殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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【第二章】ダークヒーロー【殺人鬼ルート】
消えない後悔


私が連続強盗殺人のヴィランを殺してからと言うもの、死体を見つけたのか朝はテレビでもラジオでも持ちきりになって報道された。

 

《続いてのニュースです。今日の今朝、路地で男が死体で発見されました。死体は無惨にも切り裂かれており、死体を発見した住民によりますと昨晩、誰かが争う音と声が聞こえたと言う証言があり、警察とヒーローが捜査を行っておりますが証拠は無く、依然として捜査が難航している模様です。また、男は連続強盗殺人事件の犯人とされ、それも視野に捜査すると答えております。続いてはNo.1ヒーローのオールマイトが雄英に》

 

私は朝食を食べながらテレビで流れるニュースを聞いて昨夜の事を思い出す。

 

アーサーが殆どやったとは言え、未だに手に残る人をナイフで切り殺した感覚。

 

とても落ち着かないが母さんは勘が鋭い。

 

バレない様に振る舞わないといけない。

 

私は朝食を食べ終えると遅れない為に登校の為の準備をしにいく。

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私は今回が最初で最後の同伴となるミッドナイトこと香山先生に送迎して貰った。

 

同じ女同士、色々と弾む話をしてくれて私が少しでも元気を出してくれる様に心掛けてくれた香山先生には感謝しかない。

 

まぁ……流石に色々と際どいコスチュームを着てきて送迎に来なかったのは良かったと言うのは内緒だけど。

 

私は雄英に行く前に香山先生に花咲透さんの所へお見舞いに行かせて貰える様に頼むと快く了解してくれて私は透さんが入院している病院に着くとそこへ見知った医師がいた。

 

「おや?ジル君じゃないか」

 

「外堂先生。お久しぶりです」

 

私がヘドロ事件の時に運ばれた病院で外堂先生と再会した。

 

前にあったのは別の病院だったけどどうして此処に?

 

「外堂先生。どうしてこの病院に?」

 

「ふむ。実は此処に緊急搬送された患者の手術をたまたま私が請け負ったからだ。私の腕は確かだからね。危なかったが何とか一命を取り留めたよ」

 

「そう……良かった」

 

私はそれを聞いて安堵しているとそこへ力斗と志奈の二人がやって来た。

 

「あ、ジルさん」

 

「……お前かよ」

 

私は二人を見てどんな顔をすれば良いのか分からなかった。

 

わざとではなかったとしても、二人の父親を巻き込んだのは私だ。

 

二人からすれば私もそれ相応に憎悪の対象だ。

 

「力斗、志奈。私のせいで……ごめ」

 

「謝んな!」

 

私は力斗のその拒絶の言葉に罪悪感を深く抱いていき、胸が苦しくなってくる。

 

「テメェが……巻き込んだとしてもな……ヒーローを目指してんだろ?謝んなよ……正しい事をしたんだって思えよ!許せなくなるだろうが!!」

 

「お兄ちゃん……此処は病院の中だよ」

 

「でも……私は!!(人を殺して……!!)」

 

「うるせぇ!!良いか!テメェのせいじゃねぇ!!分かったか!!たく……」

 

力斗はそう言って足早に病院の外へ歩いていってしまい、残された志奈は私に微笑みかけた。

 

「お兄ちゃんの言う通り、貴方が悪い訳ではありません。確かにお父さんが事件に巻き込まれて重症と聞いた時はどうしてそんな事にって考えました。貴方が関わった事で巻き込まれた。お父さんが死ぬかもしれないって思うと怖いと思いました。でも……一番怖かったのはきっとジルさんの方です」

 

「私……?」

 

「貴方が事件に関わってヴィランに狙われていたと聞きました。貴方は優しい人です。きっと、お父さんの事を聞いて罪悪感を抱いているんじゃないかと思っていました。そこにヴィランに狙われているなんて聞けば……とても怖いですよね」

 

志奈さんのその言葉に私は今更、怖かったなんて思い始めていた。

 

人を巻き込んで、ヴィランに狙われて、そのヴィランを殺して、私の回りにいる人達を裏切った。

 

怖かった……本当に……怖かった……

 

でも、私は……暗い顔を作っただけで涙一つすら流せなかった。

 

「私はヒーローになる自信はもう無いです……でも、貴方の優しい人ならきっと、良いヒーローになれます」

 

志奈はそう言ってお辞儀した後、力斗を追い掛けて行った。

 

残された私は暗い顔をし続ける中、肩に手を置かれた。

 

「あの子達の言う通りよ。貴方のせいじゃない。気に病みすぎては駄目よ」

 

「そうだね。理由はどうあれ君が襲った訳じゃないのだろ?気の病みは健康に影響するからあまり、考え過ぎない方がいいぞ?」

 

二人の慰めに私は心の何処かに鋭い刃物が刺さる感覚を覚えるけど顔に出す訳にはいかない。

 

「ありがとうございます。本当はお見舞いをしてから登校したかったのですがもう行かないと遅刻してしまいますね」

 

「え……?あッ!?」

 

「それは大変だ。お見舞いはまた今度だね。早く行ってきなさい」

 

「はい。では、これで」

 

「ジル!早く行くわよ!」

 

