殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
マスコミ侵入騒動から数日が過ぎた頃、ヒーロー基礎学はオールマイトは授業の準備なのかおらず、相澤先生が取り仕切っている。
「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイトそしてもう一人の三人体制で見る事になった」
「(……どう思う?)」
『あり得る話だろう。何せどうやったのかマスコミの連中が警備システムを破って中に押し寄せたんだ。念の為に警備は厚くするのは当たり前だ。お前だってもうあの時みたいな修羅場は御免だろ?』
「(……そうね。もう嫌よあんな修羅場は)」
数日前マスコミ騒動によって避難しようとした生徒達だったが幸いにも踏まれて圧迫死した死人こそ出る事は無かったけど怪我人は多かった。
私を含めた動ける生徒で保健室に送ったり、後で緋色から人格の変化について説明を求められたりして大変で……思い出しただけでも嫌になる。
でも、緋色は私の人格には殺人鬼のアーサーがいると聞いても笑ってそうかと言っただけだった。
理由を聞いたら。
「確かに殺人鬼なんて物騒な人格は怖いさ。だけどそのアーサーが私を危ない所を助けてくれたのは事実だし、何より君が危険な人間ではないと知ってる。それに何だか君がほっとけなくてね。私はそんな理由だけじゃ絶縁なんてしないさ」
緋色の理由を聞いた私は安心して腰が抜けてしまい暫く動けなくて緋色を困らせたな……と言うのが前の結果だった。
「はーい!何するんですか!?」
「災害水害なんでもござれ。
相澤先生はそう言ってレスキューのプレートを取り出して見せた。
「レスキュー……今回も大変そうだな」
「ねー!」
「バカおめーこれこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!!腕が!!」
「水難なら私の独壇場ケロケロ」
「おい、まだ途中」
レスキュー訓練と聞いた皆が騒ぐのを睨みながら注意した相澤先生はコスチュームの棚を動かす。
「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」
「さて……着替えないと」
『待て。コスチュームを着るんだろ?』
「(え?いや、あの服装はあまり救助向けじゃないから体操服に着替えるのよ)」
『おいおい、せっかくのコスチュームだろ?救助向けとかそんなのを決めるのは一度やってみてから決めろよ』
「(それって貴方が着たいからでしょうに……分かったわよ。確かに正論ではあるしね)」
私は諦めて棚から自分のコスチュームを手に取ると他の女子メンバー達と更衣室に向かって歩いていく。
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コスチュームに着替えた私達は集合場所であるバスの所まで来ると出久君があの時の訓練でコスチュームがボロボロになった為に体操服だったり、飯田君が委員長としてやる気をフルスロットルに出して張り切ったりする中、私は自分の手を見た。
別に何も無いけど私に見えるのは血塗れの手、人殺しの手だ。
私は……人を救うヒーローに相応しいのか私にはもう分からない……でも、それでもまだ機会があるなら私はヒーローを目指して歩き続けたい。
私は手を強く握り締めた後、私は飯田君の指示の元でバスに乗り込んだ……けど。
「こう言うタイプだった!くそう!!!」
「意味なかったなー」
飯田君は予想を外した席の形であった事に悔しそうに落ち込むけど私としてはやる気があって指導力のある飯田君はとても良いと思う。
「私思った事を何でも言っちゃうの緑谷ちゃん」
「あ!?ハイ!?蛙吹さん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで。貴方の個性、オールマイトに似てる」
バスに揺られる中、梅雨ちゃんの発言にあからさまに出久君が驚いて慌てる姿に私は首を傾げる中、皆は話を進めていく。
「そそそそ、そうかな!?いやでも僕はそのえ」
「待てよ梅雨ちゃん。オールマイトは怪我しねぇぞ。似て非なるアレだぜ。しかし増強型のシンプルな個性はいいな!派手で出来る事が多い!俺の硬化は対人じゃ強えけどいかせん地味なんだよなー」
「僕は凄くカッコいいと思うよ。プロにも十分通用する個性だよ」
「プロなー!しかしやっぱヒーローも人気商売みてぇなとこもあるぜ!?」
『人気商売ね……気に入らねぇな。悪を裁く為の正義って言うのはそんな安っぽい理由の為にあるんじゃねぇぞ』
アーサーは人気商売と言う言葉に批判的な態度を見せた。
