殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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協力者

私は目を覚ますとそこはまた知らない天井だった。

 

このパターンを何度も繰り返してるけど今回は何も夢を見ずに終わり、私は起き上がろうとすると脇腹に受けた傷が痛む。

 

と言うか今の私、上半身は包帯を巻かれてるけど脇腹辺りにブラ着けてるくらいの服装じゃない……つまり半裸にされてる。

 

私は痛いのを我慢してシャツを着たりしていると部屋の扉が開けられた。

 

「目が覚めたかジル」

 

「緋色……うん。まだ痛い……」

 

脇腹が痛む中、私は上を着直すと深い溜め息をついた。

 

目の前に随分と勇ましい服装をした緋色がおり、どうしてあの場所に来て私を探し出したのか、そしてあの二人の男は誰なのか知りたかった。

 

「取り敢えず……色々と説明して欲しいわね?」

 

「そうだな。最初に言うべきは僕の実家は極道の一家。つまり、ヤクザなんだ」

 

「ヤクザ?」

 

「そうだ。僕は実家、獅子皇会と言う一家で僕はその会長の娘だ。まぁ、この御時世にヤクザなんて天然記念物扱いだがな。だが、獅子皇会は任侠を重んじる。それはどんなに時代が変わろうとも弱い立場の者達を貶める様な行為は絶対にしない。それでも警察やヒーロー達は信じないだろうけど君が求める悪とは別だと思うよ」

 

「そう……つまりあの二人は?」

 

「僕の舎弟だ。信用できる二人だから安心して欲しい。僕が保証するよ」

 

緋色はそう言って微笑んで見せると私は今は緋色を信じよう。

 

「何で……私を探しだしたの?」

 

「何でって言われても……君は僕にとっても大切な人だからだ。急にいなくなってから花咲の二人やA組の皆も酷く心配していたぞ?探しだして説得でもと思っていた矢先に君が切り裂きジャックとして追われてるなんて聞いて慌てたぞ。その様子だと本当の様だし、とても連れ戻せないな」

 

「……ごめん」

 

私は心配させてしまった緋色に謝ると緋色は暫く無言で見つめてきた後、私を軽く抱き締めた。

 

「君が謝る必要はないさ……大丈夫。世間も警察もヒーローすら敵にしても君を守る。君が大切なんだ……僕の……友達だからね」

 

緋色は恥ずかしそうに笑いながら言うと私も何処か元気が出てきていつの間にか一緒に笑いだしていた。

 

殺人鬼になっても失わない物もある……私はそれを知った時、アーサーは無言で私達を見ているのを見た時、扉が開けられてそこへ知った人物が入ってきた。

 

「ジル君。声が聞こえたから目が覚めたのかと思って来たが良かったよ」

 

「外堂先生?」

 

「知り合いだったのかジル?」

 

「一度、病院で見て貰った事があったり、会ったりしてね」

 

本当に縁のある外堂先生に私は驚いたけど、まさか此処は外堂先生の個人病院とは思わなかった。

 

「いやはや。まさか緋色君が切り裂きジャックを連れてくるなんて聞かされた時は驚いたがまさか君が切り裂きジャックだったとは思わなかったよ」

 

「緋色?」

 

「大丈夫だ。先生は僕達の様なヤクザ者にも治療を施してくれる人だ。間違いなく口は固い。それにある程度の素性を教えないと治療はしてくれなくてな」

 

「私としては流石に正体が分からない者を治療するのはリスクが高すぎるからね。私には娘もいるから余計にね」

 

「娘?」

 

外堂先生に娘さんがいるんだなんて思っていてるとそこへカルテを持った変態ヴィランに襲われてた少女が来たのだ。

 

「お姉ちゃん起きたんだね!」

 

「えぇ……貴方が外堂先生の?」

 

「外堂 智枝美。智枝美って呼んでね。お姉ちゃん」 

 

「はっはは!君に助けられてからすっかり君に懐いてね。良くしてやってくれ。それと……智枝美を危ない所から助けてくれてありがとう」

 

