殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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【第三章】闇に蠢く者達【殺人鬼ルート】
殺人鬼の信望者


私は暗号を解いていたらいつの間にか眠っていたのか目が覚めるとまだ暗い朝が私を出迎えた。

 

私は欠伸をしながら軽く背伸びをすると事務所の部屋に当然の様に置かれていたテレビを着けた。

 

《続いてのニュースです。切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊に関する続報です。切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊は近日に渡って路地や建物内においての連続殺人の容疑者、霧先ジルの主な行動が分かってきました。霧先ジルは法で裁けない犯罪者を狙う殺人鬼であり、彼女のターゲットは全て黒い噂の絶えない者達であり、彼女の行為はヴィジランテ的な活動であるとされます。こういった行為に捜査関係者は断じて許される事ではない。速やかに逮捕し、残虐な私刑行為に歯止めを掛けるとコメントしました。また、市民の間では切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊を英雄視する者もおり、社会的な影響が起こる事は間違いないでしょう。続いては》

 

私はそれを見てチャンネルを変えても何処もかしこ切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)に関するニュースで私の殺人理由が挙げられていた。

 

「何これ……?」

 

『さぁな。信者達の誰かが喋って辿りに辿って真相に行き着いたのか何処からか情報が漏れたのか……まぁ、好都合だ。支持者がいるって言う事は俺達の味方になる奴が現れる可能性もあるって事だ』

 

「あんまり人を巻き込みたくない……」

 

『トップヒーローに追われてるんだぞ?庇って貰える奴が一人でもいるなら引き込んだ方が良い』

 

「そうだとしても個人的な復讐から始まった切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の活動に赤の他人を巻き込む……それはもう、緋色や外堂先生だけで良い。不可抗力で巻き込んでしまったから……これ以上、巻き込むのは駄目よ。別の案だってある筈よ」

 

『はぁ……甘い奴だな。まぁ良い、その内に限界が見えるだろう。その時には考えておけ』

 

アーサーの助言を私は受け入れる事は出来ず、頭を悩ます中、今夜も仕事に出掛けるから朝と昼の間に暗号解読に捗ろうと思いながら私はシャワーを浴びに風呂場へと向かった。

 

~別視点side~

 

広瀬綾乃は社会報書新聞社の記者の一人で最も取り上げるネタはヒーローの不祥事、不正、職務怠慢と言ったヒーローにとって挙げられたら困るでは済まない様な物だ。

 

常にヒーローの動向に目を光らせ、何かしらのヒーローにとって不利益な情報を握れば容赦無く記事にしてしまうメディア関係をよく知るヒーロー達には悪名高い記者の一人なのだ。

 

だが、彼女の言う事ももっともで実際に書かれているのは事実であり、創作でも捏造でも脚色も無い正当な批判記事の為、真っ当に仕事をするヒーローは文句も言えないし、言いやしない。

 

寧ろ、彼女に見られ、ヒーローとしてどの様な評価になるかと敢えて彼女を近くに置く様なヒーローもいたり、新人のヒーローに彼女を着かせる様に薦める者達がいたりし、特にインゲニウムは寧ろ望む所だとばかりに彼女を指名してくれる大お得意様と言える前がらだ。

 

だが、最近では圧力が掛けられているのかまともな批判記事を書かせてくれない毎日。

 

上層部が代わってから一転してヒーローを称賛する記事ばかりで後ろ暗い何かを抱えたヒーローや実際に不祥事や不正を起こしたヒーローの事件は揉み消されている。 

 

「つまらない事をしてくれますね……」

 

上層部は恐らく都合が良い様な形に置き換えられており、ヒーロー至上主義者にとって都合の良い社会にする為にヒーローの闇を知らせない様にしたいのだと綾乃は嫌でも理解させられたのだ。

 

最近、ヒーローであり、連続殺人鬼で名を馳せる切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の父親であるジャスティスに取材したが中々に高潔なヒーローだと評価した。

 

実の娘に対しても容赦無く捕縛する意思を持ち、悪を見逃さない……そんなヒーローだと綾乃は感心しながら記事を纏める中、霧先ジルの行動にも感心を寄せた。

 

「悪を裁く悪……法から隠れる悪を見つけ出し殺害する無法者(アウトロー)……彼女なら私の考えに賛同してくれるのかしら……?」

 

綾乃はそう呟きながら自身のデスクから立ち上がると上着を着て、キャスケット帽を被ると同僚に外に出てくると言って歩いて行く。

 

彼女は広瀬 綾乃。

 

ヒーロー社会で誰よりもヒーロー嫌いであり、誰よりも腐敗を怨み、誰よりも社会の闇潜む悪事を憎む女。

 

過去に受けた仕打ちは決して忘れない……彼女にはその意思があった。

 

だからこそ、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が自分の望む真の正義の体現者であるのか確かめる為に動いた。

 

~side終了~

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夜、私は闇夜に紛れて犯罪行為を行うヴィランを殺し回っていた。

 

「ひぃッ!?」

 

「た、助け」

 

「逃げるな!屑が!!」

 

私はそう叫びながらナイフを二本投擲して逃げるヴィランに当てると一人は絶命し、もう一人はまだ生きていた。

 

「た、助けて……助けてくれ……!」

 

「人様の命を何人も奪っておいて……助けて?ハッ!笑わせてくれるわね。存分に恐怖に慄き、死なさい」

 

私はそう言って倒れているヴィランにトドメの一撃を与えるとヴィランは今度こそ死んだ。

 

私は壁にいつもの様に"FROM HELL(フロム ヘル)"と書いていた時、後ろから足音が聞こえ、私は振り替えるとそこには不適な笑みを浮かべる女がいた。

 

格好はジャケットに、キャスケット帽をかぶりショルダーバッグをかけたジャーナリスト然とした出で立ちをした女性でその顔を全く恐怖が無い。

 

「貴方が……切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の亡霊ですか?」

 

「そうだけど貴方は?」

 

「私は広瀬綾乃です。単なるしがない記者です」

 

「記者?マスコミと言う事?」

 

「はい!貴方に是非、取材をしたいのです」  

 

この女……今の状況を分かっているの?

