『クキャアアッ!』
と、早速ヤツカダキ希少種が子蜘蛛をバンジーガムしてくる。
「くっ……!」
基本的に「攻めの守り」であるランスのエンムは逃げられずに当たってしまい、そのままグンと引き寄せられる。先程も見せた、鎌脚による必殺の一撃を叩き込む気に違いない。
そうは行くか!
「バルス!」
『キュァッ!?』『キキィッ!?』
「お、ナイスだよー」
という事で、閃光玉を投擲。ヤツカダキ希少種とネルスキュラの目を、周りの取り巻き諸共に晦ませる。その隙にエンムは脱出した。
『グギャアアッ!』
「おっと、頂き!」
さらに、やたらめったらと振り回すヤツカダキ希少種の攻撃をアンカーレイジで反撃し、ランスの性能を上げる。刃が黄色って事は、相当な威力があったようだな。
「お眠……おっとと!」
『キカァッ!』『キキキッ!』
しかし、更なる追撃の前にツケヒバキ擬き――――――仮称:ドクヒバキがいち早く復帰し、母親のガードに回ってしまった為、エンムはガードせざるを得なかった。
仕方ないな。代わりに俺が前衛を務めよう。
「はぁっ!」『シャシャシャーク!』『………………!』
『クァヴヴヴッ……!』『クキィィィ……!』
ってな訳で、エンムがドクヒバキを受け持っている間に、俺たちでヤツカダキ希少種たちを攻撃する。俺がヤツカダキ希少種で、ナッシュとメラグがネルスキュラ担当だ。ネルスキュラは動きが素早くて面倒だから、オトモパワーでさっさと状態異常に持ち込みたい。
『クキャアアアアアアアアアアッ!』
「滅・昇竜撃! ……って何ィッ!?」
『ゴギャアアアアッ!』
目晦ましを脱して咆哮を上げたヤツカダキ希少種に滅・昇竜撃を叩き込んでやったのだが、スタン処か全く怯まず、火炎放射してきた。亜種に輪を掛けて体力と耐久値が高いな!
しかも、この炎……かなりノックバックされる。ガード性能FULL MAXなのに、これだけ後退させられるとは。
『クキャアアアッ!』
「この……ぐぁっ!?」
『ケキィッ!』
その上、ヤツカダキ希少種に目を向けていたら、ネルスキュラの横槍でガードが捲られた。ナッシュたちは……くそっ、毒でやられたか。ついでに麻痺まで引き起こしてるし。あのネルスキュラ、麻痺もあるのか。原種と亜種の良いトコ取りしやがって。
というかマズい、これは真面に炎を食らってしま――――――、
『ゴバァアアアッ!』
「ぐぉおおおぁっ!?」
こ、こいつ、炎ブレスに猛毒を混ぜてやがる……!
それに、ちょっと待て、これ――――――斬れ味が滅茶苦茶に落ちてるぞ!?
このアマ、【攻撃力DOWN】のスキルまで持ってるのか、クソがっ!
『キュルァッ!』
「うげっ!?」
と、ヤツカダキ希少種の追撃が当たった瞬間、全身が痺れ出した。あの鎌脚、実は麻痺持ちなんですねぇ!?
うごがががが、ま、まずイ、KOREハァ……うァ……、
「お眠りぃーっ!」『バギィッ!』
『グコッ!? ……ZZZzzz』『ZZZzzz』
おお、ナイスだエンム&エンプーサ。得意の睡眠を同時に決めてくれたか。流石は睡眠爆破師。
よし、この隙に態勢を――――――、
『ボォォォ!』
「うぼぁっ!?」
ド、ドクヒバキィィイイイイイイッ!
つーか、お前の炎も毒入りなのかよ!
ヤバいヤバい、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬぅ!
……パシャン!
「――――――はぁっ!」
『………………!』
あ、危ねぇ、メラグの回復しゃぼんのおかげで助かった。彼女はボマーだけど、回復技も覚えてるからな。ゲームのオトモも、ここぞという時に気を利かせてくれる奴だったけど、メラグもその系譜なのかね。
「このムシケラがっ!」『プキャァッ!』
とりあえず、不届き者をスラッシュ。残りはエンムの昏睡玉で眠っているし、これで邪魔者は居ない。遠慮容赦なく吹っ飛ばしてやる。
「「お早うっ!」」
『クギャァッ!?』『クケェッ!?』
食らえ、爆破の目覚め!
