殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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戦闘訓練 ~中編~

私はヒーローコンビの出久君と麗日さん、ヴィランコンビの勝己と飯田君の戦闘訓練をモニター越しで皆と観察する側として戦闘訓練が始まるのを待っていた。

 

『まだ不安なのか?』

 

「(えぇ……流石にね。出久君の個性を見て凄かったと言えるけど……あの指、見たでしょ?出久君の個性は強力だけど使い方を誤れば大きな反動を受けてしまう危険も持ってる。乱発はできない筈よ。そんな状態であの馬鹿と渡り合わなきゃいけないのだから心配よ。それに飯田君もいてその隙を突いてこないなんて事は無いわ)」

 

私は個性把握テストのボール投げで見た出久君の個性使用による大記録を目撃すると同時に彼の指が酷く痛めているのを見た。

 

使用すれば大怪我を負いかねない大きな反動が来るリスクのある個性を出久君は抱えてる中、良くも悪くも才能のある勝己やコンビ相手の秀才の飯田君も含めて戦う。

 

麗日さんと協力するとは言え、かなり難しい訓練になる筈。

 

『だろうな。だが、あの勝己が飯田と協力するかな?』

 

アーサーはそう言ってニンマリと笑う中、ヒーローコンビとヴィランコンビの両チームの戦闘訓練が始まった。

 

最初はヒーローコンビの出久君と麗日さんの二人が潜入し、中を慎重に歩き出した。

 

「(出久君達は順調……勝己達がどう出るかしら?)」

 

『……何となくだが俺は勝己が一番槍を入れると思うな』

 

「(やっぱり?)」

 

私は考えていたパターンの中で一番考えつく物がアーサーと同じだと同意した時、出久君達が通っていた道の曲がり角から勝己が奇襲を掛けてきたのだ。

 

「いきなり奇襲!!!」

 

「(あぁ、やっぱり……)」

 

『彼奴……味方との連携を考えてるのか?』

 

峰田君が勝己の行動に驚いて叫ぶ中で私とアーサーは予想通りの行動を起こした勝己に呆れる中、勝己は自分の個性である爆破で出久君達を奇襲攻撃を仕掛けた。

 

確かに理由や連携を考えてるのか分からない彼奴の行動こそ呆れるものだけどあの奇襲は相手の意表を大きく突くのには良い。

 

だけど相手には出久君がいる。

 

この行動は出久君も予想していた筈。

 

私の考え通りなら出久君は避ける事ができる。

 

『お?出久の奴、避けたのか』

 

「(まぁ、行動は読めてたのでしょうね。でも、此処からが本番よ)」

 

予想通り、突然の奇襲であるにも関わらず出久君は仮面の様な被り物が半分破けてしまうがかすり傷で済んだようね。

 

「爆豪スッゲェ!!奇襲なんて男らしくねぇ!!」

 

「奇襲も戦略!彼らは今、実戦の最中なんだぜ!」

 

「緑君、よく避けられたな!」

 

皆は奇襲を避けた出久君と奇襲を仕掛けた勝己を評価する中、勝己が右の拳で殴りに行くが大振りだ。

 

それに対して出久君は冷静に見極め、勝己の右腕を掴むとそのまま背負い投げをした。

 

「よし!良いわよ出久君!」

 

『お前な……出久に肩入れし過ぎだ。他の奴の事もちゃんと見てやってるんだろうな?』

 

「(見てるわよ……もう……)」

 

私はアーサーからの指摘に少し落ち込む中、出久君と勝己の二人は互いに対峙し合った。

 

あの二人は幼馴染みだけど私は中学の時に鉢合わせしたあの虐め現場の時からまでしか知らない。

 

幼馴染みなのにあの二人の溝は致命的に深く、出久君と勝己の仲は御世辞にも良いものではない。

 

個性関係が原因でも何処で此処まで拗れてしまうんだと私でも疑問を抱いてしまう。

 

私は二人の戦局を見守る中、出久君が麗日さんを先に行かせた。

 

『麗日を先に行かせるのか?』

 

「(認めたくないけど勝己は強い。それに対してまだ飯田君がいる。もし、飯田君が勝己の暴走に対応する動きを取られたらいくら二人揃っていても出久君は個性が使いこなせてないし、麗日さんの個性だけであの二人を同時に対応できる訳がない。なら、麗日さんを先に行かせる事で対応相手を一人に絞れる。隙あらば核に触れる機会も得られると考えれるわ)」

 

『だが、それは出久が勝己を相手にそれまで耐えれたならの話だろ?彼奴は大振りが目立つが……常に対応しない程、馬鹿じゃない筈だ』

 

アーサーの言う事も最もとしか言えない。

 

勝己の攻撃に対応しながら出久君は確保テープで勝己の左足に引っ掻けるけどまた勝己の爆破攻撃が行われて巻き付けるのに失敗した。

 

「すげぇな彼奴!!個性使わずに渡り合ってるぞ!!」

 

「入試一位と!」

 

