誰もいないから、俺が英雄になる   作:沖縄の苦い野菜

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第11話 乱痴気騒ぎ

 

 君がいなくなった時、天界に還るべきか、本気で悩んだものさ。

 だって、君は初めての眷属で、その時はたった一人の子どもだった。

 

 その決意も、その覚悟も、そしてその思いも。そのステイタスをずっと見てきたから、知っているさ。

 だから、自慢の子どもだって胸を張って答えられる。神友にだって、堂々と言える。

 

 ――君はボクの誇りで、自慢の子どもさ。

 

 そのスキルが発現した時、飛び上がりそうになるほど嬉しかった。こんなに嬉しい親孝行があるのかい、って泣いちゃいそうだった。

 その魔法が発現した時、ちょっと妬いちゃったさ。だって、それは神友の愛した人の名前だったから。星を冠する君にはお似合いだったけど、ちょっぴり悔しかった。

 

 そして、あの魔法が発現した時、神生最大の壁にぶつかった。

 だって、君は決して英雄になりたいわけじゃないって知っていたから。それなのに、こんな魔法が発現してしまうなんて。

 

 ――追い込まれていたんだね。悔しかったんだね。それでも、叶えたかったんだね。

 

 必ず成し遂げてやる。

 その頑固な意思が、奇跡(まほう)を生み出した。

 

 ――ボクはめいっぱい泣いた。泣きながら、君のことを慰めて、慰めてもらって。それでも、君のその思いを尊重したかった。

 

 だから、嘘偽りなく、君に教えた。

 一人にしないでくれ、ってワガママ言っちゃったけど。わかっていたさ。君がその言葉を理由に、立ち止まらないことなんて。

 

 君は、周りに恵まれすぎちゃったんだ。それはとっても嬉しいことだけど、それが君の背中を押しちゃったんだって思うと、やるせないよ。

 

 ――正義は巡る、って。確か、アーディ君の言葉だったね。その通りだ、ってボクは胸を張って言うよ。

 

 君の正義は、君の願いは、君の思いは、確かに巡った。

 

 

 君の聖火を受け継いだのは、アリーゼ君だった。

 誰よりも最初に、君の願いを受け継いだ、とても聡明な子だよ。君のことをいつも気にかけてくれて、とても賢くて、行動力がある。君の背中を押したのは、確かに彼女だった。

 

 

 君の正義の意思を受け継いだのは、リュー君だったね。

 あの子は立ち直ることが出来ないでいたけど、確かに君の思いを受け継いだ。とても、とても強い子だ。君の死を誰よりも真摯に、真っ直ぐすぎるくらい受け止めて、壊れそうになって。膝を屈しても、彼女は何度だって立ち上がろうと、自分を奮い立たせていた。

 

 

 君の頑固な英雄覇道。その突き進む力を継いだのは、フレイヤのところの眷属(こども)だった。

 彼は君のその確固たる道に、漢として憧れたんだって。だから、君のように、己の意思の障害となるようなものは、全部、全部、立ち塞がったはしから打ち砕くと決めて、修羅の道を突き進んだ。

 

 

 何があってもその意思を貫き通そうとする、不屈の精神。何度だって立ち上がるその頑固な意思は、二人の英雄を死の淵から立ち上がらせた。

 たかだか若輩の君に救われたことが、心底頭にきたみたいだった。そんな君に立ち直れと行動で示されて、二人は意地になった。君の思いを無駄にしないために、悪の業火にその身を焼かれようとも、もう一度立ち上がってみせたんだ。

 

 

 そして、再起した二人の英雄に育てられたのが、ベル君だ。

 君の話は、英雄譚として聞いていたみたいだけど。直接、ああなれ、こうなれ、とは言われたことがないみたいだね。それなのに、あの子は君に似てきていて……いや。きっとこれは、あの子の本来の性分なんだろうね。

 

 

 何より、君が居る!

 願いを、思いを、意思を。巡らせようと奇跡を起こした君が、確かにいる!

