殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私は雄英での大仕事を終えてから外堂先生の所に言って戦闘での傷の手当てを受けていた。
「全く、君は……オールマイトとエンデヴァーの二人を相手にしただけではなく多くのプロヒーロー達に囲まれた状態で仕事をやり遂げるのは無茶も良いところだぞ?」
「はい……すみません……」
私は傷の手当てをしてくれる外堂先生からのありがたいお説教を受けていると診療所にある備え付けのテレビから緊急のニュース速報が流れた。
勿論、雄英での私が起こした事件についての。
《今日、雄英体育祭においての
「大騒ぎだねぇ。君のやった事は前代未聞、過去に無い出来事だったよ。あの雄英に泥を塗ったのだからね」
「えぇ、してやったわ。これで私が何処まで本気なのか……皆、分かったでしょうね」
私はそう言うと外堂先生は傷の手当てを終えてしまうと使った医療品をしまっていく。
「本当は不本意だったのだろう?決別したとは言え、彼等の記憶にトラウマを残したかもしれないのだから」
「……そうね。悪いと思ってる。でも、やらなきゃ何時までも私を優しいジルと見てくる。それじゃあ駄目。ヒーローになる覚悟があるなら……私と言う悪を……殺人鬼、
私はそう言うと巻かれた包帯を見たりしていた時、そこへヤクザとしての格好をした緋色と綾乃がやって来た。
「ジル!大丈夫か!?」
「エンデヴァーに思いっきりやられてましたけど無事ですか?」
「何とかね……本当に運だけは良かった。折れずに火傷で済んだ」
「火傷!?君の綺麗な肌にか!?」
「いや、残っちゃう程じゃないから大丈夫」
「そうか……良かった」
緋色はそう言って安堵する中、私は綾乃に視線を向けた。
「さて、綾乃……貴方の恨みは晴らせたかしら?」
「……そうですね。これで両親も静かに眠れるでしょう。これを使わなくて良かったです」
綾乃はそう言って鞄から拳銃を取り出すと緋色は目を見開き、外堂先生は興味深けな顔をする。
「本物?よく手に入れたわね?」
「あの豚を仕留める為に色々な所に伝手を持ちましたからね。情報もこう言った武器、横流しされたサポートアイテムの入手経路も」
「それを聞いたら貴方って闇のブローカーみたいな感じに聞こえるわよ?」
「そうですね~。良ければ貴方が必要とするなら限りこそありますが必要な物を手に入れますよ。勿論、足は付きません」
「気が向いたらね」
綾乃のやる事、なす事が何れも規模が大きい事に私は笑ってしまう中、緋色は何かを思い出したかの様に不適に笑った。
「そうだ……なぁ、ジル。君に頼みたい事があるんだ」
「え、なに?」
「これを着て欲しい」
緋色が取り出したのは何処から手に入れたのかチアガールの制服だった。
「えッ!?」
「そう言えばA組の女子達は何故かチアガールでしたね?」
「そうなんだ。後で着せようと思って色々と誤魔化しながら手に入れたんだ。勿論、ジルのサイズにピッタリにね」
「な、何でサイズを知ってるの!?」
「当たり前だろう?君と僕は深い関係なんだからね?」
緋色の言葉に私は顔に熱が籠るのを感じつつ、チアガールの制服に着替えさせられる……て、思うと後ろに下がってしまった時、綾乃に肩を掴まれた。
「私も是非、見たいですね~。あの子達だけなんて不公平ですしね」
「そうだとも。ほらほら早く着ないと手伝っちゃうよ~?」
「ち、ちょっと待ってよ!」
「私は着替え終わるまで別の部屋にいるから用があったら呼んでくれたまえ」
「外堂先生!?」
外堂先生にまで見放された私は放心状態でいたけど最終的に諦めてチアガールの制服に着替えた。
うぅ……お腹出てるし、下がミニスカートだから違和感があって嫌だ……
「似合うじゃないかジル」
「スタイルが良いと出てる所も出てますね~」
「お願いだから早く着替え直させてよぉ……!」
緋色と綾乃はニヤニヤしながら私を見てくる為、私はもう恥ずかしさでいっぱいになる。
『お前は本当にそう言う事には慣れないんだな』
「(だって!こんなに露出した服なんて破廉恥にも程があるじゃないの!?)」
『男がメイド服を着せられるよりマシだろ』
アーサーはそう言って嫌な事を思い出したと言わんばかりの顔をするけどね……私は女だけど!?
