殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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【第一章】再誕の殺人鬼【殺人鬼 END】

私は今日、相澤先生に家に送られて帰ると相澤先生は母さんに色々と事情を話して私がヴィランが捕まるまでは送り迎えを行うと説明していた。

 

母さんは不安になったのか相澤先生が帰った後、しまってあったロンドン市警時代に使っていた時と同じトンファー型の警棒を取り出して腰に着けていた。

 

「大丈夫。貴方には傷一つ付けさせたりはしないわ」

 

と言って笑顔で言ってくれたけど私の心は既に決めている。

 

『本当に良いんだな?お前はこれから……殺人を行うんだぞ?』

 

「(もう決めた事よ……私は許せない……狙うなら私を狙えば良かった!花咲さん達のお父さんを狙って私を待ち構えてるのか単なる偶然なのか分からない!どちらかにしてももう捨て置けない!!)」

 

『そうか。さて!目立つ様な服装は避けろよ。無論、雄英の制服は駄目だ。本当ならあのコスチュームを使いたかったが……贅沢は言えねぇ。ナイフのチェックを忘れるな。唯一の得物である筈の個性が土壇場で使えないなんて笑い話にもならねぇからな』

 

私はアーサーに指示されるまま準備をする。

 

目立たない服装、個性のチェック、何時でもアーサーと入れ替われるかのチェック、そして……これから人を殺す覚悟を決める。

 

「(……何時でもやれるわ)」

 

『よし。俺とお前でやってやろうぜ。闇に潜む悪を暴き、捌き、報いを受けさせようぜ。ジルいや……相棒』 

 

アーサーはそう言ってニヤリと笑うと私は決意と不安そして周りの人達を裏切る行為に走る事への罪悪感を抱きながら私はこっそり家を抜け出した。

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私は家を抜け出した後、私は路地へと足を踏み入れた。

 

路地はヴィランや浮浪者達の溜まり場で危険だから近付くなと幼い頃から言われてきたがそう言われていたのが不思議なくらいに人がいなかった。

 

『そりゃあ、ヴィランだって夜には寝たいだろ?これから後ろ暗い事をする奴以外は……な!』

 

アーサーはそう言い終わった時、誰かが飛び掛かって来た。

 

アーサーは私から身体の主導権を握るとナイフを産み出して振るわれた何かを弾き返した。

 

鈍くも路地に響く金属と金属がぶつかる音が鳴る中、私とアーサーは襲ってきた相手を見る。

 

相手は目立たない黒い服装とフードを深く被った男で手には大きな刃物を持っている。

 

間違いない……連続強盗殺人事件のヴィランだ。

 

「御大層な挨拶だな。普通は淑女相手には一礼して丁寧に声を掛けるべきだと思うぜ?」

 

「うるせぇ!あと少しと言う所で余計な介入をしやがって……おかげで犯行が何時、バレるか怯える毎日だ!この小娘が!!」

 

「逆ギレか?罪も何も無い市民を殺しておいて自分は悪くないなんて言い様だな?」

 

「……仕方なかったんだ!こうしないと妻を助けられないんだ!!」

 

『このヴィラン、奥さんがいるの?助けられないってどう言う事なの?』

 

私は疑問に思う中、ヴィランは犯行に至った経緯を話し始めた。

 

「妻は肺を患っていて臓器移植が必要だ。手術にはかなりの額がいる……だけど、俺は盗みや喧嘩やらで前科持ちで学歴も中卒までだ……ろくな仕事に着けねぇんだよ。自業自得なのは分かってるけどよ。せめて妻だけは助けねぇと地獄に行くにも行けねぇんだよ。だけど銀行とかそんな所を狙ってもすぐにヒーローが飛んできて捕まる。だから収入は少なくても路上強盗に手を出したんだ」

 

「だからと言って殺した奴にも家族や友人がいた。そいつらはどう思う?お前が奪った奴はそいつらにとって大切な存在なのかもしれない。お前はそれを無惨に奪い去った。どんなに都合の良い大義名分を掲げても悪は悪であり、罪は罪だ」

 

アーサーの言葉にヴィランは何も言い返せず黙る中、アーサーはナイフの先をヴィランに向けた。

 

「だから……お前を殺す」

 

「なッ!?お前……雄英の生徒だろ!しかもヒーロー科だ!そんな事をして良いと思っているのか!!」

 

「勘違いするな。お前を地獄に送るだけだ。知られる事なくな」

 

「く、くそがぁッ!!」

 