 

 君は何度だって、幾度となく、いろんな人に手を伸ばしてきた。

 誰彼構わず、それこそ最後は見境なしに願いを叶えようと、オラリオ全体に手を伸ばした。

 

 ――だから今度は、君が手を取る番だよ、アストラム君。

 

 最高の結末は、もうすぐそこまで来ているじゃないか。

 だから、一緒に乗り越えよう。君が今までやってきたことは、決して無駄なんかじゃなった。

 

 君が築いた礎は、確かに今、実り始めている。実っている。

 

 

「始めよう、アストラム君」

 

 

 ――君たちの“眷属の物語(ファミリア・ミィス)”を!

 

 

 

 

 

 

 

「今回の作戦の復習だ」

 

 『豊穣の女主人』の従業員住居スペース。そこのリューに与えられた部屋の中で、アストラムは窓際の壁に背を預けて口を開いた。

 

「俺たちは異端児(ゼノス)たちに紛れて、一つのグループにまとまって行動する。グループリーダーは一応人蜘蛛(ラーニェ)だが、指揮自体は俺がとる。そして、俺がもし追撃に出たら、指揮権を輝夜に譲渡する。ここまではいいな?」

 

 ベッドに腰掛けて話を聞いていたリューは頷く。

 一方、入口に背を預けていた輝夜は、貼り付けた笑顔で口を開く。

 

「まーた単独行動でございますか。英雄様は自分本位に立ち回るのがお好きですねぇ」

「アリーゼをこっちに回してくれるなら、二人で追撃する」

「……ちっ」

 

 笑顔が瞬きのうちに真顔に変わって舌打ちをかました。いやもう少し猫かぶっとけよ、とアストラムは思いはしたが、口にはしない。口にしたらどんな言葉を吐かれるかわかったものではない。

 

「ならそもそも、リオンを外に回して、団長と交代させるべきだ。向こうの指揮にはライラがいるから問題もない」

「ダメだ。そうすると外の戦力が足りない。こっちのアテが外れて、外に全部集中していたら、十中八九逃げられるぞ」

「曲がりなりにもレベル6が一人、陣頭指揮のレベル5が一人、他団員揃ってレベル4だとしてもか?」

「外に出るってことは、目的は密輸の可能性が高い。人質救出のための戦力として、リューに期待はできない」

「っ……!」

 

 ギリ、と歯噛みするエルフを無視して、アストラムは言葉を続ける。

 

「人員の配置に変更はない。また、各グループの他リーダーは、歌人鳥(レイ)石竜(グロス)蜥蜴人(リド)に加えて、猛牛(アステリオス)が参加する。それぞれレベル6、7相当の実力だ。襲撃されても遅れは取らない」

 

 加えて、その直属には最低でもレベル5相当の異端児(ゼノス)が一人以上ついている。他もレベル4相当が大半であり、特別脆弱な面子は、すべてアストラムと行動を共にすることになっている。例外として該当班の人蜘蛛(ラーニェ)獣蛮族(フォー)だけが実力者なのは、最低限の自衛のためである。

 

「俺が追撃に出た場合、輝夜とリューの役割はあくまで異端児(ゼノス)たちを目的地まで護衛することであり、戦闘参加の為じゃない。追撃した俺が、実はまんまと敵の陽動にハマっていた時のための最後の砦だ」

「……口惜しいな。せめてアーディを同行させられるなら、私が共に追撃に参加したものを」

「あっちはオラリオ全域で仕事をしてる。諦めろ」

 

 これがただの闇派閥掃討のためであったのなら、【ロキ・ファミリア】とも連携をすることで、人員の穴を埋めることは容易かった。しかし、異端児(ゼノス)が関わるとなれば、必然と関係者のみに人手は絞られ、どうしても万全で挑むことは難しくなる。

 

「さて、これから話すのは追撃した後の話だ。これは地上との連携も必要になってくる。場合によっては、猛牛(アステリオス)の投入も考えられる」

 