『クゥゥゥ……クルァッ!』
まぁ、死なんよな、ヤツカダキ希少種。亜種でさえ瀕死にならなかったのだから当然である。
……でもなぁ、相方までそうとは限らんのよ!
「私に従え!」『コキャッ!?』
はははははっ、わざわざ2匹同時に現れたりするから、こうなるのだぁっ!
「ドラララララッ!」『クキィッ!』
『コァアアアアッ!?』
ネルスキュラの操竜は初めてだが、ヤツカダキを参考にしてみたら、割と何とかなった。コマンドで言えば、
・弱↑……飛び掛かって鎌脚斬り。追加で2連撃。
・弱→もしくは弱↓……尾針刺し。当たると麻痺になる。
・強↑……糸玉バンジーガム。糸玉を当てると相手を怯ませた上で接近出来るが、外すと無防備で突っ込む。
・強→もしくは強↓……毒液噴射。食らわせると猛毒に陥らせるが、若干溜めが長い。
・大技……大量の糸を吐いて小規模な巣を造り、その中を縦横無尽にバンジーしながら猛毒と麻痺を入れる。
……って感じ。相変わらず鋏角種は扱い辛いけど強力な操竜だなぁ。
さぁ、次はヤツカダキ希少種の番だぜ!
「行くぞ!」『クァアアアッ!』
『キキャァッ!?』
さてさて、ヤツカダキ希少種の使い心地はというと、
・弱↑……鎌脚斬り。連続で2回まで追加出来る。
・弱→もしくは弱↓……放射糸吐き。当てると怯ませる上に自分へ引き寄せ、強攻撃に繋げられる。
・強↑……左右にスピンしながら攻撃。先ずは節足を当て、最後に少し溜めて腹で殴る。
・強→もしくは強↓……毒火炎放射。出が早く真っ直ぐに吐き続けるので、ダメージが多い。
・大技……ドクヒバキを複数発射して引き寄せ、両鎌で吹き飛ばし、炸裂する特大火球を吐く。
隙が少な目なので、まぁまぁ遣り易くはある。特に大技の威力が凄まじく、ヌシ・リオレウスやエスピナス亜種を思わせる、大爆発を引き起こす火球は文字通り「灰燼に帰す」パワーがあった。おかげでネルスキュラは糸膜を破壊され、瀕死に追い込まれている。
「ほいっと」
『クケッ!? ……ZZZzzz』
そして、ヤツカダキ希少種を再びバルスっている間に、ネルスキュラをエンムが捕獲。これでタイマン勝負になったな。覚悟しやがれ!
『グゴギャアアアアアアッ!』
うおっ、ブチ切れたな!?
『プキィッ!』『ドクドクゥ!』『ピキキキィ!』
ぬっ、ドクヒバキを分散配置し、諸共飛び上がったかと思うと、一瞬にして網状の巣を張って、そこに着地したぞ?
さらに、親子共々に口をガバっと開いて――――――嘘だろ、おい!?
『『『『ゴバァアアアアアアア!』』』』
「避けろ! もしくはガードを解くな!」
「言われなくても解けないよ、これは!」
何と、全員が一斉に毒火炎を放射し、地表に火柱の雨あられを降らせて来たのだ。
『ギャヴォオオオオオッ!』
「「ぐぉああああぁっ!?」」
そして、最後にヤツカダキ希少種が特大の糸玉を生成して、ドクヒバキと協力して大炎上させ投下。瓦礫すら残らぬ超爆発を引き起こした。
しかも、この炸裂弾は多段に爆発するようで、ガード強化とガード性能を付けていても防ぎ切れず、俺たちは瀕死寸前へ追い込まれた。むろん、猛毒も含まれている為、猛烈な勢いで残り少ない体力が減っていく。
「……ぐっ、ぉおっ!」
「ハァ……ハァ……!」
だが、どうにか漢方の粉塵が間に合い、死なずに済む。ヤバい、一瞬だけ両親の顔が見えた……。
しかし、持ち直したとは言え、死に掛けである事に変わりはない。ここは撤退するしかないだろう。頼むぞ、オトモたち!