ヴィランは切り掛かって来るとアーサーは軽く避け、ヴィランの刃物を持つ腕をナイフで深く刺し、更に怯んだ所を素早くナイフを抜いて太股に突き立てた。

 

「があぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

ヴィランは腕を押さえながら倒れるとアーサーと落ちた刃物を蹴り飛ばして遠くにやると笑みを浮かべた。

 

「これで終わりだ。せいぜい地獄への旅を楽しんでこい」

 

「殺人鬼が……!地獄に落ちるのは……お前だ!!」

 

ヴィランは憎しみを込めた目でアーサーが主導権を握る私を睨むけど私は一つだけ聞きたい事があった。

 

『アーサー。この人に一つだけ聞きたい事があるの。変わってくれる?』

 

私はアーサーから了承を得て主導権を一時的に戻すと私はヴィランに対して質問した。

 

「貴方に聞きたい事がある。貴方は私を襲おうと計画したの?それとも偶然?」

 

「急に何だ……ぐわぁッ!?」

 

「質問に答えて」

 

私は質問に答えないヴィランに対して太股の傷口を思いっきり踏みつけた。

 

「ぐうぅ……襲おうと計画したさ!!見られたと思って焦ってな!!だが、時間が無かった!!だから強盗しながらお前が一人になるのを待っていた!!」

 

ヴィランはそう言って痛みのあまり大量の汗を流しながら苦しむ顔にジルは不思議と何も思わなかった。

 

自分を襲おう為に回りを巻き込んだヴィランに対する慈悲は既にジルには無く只、そこにいるのは殺すべき悪だと認識していた。

 

「そう……アーサー。もう良いわ。終わらせて」

 

『了解。ちゃっちゃと終わらせるか』

 

アーサーはそう言って私とまた入れ替わると倒れているヴィランにのし掛かるとナイフを振り上げて首に目掛けて振り下ろした。

 

血が激しく飛び散り、ジルの身体や衣服に返り血が付着する中、ヴィランは暫く痙攣を起こした後、そのまま力尽きた。

 

「……終わったな」

 

アーサーはそう言ってナイフを軽く振るって血糊を払うとジルと入れ替わった。

 

『どうだ?人を殺した感想は?』

 

「……最悪としか言えない」

 

『そうだろうな。さて……まだやる事がある。証拠を隠滅するぞ』

 

「証拠を?」

 

『捕まりたいのか?証拠を消さなければ必ずお前に食い付いてくる。そうなりたくないならやるしかない』

 

私はアーサーのその言葉に暫く考えたけど私はもう罪を犯した……捕まれば家族に迷惑を掛ける。

 

なら、私は証拠の隠滅を図る事を決め、アーサーの指導の元、私に繋がる証拠を消し去り、そして私は人に目撃されない様にその場から去った。

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私は何とか家に戻ると母さんに気付かれない様にこっそりと部屋の窓から入ると椅子に座り、溜め息をついた。

 

『足跡は念入りに消した。指紋は手袋をしておいたから問題は無い。血が付いた衣服は途中で着替えて燃やしたから回収しようがない。これでもう俺達を追えない』

 

「(……随分、慣れてるわね。何れも警察が捜査する様な箇所ばかりじゃない)」

 

『散々、教えられてきたからな。それに俺自身にも捜査の技術があった。最近の捜査技術もそれなりに学ばせて貰ったしな』

 

アーサーはそう言って笑う中、私は我に返って思い返した。

 

あのヴィランは自分の奥さんの為に犯罪を犯した。

 

理由はどうあれそれは確かに人の為の犯罪であり、助けたいと言う強い気持ちと追い詰められた境遇によって引き起こされてしまったものだ。

 

「(アーサー……私のやった事は……正しかったの?)」

 

『……なんでだ?』

 

「(確かに酷いヴィランだった。でも、それは奥さんの為に必死になって、追い詰められた結果なら説得できたんじゃないかなって……)」

 

『ジル。一つだけ言ってやる。彼奴はタガが外れていた。例えその奥さんを助けれたとしてもまた金の為に人を殺すかもしれない。それにあと少しと言っていたが……どの位の額なんだ?それが貯まるまで一体、何人死ぬんだ?』

 

「(それは……)」

 

『後悔するのは良い。だが、受け入れろ。奴はもう……殺すしか止める事ができなかった。それで殺されていたかもしれない誰かの命を助けれた。誰かの無念を晴らせた。お前は人を助けたんだ。例え、血塗られてしまってもな』

 

アーサーの言葉に私は何も言えなかった。

 

決めたのは私……私が殺したのなら受け入れるしかない。

 

私が殺した事で誰かが救われたのならもう、それで良い。

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