私は香山先生に促されて私は外堂先生にお辞儀した後、病院から出て駆け出して行く。

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私と香山先生は急いで雄英に来るとそこにはマスコミの群れがいた。

 

「な、何なの……アレ?」

 

『さぁな。どうせ、ろくでもないのを取材してるんだろ?』

 

「面倒な事になってる……」

 

私達は群れるマスコミに唖然としているとマスコミ達が一斉に此方を見てきた。

 

まずい……かなり嫌な予感がする。

 

マスコミの視線に一歩退いてしまった私に対してマスコミ達は個性でも使ってるのかとばかりにかなりの速度で走ってきた。

 

「ヒーロー科の子ですね!オールマイトが教師として赴任した感想を聞かせてください!」  

 

「おい!俺達が先だぞ!!」

 

「何だと!?俺達が先だ!」

 

「あれ?君ってあのヘドロの……?」

 

「え、あの事件の?」

 

あぁ……まずい。

 

お願い止めて……黒歴史を掘り返さないで……!

 

もう私は恥ずかしくてそのままそそくさと群れを掻き分けて進むもうとした時。

 

「まだお話は終わってません!」

 

なんて腕を掴んできた。

 

「邪魔だ」

 

腕を掴まれたのを知ったアーサーが無理矢理に出てくると腕を掴んできたマスコミを睨み、掴んでいた腕をアーサーは外した。

 

「授業に遅れたらどうしてくれる?うちの担任はそういうのには厳しいんだぞ。もし遅刻をして除籍されたら……分かってるな?」

 

アーサーはそう言ってニヤリと笑って見せるとマスコミ達は固まってしまい、アーサーはそのまま校門を抜けると私に主導権を返した。

 

「(何してんの!?)」

 

『ふん。マスゴミ共があんまりにしつこいから威嚇しただけだ。庇う必要はないだろ?』

 

「(庇ってないわよ!寧ろ彼奴ら貴方の事を報道したらどうすんの!?)」

 

『大丈夫だろ。いくら報道の自由シールドがあっても無敵だと思ってるのは奴等だけだ。一回訴えられたら簡単に勝てるし無駄な抵抗するなら……な?』

 

アーサーは愉快そうに笑っているが私は顔を青ざめていく中、そこへ相澤先生が来た。

 

「霧先。遅刻するぞ。早く行け」

 

「あ、はい。でも、香山先生が……」

 

私がそう言った時、校門がいきなり頑丈そうなゲートが出てきて閉じられた……あ、香山先生は外だ。

 

「ちょっとおぉぉぉぉぉぉッ!?」

 

香山先生の悲痛な叫びが聞こえる中、相澤先生が説明する。

 

「雄英バリアーだよ。俺らはそう呼んでる」

 

『もう少しマシな名前にできなかったのか?』

 

「(かなりの技術なのに名前がダサい……)」

 

私とアーサーはあまりにダサい名前に呆れる中、相澤先生は説明を続ける。

 

「学生証とかさ通行許可IDを身に付けていないとあんな風に閉じられる。学生証を忘れたり無くしたりするなよ?」

 

「あ、はい……それで香山先生は?」

 

「俺が中に入れるからお前は先に行け。遅刻すんなよ」

 

相澤先生はそう言って外に弾き出されっぱなしの香山先生を入れに行ってしまい、私は香山先生に申し訳ない思いで教室に向かった。

 

~別視点ide~

 

ジルが登校している頃、ジャッジは根津に事件の報告をしていた。

 

「路地で見つけたヴィランの死体と殺傷力の高い刃物が現場に見つかった。刃物からは多数のDNAが残っていて全てとは言えないが最近の被害者のDNAと一致した。間違いねぇ……連続強盗殺人事件の下手人だ」

 

「そうか……君は誰がヴィランを殺したと思うかな?」

 

「……霧先ジル。俺はある人物の犯行手口を知っている。証拠を残さない殺人。そのある人物こそが切り裂きジャック。あの現場では切り裂きジャックの犯行方法と同じだった。だが、証拠は無論無い……ジルの逮捕は諦める」

 

「ジルがやったと決めつけは良くないね。模倣犯の可能性だってあるさ」

 

「いや、模倣するだけじゃ切り裂きジャックにはなれない。無差別殺人をやると考えて衝動的に無計画にやればすぐに足がついて捕まる。切り裂きジャックは用意周到だ。無差別と見せかけながらもターゲットを絞っていた」

 

「ターゲットを絞るとは?」

 

「切り裂きジャックは悪を殺す悪。19世紀の今で言うヴィジランテだ。切り裂きジャックの二人が狙うは闇に潜む悪だ。ジルがもし、アーサー・ヒューイットの手を取っていたら……被害者は増えるだろう。証拠が無ければ現行犯でもない限りでは捕まらないがな」

 

ジャッジはそう言いきると根津の視線に溜め息を深くついた。

 

「信じろとは言わねぇが……手遅れになる前に引導は早めに出してやった方が人の為になる時がある」

 

「ジルはそんな子じゃないさ。僕らは彼女を信じてヒーローとして育てるさ」

 

根津の言葉にジャッジは何も言わず校長室の扉を開けて立ち去っていき、残された根津は溜め息をついたのだった。

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