外堂先生のそのお礼の言葉に私のあの時の行動は間違いはなかったと改めて思えた。

 

悪人の誰かを殺す事で善人の誰かを救う。

 

その意味を改めて私は感じた。

 

『……お前もかソフィー』

 

「(え?)」

 

『何でもない。それで?これからどうする?あのブロードマンとやらはもう捕まっていているだろうな。何せお前の親父達が出向いてたんだ。繋がりだって気付いてるから余計にな』

 

「(だったら父さん達にブロードマンの処遇を任せて私達はアズエル教会の罪を暴き、フォールン・救火を地獄に送る)」

 

『ブロードマンは見逃すのか?』

 

「(どのみちエンデヴァーとかのトップヒーローまで来ているなら仕留めるのは無理。それに法で裁けるならそれで構わないし、何かの圧力で出てこれるなら……殺し直すだけ)」

 

『なら、決まりか。奴を……ザフカを地獄に送り返してやる。二度と出てこれないくらいに徹底的にな』

 

「お姉ちゃん?」

 

私は決意を新たにしていると智枝美が不思議そうな顔で私を見ていて私の手はいつの間にか拳を強く握っていた。

 

その様子を見た緋色は不安そうな表情を浮かべ、外堂先生は興味深そうな顔をして観察する様に私を見ていた。

 

「どうやら君の"仕事"はまだ片付いていないようだね?」

 

「はい。先生……私の怪我はどの位で完治しますか?」

 

「肋骨は折れこそしていなかったがヒビが入っていた。本来の治療なら二、三月は掛かるが……私の個性である応急治療を使ったからね。すぐに良くなる。私が何を言っても"仕事"に行くのだろう?。本当なら用心の為に一週間は安静にして欲しい所なんだがね。何しろ私の個性は麻酔を使わないと治療過程でかなりの激痛を伴う個性だし体力もそれなりに消耗する。無理をすれば間違いなく身体に障る。こう言う時にリカバリーガールの癒しの個性が羨ましいね。私のよりデメリットが少ない」

 

外堂先生はそう愚痴を言うと私は苦笑いする中、緋色は心配そうな表情をした。

 

「ジル。君の"仕事"の邪魔をするつもりはないがあまり無茶はしないでくれ。何かあったら悲しむ者もいるんだ。例え殺人鬼でもな。僕達は協力者で共犯者だ。必要な事があれば出来る限り助けるから言ってくれ」

 

「私も乗り掛かった船だ。何かあれば訪ねてきなさい。治療も相談もね」

 

「……ありがとう緋色、外堂先生」

 

二人の協力者を得た私はそう言って頷くと明日、フォールン・救火を殺す為に今は身体を休めておこう。

 

~別視点side~

 

その頃、切り裂きジャックもといジルを捕まえ損ねたヒーロー達。

 

エデンヴァーは苛立ちを隠さず、ミルコは笑いながらも痛そうに腹を擦り、インゲニウムは難しい顔をし、ジャスティスはジルの次の行動は何かを思考する。

 

「クソッ!忌々しい小娘め!単独犯だと聞いていたが共犯者を着けていた!!」

 

「落ち着けよエンデヴァー。一人、接敵しなかったのは笑えるがそれだけお前を避けたかっただけだろ?痛たた……!」

 

「おい、大丈夫かミルコ?動けるとは言え、腹を思いっきり切られたんだぞ?」

 

「んなもん平気だ!こんな傷なんかすぐに治して切り裂きジャックを蹴っ飛ばす!!」

 

「……と言っても居場所が分からんがな」

 

「お前の娘だろ?何故、掴めん」

 

エンデヴァーの問いにミルコやインゲニウムも注目する中、ジャスティスは暫く無言を貫いた後、頭をかきながら笑った。

 

「いやぁ、暫く彼奴と会ってなかったからな!考えてる事がとことん分からん!はっははは!!」

 

「馬鹿者!!笑い事か!!!」

 

