殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
障害物競争を制した出久君。
体育祭はまだまだ始まったばかりでA組だけでなくB組や緋色と力斗と……何かイレイザーヘッドみたいな少し暗い普通科の生徒と言う異色の実力者までいる中で次も実力を示せるかがポイントだった。
「予選通過は上位42名!!!残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい!まだ見せ場は用意されてるわ!!そして次からいよいよ本選よ!!此処からは取材陣も白熱してくるよ!気張りなさい!!!」
私は本選となるとより勢いの増した競技になると思う中、やはり緋色の個性が気になる。
緋色はヤクザの家系とは言え、入れない訳ではなかったヒーロー科を目指していた訳でもない。
なら何故、緋色が予選通過なんてしたのか不思議に思うしかなかった。
~別視点side~
緋色は非常に困っていた。
父である英一郎と諢を含めた獅子皇会のヤクザ達は挙って緋色の勝利祈願をし、更に応援団風の衣装を着て応援に来ようとするので緋色が恥ずかしいし、雄英に色々な意味で迷惑を掛けるのでと慌てて止めに入った事で何とか抑えた。
それでも緋色の活躍を見たがる英一郎達に良い成果を出すから家でテレビを見てろと言ってやっと収まった。
だが、一度でも口にした良い成果を出すと言っておいて駄目でしたはかなり嫌だった。
だから、緋色は自分の個性である運勢操作を使ったのだ。
触れた相手に明確な意思を持って幸運と不幸を一日だけ逆転させるだけの個性だがこれが使い様によっては相手を簡単に不幸にし、不運の末に破滅する………なんて言う一日しか効力しか無い使いにくい個性だ。
しかも相手の運に依存する。
例としてアイスの当たりが本来であれば当たるが、個性を使用して逆転させると当たらずに終わると言う感じだ。
小さい幸運なら小さな不幸に、大きいな幸運なら大きいな不幸になる。
逆もまたしかりだ。
その運勢操作を使って本来なら運の良さげな生徒に触れては幸運を不幸に逆転させて脱落させる等して工作しつつ、ちゃっかり抜け出しているといつの間にか地雷原の所にいて偶然にも最後に触れたのは……
「お、お腹が……凄く……痛い……!!」
A組の青山だったのだ。
その為、ゴール直前で青山は個性多様に伴う可能性のある腹痛を引き起こしてへたり込み、緋色は唖然としながら最後に予選通過でのゴールしてしまったのだ。
青山のゴールして予選通過と言う幸運からゴール直前で腹を痛めて抜かれて予選落ちと言う不幸に変わってしまったと言う事だ。
「43位で良かったんだけどな……」
もう諦めよう……と言う言葉と共に緋色の目には予選通過と聞いて大興奮で叫んでる
~side終了~
遠目でも分かる。
緋色はゴールするつもりは無かったと言う表情が見え、私は計画通りにいかなかったのかと思いながら苦笑いする中、ミッドナイトは次の種目を伝える。
「さーて第二種目よ!!私はもう知ってるけど~~~~……何かしら!!?言ってるそばから……コレよ!!!」
ミッドナイトはそう言うと画面には騎馬戦と書かれていた。
「騎馬戦?」
「最初あれだけ争っていたのに……大丈夫ですかね?」
私は疑問を浮かべながら説明を待っているとミッドナイトは騎馬戦のルール説明を行う。
「参加者は二~四人のチームを自由に組んで騎馬を作って貰うわ!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが…先程の結果に従い各自にPとが割り当てられる事!」
『成る程な。つまりは入試の様なやり方と言う事だ。まぁ、やり方としてはロボットじゃなくて相手は人で尚且つ連携が必要な種目だと言う事だな』
「(難しい種目ね。選ぶチームを慎重に考えないとすぐにやられる仕組みと言う事になるわね。しかも組み合わせ次第でPも変わるのも)」
教えられたルール通りの騎馬戦の難しさに私は唸る中、ミッドナイトはルールの説明を続けた。
「与えられるPは下から5ずつ!42位から5P、41位が10P……と言った具合よ。そして……1位に与えられるPと1000万!!!」
「うわぁ……出久君、御愁傷様……」
「あれは間違いなく争奪戦の渦の中心になりますね~」
『彼奴は運が良いのか?それとも悪いのか?1位を予選通過したと思えば1000万も与えられるなんざ大変なんてものじゃねぇぞ?』
出久君の与えられた莫大なPを聞いて出久君の周りにいる人達の目が全員、出久君に向いた。
獲物を狙う眼、利用しようとする眼、挑戦的な眼と様々な視線が飛び交う中、出久君は無論、固まっている。
「上に行く者には更なる受難を。雄英に在籍する以上、何度でも聞かされるわよ。これぞ
改めて確定した1000万。