『ギシャアアアアアアッ!』
「くそっ、追ってくるか!」
「まぁ、当然だよねぇ……」
あれだけボコれば、そりゃあ怒るわな。クソッ、速さが足りない!
「オラ、こやし玉!」
という事で、こやし玉だ。これで撒いてやる。
「よく持ってたね、そんな物」
『――――――グギャヴォオオオオッ!』
「えっ、ちょっと!? 逃げる処か怒り狂ってるんだけど!?」
「何ィ!? そんな馬鹿なぁっ!?」
いやまぁ、普通に考えれば、いきなり顔面に汚物を投げられたら怒るだろうけども、そこは効いてくれよ、頼むからさぁ!
うぉぉぉっ、逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だ逃げなきゃ駄目だぁあああっ!
『ゴバァアアアアッ!』
「「うぉおおおっ!」」
ぐぬぬぬ、子蜘蛛で断続的に移動しながら火を噴いてきやがる。それは流石にズルくない!?
「あの割れ目から城に入れる!」
「よし、今すぐ飛び込むぞぉ!」
『クギャォオオオオァアアッ!』
「「おわぁああああああっ!?」」
あいつ、スパイダーマンみたいな事を始めやがった。次々とバンジーを決めながら火炎弾を吐いて来るんじゃねぇっ!
「そらっ!」「くぅっ!」
『クキャァアアアアッ!』
俺たちが城壁の割れ目にスライディングで飛び込むのと、ヤツカダキ希少種の鎌脚が差し込まれるのがほぼ同時だった。危なかったな。もう少しで串刺しにされる所だったよ。
「ここは……大広間か?」
「みたいだね。ぱっと見てもエルガド並みに広いし、元の城主は相当な巨体だったのかな?」
滑り込んだ場所は大広間のようで、無数の柱と広大な空間が拡がっている。エンムの言う通りエルガドくらいの広さがあるし、城主は大型の竜人族だったりするのだろうか?
「とりあえずは助かった……と言いたい所だけど、そうもいかないだろうね?」
「だろうな!」
だが、幾ら城内に避難したからと言って、無事で済むとは限らない。壁がやたら頑丈だからか、侵入こそされないが、ドクヒバキくらいなら易々と通り抜けられてしまう。
『クキキキ!』『プキャァッ!』『クシャァッ!』
「「くっ……!」」
やはりドクヒバキを差し向けて来るか。まるで湧き水が如く割れ目より溢れ出て分散し、一瞬にして全方位を取り囲まれる。これは流石に万事休すか……。
――――――と、その時。
『ゴォルルルルル……!』
地鳴りのような唸り声が響き、城の奥深くに紅の炎が灯る。
『キキャッ!?』『キヒィーッ!』『ピキャキャキャ!』
その瞬間、殺る気満々だったドクヒバキたちが、蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。
さらに、ヤツカダキ希少種の物とは比べ物にならない高熱とプレッシャーを伴い、闇の中から巨大な何かが近付いてくる。
「お次は何だ?」
「さぁね。少なくとも、味方では無さそうだ」
それはそうだろうとも。
『――――――ジェルァアアアアアアアッ!』
そして、遂に熱源が俺たちの下へ降臨する。
1対の翼と2本の脚、長い尻尾にもたげた鎌首。シルエットだけなら、背中の翼が無くなり前脚が翼脚になっているクシャルダオラと言った感じだが、甲殻の質感や尻尾の形状などはリオス種に酷似している。
また、翼膜の支骨が蛇腹状で、今は引き絞った弓のようにガチガチに固定されているが、何かの拍子に鞭の如くしなるようにも見える。
何とも不可思議で、太古の息吹を感じさせる、巨大な飛竜であった。
◆ネルスキュラ希少種
まだ見ぬネルスキュラの希少種。まるでヤツカダキのように子蜘蛛を統率し、群れで獲物を仕留める社会性を持つ。
基本的な形態は原種に似るが、こちらはヤツカダキ希少種と共生しており、背中に猛毒の糸を纏っている。この糸は耐火性に優れ、少々の爆発程度では傷1つ付かない。
つまり、ネルスキュラ希少種の弱点は火属性である。
また、自身も猛毒を扱うほか、鋏角には麻痺毒も含まれており、食らうと猛毒と麻痺によるスリップダメージでキャンプへ直行する破目になる。