殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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戦闘訓練 ~前編~

個性把握テストでの波乱が終わってからの雄英生としての生活はとても普通だった。

 

まず、プロヒーローによる必須科目等は普通の授業でプレゼント・マイクこと山田先生の英語の授業は少し騒がしいけど普通。

 

授業で何かあった事と言えば山田先生に当てられて問題文を英語で答えたら周りから関心の声が挙がったりしたぐらい。

 

まぁ一応、イギリスに母さんの里帰りに行くから慣れてるだけだからだけどね。

 

昼は大食堂でランチラッシュによる一流の料理を安価で味わえる昼食。

 

定番のカレーライスやカツ丼、定食は勿論、洋食も食べられるから私としても助かるメニューの豊富さだった。

 

けど……やっぱり問題はアーサーの事かしらね。

 

「(何度も言わせないで!珈琲を飲むの!!)」

 

『紅茶にしろ!紅茶に!あの泥水を何度飲ませるつもりだ!!』

 

私とアーサーで珈琲か紅茶のどちらを飲むかで揉めて注文する為に来た生徒で行列を作ってランチラッシュに迷惑を掛けてしまった事かしらね。

 

おかげで大食堂では悪い意味で有名になって私が来る前に多くの生徒が急いで大食堂に向かうなんて現象が起きる様になっちゃった。

 

そしてヒーローになる要素として最も受けるべき午後の授業……ヒーロー基礎学。

 

単なる授業ではなく担当が新たに赴任したNo.1ヒーローのオールマイトが受け持つから皆、楽しみにしてたわ。

 

無論、私も。

 

「わーたーしーが!!普通にドアから来た!!!」

 

オールマイトの登場に皆は興奮を隠しきれないし、私も興奮で胸が一杯になる。

 

『お前も大概だな。オールマイト一人にこれだ』

 

「(良いじゃない。こんな機会。今の私達にしか受けられないものよ)」

 

「オールマイトだ…….!!すげぇや本当に先生をやってるんだな……!!」

 

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ……!画風違い過ぎて鳥肌が……」

 

皆が興奮の中でオールマイトは授業を始める。

 

「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う項目だ!!単位数も最も多いぞ」

 

まぁ、ヒーロー基礎学が単位数が多いのは当然よね。

 

何しろヒーローになる為に通ってるのだから最も疎かに出来ないのは間違いない。

 

「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

「戦闘訓練?」

 

『おいおい。いきなり戦闘訓練かよ』

 

オールマイトはBATTLE のプレートを見せて戦闘訓練を行うと言う。

 

いきなり戦闘訓練なんて大丈夫かしら?

 

「そしてそいつに伴って……こちら!!」

 

オールマイトはそう言って手にしたリモコンのスイッチを押すとあら不思議。

 

壁動き出していくつかの棚が出てきた。

 

「入学前に送って貰った個性届と要望に沿ってあつらえた……戦闘服(コスチューム)!!!」

 

「「「おぉぉ!!!」」」

 

前に送った個性届と要望に沿ったコスチューム。

 

とても憧れるし、何より自分のスタイルに合わせた服装は自ずと有利に戦局を動かす事ができる。

 

だから私のコスチュームの形は決まっていた。

 

『本当に良かったのか?俺みたいな服装だぞ?』

 

「(良いの。あの服装の方が貴方もやりやすいだろうしね)」

 

『その代わりにスカートとスパッツになってるけどな……』

 

私が決めたコスチュームの形はアーサーが着ている服を参考にした古めかしい衣装に手を加えてスカートやスパッツにして女性らしくした物だ。

 

動きやすさも必要だけどもしかしたらアーサーが動く事も考慮すると彼の慣れた服装に近い物にした方が良いかなっと思ったのだけど……スカートやスパッツと言った物に不評を貰ってしまった。

 

「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!!」

 

オールマイトはそう言うと準備の為なのか先に出ていき残された私達は渡されたコスチュームに着替える為に更衣室に向かった。

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コスチュームに着替えた私達は指定されたグラウンド・βへとやって来ると皆の思い々のコスチュームを着ており、カッコ良かったり、可愛かったり、変わったコスチュームを着ていたりしている。

 

「始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

先に来ていたオールマイトは皆を見渡す。

 

「良いじゃないか皆。カッコいいぜ!!」

 

「先生!此処は入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」

 

あのフルフェイスのコスチュームは飯田君だったんだ。

 

いつも通り、真面目な飯田君が質問し、内容を説明を求める事から始まるのはA組の定番行事になりそうね。

 

「いいや!二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!」

 

『屋内か……』

 

「(どうしたのアーサー?)」

 

『いや、何でもない。単に俺、切り裂きジャックにとって苦手な場所だ。密室や大通りの様な場所は逃走がしにくいからな』

 