と言うよりもその口振りからメイド服を着せられた事でもあるのかしら?
確かに顔は整ってるし、女装させれば女性と間違えてもおかしくない体格と顔だしね。
私はもう泣きそうになる中、そこへ智枝美がやって来た。
「あれ?お姉ちゃん達、何してるの?」
「僕達はね。ジルにチアガールの服を着せていたんだ」
「チアガールって凄い動きをする人達の?」
「そうですよ。ジルさんがどうしてもと」
「そんなの言ってないわよ」
私はない事を言われそうになって取り敢えず止めると自分の服を取ると緋色は残念そうな顔をしている。
「なんだ……もう着替えるのか?」
「十分見たでしょ?それに何時までも遊んでたら外堂先生に申し訳ないし」
私はさっさといつもの服に着替えてしまうと智枝美は少しモジモジした動きをしながら私の前に来た。
「ねぇ、ジルお姉ちゃん」
「ん?」
「今度ね。一緒にお買い物に行きたいけど……良いかな?」
「……えーと……一緒に買い物を?」
「うん!」
智枝美はそう返事して期待の眼差しを見せてくれるんだけど……私、指名手配犯なうえに雄英に喧嘩を売ったばかり。
今は下手に出歩くのは危険だから断るべきだけど……智枝美の願いも聞いてあげたいし……
『おいおい、優柔不断になるなよ。智枝美の願いにどうこたえるつもりだ?』
「(今、出歩くのは危険だけど……智枝美が折角、誘ってくれたんだしね……でも、仕事が……)」
「行ってきなよ。ジル」
私はどうするべきか決めかねていると緋色に行って来るように言われた。
「仕事ばかりだと気が滅入るだろ?だったら、たまには出掛けて気分を変えた方が良いと思うぞ?」
「でも……」
「心配するな。君を血眼で探し回ってるヒーロー達を誤魔化す方法は色々あるからね」
緋色はそう言ってニッコリと笑った時、綾乃のスマフォの電話が鳴り、綾乃は電話に出た。
「はい、広瀬です。……え、インゲニウムさんが?そうですか……はい……分かりました……また、お見舞いにお伺いします。では……」
「どうしたの?お見舞いって?」
「……インゲニウムさんが……ヒーロー殺しに襲われました……重症の様です……」
「え……?」
まさか……インゲニウムがステインに襲われたなんて……飯田君はこの事にどう思ってるんのか……
「ジルお姉ちゃん?」
「なに?」
「また、仕事なの……?」
私がまた仕事に行くのか不安そうに見つめてくる智枝美に私は微笑むと頭を撫でた。
「……今回は違うかな。心配しなくても良いわ。一緒に行きましょう」
「本当!ありがとう!」
智枝美の嬉しそうな顔に私は微笑ましいと思う中、綾乃はインゲニウムの件が気になるのか少し暗い顔をしている事に気づいた。
「インゲニウムの所へ行ってみたら?」
「え?」
「いや、何だか気になってしょうがない……て、顔をしてたしね」
「ち、違いますよ!彼は私によく贔屓してくれる人だったので活動が出来ないならネタに困ると思っただけで……!」
何で綾乃は顔を紅くして否定するのかしら?
否定くらい別に普通にしても良いと思うのに……もしかして私、怒らせちゃった?