哀れな出久君に皆は今にも飛び掛かりそうな視線が出久君を貫く中、出久君は戦意を損失していない……やる気ね。
「制限時間は15分。割り当てられたPの合計が騎馬の合計となり、騎手はそのP数が表示されたハチマキを装着!終了までにハチマキを奪い合い、保持Pを競うのよ。取ったハチマキは首から上に巻く事。取りまくれば取りまくる程、管理は大変になるわよ!そして重要なのはハチマキを取られても、騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!」
「騎馬が崩れても良いって事は一旦、離れてもOKって事かしら?」
『戦術次第だとそう解釈通りなら応用は多いぞ。何しろ奇妙奇っ怪な個性持ちが多い時代だからな』
アーサーの言う事に私は頷くとミッドナイトは残りのルールを説明した後、15分間のチーム決めの交渉が始まった。
~別視点side~
緋色はまた困っていた。
今更ら勝つ気が無いなんて言える様な状況ではない程に熱い雰囲気になる中、組む相手がいない。
「参ったな……」
困り果てても仕方ないと緋色はまだ空いてるチームの所へ行こうとした時、そこへ心操がやって来た。
「神速」
「どうした心操?……まさかと思うが個性で僕を操り人形にしたりしないよな?」
緋色は心操の個性について知っていた。
緋色は自身の個性を教える代わりに心操の個性を教えて貰っていたのだ。
興味で聞いただけではあったが心操の個性は上手く使えばかなり厄介な個性だと緋色は悟り、ヒーローにはなって欲しくない人材だと内心では思っていた。
「相手がいないんだろ?チームになるか?」
「へぇ……何故だい?」
「お前の個性は使い様によっては混乱を起こせる。さっきの予選の様に幸運を不幸にする。それが一日だけでも今の日なら十分だ」
「そうかい。……まぁ、君の内心はどうあれチーム選びに困っていたんだ。参加させて貰うよ。どうせ引き下がれない戦いだ。とことんやるさ」
ある意味、腹黒い二人は互いに利害が一致するとチームを組む事となった。
~side終了~
15分のチーム決めの時間が終わり、各々のチームが組まれる中、騎馬達が睨み合うステージは自然と戦意が沸き上がる。
《よォーし!組み終わったな!!?準備良いかななんて聞かねぇぞ!!行くぜ!!残虐バトルロワイヤル、カウントダウン!!》
カウントダウンが始まる。
『なぁ、ジル。お前なら目標はどうする?出久の奴か?』
「(いいえ、アーサー。目の前の大魚は狙ったら駄目。欲を掻いてしまうと他の人達に出し抜かれるだけ。単に通過するなら……出久君を餌に他のチームのハチマキを取る)」
《
私がそう言い終わった時、カウントはゼロとなると一斉に出久君チームに襲い掛かった。
出久君のチームは常闇君と麗日さんと……さっきの変人サポート科の女子生徒も加わった異色のチームだ。
二組の騎馬相手に対する出久君は逃げの一手を打とうとしてると思うけど地面が溶ける様に泥みたいになった。
あれなら足止めになり、出久君からハチマキを取る事が出来る……でも、出久君がそれを予期しなかったとは思えない。
私は見守っていると出久君が文字通り飛んだ。
後ろに着けてるのはジェットパックね。
出久君を阻もうと耳郎さんが動くけど常闇君の個性が邪魔をする。
司令塔は出久君、防御は常闇君とかなり厄介な組み合わせ。
しかも、そこに麗日さんが個性で軽くする事で機動力も確保、サポートアイテムの提供はあのサポート科の生徒。
破るのは難しい……例えるなら難攻不落の要塞を短期間かつ作戦無く力ずくで攻め落とそうとする位にだ。
出久君と言う名の天守を常闇君、麗日さん、サポート科の生徒の三面の城壁。
まさに出久君が編み出した要塞だ。
「はぁ……難しいわね。攻める気がしないわ」
「貴方でも?」
「隙が少ない……各々の役目をしっかりとこなしてる……こうなったら簡単にはいかない。私でも攻めあぐねるわ。それに見てみて。出久君を狙ってた葉隠さんのハチマキが取られた」
「本当ですね。いつの間に」
私が注目したのは先程まで出久君を狙っていた葉隠さんのハチマキが取られている事。
相手はB組の生徒ね……ハチマキをクルクルと回しながら余裕そうにしてる……何か腹立つわね。
私は取り敢えず落ち着いてもう一度、出久君の方を見れば障子君が一人で独走して出久君に向かってた。
「(あれ?何で一人?)」
『ジル。よく見ろ。中にいるぞ』
「(中に?あ、障子君のあの翼みたいのに峰田君が……いえ、梅雨ちゃんまでいる。何処に行ったのかと思ったらそんな裏技が)」
周りを完全防御のうえで一方的な攻勢に転じれる障子君達の奇策にミッドナイトのOK判定のお墨付きで行われている。
峰田君は……性格に難ありだけど個性は足止め系としては強いし、梅雨ちゃんの蛙の舌はあの狭い穴からハチマキを奪うのにも適している。
何で皆はこんなに良策、奇策を思い付くのかしら?
