殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私は捕まらない為に必死に路地の中を走り、父さん達の追跡を振り切って尚且つ姿を消そうとしたけど……早まったわ……私はとっくに包囲されていたのね。
「切り裂きジャック!逃がしはしないぞ!!」
後ろからターボヒーローのインゲニウムが物凄いスピードで追い掛けて来ていたのだ。
幸いにも路地は要り組んでいたから角を右に、左にと曲がってインゲニウムの追跡をやり辛くさせるけど諦める様子がない。
このままだとインゲニウムのチームIDATENまで相手にする事になる。
私はもう面倒くさいから下水道に逃げ込んでしまおうかと思ったら今度は上からミルコが突っ込んできた。
私は咄嗟に飛び退いて見てみるとミルコの周辺に小さなクレーターが出来ている……なんて脚力なの。
「私の蹴りを躱すなんてやるな!お前が切り裂きジャックか?」
「ミルコ!その子が切り裂きジャックだ!!連絡の通りの容姿と服装だ!!それと聞くなら聞く前に蹴りをいれてはいけないだろ!!」
「だいたいの事は蹴りゃ分かるよ!」
「……はぁ……面倒な事になったわね……」
ミルコの後に追い掛けてきていたインゲニウムが合流し、更に状況が悪化した。
戦闘力が高いミルコと最速の足を持つインゲニウム。
戦闘も逃亡も不利な状況だけど時間を掛けてはインゲニウムのチームIDATENのサイドキックや他のプロヒーローとサイドキック達が集まるかもしれない。
なら、この人達が上手く動けない場所に逃げるしかない。
私は二人が言い合いをしてる間に走り出すと角を曲がると同時に建物の壁を素早く登って屋上へと出た。
「器用だな彼奴!!」
「くッ!俺の足は建物を直接上るのは無理だ!!」
「そんな事はしなくても良いんだよ!私を舐めるなよ切り裂きジャック!!」
そんな声が聞こえると同時に大きな音と共にミルコが跳んで屋上まで来たのだ。
「貴方……しつこいわよ」
「なら、大人しく捕まりな!テメェは私達に狙われる程にそれだけの事をしでかしたんだからな!」
「そうね。私はどう足掻いても悪。
「おいおい、説法染みた言い回しは嫌いだぞ?」
ミルコは嫌なものを聞く様な素振りを見せるけど私には関係無い……私は言わなくてはいけない……
「私は……地獄からの使者……理不尽に死んでいった者達の代弁者……
「なら、そんなもんごと蹴り跳ばしてやるよ!!」
ミルコはそう言って向かって私に蹴りを仕掛けて来るけど私はそれを躱すとナイフを手にミルコに刃を振るった。
激しく飛び散る血。
本来なら善人に向けられるべきものではない刃を私は止む追えず振るった事に後悔は無いけど……ミルコ、貴方は……。
「化け物ね……!」
「へッ……化け物のお前が言ってくれるじゃねぇか……!」
ミルコは蹴りを避けられ、私に腹を切られて出血してもなお、私に拳で殴ってきた……
私は脇腹にそれを諸に受けてしまい、肋骨が折れた感覚を覚えた……
本命の蹴りではないとは言え……かなり堪えた……
そして彼女は笑っている……普通なら痛みで暫くは動けない様な痛みなのに……笑って立ち上がってきた……!