『お前な……アレは脈ありの奴がする顔だ。意外だなぁ。まさか、ヒーロー嫌いなこいつがヒーローを。ましてや男に惚れ込むなんてな』
「(惚れ込む?……綾乃は確か過去の事件とかのトラウマとかありそうだけど……?)」
『その辺は分からないがそうじゃなきゃ、インゲニウムの事を気にしてるなんてしないだろ?寧ろ、死ねとか思いながら笑ってるぞ』
「(ありそうな話を出さないでよ……まぁ、恋愛なら過去の復讐を終えたなら新しい生き方を見つける切っ掛けになるなら祝福しても良いでしょうね。私が殺人鬼で彼がヒーローでなければ良かったのだけど)」
私はそう思いながら私は慌てる綾乃に落ち着かせながら智枝美との買い物でどう誤魔化して溶け込むかと緋色に相談しようと思った。
~別視点side~
その頃、雄英ではマスコミや苦情の対応に追われていた。
殺人鬼が雄英体育祭の終わり頃とは言え、殺人が行われてそれが全国生放送なのだから当然の結果だった。
影響は雄英に止まらず、欲強議員の汚職や過去の犯罪が証明されると野党による与党追及と言う事態になり、しかもやっていた事が事なので大騒ぎになった。
事件が落ち着き次第、明日には根津を始めとした職員関係者が記者会見を開き、謝罪と今後の対応策を説明する事となっているがそれでも終息するまで長い時間が必要になるのは明白だった。
そして、ヒーロー達にも影響が出た。
雄英体育祭にスカウト目的で来ていたヒーロー達がジルの捕縛に動かなかった事にも少なくない批判が殺到、多くのヒーロー達が謝罪する中、ジルの思想とヒーローに対する考えを聞き、自身のヒーローとしての在り方を見失ってしまったヒーロー達もいた。
ジルの行動で状況が悪くなる中、ヴィランにも影響があった。
「あんなイカれた奴に付け狙われるくらいなら自首した方がマシだ!!」
ヴィラン達は雄英体育祭の終わりで見せたジルの行動とオールマイトを含めた多数のヒーロー達との戦闘で逃げ切った姿を見て恐れをなして逃げる様に自首をして来る様になり、治安が徐々に上がる現象を見せていた。
「なんて皮肉だ。俺達は大失態を犯したがそのお陰で治安が向上したなんて笑えねぇ話だ」
「我々が批難されるのは構わないが他のヒーローのメンタルを考えるとなると……」
「良い切っ掛けになるだろう?飽和社会なんて皮肉られる時代でヒーローとしてどう行動し、向き合うか。それを考えさせる機会を提供されたんだ。人を守る覚悟を決め直す時さ」
オールマイトの心配を他所にジャスティスはそう言い切るとオールマイトは心配する素振りを見せた。
「霧先少女を……どう思っている?」
「愛してるぞ?娘として、家族としてな。何を心配してるのか知らねぇが彼奴が堕ちちまっても家族として愛し続けるさ」
ジャスティスはそう言い切って笑った。
一方、A組の面々は暗い面持ちになっていた。
「ジルを……僕はジルを止められなかった……僕のせいで……!!」
「デク君のせいやないよ。私達は近くにいたのに何にも出来ひんかった……デク君は一人でも説得に行ったのに……」
「クソがぁッ!!……何で俺は動かなかったんだよ……彼奴を見た時に……体が思うように動かなかった……何でなんだよ……!!」
「それはジルちゃんの雰囲気がとても怖かったからだと思うわ……勘違いしないでね。これだけは……皆、同じだったのよ。もう……私達の知ってるジルちゃんじゃない。別人よ」
ジルの変わり果てた殺意と殺気だった雰囲気に気圧され、出久以外に動く事すら出来なかった事を悔やみ、嘆くA組の面々に相沢は教室の扉の隙間から覗いた後、今はそっとしておくべきと判断し、廊下の壁に持たれながら自分の無力を嘆くしかなかった。
ジルは大きな影響を社会に与える中、ヒーロー公安委員会はこの事態を深刻に受け止めていた。
「今回ばかりはもう捨て置けん!!奴を葬るべきだ!!」
「だが、悪い話だけではないと言うのが行動を阻害されている要因になっている……
「しかし!奴の行った所業で何れだけのヒーローが引退してしまったのか御存知ですか!!腐敗したヒーローを仕留めるだけなら良い……だが、彼女の行いは社会への影響が大きすぎるのだ!!」
「我々の側に引き込むのはどうだ?」
「それは無理でしょう。彼女は自身を悪だと認識して行動しています。わざわざ免罪符代わりに我々、公安に属するとは思えませんし議員すら殺す殺人鬼です。我々の行っている行動を知って闇に紛れる悪だと認識されれば大変な事になるでしょう」
ヒーロー公安委員会はジルをどうするべきかと頭を悩ませ、決めかねる。
社会は知らない内に少しずつ変化していく……一人の殺人鬼のナイフによって。