出久達は堪らずにジェットパックで逃げるとサポートアイテムの靴が峰田君の個性から逃れる為に千切れてしまったけど離れられた……と思えば今度は勝己だ。
馬を放置して空を飛んでハチマキを奪おうとしたけど常闇君が上手く防ぎ、勝己は瀬呂君の個性のテープで引き戻された。
彼奴……あんまり考えてなさそうに見えて組み合わせはちゃんとしてたのね……でもね。
油断したわね、彼奴。
私が見たのは現在のランキングの順位。
一位は当然、出久君だけど……上位組が轟君以外のチームがB組になってる。
多分……あの、いけ好かない物間の策でしょうね。
A組を重点的にB組がグルになって潰す。
ヴィランとの戦闘経験を得て精鋭と化してるA組を集団で抑えるのは利に適ってると言えるわね。
私は余裕だと言わんばかりに勝己を煽ってる物間は間違いなく後で勝己に途轍もない仕返しを貰うなと思っていた時、そこに心操君のチームが出てきた。
そのチームの中には騎馬役をしている緋色がいて、笑顔で物間の肩に手を置いた。
何だろう……物間がこれから先、不運になりそうな感じがしてるんだけど……あ、物間チームが転けて物間本人が顔から地面に落ちた。
それって……。
《おォと!!物間チームが痛恨のミス!!しかも顔から落ちてチョー痛そう!!この判定は!!?》
「無し!」
ミッドナイトの無し宣言に物間は騎馬から落ちた事で失格、物間チームは退場となり、奪ったハチマキは元の選手に戻された。
緋色が触っただけであんな風になる?
本当に何の個性なのか気になるけど殆ど振り出しに戻ったし、物間が失格になって少しスッキリしたから良いや。
「(それでも振り出しになっただけ…て、うわぁ……勝己が自分でトドメさせれなかったからって周りに八つ当たりする様にハチマキを奪いまくってる。折角、ハチマキを間接的に取り戻したのにね)」
勝己が怒りながら手当たり次第にハチマキを奪う姿に本当に何を言われたのかと呆れていると勝己の暴走を見越して心操君チームはスタコラと逃げてるから被害を受けずに済んでる。
出久君は混乱している内に逃げようとするけど……轟君は逃がしはしないでしょうね。
出久君を前に戦闘体制に入った轟君に出久君はどうするのか。
轟君のチームは飯田君、八百万さん、上鳴君とかなり優秀なチーム。
彼らを上手く指揮できたら間違いなく難攻不落の要塞を落とす最強の鎚になる。
その轟君を狙おうとした周りのチームは轟君の的確な指示で動く三人との連携は止めるに至らない。
飯田君が前進しつつ八百万さんがガードと伝導を用意し、そして上鳴君の帯電の個性での無差別放電。
放電させられたチームは動けないまま痺れさせられるとガードで上鳴君の放電を防いで無事だった轟君は伝導を使って地面を凍らせると周りのチームを確実に無力化させてしまった。
《上鳴の放電で確実に動きを止めてから凍らせた……流石と言うか……障害物競走で結構な数に避けられたのを省みてるな……》
《ナイス解説!!》
イレイザーヘッドの解説も入る程の轟君チームの見事な連携を見せながらそのまま他のチームのハチマキも奪って行くと出久君チームに接近した。
出久君チームはジェットパックがイカれたのか飛ばず、常闇君が牽制しても八百万さんが防ぐ。
一進一退の攻防。
出久君の防御と轟君の攻撃。
どちらも譲らない中、轟君達が動いた。
飯田君の個性であるエンジンをフルに使って猛スピードで迫ると轟君が出久君からハチマキを奪った。
此処で初めて奪われ、尚且つあと一分と言う所で出久君はしてやられたみたい。
《なーーー!!?何が起きた!!?速っ速ーーー!!》
プレゼントマイクもビックリな速さでのハチマキの奪取に対し、出久君は轟君に向かっていく。
