モンスターハンター:サンライズ・ブレイカー   作:ディヴァ子

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頑張れジェイくん!


閑話:バケツの騎士

 深緑溢れる森の奥~

 

 ――――――ベンベン!

 

 密林に眠る棘姫~

 大地と同化し、安寧を享受す~

 

 ――――――ベベン!

 

 あなや、迂闊~

 安眠を妨げし者共、覚悟せい~

 

 ――――――ベンベンベンベンベンベベベベン!

 

 竜眠、暁を与えず~

 

          ……演者:MUKAGO

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 やぁ、皆さん、こんにちはっス!

 オレ、ジェイ! 王国騎士団の、期待のルーキーっス!

 ……まぁ、つまり新米のぺーぺーナイトって事っスね。実戦経験はそこそこあるけど、流石に先輩方には勝ち目が無いですねぇ。

 特にガレアス提督は歴戦の猛者って感じで、正直憧れちゃいますよ。髪型をコッソリ真似ちゃうくらいには。むしろ、羨望の眼差しを向けない奴なんか居るんスかね?

 

 ――――――コホン。

 

 とりあえず、オレの憧れ云々は置いておいて、今はフィオレーネさんですよ。

 騎士団筆頭にして、オレにとって大先輩たる彼女が、メル・ゼナに盛られた毒で倒れて早1日。一時は死んだ物と思われましたが、実は仮死状態であり、その深い眠りを覚ますには薬師のタドリさんを探さねばならなくなったんですけど……ここで問題が起きましてねぇ。

 本当の姉妹のように仲が良いチッチェ姫様が、何とゴリ押しでザギさんたちのクエストに付いて行ってしまい、一時的に受付嬢が居ない状態となり、情報が錯綜、クエストがバッティングしてしまうという、あってはならない事が発生したんスよ。普通、こんな事あり得ないっスから。

 逆に言えば、受付嬢の仕事はそれだけ大変って事っスね。だって、少なくないハンターたちの出向先を被りなく配置し、それらの集計とかまで全部1人でやってるんですから。オレには無理っスねー。

 ちなみに、依頼主はバハリさんで、解毒の為の毒を求めてエスピナスの狩猟を依頼して来ました。

 その時は既にチッチェ姫が飛び出した後であり、あの人には珍しく慌てていたせいか、フィオレーネさんの容体についてしか耳に入らず、てんてこ舞いでクエストを独断で発注してしまったんス。普段は喧嘩ばかりしてるけど、喧嘩する程何とやらって奴っスかね?

 そんで、その時はオレも塞ぎ込んでいて、情報が全然入って来てなかったから、何の違和感も無く受注して、今回のバッティングになってしまった訳っス。逸る思いを募らせながら密林に到着して、チッチェ姫様の姿を見た時は心臓から気光ブレスが飛び出すかと思ったっスよ。

 しかも、悪い事に標的であるエスピナスが、オレをバッチリとターゲットしちまって、そこからはもう追いかけっ子でしたね。

 余談っスけど、当のチッチェ姫様は持ち前の幸運スキルでタドリさんを発見し、その彼が姫様を守る為に放った閃光玉のせいで、大興奮状態のエスピナスがオレの居るエリアに突っ込んで来たんスよ。

 いやー、有難いけど、ちょっと迷惑。

 

『バリバリッシュァアアアッ!』

 

 そして、逃げた先にはザギさんたちと交戦中のライゼクスが居るっていうね。最悪の展開だろ、これ。

 

「カムラ忍術、「操竜波」!」

 

 だけど、怒れるライゼクスも突進エスピナス号も、突如現れたウツシ教官により無力化され、事無きを得たっス。

 いよっ、流石はカムラ忍術の使い手!

 オレ、この人と結構馬が合うんスよねー。普段何してるのかよく分からないけど、そこを含めても最高の話し相手っス。

 こうして、万事は解決――――――したと思ったんだけどなぁ。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 逢魔ヶ時の鬼ごっこ~

 

 ――――――テンテン!

 

 漂う黒霧、迫る異妖~

 

 ――――――テテテン!

 

 小袖を引かれ、気付きし時は、既に手遅れ~

 足掻け、惑え、踊り狂え~

 

 ――――――テンテンテンテンテンテン!

 

 我は凶霊、悪意の化身~

 

            ……演者:MARUKO

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 

『ゴァアアアアアアアッ!』

 

 まさかの黒蝕竜ゴア・マガラの登場。

 

「ィクゥウウウウウウッ!」

 

 ウツシ教官の大叫喚。逝かないでくださ~い。

 

「……一狩り行くぞ、愛弟子!」

「了解!」

 

 さらに、そのままゴア・マガラとの緊急クエストへ移行。

 ゴア・マガラは狂竜ウイルスをばら撒き、生態系を崩壊させる危険生物。ただでさえ荒れている王域をこれ以上混沌にされては堪らない。恨みは無いが、その命、狩らせて貰おう!

 

「わたしのスーパーパワーを見せてやるわ!」

「その前に回復しましょうね、ルーチカさん」

 

 あんた、さっき瀕死の重傷を負ってたやろ。

 

「俺に従え!」「失礼しますよっと!」

 

 ……と、これでドスファンゴ先輩も万全の状態になったし、操竜(ライゼクスがザギさんで、エスピナスがオレ)も交えて一狩り行きますかぁ!

