殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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望まぬ再会

ゴール・D・マネーとそのサイドキック達を殺してから暫くして各地のプロヒーロー達とそのサイドキック達が集結しているとニュースで知った。

 

エンデヴァーを始めとしたプロヒーローとサイドキック達は所狭しに昼夜問わずに巡回し、少しでも怪しい人物がいないかを見て回っている。

 

この街から出る道や交通手段は検問が敷かれ、蟻一匹たりとも逃がさないとばかりの鉄壁の布陣で私としてもたまったものではない事態だ。

 

私は適当な建物の屋上でその様子を眺めているがとても隙が無い。

 

『どうするジル?奴等は本気でお前を捕らえに来たぞ?』

 

「(どうするも何もこれだとブロードマンに近付けない。対策を練らないと……)」

 

私は回りを見渡しもヒーローやサイドキックの群れが見え、特にヒーロー事務所付近を重点的に警戒している様子が分かる。

 

「(どうしようかな……)」

 

「おい、お前」

 

「ん?」

 

私はヒーローかサイドキックに見つかって声を掛けられたのかと思い振り替えればそこには包帯を顔に巻いた様なマスクにボロボロの赤い布を首に巻いたりしたコスチュームを着た背中に日本刀を背負い、身体に幾つもの刃物を装備していた。

 

「ハァ……お前が切り裂きジャックか?」

 

「貴方は……ヒーロー殺し、ステインね?」

 

『先輩殺人鬼のおでましか?』

 

そこにいるのはヒーロー殺しとして有名なヴィラン、ステインだ。

 

これまでに多くのヒーローを殺害及び再起不能にした凶悪犯で私と同じであり、思想違いの神出鬼没の連続殺人鬼。

 

「何の用かしらヒーロー殺しさん?私は手をこまねいてる状態だから相手にしてる暇はないわよ?それに……どうやって私の事を探ったのかしら?」

 

「簡単だ……ハァ……今のこの状況でヴィランは全員、隠れ家に引っ込み、出てこない。そんな中で路地を人目を避けて歩き、誰にも悟らせない動き……霞む程に濃い血の匂い……そして……見ただけで気配が只者ではないと物語っている……」

 

「へぇ……そうなんだ……今度から気を付けるから参考にさせて貰うわ。それで結局、何の用?」

 

私はステインの意図が掴めずに再度、そう聞くとステインは暫く無言でいた後に答えた。

 

「お前は……二人のヒーローとサイドキック共を殺した……ハァ……お前の目的は何だ?」

 

「法から逃れ、報いを受けず、のうのうと生きる悪に裁きを下してるだけ。二人のヒーローは犯罪組織と癒着した。許される事じゃない……だから殺した。サイドキックもまた同じ。全員、死刑よ。もしかして……貴方の獲物だった?」

 

「いや……俺は世に蔓延る贋物を粛清しているだけだ……ヒーローに足る者は対価を求めるべきではない……」

 

「そう……ある意味では私と同じね。最近のヒーロー達の行動……情けないものよね。苦手だから押し付けあいをして動かないなんて事を私は見た。平気で人を見捨てたり、不正を働くヒーローを知った。……ヒーローは誰もが憧れ、人々の手本となり、悪人が恐れる法の番人でならなければならない。ヒーローの名誉を汚す者は私は許さない。ヒーローの名誉を守る為に。悪を殺す事で未来で虐げられる人々を助けられるなら。私は……悪人でも良いと思ってる」

 

私にとっての正義はとても褒められたものじゃない……人を殺し、未来を奪うそんな所業を幾度となく繰り返して悪を裁き続ける。

 

殺人鬼、切り裂きジャックはヒーローにはなれない……だけど、人を助け、未来で奪われるかもしれない人々を守り、法から逃れた悪人に唯一報いを与えられる法に縛られない無法者(アウトロー)

 

ヴィジランテにもなれやしない無法者(アウトロー)だけどそれでも人は助けられると信じている。

 

「……貴様は……足る者らしいな……ハァ……惜しいものだ……」

 

