類。だからカムイのことはなんとなくわかるというか、同じなんだなって思ってる。
「ふーん、人間かあ。アイツらゲッター線に耐性あるだけで地上好き勝手にしてんだろ?いいよなー、選ばれてるなんて。オイラたち地リュウ一族なんてハチュウ人類からしてもはなつまみものだぜ?」
「特殊な能力とゲッター線に耐性がある。地リュウ一族はそれしか違わないのにな」
「そーなんだよ!奇形とかさ異形種とかさ、ひどいこというよな。エラいやつはさ、ハチュウ人類みんなが持ってないもんを地リュウ一族が持ってるからこわいんだよ!おくびょうなんだ!」
言葉が荒くあつくなる。オイラたち地リュウ一族はこの差別させられる事へのくやしい気持ちをずっと抱えてる。力を持っているだけで嫌がられて、蔑まれて、虐げられる。同じハチュウ人類なのに同じじゃないなんて絶対におかしい。
「大きな声で言うなよ。聞こえたら最悪処刑される…」
「処刑なんてこわくねーし!オイラは誇りある地リュウ一族のバイス!いつかキャプテン・ニオンのような英雄になるのが夢さ、ぜーんぜんこわくねー!」
「だから、心配してるんだ。バイスが死ぬのは…嫌だなって」
カムイの赤い目がじっとオイラを見てる。怒ってるときはいつもじっと相手を見る癖がカムイにはある。でもカムイは自分の気持ちすら抑え込んでホンネをなにも言わないからオイラはこういうときイライラしてしまう。
「なんでだよ!戦士として死ぬのはハチュウ人類の名誉そのものだろ!いまは戦争なんてやってないんだし、ツマはじきにされてのたれ死になんて絶対ヤダ!気持ちくらいは戦士でいたいんだよ!」
「バイス。だから、これ以上は…!」
またカムイが読めない表情でじっと睨んでくる。そりゃオイラだってホントは喧嘩なんかしたくない。いつまでもトモダチでいたいし、仲良くしたいし。…そうだ。カムイもオイラもどっちも得する方法って一つだけあるじゃん!
「よし決めた!カムイ!オイラはな、カムイのために死ぬぜ。そーすりゃトモダチを助けた名誉で死ねるもんな!」
今日のオイラは頭が冴えてる。友情のために死んだらカムイもこれで良く思ってくれる、きっと笑ってくれる、トモダチに命を掛けられるって素晴らしいことのはずだよな!
「…そういうじょうだんは嫌いだ」
*
あの紅の目が、なんでそんなに苦しそうに訴えかけてたのか、あのときガキだったオレには理解することはできなかった。ただ、単純にこれ以上の余計な言い争いをしたくないだけだと思っていた。
そうだったな、あのときのカムイ様もあんな目してた。
あの見下ろすカムイ様の目が、紅い目が、幼少の頃の走馬灯と重なり合った。
今になってわかった気がする。その目が訴えてる感情は、悲しみではなく哀れだと。