確かにヒーローは人々を守る為に国から認められた存在であり、悪を捕まえて法の裁きを掛けさせ、時には災害から人々を助け出す。
それこそヒーローたる者達が求められる理由であり、芸能人の様に人気さえあれば成立する仕事ではない。
「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み」
「でもお腹を壊しちゃうのは良くないね!」
青山君に芦戸さんがそう言うと青山君の表情は何処か暗くなった。
話題は尽きず、今度は勝己と轟君や私に向けられた。
「派手で強えっつったら轟と爆豪だな」
「派手さこそ無いけど霧先さんも強いし優しいよね。きっと人気が出るよ」
二人だけじゃなくて私まで誉められるのは少し照れ臭い……でも私はそこまで優しくない。
血塗られさえしなければ私は……素直に認められたかしら。
バスの中は話で盛り上がる中、私は内心では暗いまま目的地へと揺られる。
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目的地に着いた私達が見たのは遊園地を連想させる様な演習場で土砂崩れや火災、水害と言った災害が再現され、そこにあった。
『おいおい。どんだけ広いんだよ。金かけすぎだろ?』
「(無駄にはしてないんだから良いじゃないの。まぁ、本当に大きすぎるけど)」
「スッゲーーー!!USJかよ!!?」
凄すぎて確かにUSJみたいな感じに見える施設を見ているとそこへ宇宙服みたいなコスチュームを着たヒーローが着た。
「水難事故、土砂災害、火事、etc……あらゆる事故や災害を想定し僕が作った演習場です。その名も……嘘の災害や事故ルーム!!略してUSJ!!」
「(USJだった!?)」
『大丈夫なのか!?あの有名な遊園地に怒られないのかそれ!?』
私だけでなくアーサーまでもツッコマずにはいられないパクりの極みみたいな名前に驚愕するいや、するしか選択肢が無さすぎる。
「スペースヒーロー、13号だ!災害救助で目覚ましく活躍している紳士的なヒーロー!」
「私、好きなの13号!」
ヒーローオタクの出久君と好きなヒーローであった為にはしゃいでいる麗日さんは興奮する中、相澤先生と13号先生は何かを話した後、そのまま授業を始める姿勢に入った。
オールマイトは……まだ来てない?
『何だ?No.1ヒーローとあろうものが遅刻か?』
「(オールマイトが遅刻したとしても誰かを助けていたからじゃないからかしら?教師とは言え皆のヒーローであるオールマイトが悪事を見過ごすとは思えないし)」
『案外、ヘマをして出てこれないからだったりしてな』
アーサーは面白おかしく言うけどオールマイトがそんな間抜けな事をする筈がないと信じて私は授業に集中する。
「えー始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」
「(増えた……)」
13号先生のお小言が増える現象に私は唖然とすると13号先生はお小言を言い始めた。
「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性はブラックホール。どんな物でも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人を救い上げるんですね」
「えぇ……しかし、人を簡単に殺せる力です。皆の中にもそう言う個性がいるでしょう」
私はそれを聞いて初めて殺人を犯した事を思い出してしまった。
連続強盗殺人犯であるヴィランをこの手でナイフで切り裂き、喉を貫いて殺害した……
私は13号先生のその言葉は私にとって自分を責める鞭の衝撃の様なものだった。
淡々と説明する13号先生の授業が全く耳に入らない。
「以上!ご静聴ありがとうございました」
「あ……しまった……」
『しっかりしろ。聞いてなかった内容は後で俺が教えてやる」
「(ごめん……)」
私はアーサーに短く謝った時に噴水の方に黒い靄が見えた。
「(何かしら?)」
『……ジル。身構えろ』
「(え?)」
「一塊になって動くな!13号!!生徒を守れ!!」
相澤先生から想像できない大声で指示が飛び、13号先生は私達を庇う様に身構えた。
「何が起きてるの……?」
『分からないか?俺達は今度は訓練での実戦じゃなく、本気の実戦をするのさ』
アーサーのその言葉を聞いた私はその意味を知った時、相澤先生が叫ぶ。
「ヴィランだ!!!」
相澤先生がそう叫ぶ中、ヴィラン達は靄を抜けて出てくる。
その数は20人近く……何でこんな所にヴィランが現れたのか知らないけど私達は今、訓練ではない命のやり取りをすると言う事が嫌でも理解できた。