『……は?』

 

 輝夜とリューが揃って声を上げる。何を言っているんだ、とその表情は口より雄弁に言いたいことを物語っていた。

 

「人造迷宮の入口は、わかっている通り最硬精製金属(オリハルコン)の扉が用いられている。正直、これを破壊するのは無理だ。可能性があるとしたら、ザルドとオッタルくらいだろうな」

 

 ――だから閉じ込められる、という事態は考慮に入れない。

 どのみち追撃で侵入するなら、考えても仕方のないリスクは考えない。彼はそう言い切って言葉を続ける。

 

「だが、扉はそうでも。天井、床、壁まで全部が最硬精製金属(オリハルコン)ってことはない筈だ。というより、現実的に不可能だ。それなら1年、2年、幾らでもかけて、俺が中からズタズタに破壊して脱出する。その間、地上組はわかっている限りの入口を、必ず固めろ。そして猛牛(アステリオス)には、18階層の入口をアーディかシャクティと一緒に見張らせろ。その段取りはアリーゼとシャクティに一任してある」

 

 つまり、と彼は人差し指を立てて。

 

「一つ、俺が追撃したら、お前たちは確実に異端児(ゼノス)たちを護衛して目的地に無事送り届けること」

 

 続けて中指を立て。

 

「二つ、その後お前たちは地上に居るアリーゼに、俺が追撃したことを確実に伝える。それだけだ。難しいことはない」

 

 二本指立てて、何でもないように言った。

 

「……」

「………」

 

 沈黙が場を支配した。

 

 尚、人造迷宮の情報提供者はアルフィアだった。彼女のおかげで、彼ら彼女らは早期のうちに対策を重ねることが出来た。

 アルフィアやザルドがこの作戦に参加してくれるなら、もはや何の小細工もいらなかっただろうに。二人は頑なに、善悪関係なく、何かに加担する様子を見せない。例外はあるが、今回の作戦に参加してくれるわけもない。

 

「……心底気に食わん」

 

 唐突に、輝夜がそう口を開いた。

 何を言い出すつもりなのか。リューは静観し、アストラムは後ろ手で窓枠に手をかけた。

 

「今、この私から逃げようとしたな?」

「……え?」

「よく見ろリオン。彼奴の後ろ手が、窓枠に掛かっている」

 

 言われて、リューも遅れて気づく。たしかに、と。そして僅かながら、重心が後ろに寄っていることも芋蔓式にわかった。関心と呆れが入り混じり、リューは思わず息を吐く。

 一方、アストラムは渋面を浮かべたまま、半歩、摺足で歩幅を調整しようとして。

 

「動くな。この距離なら、私の方が速い」

 

 その言葉と共に、輝夜が刀の柄に手を置いたことで、彼も止まらざるを得なくなる。

 

「この場で、二度だ。次はない」

 

 切っ先を喉元に突きつけられるような、圧迫感が押し寄せる。アストラムは動けない。動いたら、次の瞬間、首……はないにしても、片足くらいは飛びそうだと予感したからだ。

 

「脅迫か?」

「そう思うなら好きにしろ。その首飛ばしたあと、私も腹を切って後を追う」

「これ脅迫だろ」

「ならば、この場で私の要求を呑むのは道理だ。違うか?」

「……哀れな一般市民は大人しくそうするだろうな」

 

 リューは静観していた。いつもの戯れだろうと、呆れ混じりにのほほんと様子見を決め込んでいた。つまり、ただの脅しだと思っていた。

 

 アストラムは、機動力を削ぐために片足くらいなら平気な顔で切断してくるだろう、とは思っていた。仮に切断されたとして、死ななきゃどうにでもなる、くらいに考えている。

 

 輝夜は、マジでアストラムの首を飛ばす気だ。その後自分の腹を切って後追いするくらい平気でやる女だ。覚悟が違う。

 

 つまり、この場で誰一人として、認識が一致していない歪みが発生していた。知らぬは本人たちばかりだ。

 