「ミルコ!無事か!ッ!?ミルコ!!」
インゲニウムが来てしまった……わざわざ階段から上ってくるなんてね……
「私は良いんだよ別に!それより切り裂きジャックに傷を負わせてやった!彼奴もそう簡単に逃げられないよ!」
「……貴方もね。早く病院に行きなさい。死ぬわよ?」
「殺人鬼が他人の心配か?」
「善人は殺さない……悪人を殺す……それだけよ……」
私は脇腹の痛みに襲われながら駆け出し、建物を飛んで飛び越えて逃げる。
~別視点side~
殺人鬼、切り裂きジャックによってミルコは腹を裂かれてしまい場所が走るのに不向きな屋上である事から追跡が困難と考えたインゲニウムはミルコを助けるべく応援を呼んでた。
「至急!救護班を!!ミルコが負傷した!!致命傷ではないが出血が激しい!!すぐに治療が必要だ!!!」
「クソッ……彼奴……何が善人は殺さないだ……ヒーローとサイドキックを全員殺しておいてな……」
「今は喋るな!傷に障る!すぐに救護班は来るから大人しくしていてくれ!」
「切り裂きジャックを取り逃がしちまうとはな……まぁ、良いか……今回は痛み分けだ……次は蹴っ飛ばす」
ミルコはインゲニウムに無理矢理に介護されながら切り裂きジャックとの痛み分けに悔しがりながら次こそはと考えながら笑った。
~side終了~
私は屋上を次々に飛んで二人から逃げ切ると近くの物陰に隠れる様に座り込んだ。
荒い息を整えながら脇腹を見るとかなりの激痛が走った。
「はぁ……はぁ……かなり痛い……わね……」
『大丈夫か?』
「このくらいは平気よ……でも……これ以上、戦うのは愚策ね……」
私は負傷した以上は何処かで治療に専念しなければならないと考えていた時、建物の下から声が響いた。
「地元住民を至急、避難させろ!この近くに切り裂きジャックが潜んでいる!奴は何をするか分からない殺人鬼だ!見つけ次第、確保しろ!」
指示を出しているのはエンデヴァーのサイドキック、バーニンで自分の後輩に指示しているのか避難の準備を行っている。
様子をこっそり見てみればぞろぞろと集まるエンデヴァーのサイドキック達、暫くすれば大本命のエンデヴァーが現れた。
「奴はこの付近にいる!!見つけ出せ!!奴はミルコの攻撃で手負いだ!!手負いの獣程、抵抗する!!被害を拡大させられる前に取り押さえる!!」
エンデヴァーはやる気満々とばかりにそう叫ぶとサイドキック達は避難と同時に厳戒体制で付近の巡回を始めた。
『ちッ……此処にいても必ず見つかる。動けるか?』
「動ける……でも、戦う余力は無いわよ?」
『逃げれるだけならマシだ。急げ』
私はアーサーに急かされながら流石に一気に飛び降りるのは無理だから壁の出っ張りに掴まりながらゆっくりと地面に降りた。
私は痛みを堪えながら歩く中、エンデヴァーのサイドキック達は油断なく私を探している。
「(流石に年貢の納め時かしらね?)」
『おいおい、始まったばかりだぞ?歴代最短で終わらせる気か?』
「(そんな訳ないでしょ。兎に角、逃げないとね)」
私は暗闇の路地を歩いて行く中、私は人がいない事を確認しながら路地の外を覗こうとした時。
「だ、誰か助けてぇッ!!!」
私はその悲鳴を聞き、痛みなんてほっといて駆け出した。
声は少女、避難の最中に何かあったのだと推測、私は悲鳴の発生源まで来るとそこには長いツインテールを多きなリボンで結んだ少女が体格の大きなヴィランに襲われていた。
「ゲヒヒッ!もう我慢できねぇッ!!俺と遊ぼうぜぇ……お嬢ちゃん!!!」
「だ、誰か助けて……誰か……!」
少女の周りには誰もいない。
助けられるヒーローもサイドキックもいない。
だから……私は……例え捕まるリスクはあってもあの子を助け出す。
『やれやれ……お前らしい行動だな……』
「うるさい。静かにして」
私はアーサーにそう言うとナイフを生成し、変態ヴィランの首に向かって切り付けると同時に少女を抱き締めて離れた。
ヴィランは首から血を流して倒れると私は一息ついてから少女を見ると怯えた目で私を見ていた。
それもそうね……人を目の前で殺したもの……
「大丈夫だった?ごめんね……私、こんな方法しか出来ないから……」
「うぅ……怖かった……怖かったよ!!」
少女は泣き出して強く抱き締め返してくるけど止めて!脇腹がかなり痛いから力を抑えて!?
