モンスターハンター:サンライズ・ブレイカー   作:ディヴァ子

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プーギー飼いたいナァー。


箱庭の中のトモダチ

『くぁ~くぅ~♪』『プ~プ~♪』『フェ~ン♪』『ピョリリ?』

「………………」

 

 目の前で、思い思いの仕草を取るペットたち。左から「グーク(黒)」、「プーギー」、「フェニー」、「フワフワクイナ」である。どの子もフワフワやわやわで丸っこく、お互いに顔を合わせながら存在を確かめ合っている。

 やぁ、諸君。俺だ、可愛い物が大好きなフィオレーネさんだ。

 ……で、状況を鑑みれば一目瞭然だろうが――――――買っちゃった♪

 だって、可愛いんだもん。こんなぬいぐるみみたいな子たちを買い逃すなどあり得ない。即断即決でしたよ。心なしか表情筋も弛んだ気がする。だって可愛いんだもぉぉぉんッ!

 名前は何にしよっかなー。……バリアン縛りにするのもなぁ。でも、丁度7匹だし、覚え易い感じにするのもありと言えばありだし。

 うぬぬぬぬ、どうしよう……、

 

「どうすれば良い!?」

「いや、俺にそんな事を言われてもねぇ。好きに付けたらぁ?」

「そうだな! そうしよう!」

「テンション上がってるねぇ、フィオレーネ」

 

 フラッと現れたエンムに呆れられたが、そんなの知らんなぁ。

 ――――――うん、まぁ……バリアンで統一しよう。分かり易いしね。グークが「ギラグ」、プーギーは「ミザエル」、フェニーが「アリト」、フワフワクイナは「ブック……じゃなくて「ドルベ」にするか。

 そして、この俺がドン・サウザンドだ。アストラル世界なんてぶっ壊してやる。

 

「お~い、帰って来~い」

「……ハッ!」

 

 そうだ、ペットたちに見蕩れている場合ではない。商売が終わったら、ロンディーネから話を聞かなければならないのだから。

 

「さぁ、行くぞ、お前たち!」

『くぅ~』『プゥ~』『フェ~』『ピュ~』『………………』『ダイル!』『ミザチュワ~ン!』

「何だかなぁ……」

 

 という事で、オトモバリアンたちを引き連れ、商いに勤しむ妹の下へ向かう。

 さぁさぁ、良からぬ話し合いを始めようかぁ!

 

「ハッハッハッハッ、楽しそうですね、姉上! ……紹介しよう、この人が私の姉だ!」

「あ、どうも、こんにちは。私は「メラル」。こっちはオトモの「キンカ」と「リース」です。日頃から妹さんにはお世話になっています。宜しくお願いしますね、フィオレーネさん」

『宜しくなのニャ~』『グェスト~♪』

「こちらこそ宜しく」

 

 ああ、そう言えば、まだ自己紹介をしてなかったね。それ処じゃないくらい俺のテンションが爆上がりしていただけなんだけども。

 

「……それで、“とびっきりの物”とやらを聞こうか」

「それに関しては、ガレアス提督やザギ殿たちを交えて話しましょう。中々込み入っているのでね」

「了解した」

 

 はてさて、何が出るやら……。

 

 ◆◆◆◆◆◆

 

 息災かね、諸君。私だ、エルガドを指揮する提督、ガレアスだ。

 ――――――まぁ、堅苦しい挨拶はこれくらいにして、と。今日も今日とて、王国の為の話し合いだよーん。

 毎回思うけど、この会議の雰囲気って慣れないよねー。皆で肩肘張って、顰めっ面でさ。こういう時にバハリが居てくれると結構場が和むんだが、本日は現地調査の為に欠席している。フィオレーネは彼が居ないと真面目一辺倒だから、今回も疲れる話し合いになりそう。

 

 ……そう、思ってたんだけどね。

 

「それでは提督、始めましょう」『ピュイ!』

「………………」

 

 おい何だ、その頭上に居るフワフワな生き物は。一瞬頭が真っ白になっちゃったじゃないか。向こうも真っ白でフワフワだけど。

 

「今回は一体何があったんですか?」『ゲコ』

「………………」

 

 ザギはザギでボムガスガエルを肩に乗せてるし。そんな危険生物を円卓に持ち込むな。

 

「あ、どうも、こんにちは。フィオレーネさんの護衛をしている、メラルと申します。以後、お見知りおきを」『ルンバ!』

「………………」

 

 ご丁寧にどうも、第二の猛き焔さん。だけど、頭のそれは何かね。純金の甲殻を持つカブトガニなんて初めて見たんだけど。凄く換金したい。

 

「いやぁ~、どうもどうも、提督殿。先日処方した薬は如何でした?」『ゲコゲコ』

「良い効き目だ。感謝している」

 

 ……まぁ、エンムがネムリガスガエルを肩乗せしている事に関しては違和感無い。やっぱり持ち込むなと言いたいがね。

 