「私たちはそんなに頼りなく、無力な小娘に見えるか?」

「信頼はしている」

「たわけ。ならば何故、毎回、私たちを根幹から遠ざける」

「根幹? 何のことだ。まさか、手柄欲しさに作戦の要を任せろと要求している――」

 

 緋色が閃いた。

 それはアストラムの頬を横切ると、その残光を示すように、ぷくりと血泡が浮かぶ。

 

「とぼけるな。ダンジョンの攻略に決まっている」

 

 カチ、と鍔と鞘が接触する。

 神速の御業とは、まさしくそれであった。瞳に残すは残光のみ。ただ鋭く、光を捉えた後に、その傷を認識させる離れ業。技術を極めれば、なるほどこうなるのかと、思わず二人が唸る。

 

「……少なくとも、異端児(ゼノス)たちの問題が解決するまで、【アストレア・ファミリア】を遊ばせる余裕はない」

「遊び……? 伊達や酔狂でダンジョンの攻略をしていると言ったか?」

「確かじゃない愚者の妄言に付き合って、ダンジョン攻略をしている。これを遊びと言わないなら何だ?」

「はっ! 遊びに命を懸けるのが趣味だと?」

「それが俺の価値観だ」

「ならば私もその遊びとやらに混ぜろ。それで手打ちにしてやる」

「断る。お前の命の責任まで背負えるものか」

 

 ――それだ、と。

 輝夜は眉根を寄せ、唇を噛みしめ、瞳に並々ならぬ激情を宿した。陽炎のように揺らめく瞳の奥に、一体何が宿っているのか。それは、本人にさえもわからない。

 

「その傲慢が何より気に食わん。私は冒険者だ。正義のファミリアの一員だ。命を落とす覚悟などとうに出来ている。だというのに、腫物の箱入り娘を扱うかのようなその態度。私が最も忌み嫌う接し方だ。わざとか? 私を憐れみ、心の内で嘲り、悦に浸っているのか?」

 

「そんなくだらないこと誰がするか。バカバカしい」

「……輝夜。それは、流石に被害妄想だ。彼は馬鹿にするなら言葉にする」

「否定はしないが……うぜぇ」

「言われたくないなら、己の態度を少しは改めるべきだ」

「ちっ」

「いちゃつくなリオン。神経が苛立つ」

「今のどこが……?」

 

 お前そういうところだぞ、と輝夜はリューを睨むが、生憎このエルフにそんな意図はないため、本気で首を傾げるしかない。

 そんなリューにいちいち説明するのも阿保らしいと、輝夜は息を吐いた。

 

「改めて言う。私をダンジョン攻略に連れていけ」

「じゃあもう遠慮なく言うが。お前に俺の背中を預けたくない。だから嫌だ」

「……何だと?」

「いや、冷静に考えてみろよ。自分の四肢を平気で斬り飛ばすような相手に背中預けたら、命がいくつあっても足りないだろうが」

「………」

 

 正論だった。

 いっそ清々しいくらい普通の理由に、輝夜は押し黙るしかなかった。いや確かにそうだな、と輝夜自身も納得した上に、自覚している部分が多すぎて反論の余地がなかった。

 

「揚げ足取りもそこまでだ。輝夜がそんなこと、本気でする筈がない」

「いや、こいつ俺が四肢欠損したくらいじゃ後に支障出ないからって、平気でやるぞ」

「……おやおや。英雄様は随分と憶病でございますねぇ。口喧嘩を真に受けるとは。随分と、器も肝もお可愛いことで。そのご様子ですと、漢としてもナニも矮小極まっていそうで、いっそ憐れみを覚えてしまいます」

 

 故に、リューの反論に便乗することにした。とんでもない罵倒と侮辱を乗せられたその言葉は、荒くれ者の冒険者ならいきり立って掴みかかってくるか、そのあまりの言いざまに怯んでしまうか、といったところだが。

 

「……淑女として終わってんな」

 