「……そうだな。笑い事じゃない。彼奴は罪を犯した。手加減する事は無い。全力で捕まえなきゃならない。だがな……考える事までは本当に分からん。いや、次の目標は予想出来るがな」

 

「次の目標とは何処に?」

 

インゲニウムが聞くとジャスティスは真剣な表情で告げる。

 

「アズエル教会のフォールン・救火。ヒーロー不正疑惑の中心人物。ブロードマンを俺達が確保した事はジル…いや、ジャックも予想してるだろうし、彼奴は手出しはしてこないだろうな」

 

「ん?何でだ?悪人を殺すとかほざいた奴だぞ?」

 

「法で裁ける可能性があると判断したからさ。切り裂きジャック。俺は過去の趣味で調べた事がある。奴は19世紀の悪人を殺す義賊。現代風で言えば過激派なヴィジランテとでも言うか。そんな奴だ。法で裁けぬ悪を殺す悪。法に縛られぬ無法者(アウトロー)。それが奴だ」

 

「ちッ……単なるヴィランではないか」

 

「その通りだエンデヴァー。切り裂きジャックをヒーローだとかヴィジランテだとかで認めてはならない。殺人は殺人……悪は悪だ。どんな理由があろうと法の裁きに掛けさせる。絶対にな」

 

エンデヴァーのヴィラン扱いに対してジャスティスは迷う事すらせず、実の娘を凶悪なヴィランとして扱うジャスティスにインゲニウムやミルコ、エデンヴァーまでもが異様な物を見る目をした。

 

「何だお前ら?俺がジャックを庇うと思ってたのか?」

 

「普通ならそうだろうが。娘だろ?」

 

「彼奴は犯罪者だ」

 

「庇うつもりはないがそれでもあんまりでは?」

 

「自業自得。それだけの事をしたんだから報いを受けなければならない。彼奴は悪の道を選んだ。正さなければならない。俺が……そう教えてきた様にな」 

 

ジャスティスは笑う。

 

だが、目は全く笑っていない。

 

正義を行う為なら実の娘にも容赦はしないジャスティスにミルコまで暗い雰囲気に陥る中、エンデヴァーが話し合いの席から立ち上がった。

 

「此処で言い合っていても意味がない。なら、そのアズエル教会の周辺とフォールン・救火に張り込むべきだろう」

 

「いや、確保しちまおう」

 

「はぁッ!?」

 

「確保すると!?」

 

「ジャスティス。仮に確保するとしても何の容疑でだ?」

 

エデンヴァーの案を一蹴りにジャスティスは予想の斜め上を行く案を繰り出した事で全員を驚かす中、ジャスティスはニヤリと笑う。

 

「勿論、不正の疑惑でだ。何しろバッチリにアズエル教会の礼拝堂とあの三人が写ってやがる。十分な理由だ。疑惑の証拠は手に入らなくても目的はどうあれ、此方に引き摺り込んでしまえば取り敢えずは殺されない。ジャックの奴がそれを予想してなければその場に殺す為に現れる。様は待ち伏せだ。予想を外したジャックを俺達が一斉に確保し、切り裂きジャックによる連続殺人を終わらせる。こんな感じだが……どうだ?」

 

「構わないと思うが……礼状は?」

 

「ジャックも手痛い目にあったからな。ミルコに脇腹辺りを殴られてから押さえながら逃げていたそうだな。恐らく、肋骨にヒビが入ったか骨折したんだろう。そんだけの怪我を負って逃げ切ってもすぐに完治なんてリカバリーガールみたいな医者でもいないと無理だ。つまり、奴は襲う為には回復の時間が嫌でも掛かる筈だ。慌てる事はない筈だ」

 

ジャスティスはそう予測を立てて言うと一先ずはそれで行こうと言う事で礼状が取れ次第、フォールン・救火を確保し、切り裂きジャックを待ち伏せする算段を立てたが彼らの予想は大きく裏切られる。

 

まさかリカバリーガールに近い個性を持つ医者によって戦えるまでに回復し、明日にでも襲いに出向いてくるなど思いもしなかった事を。

 

~side終了~

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