「惜しくもないわ。最初に掲げたのは復讐。個人的な私怨……ヒーローなんて相応しくない……でも、誰かを助けたい。誰かを守りたい。私の様に奪われてしまわない様にしたい。復讐を誓ってもそれだけは手放せなかっただけよ。ステイン。私はヒーローの器なんて柄じゃないわよ」  

 

私はそう言って微笑んで見せるとステインは暫く無言でいたがやがて背中を見せ、立ち去る雰囲気を見せた。

 

「切り裂きジャック……お前が何と言おうと足る者だ……ハァ……」

 

そう言ってステインは立ち去ってしまった。

 

きっと、ヒーローの誰かを殺しに行ったのでしょうね……何しろ色んなヒーローが集まっている。

 

これ程の機会は滅多に無いし、少々殺しても私のせいになるでしょうね。

 

「……それって結構なトバっちりね」

 

もう考えていられない……さっさとブロードマンを殺しに行きましょう。

 

そしてアズエル教会の悪事を暴く。

 

私はそう決めると厳戒態勢の中、ブロードマンの事務所へと足を運ぶ為に屋上から立ち去った。

 

~別視点side~

 

一方、切り裂きジャックの目標となったブロードマンの事務所では中世の甲冑を着た白い髭が似合うプロヒーローのソードヒーロー、ブロードマンが震えながらソファーに座っていた。

 

そしてその対面に座る様にミストヒーロー、ジャスティスがおり、その横をサイドキックのジャッジとレディ・クイックが立っていた。

 

ブロードマンは震える中、ジャスティスは笑みを浮かべて話し始める。

 

「さて……俺が此処に来た理由はな。お前らの繋がりだ」

 

「つ、繋がり……とは?」

 

「レッサーヒーローのレッサーパンダ。マネーヒーローのゴール・D・マネー。そしてお前、ソードヒーローのブロードマン。一見、無関係な感じだがな……誤魔化せると思うなよ?たまに会ってたよなお前ら?」

 

「何の事か知らん!一体、何の証拠があっての事だ!!」

 

「これだ」

 

ジャスティスはそう言って一枚の写真をブロードマンに突き付けるとブロードマンは顔を青くする。

 

そこにはアズエル教会を立ち去ろうとするレッサーヒーロー、ゴール・D・マネー、ブロードマンの三人がいた。

 

「脅しのネタになるなんて持ってたヴィランがいてな……没収した。何をしていたのかは知らないし、交友関係も口出しはしない。だが、切り裂きジャックの被害者はこの写真の三人中、二人を殺した。だったら二度ある事は三度ある……次はお前がターゲットだ。ブロードマン。正直に話せば切り裂きジャックから守ってやる。何をしていた?……新興宗教の連中と何をしていた!!」

 

ジャスティスはそう言って机を殴るとブロードマンはガタガタと身体を震わせるだけで何も言わない。

 

ジャスティスはその様子を見て溜め息をつくとソファーから立ち上がった。  

 

「もう良い……お前がそのつもりなら俺は助けたりしない。せいぜい切り裂きジャックの玩具になりな」

 

「ま、待ってくれ!私は不正をしていた訳じゃない!それだけは断言する!」

 

ブロードマンは慌ててソファーから立ち上がって弁明するとジャスティスはニヤリと笑った。

 

「不正ね……俺、そんな事は言ってないが?」

 

「そ、そのようだな。だが、私は本当に何も不正に関与していない!していたのは……あの二人だ。多額の金を受け取って教会のしている行為を見逃した。私は拒否したが……サイドキックの一人が殺された」

 

「ん?事故死の筈だろ?まさかそれに見せかけて……」

 

「……奴等は想像以上に大きな組織と繋がりを得ている可能性ある。私は家族に……孫達に危害が及ぶのを恐れた……情けないが奴等に屈した……だが、私は意地を貫いて賄賂だけは受け取らなかった。それでも奴等の為に黙認や証拠隠滅に力を貸してしまった……ヒーロー失格だな……」

