殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
暗い夜の路地。
私は今、一人の悪を追い掛けていた。
「ひぃッ!?く、来るなぁッ!」
男は誘拐、人身売買、殺人、放火、強盗ともはや数えるのも馬鹿々しい罪状を持っており、見当違いな人を殺さない為に裏取りもしっかりやってから殺人を決行した。
迷路の様な路地を私は笑いながら男をなぶる様に追い掛け回し、恐怖を植え付けながら上手く路地の行き止まりまで追い込んだ。
「もう、逃げないでよね。追い付くのに苦労したじゃないの」
「あ、悪魔め!お、俺なんか殺しても何の特にはならねぇぞ!!」
「いいえ。特にはなるわ……悪がまた、一人減るの。さようなら」
私はそう言ってナイフで頸動脈を正確に狙って切り裂くと血は勢いよく吹き出し、私は返り血を浴びる中、血糊を払った後、近くの壁に分かりやすく血でメッセージを残す。
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『上出来だぜ。ジル』
「ふふふ……明日のニュースが楽しみね」
私は笑いながら明日のニュースの一面を楽しみその場から歩いて離れた。
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~別視点side~
今朝、路地の奥で一人の男の無惨な遺体が発見された。
残されていた壁に書かれた血文字のメッセージに警察やヒーローはこの凶行に及んだヴィランである切り裂きジャックに怒りや困惑を覚えていた。
「被害者は多くの罪に問われているヴィラン。過去にヒーローが捕縛し逮捕に至ったが釈放。こいつの後ろには何か大きな組織があると噂があり、もう一度調べている最中に殺害されてしまった……か」
現場には近くにいた事からウィングヒーロー、ホークスが訪れていた。
ホークスが最初に目にしたのは何度か刺されたり、切られたりした傷があり、追い詰められた末に最後に首の頸動脈を一切りに切り裂かれた無惨な死体でホークスも流石に顔をしかめた程に酷い状態だった。
状態は死体が放置されていた事や壁に血文字のメッセージ、金品は手付かずで残され、金品目的ではなく殺人自体に目的を見出だす断定的な快楽殺人とされた。
そして……証拠は消されており、痕跡を追うにも掴めなければ追えない状況に陥っていた。
「FROM HELLね……まるでかの有名な切り裂きジャックじゃないか……と言いたいけど本当に切り裂きジャックと名乗ってくるとはね……」
ホークスはメッセージの中に自らの名前も入っており、Jack the Ripper、切り裂きジャックと名乗っているのだ。
「はぁ……自称切り裂きジャックのヴィランもいる所か見当が付かないし、これじゃヒーローがいても意味ないね」
速すぎる男と称されたホークスはお手上げとばかりに両手を挙げた後、少しでも切り裂きジャックの後を追うべく調査するが結局、追う所か尻尾すら掴めないまま幕を閉じた。
その頃、雄英では暗いニュースが舞い込んだ。
霧先ジルの母親が何者かに射殺、死亡し、ジルは行方不明となった。
残されていた物は丁寧に寝かされていたジルの母親とジルが日頃から身に付けていた青いリボン、ジルの自室に置かれていた退学届だった。
最初こそジルが母親の射殺の犯人とされたがわざわざ銃を使う程にジルは弱くないとされ、疑いは晴れたが何処へ消えたのか未だに行方不明となっている。
「何処に行ったんだろう……」
「霧先さん……」
「ちッ……」
「霧先さんはきっと大丈夫だ。彼女を信じて待とう」
緑谷や麗日は行方不明となったジルを心配し、勝己は無言で窓の外を見て、飯田はいつも通りの行動を心掛けているがそれでも心配である事は変わりなかった。
クラスの皆もジルを心配し、安否を少しでも知ろうとニュースや新聞を通して何か僅かな情報は無いかと探す者もいる。
だが、ジルの安否を探すのに夢中で記事の見出しに"切り裂きジャックの亡霊"と言う題名のニュースが乗っているのを見逃してしまった。
~side終了~
昼頃の時間帯になった頃、路地の壁に持たれながら私は新聞を読んでいた。
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〈"切り裂きジャックの亡霊"現る!?〉
今朝、路地の奥で無惨に切り裂かれた男性の遺体が発見された。
男は複数箇所の刺し傷や切り傷を受け、逃走するも追い詰められた末に頸動脈を正確に切られ、声も出せないまま出血多量で死亡。
金品の類いには手がつけられておらず、また壁には血でメッセージが残されていた。
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この事から我々は殺人犯に対して19世紀の殺人鬼が地獄より蘇ったと例え、"切り裂きジャックの亡霊"と称する事に決めました。
切り裂きジャックの亡霊は再び殺人を犯すのか?
此処で終えるのか?
また、ヒーローに取り押さえられるのか?
切り裂きジャックの亡霊の新たな情報が入り次第、ニュースの続報として記載致します。
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新聞を一通り読んだジルは新聞を軽く畳むと地面に捨て去って歩き出した。
『一先ず初めての仕事はこなしたな。新聞を見た限りではまだそこまで話題になっていないがな』
「これからよ。これから徐々に切り裂きジャックの名を知らしめる。知らしめ、法を逃れる悪を暴いて捌き、そして……母さんの仇を探し出す。私はその為なら何でもするだけよ」
『そうか。なら、次の獲物探しをしようか』
「獲物ね……悪は本当に多い。獲物が定まらなさすぎる
位に……あれはなに?」
私は路地の外側を覗き込む様に見るとそこでは人が大勢集まっていた。
老若男女と問わない群衆に私は何かあるのかと見る中、その中心には天使と間違えそうな程に綺麗な人が修道服を着た二人の男を連れていた。
「皆様。私達、アズエル教会そして私、フォールン・救火は社会的弱者の救済に主に力を注ぎ、活動しております。個性社会と呼ばれる現代では異質な個性であるから、異形の個性であるから、無個性であるからと差別が繰り返され、苦しむ人々が沢山います。我々はそんな社会的弱者を救済し、普通の生活を送れる日々を勝ち取る為にそんな彼らを助け、教会に招き、互いに力を合わせて共に活動しております。どうか我々、アズエル教会にご協力を。差別無き社会の為に戦いましょう。全ての人々に救済を」
綺麗な人ことフォールン・救火が演説を終えると周りの人々は大きな歓声と拍手で迎えた。
よく見ると異形系の個性持ちもいる事から差別に苦しむ経緯を持っていると推測した。
『何だ?この現代社会で新興宗教立ち上げしてるのか?』
「(さぁ?私にも分からないわ。でも良いんじゃない。人助けみたいな事を言ってるし)」
『いや……宗教と言うのは胡散臭い。一回調べてみようぜ』
「(宗教とか医者とか貴方って疑り深いわね。まぁ良いわ。調べてみて何かあれば……やるだけよ)」
私は今は暇と言う事もあってアズエル教会を調べてみる事にした。
個性差別を受ける者達への救済と撲滅を掲げる宗教団体……一見、良さそうだけどアーサーの勘通りならどんな悪事を働いているのかしらね。