皆が二人の戦いに驚かされる中、私は勝己も出久君の対応力に驚いている事に気付いた。

 

『はっはははッ!!やっぱり驚いてやがるな!勝己の奴は』

 

「(そりゃそうでしょ。今まで見下してた相手が自分の動きに着いてこれる事に驚かない筈がないわ。それでも動揺に押し潰されない彼奴も彼奴で強いわね)」

 

『仮にもお前と同列だぞ?確かに衝突猛進が似合う様な風貌だがよく見ればなかなか考えて動いてる節もある。やっぱり手ごわいもんだな』

 

「(そうね……さて。出久君だけじゃなくて麗日さん達も見ないとね)」

 

私は出久君達のいる位置のモニターから目を離して麗日さんのいる所を見ると麗日さんが飯田君を警戒してるのか慎重に進んでいた。

 

慎重に慎重を重ねた結果、飯田君も含めて核も発見する事に成功した。

 

麗日さんは発見しても様子見に徹しているからもしかしたら出久君との合流を狙ってるのかと思った矢先に何故か吹き出した。

 

「(えッ!?なんで!?)」

 

『おおかた飯田の奴が真面目にヴィランをやろうとしている姿に笑ったんだろ?そう予想できるのが容易いくらいに分かりやすい性格してるからな彼奴は』

 

「(あ~……そう来るか……残念だけど減点ものね。訓練とは言え笑うなんて気を抜きすぎてる証拠。訓練じゃなかったら取り返しのつかない失敗になる可能性だってあるからにはね)」

 

『ごもっとも。もしこれが本番だったら……ヴィランとしての俺なら間違いなく気付いた瞬間にヒーローを始末するか、ルールには無いが核を爆破させるかのどちらかを取る。単独でいるんだ。腕はともかく先手を取るチャンスもあって有利ではあるからな』

 

やはり過去に多くの人々を殺した殺人鬼の言い分はかなりが筋が通っている。

 

過去の犯罪者、ヴィランとして活動したアーサーはオールマイトを除けばこの場の誰よりも深くヴィランの行動に理解がある人物であるのは確かだと言うのが私は再認識した。

 

私はモニターに視線を戻せば飯田君は麗日さん対策を講じてか周りの物を片付けて浮かせられる物を無くしている。

 

恐らく今、これが訓練と言う認識ではなく、実際の戦闘であるのと核を守ると言う考えを深く考えているのは飯田君だけなのではと思う中、大きな揺れが起こった。

 

「なに!?」

 

私は慌ててモニターを探って見れば勝己が何かしたのか出久君と勝己の二人がいる位置は大きく崩れてしまっている。

 

「(何したのよ……勝己!)」

 

『ちッ……彼奴。出久を殺す気か?』

 

私はあの威力の爆破を受けた出久君が無事なのかと確認すると吹き飛ばされてはいたけど無事だった事に一先ず安堵する。

 

「先生!止めた方がいいって!爆豪、彼奴相当クレイジーだぜ!殺しちまうぜ!?」

 

「私からもお願いします先生!幾らなんでもアレはやり過ぎです!」

 

切島君が止める様に言う中、私も流石に危険を感じて止める様に言う。

 

「いや……爆豪少年。次それ撃ったら……強制終了で君らの負けとする」

 

「正気ですか!?」

 

『残念だが勝己の奴は中断されないギリギリの攻撃をやっている。証拠に出久は吹き飛ばされたがその攻撃で怪我はしていない。これじゃあオールマイトでも中断なんて言えないだろう』

 

「(そんな……)」

 

私はアーサーの言葉で不安が広がる中、オールマイトが一通りに注意を終えると訓練は再開された。

 

勝己の奴はアレがもう撃てないと分かると今度は肉弾戦を仕掛けた。

 

爆破を利用して突っ込んでくる勝己に対しては出久君はカウンターを仕掛けようとしたが勝己はそれを読んでいたのか爆破で軌道を変えると同時に爆破で出久君の背中を爆破で攻撃した。

 

『へぇ、やるな。あの軌道修正は目眩ましも兼ねられている。あれなら対応を遅らせられると同時に攻撃に転じられるな。一見、力技にも見えるがアレはかなり繊細な行動だ』

 

アーサーの解説は轟君と八百万さんが同じ解説をするけど私はそれよりもあの二人の戦闘が気が気でない状態だ。

 

勝己はそのまま出久君に一度、封じられた右の大振りで攻撃、そして更に御返しとばかりに爆破の威力で勢いを増した状態での片手で背負い投げで地面に叩きつけたのだ。

 

やる事はもうリンチとしか言えない……だが、そこには明確な才能がある事がはっきりと見せつけられる場面だ。

 

私は両手で組んで勝ち負け関係なく出久君が無事でいる事を祈る中、出久君は勝己から逃げ出す様に駆け出した。

 

「出久君……」

 

『逃げた……訳じゃなさそうだぜ』

 

「え?」

 

『見取り図を見たか?そして彼奴は見取り図をよく見ていた。何がしたいのか分からないが何か考えがあるんじゃないか?』

 