私は少女を遠ざけ様とするけど安心した様にワンワン泣いていてとてもその気になれない……困ったわね……
「いたぞ!!切り裂きジャックだ!!!」
「捕まえろ!!!」
『見つかったな……これはエンデヴァーとか来るぞ?』
確かにマズイ……どうにかして逃げないと私が思っていた時、少女が急に離れて庇う様に私とサイドキック達の間に立った。
「止めてよ!!お姉ちゃんが何したのよ!!」
「え?いや、お嬢ちゃん。そいつは悪いヴィランだよ?捕まえないといけないしお嬢ちゃんも離れて」
「嫌よ!お姉ちゃんは私が怖い人に襲われてたら助けてくれた人だよ!なのに何で捕まえられなきゃいけないの!!」
少女の庇う姿にサイドキック達は困り果てていた時、そこへ何処から途もなく黒塗りの車が急ブレーキを掛けつつ現れ、器用に少女と私の間に止まった。
「ジル!!」
「緋色……?」
後部座席の扉が開け放たれて現れたのは男物のマフィアの様にスーツを着こなした緋色で私に手を伸ばしてきた。
「僕の手を取れ!!早く!!!」
私は一瞬、迷うけど緋色ならと手を伸ばすと私は緋色に力一杯に中に引っ張られると車の扉は閉められた。
「出せ!!エンデヴァーが来るぞ!!」
「分かってます!!しっかり捕まっていて下さいねお嬢!!透面!!個性を使え!!」
「あいよ!!」
透面と呼ばれた小柄の男は何かの個性を使うのか念仏を唱える様なポーズを取り、真剣な表情で黙り始める。
車が出て私は後ろを見るとまるで車が見えていないとばかりにサイドキック達は慌てており、後から来たエンデヴァーが悔しそうな顔をしていた。
「大丈夫かジル!?怪我は?……その脇腹か?骨は?」
「緋色……何で……?庇う理由も無いのに……」
「言ったろ。君をほっとけないんだ。僕は君を……その……そう!君の共犯者だからさ!君が人を殺したと告白してくれた時から君を……助けたいと思って……でも、行方を眩ませた……探すのにかなりの額を使ってしまったよ。手間を掛けさせてくれたこの借りは必ず返して貰うとしてだけど……先ずは病院だな」
「病院なんて駄目……もう私の情報は出回ってる筈よ……」
「大丈夫!私達には専属の医者がいてね。その先生の診療所に行くのさ。口も固いし、腕も良い。だから……疲れたなら安心して眠れば良い……眠れてないのだろ?」
緋色の言葉に私は切り裂きジャックの活動の疲れが出始めて私は睡魔に襲われながら私は緋色の膝に頭を乗せる様に横にされると私は眠りについた。
~別視点side~
ジルを追ってから助け出した緋色は安心した様に眠るジルに傷が障らない様にしつつ頭を静かに撫でる中、微笑んだ。
ようやく掴み直した手、もう離したくない、誰にも渡さない。
そんな欲求が緋色の心に広がる中、ジルの寝顔を見てその微笑みを深める。
「君は本当に世話が焼けるね……君の綺麗な青い瞳は無くなったけど赤い瞳も綺麗で良いね……僕は……君を愛している……誰にも渡さない……君の髪の先から足の爪先までの全て……僕の物だ……でも、そんな事を急に言えば君は困るし、またいなくなるかもしれない……なら、好きにやらせてあげるよ……本当はもう二度と危険な事はして欲しくないけど……僕は心が広いからね……その代わりに必ず私だけを見させてみせるよ……友達ではなく、愛する人として……ね……」
「「(お嬢、怖えぇ……)」」
「何か言ったかい?」
「いいえ!」
「……(よ、読まれた!?)」
緋色の怖い一人言に運転している男と透面は怖いと心の中で言ったのに緋色に読まれた事に驚きながら暫く、震えながら診療所を目指した。
~side終了~