殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
雨が降り頻る中、私は綾乃の言っていた証拠である写真の持ち込み場所である警察署前の路地の闇に紛れながら見ていた。
夜は夜勤の者しかおらず、忍び込むなら十分な数の警官しかいないと推測できた。
『本当に入るのか?都合の悪い写真なんだから処分されている可能性だってあるぞ?』
「(それでも探す価値はあるわ。さぁ、行きましょう。捜し物にね)」
私はそう言って警察署の周りを先ず、見渡して侵入経路を探ると二階の窓が開いている。
取っても十分あるし簡単に登れると思い、私は取ってを掴み、足に掛けて登ると窓から侵入する。
私は警察署に侵入してから先ず、証拠の保管場所を探る為に警察署の中を足音を消して歩くと警官の一人が歩いて来た。
私は息を潜めて近寄るのを待ってから私は素早く押さえ込み、口を押さえながら首を殺さない程度まで絞めた。
「ごめんなさい。大丈夫。殺さないから」
私は警官にそう呟きながら言うと警官が気を失ったのを確認してから近くの部屋に寝転ばせてから私は探索を再開する。
道中何度も同じ事が起きたけど何とかバレずに証拠品が保管されている部屋に辿り着くと私は部屋の扉を開けて中に入ろうとして目にしたのはしゃがみ込んで何かを探ってた父さんだった。
……とんでもない所で出会したわね。
「何やってるの父さん?」
「しぃーッ!声を出すな……!!」
「……で?何やってるの?」
「何って……証拠を探してるんだよ。詳細は言わねぇがな。今回は状況が状況だから捕まえられねぇが次会ったら覚えとけよ?」
「ふーん……まぁ、私も同じだし、探らせて貰うわよ」
「は…はぁ……!?探るっておい……!!」
「父さんも私と同じで忍び込んだのでしょ?物音を大きく立てるわよ」
私の脅しに父さんは苦虫を噛んだ顔をしながら証拠を探しに戻った。
父さんまで証拠探し……もしかして目的は同じ?
私は兎に角、汚職の証拠の写真を探し出す為にありそうな所を出来る限り音を立てない様に探る中、気まずい空気が流れ続ける。
『なぁ、せめて何か会話しろよ?親子だろ?』
「袂を分かつ関係なのよ。今更……何の話をするのよ……」
「またアーサーか?」
「気まずいから何か喋れって」
「そうか」
それで会話が止まった。
アーサーはその状況にムシャクシャしてるのかイライラした表情をしている……そのまま黙ってて欲しいわね。
「で?お前は何の証拠を探してんだ?お前にとってヤバいのか?」
「悪党の証拠よ。揉み消されたね」
「あぁ?偶然だな……俺もだ。写真なんだけどな」
「奇遇ね。私も……ねぇ、まさかと思うけど欲強議員の写真?」
「知ってたのかよ?なら聞くなよな……おい、まさかよ」
お互いに顔を見て探し物がお互い何なのか察し、暫く無言の空間が広がる中、私は急いで写真を探した。
「あぁ、もう!何でよりにもよって同じなのよ!」
「テメェなんかに取られてたまるか!畜生が!」
『やれやれ……こんな所は親子なんだな』
アーサーは苦笑いしてるけどそんなのに構ってられないのよ。
私は大急ぎで探っていると紙みたいなのに触った。
私はもしやと思い、取り出すと写真の束だった。
写真の写りは……よく撮れてる。
間違いなく欲強議員が料亭で金を受け取っている姿が何枚もあったのだ。
「取ったぁッ!!!」
「馬鹿野郎!!大声を出すな!!あとそれ渡せ!!!」
『テメェらが黙れ!!!』
私は父さんよりも先に証拠を確保出来た事に喜ぶあまり大声を出してしまい、父さんも大声を出した事でこの後に起こる事が目に見えていた。
「おい!今の声は何だ!?」
「証拠の保管室だぞ!!」
「おい!此処に気絶した奴がいるぞ!!」
続々と警官達の声が聞こえてくる中、私はかなりマズイと思っていると父さんは……霧になって隙間から逃げてた。
「卑怯者!!!」
『早く逃げろ馬鹿!!!』
私は父さんが完全に逃げたのを確認した後、扉を開け放つと警官達が近くに集まっていた。
「切り裂きジャックだ!!」
「止まれ!止まらなければ撃つぞ!!」
警官達が銃を構えてくるけど構っている暇は無い。
私は射線から外れる様に角に逃げると一斉発砲される音が響き、更にサイレンが鳴り響いた。
「切り裂きジャックがいるぞ!!」
「待て!!」
「面倒な事になったわね……」
『声を出すからだ。ほら、窓だ』
私はアーサーの見つけた窓を開けるとそこから飛び降り、地面に降り立つと路地に入り込んで逃げる。