 

ブロードマンはそう言ってソファーに深く座り込むと意気消沈した様子を見せ、ジャスティスは静かに見つめた後、ブロードマンに告げる。

 

「お前は罪を犯した。ヒーローである筈なのに。許されない事だ……だが、それでも反省の意思を見せ、罪に向き合っている。一度、牢獄で頭を冷やしてやり直せ。それが今のお前の役目だ」

 

ジャスティスはそう告げた時、足音が鳴り響いた。

 

ジャスティス達が足音のする方へ視線を向けるとやがて足音はジャスティス達がいる部屋の前まで来た時、扉が勢いよく開かれた。

 

現れたのは切り裂きジャックこと霧先ジル本人でそのまま歩いて来たと思われる

 

「来てやったわよブロードマン!サイド……父さん……!」

 

「……ジル。残念としか言えねぇな」

 

「霧先ジル。いや、切り裂きジャック。お前を殺人の容疑で拘束させて貰うぜ。逃げられるとは思うなよ?」

 

「ジル……何でなの……お母様の復讐?」

 

望まぬ再会。

 

それを果たしてしまった二人は正義(ヒーロー)(殺人鬼)として対立する事となった。

 

~side終了~

 

私は驚きのあまり固まってしまっていた。

 

ブロードマンを殺しに巡回の目を掻い潜ってブロードマンの事務所に来ればサイドキック達は一人もいない。

 

罠かと警戒しながら進んだけど誰一人会わないまま突き進んでブロードマンがいると思う部屋の扉を開けたら父さん達がいた。

 

「ジル……負けちまったのか?アーサーに……殺人鬼の人格に……」

 

「……邪魔しないで父さん。これは私が決めた事だから」

 

「殺人はどんな理由があろうも罪だ!お前が一番分かっていただろ!!」

 

「母さんが殺された!!誰が?何の為に?誰がやったのか分からず、犯人は裁かれない……なら、私が探しだして裁く!!父さんは……その時に父さんは何してたの!一体、何してたの!!」

 

「大きな事件を追っていた……言い訳にしかならねぇよな……出張はその事件を追う為にしていた。何年もな。オリヴィアも理解してくれてた……甘かったと思うよ」

 

「……そうよね。父さんってヒーローだからね……だから……母さんが死ぬ間際まで一人にしてたものね」

 

私は父さんに冷たい言葉を投げ掛けた。

 

本当は責めるつもりはなかった……本当は抱き締めて欲しかった……でも……それはもう許されない。

 

私は……殺人鬼だから。

 

自分の責任を逃れる様な事はしない。

 

「ごめんなジル……俺にはお前を捕まえるしかできねぇ……覚悟しろ、切り裂きジャック。テメェの悪事はこれで終わりだ」

 

 

「捕まえられるものなら捕まえてみせなさいよ!!」

 

私はもう覚悟を決めた。

 

例え父さんが相手でも決して立ち止まるつもりはない……でも、善人は殺してはならないのが切り裂きジャックとしてのルール。

 

私はナイフを使わず、拳で父さんに殴り掛かったけど父さんを殴った感触は無く、煙に殴りつけた様な感覚が残った。

 

「忘れたか?俺の個性は(ミスト)。俺の身体は霧になっている。無論、触れたりする事は出きるが……基本的には霧そのものを相手にしてるもんだぜ?」

 

「……忘れてたわ。長い間、会ってなかったから」

 

私は冷や汗を流しながら父さんとジャッジとレディー・クイックと対峙する。

 

父さんの個性は物理的な攻撃は無効化できる対物理においてかなり厄介な存在。

 

ジャッジやレディー・クイックの二人の実力もよく分からない中、私が選んだ選択肢は……

 

 

「逃げの一択ね!!」

 

私はそう言って近くの窓に飛び込むとガラスを割りながらそのまま落下し、地面に勢いよくかつ、衝撃を逃がしながら着地するとそのまま路地の中へ入り込み、三人を巻いた。

 

今回の殺害は……失敗に終わった。

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