 

『バリバリダァ!』『スピナァアアス!』

『ゴァヴヴヴゥゥ……!』

 

 良いぞ、効いてる効いてる。流石は自然界でも指折りの強者たちだ。翼脚の一部と右前脚を破壊したぞ。

 

「ヒャッハーッ! 汚物は消毒だぁあああああっ!」「愛弟子との狩り、やっぱり最高!」

 

 ついでに、ルーチカさんとウツシ教官が左前脚を破壊して、怯みも取った。これはチャンス!

 

『ゴァァヴヴヴウウウウウウウッ!』

 

 しかし、同時に怒り状態になってしまい、グラつき掛けた意識も覚醒。周囲を狂竜ウイルスのベールで包みながら、折り畳まれていた触角を屹立させた。

 うーん、滅茶苦茶カッコいい……けど、これ以上ウイルスをばら撒かれる訳にはいかないっスね。多少であれば免疫で克服出来るけど、吸い続ければオレたち全員お陀仏っスよ!

 

『ゴァ! ゴァ! ゴヴァッ! ゴギャヴォオオオオッ!』

 

 怒り狂うゴア・マガラが、ウイルス弾を連打しながら、6本の脚で突っ込んで来る。

 

「食らわん!」「くそっ……!」

 

 ザギさんはきちんと手綱を握れていたっスけど、オレの方は被弾しちゃったっスね。やはり本場の操竜はレベルが違うッス。

 

『ゴォルヴァッ!』

「おはぁぁんっ!?」

 

 その上、クルっと回って横タックル。ヤバいヤバいヤバい、鉄糸拘束が解けちゃうー!

 

『シィィゴォラスッ!』「お、おう?」

 

 凄い耐えるじゃん。あれ、何かちょっと可愛く見えて来たような……じゃなくて!

 

「そい!」『ゴガァッ!?』

 

 おお、教官殿がシビレ罠で足止めしたぞぉ!

 流石はザギさんの師匠、眼にも止まらぬ早業っス!

 

「そりゃああああ!」『ギャアアアア!』

 

 そして、螺旋斬と鬼人空舞のコンボ攻撃を叩き込み、ゴア・マガラの片角をへし折る。カムラの戦闘技術をまざまざと見せ付けられた感じっスね。

 

「うーん、濡れるッ!」

 

 その後、ルーチカさんがもう片方を叩き割った。その表情止めて。

 

「行け、ライゼクス! 「ワイルドボルト」!」『ガギャギャギャギャッ!』

『グァアアアアアッ!?』

 

 さらに、ザギさんのライゼクスが大技を決め、ゴア・マガラを引っくり返す。……これは負けてられないっスねぇ!

 

「頑張れエスピナス! キミはやれば出来る子だ!」『スピァアアアアアアッ!』

『グギギギギッ……!』

 

 うっしゃあ! エスピナスの毒麻痺炎ブレスからの突進攻撃が決まったぜぇ!

 

『……ゴァヴォオオオオオッ!』

 

 ――――――ええぇ、こんだけダメージ入れたのに、まだ死なないの?

 流石はいずれ古龍になる器、しぶと過ぎる。操竜も終わっちゃったし、弱ったライゼクスとエスピナスの捕獲は、片手が自由なザギさんとニンジャなウツシ教官に任せるとして、こっちはオレとルーチカさんでやるしかないか!

 

『ギャゴオオオ……ゴヴァアアアアアアッ!』

「「緊急回避ィ!」」

 

 と思ったらこれっスよ。何だ、今のダイナミック滑空ダイブ。風圧で拘束しようとするな!

 

『ゴギャゴガガガガァアアアアアッ!』

 

 クソッ、後が無いからか、ハチャメチャに暴れやがる……!

 

「バ~リだバキボキ華やかにぃ~!」『ガァッ!?』

 

 おお、ナイス徹甲榴弾ですよ、ルーチカさん!

 ……でも、そのヤバ魔女デスミな呪文は止めましょうねー。

 

「せぇりゃああああっ! ……ポチッと」

『グギャアアアアアッ!?』

 

 そして、止めはオレが貰うっスよ――――――落とし穴でね。捕獲出来るなら捕獲する。不意打ち罠嵌めは騎士道に反するとか、そんなのどうでも良いから、捕まえるんだよぉ~!

 

「ふぅ……やったぜ!」

「何でわたしに討たせないんだ、この馬鹿野郎ァッ!」

「ええぇーっ!? ……ホグワーツッ!」

 

 だが、何故かルーチカさんには銃身で殴られた。理不尽ッ!

 

 ……ま、まぁ、これで解毒薬の材料も作り手も揃った事だし大丈夫、だよねぇ?




◆操竜波(名前は思い付き)

 ウツシ教官の必殺技にしてカムラ忍術の奥義。翔蟲と協力し合い、眼にも止まらぬ速さで斬り抜け、操竜待機状態へ持って行く事が出来る。百竜夜行でこれが成功した時の嬉しさは語るまでも無い。特にヌシ戦。
 しかし、この世界線では、成功しても拘束を振り切られたり、何らかのアクシデントが起こって失敗し、ウツシが叫喚する事がパターン化している、哀れな技でもある。
 まぁ、当人がそれを望んでいる節もあるので、別にどうでも良かろうなのだ。
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