他のチームのPが散りすぎて把握できない以上、轟君達に向かうしかない。
だけど、轟君がそれを簡単に許す訳がない。
出久君達は轟君達にハチマキを奪う為に接近し、此処で初めて出久君は個性を使う兆しを見せた……いや、違う。
最低限の力で轟君に対して空を切る様に振るった時、轟君の左腕に一瞬だけ熱を帯びた様な気がした。
「(炎を使わなかった?)」
轟君の個性は半冷半燃は氷は勿論、炎も使える。
戦闘訓練でもその威力を見ていてかなり強力な個性ではある……けど、轟君は咄嗟とは言え炎を使わなかった。
幾らなんでも個性の半分の力しか使わないなんて利に適わない。
私は轟君の行動に疑問を抱いていると出久君が一瞬の隙を突いてハチマキを奪い返した。
だけど見る限りではPは70で出久君は嵌められてしまった様だ。
残りはあと数秒となる中、轟君チームと出久君チームそして後から来た勝己チームの三又の戦いになり掛けたが。
《TIME UP!》
非情にも騎馬戦終了の声が響き、出久君は悔しげに拳を握り、轟君は浮かない顔をしている。
勝己に至っては取る所か参戦すら出来ずに終了した事で悔しげに唸っている。
各々のチームが各々の役目を果たし、戦った騎馬戦は此処に終わった。
《早速、上位4位を見てみようか!!1位、轟チーム!!2位、爆豪チーム!!3位、鉄て……アレェ!?オイ!!!心操チーム!!?いつの間に逆転してんだよオイオイ!!》
プレゼントマイクからも驚く声が挙がる中、心操は不適に笑い、緋色は困った様子を見せながら手を軽く振っている。
残りのチームメンバーの尾白君とB組の生徒らしき子が何が起きてるのかと分からないとばかりに周りを見渡している。
何だか怪しい感じがするけど心操君達が得たのは勝利で間違いないのは確かだと言う事。
残ったのは……これは驚いたわ。
まさかあの土壇場で取れてたとは思わなかった。
《4位、緑谷チーム!!》
その声は間違いなく出久君が最終種目に出れる事を意味するものだった。
常闇君が轟君の隙を突いて頭に巻かれていたハチマキを取った事で得た奇跡とも言える通過だった。
私は安堵して一息ついてから綾乃の方を見るとそこには綾乃がいなかった。
「あれ?綾乃は?」
『飯を買いに行くってお前に言ってただろ?まさかそれに気付かない程に熱中してたのか?全く……仮にも指名手配犯が観戦に夢中になり過ぎるなんてな』
「(うぅ……言い返せない……)」
アーサーの小言に私は何も言い返せないまま丁度、昼休憩なのは事実なので私は下手に動かずに綾乃の帰りを待つ事にした。
お腹も空いたしね……。
~別視点side~
その頃、綾乃は適当な屋台から昼食を買って戻る道中にいた。
「たこ焼きに焼きそばと買いましたが……気に入るでしょうかね?」
綾乃はジルの食べ物の好みを知らず、聞こうにも食い見る様に観戦していたジルの邪魔は出来ないので取り敢えず一言添えてから昼食を買いに行った。
綾乃は特別、早めに昼食を買いに行かなくても良かったがエンデヴァーの息子である轟焦凍を見たくなかった。
憎らしいヒーロー、その血を受け継ぐ息子。
だが唯一、エンデヴァーが一人立ち上がり、事件解決に奔走したのは事実であり、憎らしいヒーローではあるが特別、エンデヴァーを敵視していない。
だが、割りきれないでいた。
エンデヴァーがもう一人の犯人であり、綾乃の両親の仇である実行役のヴィランを取り逃がしたと言うもう一つの事実が今も心に絡まる様に付いている。
綾乃は何とも言えない気分のまま歩いていると鉢合わせてしまった。
「ッ!?お前は……!」
「……お久しぶりです。エンデヴァーさん」
No.2ヒーローのエンデヴァーと。
~side終了~