俺ちゃん完全復活ぅ~☆から数日後。
「そう言えば、サブクエストが全然進んでないな」
ザギが何か言い出した。
まぁ、別に遊びに来た訳じゃないからね。なのに、誰も彼もが依頼をする。皆忙しいのは分かるけど、ザギも結構身体を張ってるし、何より彼はカムラの里からのお客さんなんだからさ。親しき仲にも礼儀はあるのよ。
それで、どんな依頼を抱えてるのかね?
「フランさんから“盾蟹が爪(鋏)を構えている姿”を撮影して欲しいって言われてる」
おい、それ滅茶苦茶初期の依頼クエストだろうが。
つーか、そいつ、つい数日前に戦ったばっかりぃーっ!
……いやー、ありますよねー、狩猟の後にそいつの捕獲だの写真撮影だのを頼まれる事ねー。死ね。
「……では、テロス密林に行こうか」
ダイミョウザザミの生息域で1番近いのは密林だからな。わざわざ水没林にまで出張る気は無い。
「おお、悪いね。じゃあ、行こうか、ルーチカも一緒に」「……はい」
おっと、今回はルーチカが付随するパターンか。前回から少しくらい改善されていると良いんだけど。性格じゃなくて、戦略眼って奴ね。
という事で、レッツだGO!
◆◆◆◆◆◆
――――――みつりんっ!
『カニタマァアアアアアッ!』
エリア11の水辺にて、被写体と接敵。相変わらず美味しそうな鳴き声ですね。
……何か、ザギが来てから蟹との戦闘率が高い気がする。既にエルガド=蟹三昧ってイメージが定着しつつあるんだけど。何だそれは。
しかし、今回のクエスト対象は彼ではなく、その幼体――――――ヤオザミだ。
そう、エルガドに来て結構経つのに、こいつは未だに密林のサブキャンプを解放していなかったのである。場所自体は見付けてたんだけどね、俺が。幾ら何でも、サブキャン依頼をサボるなよ……。
「よし、俺たちが引き付けるから、頼むフィオレーネ!」
「私が撮るのか!?」
「俺、今までそういう細かい事はメラルに任せっきりだったから、写真撮るの下手糞なんだ!」
「自慢して言う事では無いだろ!?」
どうしよう、物凄いヒモ野郎が居る。メラルさんの苦労が窺えるなぁ……。
「頼むわ、ザギさん! 最高の舞台を用意して頂戴!」
「ほいほい」『ザザミィイイイッ!?』
「ワハハハハハハ! 全速前進だぁっ!」
そして、お前はどうなっちまったんだよ、ルーチカ!?
罠で拘束され爆弾置き場と化したザザミにタックルして起爆するとか、頭は大丈夫なんだろうか。何も成長していないどころか、更に悪化している気がする。わざわざ「ボマー」を積んでやがるし。
彼女に一体何を教え込んだんだ、ザギ。お前は皆大好き、ゆるふわ暗黒破壊神が由来なんだから、もう少し遠慮しろ!
『ヤサカニィイイイイイ!』
おっ、シャッターチャンス!
罠から抜け出したザザミさんのナイスショット、頂きます!
『カニパンチッ!』
「ご馳走様ぁっ!?」
だが、そのせいでクラブハンマーを真面に食らってしまった。おい、お前ら援護しろよ。
「「イェーイ!」」
ハイタッチしてんじゃねぇ!
狩りは遊びじゃないんだよ!
「さて、ヤオザミを狩りに行くか」「……そうですね」
おーい、俺の存在忘れてな~い? 処す?
「これぞ鳩撃ちィ~!」「蟹だけどね」「……楽しそうだな」
その後はエリア3の方へ移動しつつ、道中で次々とヤオザミを撃ち殺していく。流石にこれは楽だな。後で煮込んで食べよう。
「あ、そうだ」
おい、何を思い出した、石堀 光彦。
「そう言えば、黒鬼さんから「竜の極上卵」を納品して欲しいって頼まれてたんだ」
まぁ、
「流石に今回は自分で運べよ?」
戦っている方がまだマシだ。
「分かった。悪いが、援護を頼む」
「……了解しました」「分かった」
という事で、エリア6の「竜の巣」から卵を運搬する事と相成った訳だが、
『ビリリリ……バリバリダァアアアアアッ!』
ライゼクスが居たぁーっ!