「(へぇ……もしかしてそれで捕まったの?)」

 

『ご明察。シャーロットの奴が対切り裂きジャックの戦法を何処からか見つけ出したのか自分から編み出したのか……それを実行されて捕まったのさ』

 

アーサーは苦い思い出だとばかりにそう言うけど顔が懐かしそうに笑っている。

 

アーサーの事がたまには分からなくなる事の一つで殺人鬼であるのにアーサーにとってシャーロットとは憎い好敵手ではないのかシャーロットと口にしたり聞いたりしても怒った表情を見せたりせず寧ろ、笑っている事が多い。

 

おっと、考えるのはまた今度にしてオールマイトの話を聞かないと。

 

「ヴィラン退治は主に屋外で見られるが統計で見れば屋内の方が凶悪ヴィラン出現率は高いんだ。監禁・軟禁・裏商売……このヒーロー飽和社会。真に賢しいヴィランは屋内(やみ)に潜む!!」

 

『と言っても全員じゃない。露骨な奴は法から逃れる為に権力や金を使って何事も無かったかの様に振る舞って罪から逃げる。悪人が善人ぶって堂々と生活する憎らしい奴がどんな時代にもいる』

 

「(それって貴方もじゃないの?)」

 

『俺は自分の罪から目を背けるつもりはない。捕まった時も逃げるつもりは無かったから大人しく処刑を受け入れた。どんなに行動の正当化をしても殺人は悪でしかないし報いもいつかは受ける事になる。だが、その報いすら受けずに普通に生きている奴がいるとしたらお前はそれを許せるか?』

 

「(……許されるものじゃないわ。罪には罰を。罰には報いを。犯した罪にはそれ相応の罰と報いを受けないといけない。だから私はヒーローになりたい。罪を償わないヴィランを裁きに掛けさせる為にも)」

 

私はそうアーサーに言うと私はオールマイトの授業を聞く事に集中しなおす。

 

「君らにはこれからヴィラン組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦をやって貰う!!」

 

「基礎訓練も無しに?」

 

「その基礎を知る為の実践さ!!ただし今度はブッ壊せはOKなロボじゃないのがミソだ」 

 

オールマイトの言う事にも一利ある。

 

実際に聞いて学ぶよりも動いて学んだ方が覚えやすいし、私はそれをアーサーから学んだ。

 

聞いて覚えるよりも動いて慣れろ。

 

アーサーはそう言って私との鍛練を着けてくれたのが良い例だ。

 

「勝敗のシステムはどうなりますの?」

 

「ブッ飛ばしても良いんスか」

 

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」

 

「分かれるとはどの様な分かれ方をすればよろしいですか」

 

「このマント。ヤバくない?」

 

「んんん~~~聖徳太子ィィ!!!」

 

わぁ……皆、一斉に質問するからオールマイトがジョークを言いながら困ってしまってるわ。

 

というか一人、授業内容の質問とは全く関係ない質問してる人がいるんだけど誰よ。

 

まぁ、取り敢えずルールは簡単。

 

ヴィラン組とヒーロー組の2対2に分かれたチームで対人訓練を行う事。

 

ヴィランの目的は建物内にある核兵器を時間まで守り通すかヒーローを捕まえる。

 

ヒーローの目的は制限時間以内に核兵器に確保するかヴィランを捕らえる。

 

チーム分けと組む相手はクジで決める。

 

設定はかなりアメリカンだけどまぁ、目的こそ分かりやすくて良いとして私は誰と組んだ事になったと言うと……。

 

【F コンビ、霧先&砂藤】

 

私はFコンビで砂藤君と同じコンビになった。

 

「よろしくな霧先」

 

「此方こそよろしく」

 

私は軽く砂藤君と軽く挨拶を交わすとそれぞれ決まっていくコンビを見ていく。

 

出久君は麗日さんとAコンビで本当に縁があるわね。

 

飯田君は勝己とDコンビか……ドンマイとしか言いようがない。

 

「続いて最初の対戦相手は……こいつらだ!!」

 

オールマイトがそう言ってヒーローとヴィランの英語の文字で書かれた箱に手を突っ込み取り出した物はそれぞれのコンビのA~Jの文字のボールで書かれているのはヒーローがAでヴィランがDの文字だった。

 

 

つまり、ヒーローのAコンビとヴィランのDコンビの対戦となるから……。

 

『いきなり因縁の対決か。見物だなジル』

 

「大丈夫よね……出久君と麗日さん」

 

『んなもん彼奴ら次第だろう。俺達が心配する程の事じゃない』

 

アーサーの言う事は正論だ。

 

正論だけどやはり出久君の過去をよく知る身としては心配になる。

 

勝己の事だ……絶対に感情に任せて出久君を襲おうと考えてるに違いない。

 

でも、これが授業である以上は私は見守るしかない。


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