アーサーはそう言って当ててみろとばかりに笑う中、私は見取り図をもう一度見てそして出久君のいる位置を見てみると。

 

「(……まさか。核の真下?)」

 

『正解。気になるな……彼奴はまだ具体的に個性を見せていない。それに追い詰められてんのは果たしてどちらかな』

 

アーサーはそう言って楽しみだとばかりに笑う中、私はモニターを見れば出久君は諦めたと言うような表情ではなく、勝己は余裕がなさそうだった。

 

二人は同時に駆け出し、拳を振るおうとする姿勢を取った。

 

「出久君!!!」

 

私は流石に無茶だと思い叫んだ瞬間だった。

 

出久君の拳は目の前の勝己ではなく上へ向け、しかもその威力はボール投げで見せた様な力とは比べられない程の力が上の天井を貫いた。

 

対する勝己の爆破を纏った拳は出久君に間違いなく当たったがアーサーの言っていた出久君の狙いがようやく分かった。

 

出久君は最初から自分の個性で核の真下から狙ってあの力を放ったのだ。

 

それを待機していた麗日さんが対応、最初から掴まっていた折れた柱を個性で軽くした上で利用して飛んでいた瓦礫をボール代わりに飯田君に向けて打ち込んだ。

 

これには飯田君も堪らずに防ぐ姿勢を取ってしまい、麗日さんはその隙を突いて核に抱きつく形でタッチ、勝己と飯田君からに勝利を勝ち取った。

 

「やったの……?」

 

『なかなかやるじゃないか。ちゃんと見取り図を確認しそれを頭の中に叩き込む。あの状況下でも忘れる事もなく対応した出久のもたらした勝利だ。無論、麗日も麗日で出久が作った一瞬の隙を上手く突いたのも良いだろうな』

 

アーサーから高い評価を受ける中、私は出久君がどうなったのかと視線を向ければ出久君は左腕で勝己の攻撃を防いでいた。

 

だけど流石にダメージが大きかったのか出久君はそのまま倒れてしまい、立っていた勝己が聞いたのはオールマイトからのヒーロー側の勝利宣言だった。

 

「負けた方がほぼ無傷で勝った方が倒れてら……」

 

「勝負に負けて試合に勝ったと言う所か」

 

「訓練だけど」

 

この訓練の結果に皆は思い々の感想を言う中、オールマイトが四人の所に向かい講評の時間となった。

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_____

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出久君が重症だった為、勝己、飯田君、麗日さんの三人となった中で講評が始まる中で開口一番に言われたのは。

 

「まぁつっても……今戦のベストは飯田少年だけどな!!」

 

「なな!!?」

 

「勝ったお茶子ちゃんや緑谷ちゃんじゃないの?」

 

「何故だろうなぁ~~~?分かる人!!?」

 

「はい。オールマイト先生」

 

此処で手を上げたのは八百万さんだった。

 

「それは飯田さんが一番状況設定に順応していたから。爆号さんの行動は戦闘を見た限り私怨丸出しの独断。そして先程、先生も言っていた通り屋内での大規模攻撃は愚策。緑谷さんも同様の理由ですね。麗日さんは中盤の気の緩み。そして最後の攻撃が乱暴過ぎた事。ハリボテを核として扱っていればあんな危険な行為はできませんわ。相手の対策をこなし且つ、核の争奪を想定していたからこそ飯田さんは最後に対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは訓練だと言う甘い考えから生じた反則の様なものですわ」

 

八百万さんの長い指摘に私はどちらにも評価するべき点もあるが間違いの方が多かったと言わざるえない箇所もあったと言う事に同意する中、オールマイトは正解だとばかりに頷く。

 

「まぁ……飯田君も固すぎる面はあったりするが正解だ……」

 

「常に下学上達!一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんので!」

 

八百万さんはそうはっきりと言い終り、私は勝己の方に視線を向けると彼奴らしくもない無表情な顔を見せてた。

 

『だいぶ落ち込んでるな』

 

「(事実上は負けたからと言うのもあるけど八百万さんの言われた事もあるんじゃないかしら?彼奴はあんなのでもちゃんとやるタイプだから)」

 

私はそう言って勝己をもう一度見るけど落ち込む表情はなかなか消えない。

 

今まで此処に来るまで高い自尊心の塊みたいな彼奴が下に見ていた出久君に負けたのだから仕方ない。

 

これを機に少しだけでも良いから変わって欲しい……本当にヒーローになりたいなら。

 

場所は変わって第2戦はもはや戦闘ですらなかった。

 

轟君の個性である氷が建物を覆って中にいた一気に尾白君と葉隠さんを無力化し、核を確保。

 

轟君の独壇場だった。

 

『厄介な奴だな。彼奴が相手じゃなくて良かったよ。かなり手こずるからな』

 

「(勝つ気はあるんだ……)」

 

アーサーの勝き満々の言葉に私は呆れる中、私の出番が回ってきた。

 

 

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