 

殺人現場に現れたと思えばその犯人である私に取材?

 

ある意味ではイカれた女ね……断ろう。

 

「取材には興味は無いわ」

 

「待って下さい!私は貴方に……貴方に聞きたいのです!この社会の闇に潜む悪を何故、貴方は裁くのですか!!」

 

「何故?どう言う意味で?」 

 

「私は……昔、ヒーローに……家族が殺される所を見捨てられた……それだけじゃない……そのヒーローもグルで……私は……そのヒーローとヴィランに女としての尊厳まで奪われた……警察や他のヒーローに何度も訴えても取り合ってもくれない現実……私はヒーローやこの社会の闇が憎い!でも、行動が起こせなかった!私がせいぜい批判記事を書く位の抵抗しか出来なかった中で貴方は悪を裁く事をやり遂げた!貴方は……何の理由で悪を裁くのですか!!」

 

イカれた女と言うのは撤回すべきかもしれない……彼女はこの社会を……腐敗したヒーローを……深く憎んでいる。

 

だから、此処までの無茶を仕出かせる……

 

イカれたよりも狂気に満ちきった人格と言えば正しいのかもしれない。

 

「私は闇に紛れた悪が許さない……だけじゃない。単に母さんが殺されたからその仇を追っていたらいつの間にか悪を裁く殺人鬼になっていただけ。だけど、法から逃れる悪は許さない。どんな罪にも報いは受けるべき。それから逃れようとするなら……私が裁く」

 

私はそう言いきると綾乃は満面の笑みを浮かべている……とても狂気的で闇夜にも関わらず整ったその顔立ちは不気味とも言えた。

 

「貴方はやはり……私の理想の体現者でしたか……!!」

 

「……悪いけどもう行くわよ」

 

「そうですか。なら、これを。私の名刺です。何時でも連絡を下さい。私は……貴方様の力になりたいのですから……」

 

怖い……物凄く怖いから早く帰ろう……尾行されたりしないわよね?

 

ストーカーと化したりして常にいられるのは嫌だし……緋色に相談してみようかしら?

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私は残り時間を寝て朝を迎えると緋色と連絡を取って広瀬綾乃の事を相談すると直接、事務所まで足を運んでくれた。

 

そういえば今日は日曜日だったわね……悪い事したな。

 

「一通り広瀬綾乃の事を調べたぞ。広瀬綾乃。名刺に書いてある通り、社会報書新聞社で働いている記者だ。ヒーローに対してかなりアンチ的な記事を書く事でメディアに広く出ているヒーローには悪名高く知られているらしいが公正公平な批評である為、ヒーローの評価者として密着して着く事がよくあるらしい」

 

「へぇ……意外ね。真実とか関係なく批判記事書いてそうなくらいに社会の全てを恨んでそうな目をしてたのに」

 

「それは間違いは無いだろうな……彼女の過去はかなり悲惨だ。高校二年の時に両親は強盗目的で押し入ったヴィランに殺され、彼女は拉致された。その拉致先でヒーローが来たと思えばそいつはグルでヴィランとそのヒーローに……それ以上は言いたくない。同じ女として許せないとしか言えないな」

 

「……屑共め」

 

「その後、捨て置かれたらしく自力で脱出して後日、警察やヒーローに訴えたそうだ。だが……取り合わなかった。何せそのヒーローは当時、トップヒーローに届こうとしている様なやつでな。不正が暴かれてNo.1になる事しか頭に無いエンデヴァーが悲惨過ぎる事件のせいか珍しく怒り狂ってそのヒーローは散々にやられたそうだ。それでもそいつは牢屋に入れられるまで絶対的な信頼とやらによって守られたんだ。笑えるな。多少、人気があるから信頼できるだって事がね」

 

緋色はそう皮肉を言った後、出された珈琲を飲むと良い笑顔を見せた。

 

私が入れた珈琲を飲んで喜んでくれた父さんや母さんを思い出す。

 

「その後、彼女はヒーローに社会に怨みを持った。対応が遅く、被害者なのに被害妄想だと言われ周囲から嫌がらせを受けたり、解決してもエンデヴァー以外に謝罪無し。本当に意外だよね。あのエンデヴァーが謝罪と言うのはね。話は戻すと僕でもこれは怨んでも文句は言えないな。そして記者となりその鬱憤を晴らす為にヒーローの不祥事や不正、怠慢を内容にした記事にして晒したそうだ」

 

「本当に悲惨ね……」

 

『世の中にはそうした者が多くいる。どれだけ声を張り上げても聞いてくれない、聞こえないフリをされる。ヒーローの数が増した事で腐敗が進み、本当の意味で助けを求める者達が蔑ろにされる社会。許せるか?』

 

「(許せないわよ。そんなの……!)」

 

『だったら手伝わせてやろうぜ。その広瀬って奴にも。俺達の同じでこの腐りきった社会に異議を唱える奴だ。今の時代は一人では勝ちきれない。なら極力、味方を作る努力をするべきだと思うぞ?』

 

「(……分かったわよ。本当はあんまり会いたくない人だけど……記者が協力者になるなら有益な情報を持ち込んでくれそうだしね)」

 

私はそう言うと広瀬綾乃の名刺を片手に眺めながらあの狂気に満ちきった笑顔をまた見るのかと思うと憂鬱になった。

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