 アストラムは信じられないようなものを見る目を輝夜に向けた。それはもう、ドン引きという言葉がこれ以上ないほど似合う様子で、出てきた言葉はまさしく一刀両断。

 

「生憎、初心と言われるほど純粋な箱入り娘ではありませんので。無垢な男性の幻想を打ち壊してしまったのなら――冒険者に夢など見るなクソ童貞」

 

 だが、輝夜もそんな反応で怯むことはなかった。むしろ勇んで追撃に掛かり、今までの仕返しだとばかりに、言葉を重ねていった。

 

「もう冒険者云々とかじゃなくて……いや、もういいわ。異端児(ゼノス)たちの前では、口から汚物垂れ流すんじゃねぇぞ」

「態度を改めるのなら考えてやる」

「改める態度がないな。言ったらその口塞ぐぞクソ女」

「おやおや、英雄様はどうやって口を塞ぐおつもりで? まさかその粗末なモノをくわ――」

「いや、無理だわ。萎える」

「……は?」

 

 リューがギョッと肩を跳ねさせ、思わず輝夜の方を見た。

 濃密な殺気だ。それはもう、親の仇でも見るかのような怒りだ。下の階から皿が割れるような音が聞こえてきたが、気にしている余裕はない。

 

「か、輝夜。少し落ち着いた方がいい。今、ここで暴れるのは」

「あぁ、リオン。私はいたって冷静だ。冷静過ぎて、頭がいつも以上に冴え渡っている。そこのクソ不能童貞の一挙一動、今ならば肉の動きひとつ見逃さないほどに研ぎ澄まされている。――まずはその役に立たない肉棒を切り落とすか。なに、また生えてくるのだろう? ならば次のモノは立派に、そして機能することを祈るといい。安心しろ、それまで私が介錯してやる」

 

「お前そういうところだぞサイコ女ッ!」

 

 もうなりふり構ってられない、と窓から飛び出すべく重心を傾ける。

 その初動を刈り取るかの如く、輝夜が詰め寄る。既に抜刀の構えに入っており、彼が窓から飛び降りる前に一太刀、四肢の内どれかが切り落とされるだろう。

 

 とどまれば、待っているのは男にとって度し難い拷問だ。ならば片足くらい仕方ない、と覚悟を決めて歯を食いしばった時。

 

「――悪ふざけが過ぎる」

 

 その輝夜の一太刀を受け止め、木刀で弾いたのはリューだった。まるで初めからそこに立っていたかのように、二人の間に割り込んでいた。

 

「どけリオン! ここで彼奴のナニを叩き切ってくれるッ!」

「恩人に刃を向ける仲間を止めるのは当然だ! 今自分が何をやろうとしたのか、よく考えて――」

「悪いリュー。俺は逃げる! 助かった!」

「おのれっ、忌々しいスキルさえなければッ」

 

 吠える輝夜を背に、窓を突き破ってアストラムは部屋の外に脱出すると、一目散に大通りから細道に入って逃げ出した。

 対峙するリューには目もくれず、彼の後ろ姿を追っていた視線は、ものの数秒で切られてしまった。

 

 そうなってしまえば、アストラムを追うことは不可能だった。徒労に終わることは目に見えており、肩を怒らせながらも、何度も深呼吸を繰り返す。そうして、感情の猛りが鎮まったところでようやく、輝夜は納刀した。

 

 倣うように、リューもまた木刀を下ろす。

 

「彼奴め……次会った時こそ」

「……はぁ」

 

 どうしてもこうも、この二人は仲が悪いのだろうか。

 まさしく水と油といった様相に、リューはもはや何も言えず、ただ息を吐くしかなかった。

 

 

 

 そんな二人は、気付かない。

 階段から、般若と化した巨人が、迫っていることに。

 

 

 二人が後にしばき倒され、散々にこき使われたのは当然の結果であった。

 

 

 





2階であれだけ殺気バチバチにして第一級冒険者同士で武器が衝突したらそりゃそうなる

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