殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
敵対するつもりはないと言う言葉に私は信じていないけどUSJで彼らの見せた実力を知っている私は今は不利だと考えて彼らの言いなりになってみる事にした。
手お化けでヴィラン連合のリーダー?の死柄木弔と参謀と移動手段的な立ち位置の黒霧。
この二人との対話ははっきり言って胸糞が悪くて嫌だけど……黒霧の個性で逃げようにもすぐに戻されるのは目に見えてるし、戦おうにも実力者二人の相手は難しいうえに強力な個性持ち、下手に戦闘に持ち込むよりも隙を伺いつつ話を聞いた方が懸命だった。
「それで?つまらない話なら切り刻むわよ?」
「では、単刀直入に言わせて頂きます。我々、ヴィラン連合と貴方とで不可侵の約定を結びたいのです」
「不可侵の約定?それはどういうつもりで?」
「お前が融通の利かない殺人鬼だからヴィラン連合に入れるのが無理があるからだとよ。無理矢理入れて反逆されるより互いに手を出さない方が良いんだと」
「へぇ……考えてるじゃないヴィラン連合。確かに私は悪だけどその悪を殺す殺人鬼だもの。懐に入れて後からナイフで胸に突き立てられるよりマシな選択ね」
私はそう言ってやる死柄木弔は舌打ちしてそっぽを向いた。
「それに貴方は我々の身内であるブローカーの教え子の上客。無理をして潰す行為はいささか反感を持たれてしまう。そのブローカーは大層、自分の娘の様に可愛がっている様でしてね」
「身内のブローカーの教え子?……いえ、分かった。何となくだけど」
私と繋がっている裏に通ずる様な情報と流れのサポートアイテムの調達をする様な人物は綾乃一人しかいない。
長年、復讐する機会を伺う様な女……裏社会に生きるブローカーと繋がってて尚且つ役立つなら下に着いて何でも学んでいてもおかしくない。
それにしても卑猥な事じゃないとはいえ、娘の様に可愛がられるって何したらそんな関係になるのかしら?
「それでYESかNOかはっきりしろ。俺はステインの件でイライラしてんだよ」
「そう言えば脳無を放ったのは貴方達だったわね。残念な結果だったみたいだけどね」
「テメェ……俺は不機嫌だって言ったよなぁ?」
「やるつもり?」
死柄木弔が仕掛けてくるなら私も容赦はしないつもりで睨んでいると黒霧にある言葉で制止された。
「グリーン・メイスン」
「ッ!?」
「は?何だそれ?」
「過去に存在したとされるイギリスのロンドンで強大な勢力を保持していた秘密結社……ですが、半ば都市伝説になっている存在です」
「都市伝説の秘密結社なんかに興味はねぇよ」
「ジャックは違う様ですがね」
黒霧の言葉に私は黒霧を睨む中、何故、グリーン・メイスンの事を持ち出したのか私は思考を凝らす中、黒霧は続けた。
「グリーン・メイスンは間違いなく日本に存在し、そして尚も活動しています。その実態は不明ですが……貴方の母親の仇が属し、そしてヒーロー殺しにインゲニウム襲撃の冤罪を被せたのも同一人物。つまり、グリーン・メイスンの実行役の一人が貴方の母親殺害とインゲニウム襲撃に関わっている事は掴みました。……その実行役の名前も」
「……成る程ね。情報が欲しければ要求に答えろと?」
「我々は貴方と争うつもりはありません。寧ろ暴れて頂いた方が我々に都合が良いです。無論、要求を蹴ってお帰り頂いても構いませんが……その代わりに二度とグリーン・メイスンの情報は手に入りません。オマケを付けるとすれば定期的にグリーン・メイスンの情報を提供しましょう。如何ですか?」
あまりに破格な条件で尚且つ母の仇がグリーン・メイスンの実行役でインゲニウムの一件にも関わっている事が知れた。
グリーン・メイスンと仇についての情報は喉から手が出る程に欲しい……でも、こう言った良い話には裏が必ずある。
「随分と破格ね。それだと不可侵の約定以外にもやらせたい事がありそうな気がするわね」
「ふむ……勘が良いですね。心配しなくても問題ありませんよ。少し、宣伝の為に貴方の名前と顔を御借りしたい」
「宣伝……ね。ステインを利用して仲間集めでもするつもり?」
「貴方はどうやら相当に勘がよろしい様ですね。ステインと我々が繋がっている事に気づいていたのですね?」
「実際は確証は無かった。でも、貴方達に連れ去られてから確信を持てたのよ。だって、何で少し逃げた所で私の位置を把握して連れてこられたのか……答えなんて分かるでしょ?貴方達は保須にいて尚且つ実際に高みの見物をしていたのよ。だから私が逃げた路地でピンポイントにワープさせられたのよ。そうでしょ?」
