マガイマガド。
「怨虎竜」の異名を持つ、牙竜種の大型モンスター。
その名の通り怨霊+落ち武者+虎という組み合わせのデザインで、マガラ骨格のマッシブなボディは、背側が紺藍色で腹側が暗樺色の甲殻に覆われており、梔子色の突起が縞模様を描いている。「腕刃」と呼ばれるブレード(元は小指)を両手に携え、尻尾には開閉式の十文字槍、頭には象徴的な兜飾りを持っていて、まさにおどろおどろしい落ち武者の牙竜と言った感じの見た目だ。
さらに、食べた獲物から「鬼火」というガスを精製し、それを身体能力の強化や推進装置に使うという、お前は本当に牙竜種なのかと突っ込みたくなる能力を有する。
そう、こいつ翼の無い牙竜種の分際で空を飛べるのである。
しかも、古龍を相手にも平然と食い下がる、ラージャンやイビルジョーやバゼルギウスなどに並ぶ、古龍級生物の一種でもある。お前のような牙竜種が居るか。
また、角が折れて交尾の権利を失った雄は暴走し、「怨嗟響めくマガイマガド」と呼ばれる特殊個体になるという。その強さは通常個体とは比較にならず、そもそも自暴自棄な
……えっ、何で突然そんな話をするのかって?
『グヴォオオオッ!』
「仕掛けて来るぞ!」
「仕掛けて来るぞじゃないが!?」
激昂ラージャン(尻尾あり)とオロミドロ亜種の戦いに乱入してきたマガイマガドが、いきなり鬼火を噴出しながら突っ込んでくる必殺技――――――「大鬼火怨み返し」を仕掛けて来たからだよ!
いや、おかしいだろ、それは!?
お前、どう見ても通常個体だろうが。確かに腕刃がソードブレイカーみたいな形にはなってるけど、角は健在だし、常に鬼火を纏っている訳でもない。
なのに、怨嗟マガド染みた真似をするなんて、そんなのおかしいよ、ミサトさぁーん!
「よいしょ」
お前は何を冷静に落とし穴を設置してんだよ、ダークなザギィ!
『グヴォォォォ……ワヴォッ!?』
そして、最後の急降下で見事に嵌まるマガイマガド。何やってんだよ、お互いに……。
「よし、“昏睡玉”を使うぞ」
「えっ、何それ?」
さらに、藻掻くマガイマガドを横目に、アイテムポーチかあら謎の煙玉を取り出すザギさん。おい、何だその知らないアイテムは。
「おいおい、王国騎士筆頭ともあろう者が知らないのか? まぁ良いさ。こう使うんだよ!」
言うが早いか、ザギは5発の昏睡玉なる物をマガイマガドに当てた。
『ヘェァ!? ……ZZZzzz』
すると、あっという間にマガイマガドが昏睡してしまったではないか。ヤバいな、それ。
「さて、後はオロミドロ亜種をどうするかだが――――――」
ああ、そうか。まだ狩猟の最中なんだった。オロミドロ亜種と激昂ラージャンはどうなった?
『キェアアヴォッ!』
『オドロロロ……!』
「死に掛けてるぅ!」
ヤバいヤバい、オロミドロ亜種が殺され掛けとる!
歴戦の激昂ラージャンを相手取ってるから仕方ないとは言え、今回は調査=捕獲を目的にしてるから、生け捕りにしないといけないんだってばよぉーっ!
「ザ、ザギ! 激昂ラージャンを止めてくれ! もしくは罠の設置を頼む!」
「俺、今シビレ罠しかないんだけど? トラップツール忘れちゃったからね」
「こんな時に限って何をやっとるかー! この頭ゆるふわ暗黒破壊神がよ!」
「いや、何の話をしてるの? 頭ゆるふわ暗黒破壊神って一体何の事さね?」
「私が知るかぁっ!」
闘気硬化中のラージャンはシビレ罠が殆ど通じないから、実質的に穴嵌め出来るのは俺だけという事になる。ええい、面倒な!
「まぁまぁ落ち着きなよ。あのラージャンは俺が相手にするから、オロミドロ亜種の方を頼むよ」
「……分かった。頼むぞ!」
クッソォオオオッ、チキショーメェエエエ!
「おーい、少しは落ち着け、イージャンさん」
『ギィヤヴォオオオオオオオオオオオオオ!』
「まぁ、無理だよな。仕方ない……やるか!」
そして、ザギと激昂ラージャンの戦いが始まる。
『ゴァアアアアィッ!』
やはり、攻めるのは激昂ラージャン。空中で雷光弾を乱れ撃ちしつつローリングでダイナミック着地して、ホーミング性能の高いタックルを繰り出す。
さらに、ケルビステップで距離を取ったかと思ったら、突然両拳を叩き付けて稲妻を地走らせ、次いでスライディングで再び間合いを開け、気光ブレスを放った後、超級覇王電影弾みたいな攻撃を仕掛けて来た。
いや、化け物かよ、マジで。ただでさえ“超攻撃的生物”と呼ばれる奴が激昂しているだけの事はある。
そして、専念しているとは言え、全て避け切るザギもまた怪物だ。俺だったら絶対にどれかは被弾してる自信があるぞ。
「そいや!」
『グゥゥゥ……ZZZzzz』
その上、一瞬の隙を突いてシビレ罠を張り、ほんの少しだけ動きが止まった隙に昏睡玉を2発当てて、マガイマガドと同様に昏睡させてしまう始末。わ~い、化け物ぉ~♪
……って、感心してる場合じゃない。さっさとオロミドロ亜種を捕獲しなくては。
『オロロロ……』
よし、瀕死で動きが鈍いな。先ずは落とし穴を設置して、後は逃げられないよう釘付けに――――――、
『……オロロロァッ!』
「ええっ、自分で入ったぁ!?」
だが、ここでまたしても予想外の事態が発生。何と閃光玉などの妨害を受ける前に、空いた穴に自ら嵌まったのである。その後の捕獲用麻酔玉も抵抗する事なく、本当にすんなりと受け入れ、そのままグースカ寝に入ってしまった。
「ええっと……」
もしかして、このまま逃げても溶岩洞に居場所は見出せず、そもそも逃げ切れるかも分からないから、唯一助かりそうな道を選んだ、のか? まったく、変な所で老獪な奴だなぁ……。
ともかく、目的は果たした。もう帰ろう、早く帰ろう、今すぐ帰ろう! 2度と来るか、こんな超獣大魔境!
「それにしても昏睡玉、か……」
――――――色々と確かめたい事も、あるしな。
特に
◆激昂ラージャン
「超攻撃的生物」と揶揄される、最強レベルの大型牙獣種「ラージャン」が激昂した状態の個体。リミッターである尻尾が千切れており、常に全開の最初からクライマックスな化け物だが、当然ならが身体には多大な負担が掛かっており、長生きは出来ない。
特殊個体なだけあって、戦闘能力は抜きん出ており、かめはめ波処か元気玉や超級覇王電影弾までやらかしてくる。当たれば勿論キャンプ行き。
ちなみに、この世界の溶岩洞に居る個体は何故か尻尾が再生していて、激昂状態をただのモードチェンジとして使い熟している。
むろん、その強さは折り紙付きで、新米のオロミドロ亜種如きが勝てる筈もなかった……。
また、変に手出ししなければ寛大な態度を取る事から、カムラの里では「良いラージャン」=「イージャン」呼ばわりされていたりする。カジュアルじゃ~ん♪