殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私が通うのは折寺中学校。
まぁ、近所の中学校なのだから通うのだけど問題なのはアーサーが昔、半殺しにした虐めっ子も通っているって事。
つまり何が言いたいのかと教室にはいれば騒がしかった喧騒がアラ不思議。
静まり返って私を怯えた目で見てくる。
この中学校に入学してからと言うもの、虐めっ子達が過去の事を綺麗に全部話してくれたのかこのザマだ。
『はっははは!相変わらず一人だなジル!』
「(誰のせいだと思ってるのかしらね……!)」
アーサーが笑いながら私に挑発してくるけどもう無視する。
私は一人、退屈な学校生活、面倒くさい授業、進路の話、隣のクラスが笑い声やら爆発やら煩くて堪らない時間をホームルームまで過ごした。
私にとってこの中学校は最悪だと評価している。
裏でイジメや個性差別もあるから尚更で過去の事が無かったら今、隣のクラスにいる正真正銘の無個性の出久君の様な惨状を受けていただろう。
出久君とは一応顔見知りで一度、イジメの現場を目撃し、取り巻きと一緒にイジメを行っていた爆豪勝己に対して思わずビンタを食らわせてしまった。
彼が悪いのは確かだが流石にいきなりビンタは駄目だと思って謝ろうとしたが勝己の口が開けば幾らでも出てくる暴言にイラッとしてつい、またビンタを食らわせてしまい更に怒った勝己が個性を使おうとしたから咄嗟に股に目掛けて蹴りを入れてしまった。
勝己は股間を押さえながら倒れていく中で取り巻きや出久君はかなり青い顔をしてたけどそんなに痛いのかって聞いたらアーサーに呆れられた……げせぬ。
その後で先生に呼び出されてお説教を受ける事になったのも最悪だった。
まぁ、そんな感じで出久君と顔見知りだ……いや、もはや友人?
『まーたあのヴィラン顔爆発魔が出久を虐めているんだろ?また股に蹴りを入れたらどうだ?』
「(もう嫌よ。先生にそれを言ったら両肩を掴まれて真剣な顔で男の股を蹴るのは止めなさいなんて言った後、お説教の時間が延びたのよ」
『まぁ……当然だろうな。男のもっともやられたくない所に蹴りを入れたんだからな』
アーサーはそう言って苦笑いするけどそんなに痛いものなのかしらね。
あ、ホームルームが終わった。
取り敢えず私は帰り支度を手早く済ませると速やかに帰宅すべく教室を出て歩く。
進路希望どうしようなんて考えてたら鯉のいる池須に出久君がいるのを見つけた。
池須で何か焼け焦げた何かを手にして泣いている。
私にはそれは何かすぐに理解し、早足に出久君の所に行った。
「……誰にやられたの?」
「え……?霧先さん……?」
「そのノート。大切な物なんでしょ?また彼奴がやったの?また……人を苦しめる事をしたの?」
今の私は出久君に対してやった非道な行いに対しての勝己に対する怒りしか無かった。
出久君が常に持ち歩いている色々なヒーローの分析記録が載ったヒーロー分析ノート。
とても精巧で分かりやすい出久君が何れだけヒーローが好きなのか分かる出久君が大切にしているノート。
それを貶す様に爆破させて池須に捨て去った奴は一人しかいない。
「呆れて物も言えないわ。あれがヒーロー志望ね……もし、彼奴が人を思いやれない傲慢な性格のままヒーローになったら私、ヒーロー社会なんて信用できなくなるわ」
私は怒りのままにそう言って出久君に涙を拭けと言う意図でハンカチを取り敢えず渡す。
『確かにな。あんな奴が世を守るヒーローなんてなったらお先真っ暗だな。ヒーローが堂々と暴言と暴力を働く社会。ジル。お前はそれが許せるか?』
アーサーは不適に笑いながら言うもどこかで真剣な問いに私は……。
「(許せる訳がない!ヒーローは人々を守るこの時代の英雄であり、法の番人!それなのに自分の力を誇示して弱い立場の者達を虐げるのはヒーローじゃない!)」
『なら、お前はどうしたい?許せなくても行動しなければ何も変わらないし、変えられない』
「私は……」
「霧先…さん……?」
私は気がつくとかなり考え込んでいたのか出久君が心配そうな表情で見ていた。
「ご、ごめんなさい。考え事をしちゃってたわ」
「い、良いけどその左目どうしたの?瞳が真っ赤になってるけど?」
私はそれを聞いて鞄から手鏡を取り出して顔を見ると左目が普段の青い瞳ではなく赤い瞳に転じていた。
いけない……感情が高まり過ぎた。
私は感情が高ぶったりアーサーに身体の主導権を取られると左目の瞳が赤くなる性質を持っている。
普段からアーサーや個性の事を隠すのに不都合な為、感情が高まったりしてしまった時は万が一のチェックとして手鏡を持ち歩いている。
「な、何でもない……ちょっとした体質よ。気にしないで。それより出久君。辛い事があれば言ったって良いのよ。学校が駄目ならうちでも構わない。お父さんはヒーローだし、お母さんも元警察。言ってくれれば……力になってあげれるから。だから自分は一人だと思わないで」
私は手鏡をしまってそこからすぐに離れたくて早足にその場から立ち去る。
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出久君に瞳を見られてから私は兎に角、歩いていた。
誰にも見られたくなかった赤い瞳。
私は暫く家に帰りたいとは思えず時間も忘れて町を歩いていた時、田等院商店街の方が騒がしかった。
「何かしら?」
私は騒ぎが起こっている場所に向かって野次馬達を押し退けて見える所まで来たらヘドロの様なヴィランが勝己を捕らえているのだ。
「ッ……!!?」
『おいおい、彼奴が人質かよ。いや、違うな……あれは身体を乗っ取るつもりか?』
「(身体を……乗っ取る……!?)」
『どうやらそうらしいな。ヘドロ状の身体だけ取り柄ではないタイプのヴィランか……面倒な相手だ。見てみろ。ヒーロー共もあの爆発魔がいるせいで迂闊な攻撃が出来てない。恐らくヘドロ状であるせいで掴む事すらできない。おかげでいらない
アーサーの言葉に私は身体中が凍り付く様な感覚を覚えた。
確かに勝己はとても嫌な奴だ……でも、だからと言って見殺しにするのは違う。
『助けに行くつもりか?止めておけ。ヒーロー共は情けない奴らばかりだ。だが、この状況は確かに手が出しにくいのも分かる。ヒーロー共がまともに動かないのに個性を自ら封じているお前に何が出来る?』
「(私は……!)」
アーサーの言う通りだ。
ヒーロー達は適当な理由をつけて避ける言動を見せているが人質である勝己がいる事も周りが狭い場所で尚且つ火事や瓦礫で場所も限定されてから下手な攻撃や行動が出来ない。
そんな中で一方間違えれば人を殺す個性を持った私が行って何になると言うのか。
【それでも助けに行く。見殺しにはできない】
【見捨てる。とても助けにはいけない】
今の私にある選択肢は二つであり、選択できる物は一つ。
時間も無い……早く決めなきゃ。
私は決断の答えを求められる時間が迫る中、私が選んだのは。
※特に本編に影響はありませんが遊びでどうぞ
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それでも助けに行く。見殺しにはできない
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見捨てる。とっても助けにはいけない