「ハッハッハッハッ! 暫く見ない内に、随分と指揮所も賑やかになりましたなぁ、提督!」『キュンキュン!』

 

 さらに、久し振りに見たロンディーネの肩には希少生物の「ハクメンコンモウ」が。いつの間に手懐けたんだ、そんな珍獣。

 

『プ~プ~♪』『クァクァ~♪』『フェ~ンフェ~ン♪』

 

 その上、よく見たら足元にプーギーやグーク、フェニーが何匹もうろついている。全員ここに居る奴らのペットなのだろう。

 ――――――っていうか何コレ、どういう事? ここは何時から「エルガド動物園」になったの? 聞いてないんだが?

 

「提督も何か如何ですかな? 日々の疲れを癒してくれますよ?」

「………………」

 

 お前はすっかり商人になっちゃったね、ロンディーネ。最強の騎士として王国に名を馳せていたカムラへの出立前が懐かしいよ。腕は訛ってないんだろうけど……。

 ……じゃなくて、話し合いだよ、話し合い。会議の雰囲気は確かに疲れるけど、やっぱり厳格さは必要だよね!

 

「おっと、商談をしている場合ではないか。早速話し合いと行きましょう」

 

 そうそう、それで良いのよ。

 

「それで、一体何があったんだ、ロンディーネ?」

「はい、姉上。……実は、ジャンボ村に立ち寄った際、こんな物(・・・・)を見付けましてね」

 

 そう言って、ロンディーネが卓上に出した物は、

 

「キュリアの死骸ではないか……」

 

 ついさっきまで生きていたかのような、新鮮(フレッシュ)なキュリアの死体だった。何故キュリアが、遥か大陸の南に位置するジャンボ村に……?

 

「メラルと共に動向を調べたのですが、水没林の奥地――――――「未知の樹海」の何処かに“花畑”があるかと思われます。……手紙で報告は受けていましたが、キュリアは花の形で休眠を行い、開花と共に毒を撒くのでしょう? 放置しては危険ですが、流石に未知の樹海を2人で調査するのは不可能と判断し、皆の助力を得ようと思い、馳せ参じました」

「なるほど……」

 

 なら商いに現を抜かすな、と突っ込みたくなる。

 

「それはそれ、これはこれです」

 

 この商人がぁ!

 

「――――――バハリからの研究結果がまだですが、如何致しますか、提督?」

 

 それはつまり、この前の地底遺跡とシェルレウスの1件についてはいいのか、という事だろう。

 ……確かにそちらも大事だが、キュリアに関してはジャンボ村の存亡が掛かっているからな。甘く見積もる訳にはいかない。

 

「ザギ殿、悪いが向かってくれるか?」

「はい、構いませんよ。ジャンボ村はカムラやユクモのお得意様でもありますからね」

 

 ああ、そう言えばジャンボ村ってカムラの里に割と近いんだっけか。そりゃあ放っておけないわな。……ってお前も商いするんかーい。

 

「それと、フィオレーネ」

「はい」

「念の為、エンムとタドリ殿を伴い、お前も調査へ同行しろ。エルガドの守りは任せておけ」

「了解しました」

 

 若い身空なのに、苦労を掛けるねぇ。早い所誰か好い人と入籍して、幸せな家庭を築いて欲しい所だけど。筆頭騎士だからって、明らかに無理し過ぎだし。

 

「それでは、これにて閉会とする」

「はい!」「はい!」「はい」「はいでーす」「は~い♪」

『プ~』『フェ~』『くぁくぁ』『ルンルンバ~』『『ゲコゲコ』』『コンコン』『ピリリリ~』

 

 ……うーん、ピーチクパーチクうるせぇなぁ。もう滅茶苦茶だよぉ~。




◆メラル

 カムラの里が誇る「第二の猛き焔」。狩猟笛の使い手。オトモはアイルーの「キンカ」と、ヴェノブロスの「リース」。かつてカムラの地に舞い降りた百竜夜行の元凶たる龍神、「イブシマキヒコ」と「ナルハタタヒメ」をザギと共に討伐。里の英雄となった。
 しかし、実態はズボラなダメ女であり、特に浪費癖がかなり酷く、ロンディーネに多額の借金をした末に、護衛という名の只働きとして世界中を巡る破目になった。本人は今の生活を気に入っているようだが。
 実はカムラの里の生まれではなく、ある日ハンター修行に大社跡へ訪れていたザギ(とウツシ教官)に拾われた孤児。出会った当初は人の心の無い残酷な性格だったが、ザギの適心によって心を得て、今の親しみ易いダメ女になった。駄目じゃん……。
 ちなみに、本人に自覚は無いが普通の人間ではなく、“焼け残った手首から本体が生えて来る”という化け物染みた再生能力を持つ、人以外の“ナニカ”である。
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