刺々しい黒金に覆われた飛竜種で、顔こそ鶏冠のある猛禽類に近いが、煌めく脈翅のような翼に節足を思わせる後ろ脚、先端が鋏状になった尻尾など、昆虫然とした特徴が多い種族でもある。
甲殻に含まれる「圧電素子」によって蓄電し、放出する能力があり、一般モンスターとは思えないような電撃を繰り出して来る事から、「電竜」の異名を持つ。
分類名こそ似ているが、ポケモンのような優しさは欠片も無く、それどころか飛竜種でも1、2を争う程に凶暴なので、間違えないように気を付けよう。そんな奴、この世界には居ないだろうが。
『ギリリリリリリッ!』
いや、危ない危ない危ない!
こいつ、いきなり高速ハイハイして来やがった!
翼をダンダンと乱暴に撃ち付けながら突っ込んで来る、この独特な突進方法はライゼクス固有の物であり、過去作と比較して格段にスピードアップした“超速ハイハイ”になっている為、避けるのが非常に難しい。先読みしてカウンターを当てる以外は、緊急回避するしかないだろう。
さらに、他にも意味不明な軌道の雷柱やアクロバティック過ぎる滑空旋回飛び掛かり攻撃など、動きが目で追えない技を次々と仕掛けて来るので、苦手な人はとことん苦手なモンスターである。
ただし、動作こそダイナミックで素早いが、あまりにも曲芸過ぎるが故に、少し距離を取って観察すると、割と隙だらけなモンスターでもあり、落ち着いて対処すれば大剣などの鈍重な武器でも充分に戦える相手でもある。
だが、今は運搬クエスト中。こんなイカレた雷族を相手している余裕は無い。
「食らえ、閃光玉!」『ミギャァッ!?』
なので、エリア6の卵は諦め、ライゼクスの目を晦ませつつ、エリア5へ移動。そちらの卵で賄う事にした……のだが、
『キュァアアアアアアッ!』
「リオレイアも居たーっ!」
初期位置が近過ぎるだろ、お前ら。やっぱりアレなのか、石崎 秋子が見ちゃうような展開が待っているのかぁ!?
「クソッ、頼むぞ、「閃光羽虫」!」『キュェアッ!?』
という事で、こっちは環境生物で目晦ましをして、その隙に卵を運搬する事になった。
『キュァォォォッ!』
「チッ、暴れやがる! スマンが頼む、フィオレーネ!」「やったらぁあああっ!」
しかし、位置が悪かったのか、ヘイトが完全にザギたちへ向かっている為、とても運べる状況ではない。目が眩んでても、強者の気配という物が分かるのだろうか?
とにかく、ここは馬鹿と鉄砲玉の代わりに、俺が運搬するしか無いだろう。どっこいしょ。
――――――ザシュッ、ザシュッ!
あれ、何か嫌な音が……?
『ブルル……!』
「なぁっ……!?」
音源に目を向ければ、何と突進態勢を取るブルファンゴの姿が。さっきまで呑気に昼寝していた癖に、今更起きて来るなよ!
……って言うか、ちょっと待って、来るなファンゴ!
俺の傍に近寄るなぁーっ!
『ブルヒィッ!』「ぐわばーっ!」
案の定、俺はブルファンゴに突き飛ばされ、全身卵だらけになった。
『ブヒヒヒヒッ!』
ブルファンゴが哂ってる。
『グフハハハハハッ!』
エリア移動して来た、ライゼクスも嗤ってる。ル~ルルランランル~♪
「お前らぶっ殺すぅううううううううううっ!」
「ちょっ……落ち着いて、フィオレーネさん!」
「黙れ小僧!」
「いや、わたし、もう立派な大人なんですが!?」
もう運搬なんてやってられるか!
お前ら全員、鏖殺してくれるわ!
※この後、滅茶苦茶戦ってから、どうにか無事に卵を運搬しました。
◆ブルファンゴ
猪のような牙獣種の小型モンスターで、成長した群れのボスたる雄個体は大猪「ドスファンゴ」と呼ばれて分別される。繁殖力と環境適応能力が高い為、大体何処にでも居るのが特徴。一部の湿潤な環境にしか生息していないモスとは対照的である。
モデルがそのまんま猪だからか、何かに付けて突っ込んで来る、文字通りの猪突猛進なモンスターであり、大型モンスターとの戦闘中や運搬クエストの際に突き飛ばされると、思わず鏖魔のような叫びを上げたくなる。