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死ぬ気で警官達から逃げた私は息を整えると証拠をもう一度確認してから懐にしまうと道を歩く。
降り続ける雨に私はずぶ濡れになりながら嫌な気分の中、歩いているとそこへヤクザとしての格好をして部下らしき男達を引き連れ、その一人に傘を差されながら歩いている緋色に鉢合わせた。
「ジル?まだ帰ってなかったのか?かなり濡れてるぞ?」
「今、用が済んでね。貴方は何してるの?」
「縄張りにある家の経営店を回っていたのさ。経営も管理も仕事だからね。許可を得て経営した正当な儲けだし、法に従ってるんだからヒーローにも文句は言わせないよ」
緋色はそう言ってニヤリと笑って見せると私は今時のヤクザとしては儲けてるんだなって思っているとくしゃみをしちゃった。
「風邪引きそうだから私、帰るわね。また明日ね」
「……ジル。良かったら家に来ないか?」
「え?」
「お父様にも友達として紹介したいし、そんなにずぶ濡れだと本当に風邪を引くよ。僕の家は近いし、雨宿り次いでに泊まっていけば良いさ」
「仮にも指名手配犯だけど私……」
「バレなきゃ犯罪じゃないよ。ほら、何処に目があるか分からないんだから早く行くよ。お前達。ジルを隠す様に歩け。特に
「はい。お嬢」
緋色の命令を受けた黒服のヤクザ達に隠される囲まれると緋色は満足げに笑っているけどこれって借金した奴が逃げない陣形みたいで借金で捕まった人はこんな気持ち何だなって思っていると緋色に合わせて全員が動いたから私も歩かざる得なかった。
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私が緋色達に連れて来られた所は和風ではあるけど洋風寄りの屋敷で明治の様な名残を持っている雰囲気を出していた。
「完全に和風じゃないのね」
「別に和風と言う拘りは無いよ。昔にも洋風の家を建てたりしてたヤクザの親分もいたからね」
「へぇ……そうなんだ」
私はヤクザ達の意外な家事情を聞くとそのまま中に入れば出迎えたのは獅子皇会の構成員のヤクザ達で緋色だと分かると一斉に頭を下げて出迎えた。
「「「お帰りなさいませ。お嬢」」」
「はいはい、ただいま。いつもご苦労様」
『すげェな。テレビで見た奴だぞ』
「(本当にヤクザの親分の娘なのね……)」
私は出迎えたヤクザ達を他所に屋敷に入ると緋色は命令を出した。
「風呂の用意をしてくれ。あと、着替えもね。いつまでも濡れたままじゃ駄目だからな。お父様は?」
「仕事が立て込んでいるのでもう暫く掛かるそうです」
近くにいたヤクザの一人にそれを聞いた緋色はニヤリと笑うのを私は見た。
「なら、次いでに僕もジルと一緒に入ってしまおう。汗もかいたしね」
「一緒に入るの?」
「別に恥ずかしくないだろう?同性だしね。僕は役得だけど」
「ごめん。最後の言葉が聞き取れなかったけど?」
「ほらほら。お父様が仕事を終わらせる前に風呂に入ってしまうぞ。行こう」
私はそのまま緋色に連れられて行き、そのまま風呂場へと直行していく。
何だろう……ちょっと緋色が怖いと思ったけど気のせいかしら?
~別視点side~
獅子皇会の会長、神速 英一郎は大量に割り当てられた仕事を黙々とこなしていた。
ヤクザの親分として威厳があり、そして容赦無さはそれなりに修羅場を潜り抜けたヴィラン達にも余程の事が無い限りでは獅子皇会の縄張りで暴れる様な真似は避ける程だ。
たまに獅子皇会を天然記念物のヤクザだと侮ったヴィランが山に埋められたり、海の底に棄てられたりとされ、経験あるヴィランは間違っても獅子皇会に手を出さないと言うのは暗黙の了解だった。
また、ヒーローも迂闊に手は出さなかった。
獅子皇会の縄張りでは滅多にヴィランによる事件は起きずひとえに治安が良いのはヒーローの活躍があるからだとされているが実際は獅子皇会を恐れたヴィラン達が近寄らないだけで尚且つ地元住民とは恐れられるも一定の信頼関係を持っている事から下手な手出しが出来ないのだ。
そんな獅子皇会の会長、神速英一郎の元に諢は来た。
会長自らの呼び出しに諢は自分は何かしたのかと冷や汗をかきながら来ると用件を話されるのを待った。
「……それで。知っているのか?」
「は……?」
「娘に……緋色に男が出来たと言うのは本当か?」
「いえ、出来てません」
諢は即刻、否定した。
獅子皇会の会長、神速英一郎は情け容赦ない男……だが、娘の緋色の事をかなり溺愛している。
「なら何故、さほど興味を持たなかった化粧や着る服を選ぶお洒落に手を出しているのだ?それも顔を赤めながら笑顔でだ」
