モンスターハンター:サンライズ・ブレイカー   作:ディヴァ子

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天鱗系統の出難さヨ……。


カムラから来た男

 べつのひっ!

 

「慣れぬ船旅で疲れが出たかな?」

 

 船室から甲板に出て朝日を拝んでいるザギに、俺は気さくな感じに声を掛けた。

 フィオレーネの情報はイベントムービーぐらいでしか知らないが、肉体に刻まれた記憶が教えてくれる。彼女は案外、気さくな人物であると。公私をきちんと分けていると言っても良い。

 だから、戦友として迎え入れるザギには堅苦しく無い話し方をするし、ラパーチェ(ばか)には鉄拳制裁を加えるのだ。

 

「いや、ネコタクよりもずっと良いし、良く眠れたよ」

「そうか……」

 

 いや、そうだけど、そうじゃないだろ。ネコタクと比べたらマガドコースターもメリーゴーランドなんだよ。

 まぁ、それはそれとして、

 

「間も無く到着するぞ。私たちの拠点、エルガドに……」

 

 いよいよ見えて来ましたよ、エルガドが。

 半壊した砦を再構築した新拠点であり、足場は木の板で建物の殆どは再利用と、お世辞にも立派ではないが、如何にも小さな港町と言った、生活感のある雰囲気が素晴らしい。元がやもめ暮らしだから、ちょっと狭いくらいが丁度良いのよ。

 そして、俺は知っている。フィオレーネの部屋が、実は乙女要素満載だという事を。布団の柄こそ支給品のエルガドマークだが、ベッドの上はぬいぐるみでいっぱいだし、戸棚は鉱石系の置物やフクズク型抽選器などのミニチュア類で彩られていたりと、中々に可愛らしい内装である。俺の寝室は完全に“汚部屋”だったから、穢さないように気を付けよう。

 

「へぇ、色々と揃ってるんですね」

 

 船から降りて、周囲を見渡しながら歩いていたザギが、ポツリと呟く。あくまでも“予測よりは”だろうが。

 ここには蒸気機関が取り入れられているからな。規模こそ小さいものの、それを補って余りある程には効率的に稼働している。特にお湯回りの良さは、ちょっとした自慢だ。何と個室にシャワーが付いてるんですよ。行こうと思えば、銭湯で羽も伸ばせるし。

 いやー、やっぱり風呂は命の洗濯よね。……覗くなよ、お前?

 

「気に入って貰えたようだな。ゆっくりと案内したい所だが、先に紹介したい方が居る。行こうか」

 

 そう、先ずは拠点の長たるガレアス提督との面会ですよ。

 

「ガレアス提督、カムラの里よりハンターをお連れしました」

「歓迎する」

 

 エルガドの中央にある「騎士団指揮所」――――――砦の残骸に木枠を組んで幕を垂らしただけの簡素な場所の、これまたど真ん中に、如何にも偉そうな恰好と腕組みで立っている彼こそが、ガレアス提督である。フゲンさんとは旧くからの付き合いであり、気焔万丈で暑苦しい彼とは対照的な、冷静で騎士然とした雰囲気をしている。

 むろん、曲者揃いのエルガドを纏めるだけあって、カリスマ性のみならず実力も伴っており、見事な大剣裁きでバッタバッタとモンスターを薙ぎ払うんだとか。まだ俺自体は目にしてないから、受け売りでしかないけど。

 

「(ワクワク)」「………………」

 

 さらに、ガレアス提督の脇には2人の騎士がおり、何かワクワクしてる赤髪の若造が「ジェイ」、クールというか鉄面皮な黒髪の美女が「ルーチカ」という……らしい。知識は有っても実際に目にするのは初めてなので、何か変な感じがするな。まさか、一番の地雷キャラがルーチカさんだとは、思わんかったねぇ……。

 さて、それはそれとして、話を進めるとしよう。

 

「ガレアス提督は、この拠点の全てを取り仕切っておられる。そして、私は副官としてお傍に使え、補佐をしている立場だ」

「そうなんですか」

 

 そうなんですよ。実質エルガドの№2なんですよ、フィオレーネさんは。つまり、俺は将来のニューリーダーなのだ!

 ……スタースクリームるのは止めよう。謙虚が一番。

 

「そうだ。故に任務については、提督の指示を受け、私から貴殿に伝える事になる。これから宜しく頼むぞ」

「了解しました」

「それと、私に対して敬語はいらんぞ。貴殿とは、あくまで戦友として付き合って行きたいからな」

「……分かった」

 

 うんうん、素直で良い子だね。正直、大して年の変わらない相手に敬われるのはむず痒いからね。

 ――――――さてさて、ここからザギのマスターランクのクエストが始まる訳だが、流石に初日から即狩猟というのは、幾ら何でも可哀想だ。だから、

 

「一先ず、ゆっくりと拠点を見て回ってはどうだろう?」

 

 近頃のエルガドはモンスターの急な縄張り拡大のせいで重たい雰囲気になっていたが、カムラの猛き焔という有名人が来た事で、多少なりとも明るくなった。それを是非とも目で見て、肌で感じて貰いたい。君はまさに太陽の光(サンライズ)なのだ。

 

「ただ、アルロー教官という人が、貴殿に会いたがっているから、最初は彼の所へ行ってくれ。何か伝えたい事があるのかもしれない」

「了解だ。とりあえず、行ってみるよ。あの如何にも厳つい人だよね?」

「……ああ、その人だ」

 

 少しは歯に衣着せようよ。

 

「彼は強いな。そして、もっとずっと強くなる」

 

 と、ザギがアルロー教官へ会いに行くのを遠目に、ガレアス提督が呟く。

 

「ええ、猛き焔の名に相応しい人物だと思います」

 

 何せ、ルナガロンにウツシ教官を投げ付けて撃退するような奴だからな。そこは閃光玉を使えよって思う。しかも目晦ましどころか、スタンまで取ってたし。

 ああいう手段を選ばない奴こそが、誰よりも長く生き、強さを身に着けて行く物さ。

 

「彼の事を、よく見てやってくれ」

「分かっております」

 

 さぁ、明日からはいよいよ、マスターランククエストの開始だ。張り切って行こう!




◆エルガド

 王国の沖合にある簡易拠点。半壊した古い砦を改造した物なので、継ぎ接ぎも良い所な造りだが、潤沢な蒸気機関のおかげで生活に不便はない模様。交易の拠点にもなっており、様々な輸入品や技術が見て取れる。外から来たらしいハンターも多い(懐かしのヘルブラザーズが居たりする)。
 その目的は50年前に空いた大穴の調査であり、メル・ゼナの再来に対抗する為なのだが、過去に故郷(後の「城塞高地」)を滅ぼされたガレアス提督としては、それとは別に「深淵の悪魔」なる存在への対策も進めている模様。
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