「その通りです。我々としても適当にかき集めた兵隊では今後、支障をきたす恐れがあります。ならば……少数精鋭で優秀な人材を集める。その為にステインを利用しました。貴方もステインと関わってしかも、そのステインに逃がされたとなれば貴方の事も自然とステインの話と共に広がる。そう……例え我々が手出ししなくてもです」
黒霧はそう言ってくると私はこいつらの思考通りになったと思うと虫酸が走る中、大人しくしていた死柄木弔が叫び出した。
「早くしろよ!長話しやがって!さっさと決めてさっさと帰れ!」
「せっかちね……まぁ、良いわ。そんな話、御断りよ。帰らせて貰うわ」
「グリーン・メイスンの情報が欲しくないのですか?貴方一人で秘密結社、況してや都市伝説扱いにもされる程に存在を薄める組織相手に追い続けると?」
「一人じゃないわよ。私には頼もしい相棒がいるもの」
私はそう言ってアーサーの方を見るとアーサーは少し驚いた後、微笑みを見せた。
「お前……頭大丈夫か?何処見て言ってんだよ。そこには誰もいないぞ?」
「彼女には見えるのです。過去の大罪人、アーサー・ヒューイットが。私も少し手合わせしましたが……はっきり言えば戦い続ければ負けていたのは私でしょう。もっとも彼女自身が自分の持つ殺人衝動を誤魔化す為の幻覚かもしれませんがね」
「過去だが幻覚か知らねぇが常に近くに人がいるのかよ。鬱陶しい」
「ふふ、そうね」
『おい、そりゃねぇだろう?』
私は笑い、アーサーはあんまりだとばかりに私を見て、死柄木弔は痛い奴を見てくる目をしてくるけどあんただけには思われたくない。
黒霧は何を考えてるのか分からない……さて、断ったけど本当に帰すつもりはあるのかしら?
「致し方ありませんね。"先生"も貴方をこの場で殺す事を望みません。寧ろ生かしておいた方が面白い事になると仰っています。お帰りは私のワープをお使いください。お望みの場所へとお連れします」
「……面白い事ね。その"先生"に伝えておいて。私を生かした事を……後悔させてやるってね。あと、保須から出た位の場所にお願い」
「えぇ……御伝えさせて頂きます。では、またお会いしましょう」
「二度と来るな」
死柄木弔の悪態を最後に黒霧はワープを開くと私を包み込んで望みの場所へと出した。
周囲に警察もヒーローも無し、あの騒ぎで街の外側までは手が回らないみたいね。
「……さて。行きましょう」
『やれやれ。今日は無駄に疲れたぜ。ステインの奴はどうしたんだろうな?』
「あれだけヒーローがいたのよ。無事じゃないかもしれないけど流石に捕まる事は……」
《臨時ニュースを御伝えします。今日、保須で起きた襲撃事件の際にヒーロー殺し、ステインがエンデヴァーを始めとしたヒーロー達との戦闘の末に捕縛され、逮捕されました。ステインはこれまでにも多くのヒーローを手に掛けているとされ、現在も調査中との事》
私は近くで流れていたラジオを聞いてステインが捕縛され、逮捕された事を知った。
自身の理想を貫き、最後に捕まった連続殺人鬼。
私もいつかそんな末路を辿るのだろうかと思いながらその場から立ち去った。
~別視点side~
その頃、保須の路地の深く、光すらままらない様な場所で連絡を取る者がいた。
「申し訳ありません。ジャックの始末に失敗しました。はい……いえ、その様な事はありません。現に彼女の母であるオリヴィアを殺し、ターボヒーロー、インゲニウムを使った作戦も遂行しました。只、あと一歩の所でヴィラン連合があそこで脳無を投入するとは……はい……分かりました。それで約束が果たされるのなら……では、また後日」
その者は連絡を終えると一息つくと鋭い眼光を露にした。
「必ずやり遂げてみせる。絶対に……どんな手段を使ってでも彼女を救いだしてみせる。どれだけ人を傷付け、殺してでも絶対に」
その者はそう呟くとその場から気配を消すように姿を消した。
一方、ヴィラン連合のアジトであるバはーでは。
《はっはは!やはり面白い子だったね。黒霧、弔?》
「何処がだよ先生。無駄に生意気なだけだ。しかも俺達に明確な敵対の意思を見せてやがる」
「本当によろしいのですか?ジャックを……霧先ジルを生かす事を?」
《それで良い。彼女にはヒーローのごとき善意があり、自身すら悪と弾劾し、ヴィランを殺す殺意の持ち主。彼女の様な悪はそう滅多にいない。必ずこの社会を切り刻んでくれるよ。ヒーロー殺し以上にね》
「社会を切り刻むですか……」
「彼女は革命を起こせる。社会の全てを壊し、正す。ヒーローの信用を奪い、ヴィランであるジャックが支持を集める。
"先生"と呼ばれるその存在はそう言って再び不気味に笑うのだった。
~side終了~