緋色は男物の衣服を好み、化粧にも興味を示した事はジルと出会うまで興味を示さなかった。
示してなくても緋色はそのままの容姿でも十分に整った顔と分かり、英一郎は娘に余計な羽虫が近寄らない様に徹底していた筈だったのだ。
「男が出来てません。同性の
「ふむ……
「はい。間違いないかと」
「本当なのだろうな?」
「本当です」
英一郎と諢の噛み合いそうで噛み合わない会話は暫く続く事となった。
~side終了~
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私はお風呂に入ったんだけど……その……緋色に物凄く触られた……胸を……
「良い物を持ってるね~」
「何処を触ってるの!?」
なんてやり取りを暫く続けてやっと止めてくれたけど感触が自棄に残っていて何だか落ち着かない。
「ごめんってジル。機嫌を直してくれ」
「嫌よ」
「お願いだよジル~。僕と君の仲じゃないか~」
私はもう不機嫌になりながらそっぽを向いてると謝りながら後ろから抱き締めてくる緋色に軽く拒絶の意思を見せる中、そこへ如何にも親分と言う風格のある男の人が来た。
「何している緋色?」
「あぁ……お父様。何もしてません……うん。紹介しますね僕の友達のジルです」
「初めまして。ジルです」
「……噂の
「お父様。それは重々承知しております。私も獅子皇会の一員ですから。さぁ、ジル。僕の部屋に行こう。……誰にも邪魔されない様にね」
私は緋色に手を引っ張られながら緋色のお父さんを尻目にその場を後にし、緋色の自室へと向かった。
~別視点side~
一方、英一郎は緋色が連れてきた友達を見て安堵していた。
「……男ではなかったか」
「だからそう言ってるでしょう」
物陰から諢が現れて呆れながら言うと英一郎は威厳たっぷりな顔で言う。
「馬鹿者。娘を何処と知れぬ男なぞに渡せるか。もし、連れてきた暁には私が自ら引導を渡そう」
「お嬢の嫁入りが遅れるので止めてください」
「嫁なんぞに行かせん!ずっと私の側にいさせるぞ!!」
「(駄目だ……何言っても聞かねぇ……)」
「それにしても緋色の友人が
「彼女はお嬢を深く信頼し、お嬢もジルをあい……信頼してますから問題ありません」
「……諢。今、愛してると言い掛けてなかったか?」
英一郎はそう言いながらギロリと睨むと諢はしまったとばかりに汗を滝の様に流した。
「つまりアレか?緋色は男が好きではなく……女色だったと?今、部屋に連れていったジルと色々とするつもりか?」
「き、きっと違いますよ!」
「諢!!お前が着いていながら同性に目覚めさせるとは!!私の可愛い娘になんて事を!!!」
「すみません!!お嬢が怖くて止められませんでした!!!」
獅子皇会の会長、英一郎と緋色の舎弟の諢の漫才とも言える会話に周りのヤクザ達は呆れ眼で二人を見るしかなかった。
~side終了~
私は緋色の自室に招かれると緋色はベッドまで行くとそのまま座った。
「ほら。早く来なよ」
「う、うん……」
何だかいけない事をしようとしてる感じがして気が気でないのだけど私は緋色の隣に座ると緋色はボイスレコーダーを取り出して私に差し出した。
「君が綾乃から手に入れた情報を元に田舎に引っ込んだって言う記者の所に部下を向かわせて話を聞き出させた。欲強議員に対して不満はやはり持っていて、その記者は議員が賄賂の他にも多くの余罪を抱えている可能性もあるって言っていたらしい。これはその証言が入っている。後で聞いてくれ」
「ありがとう。ねぇ、緋色」
「何だ?」
「……貴方のお父さんは私に肩入れし過ぎるなって言ってた。もし、これ以上の」
「つまらない事は言わないでくれないか?」
私が言い切る前に緋色は無比で尚且つ怒った雰囲気を見せている。
私は戸惑っていると緋色は私を急にベッドに押し倒して上乗りになり、その目は何度も人を殺してる私ですら怖いと思う程に鋭い視線を見せていた。
「僕は君が欲しいんだ。肩入れしようとしまいと僕の目の届く所に、僕のすぐ側でずっといて欲しい。僕は女だが、おかしな事を言うよ。……愛してるんだ。本当は何処にも行かない様に閉じ込めてしまいたい……誰の目にも留まらせない様な場所に置いてしまいたい……でも……君の意思は尊重したい。だが……もう我慢が出来ない……頼むから僕を……拒絶しないでくれるか?」
緋色はそう言ってそのまま口付けし、着ている服に手を掛けていく。
『俺は何も見てないし何も聞いていないからな』
アーサーに匙を投げられてしまい、私はもうどうにでもなれとばかりにそのまま緋色のやる事に身を委ねた。