殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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【第三章】堕ちていく光【END】

~別視点side~  

 

保須襲撃事件から2日後、世間ではヒーロー殺しと切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の話題で持ちきりとなった。

 

ヒーロー殺しと切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の二人は接触していたが互いに争わず寧ろヒーロー殺しが切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を逃がす姿や言動が収められた動画が出回ったのだ。

 

ヒーロー殺しの過去やヒーローを襲う事になった経緯と切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が若くしてヴィランを付け狙う連続殺人のヴィランと成り果てた事の真相の追及と言った内容が長く語られており、更に二人の関係への考察まで話されていた。

 

曰く、二人は師弟関係だから。

 

曰く、互いに似た様な境遇故に仲間意識を持ったから。

 

曰く、特に争う理由は無かった。

 

曰く、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)はヒーロー殺しとはほぼ関係ないがヒーロー殺しは意思を継ぐ後継者として指名したかった。

 

色々な憶測やデマが飛び交う動画とコメント欄は遂に動画から離れて掲示板サイトで多くの人々がコメントや推測をしていく。

 

《ヒーロー殺しと切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)は師弟関係って本当かな?》

 

《違うだろ。戦い方は似てるけど思想が全然違う。ヒーロー殺しは英雄回帰って思想の元でヒーローを襲ってて切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)は法から逃れる悪を裁く事を目的にしてるし》

 

《雄英体育祭の時、凄かったよね。汚職議員をオールマイトもいたのに多数のプロ相手に大立ち回りして最後に殺したよね》

 

《その日からヒーローの信用失墜して切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の株が上がったわ。ヒーローおつかれさんw》

 

《殺人鬼は殺人鬼だろ?ヴィランが褒め称えられて良い筈がない》

 

《確かに殺人は良くないけどさ。本来、ヒーローが捕まえるべきなのに全く仕事してねぇじゃん。あの議員を守ろうとしてたのオールマイトとエンデヴァーとジャスティスって言う切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)のお父さんと教員のプロヒーローだけだったし。観客席にいたプロ全く動いてなかったの見たろ?》

 

とコメントが波の様に書かれる中、都市部では多くの人々が集まっていた。

 

「切り裂きジャックを捕まえろ!!!」

 

「「「切り裂きジャックを捕まえろ!!!」」」

 

「ヴィランの勝手を許すな!!!」

 

「「「ヴィランの勝手を許すな!!!」」」

 

そう言った具合で切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の逮捕を望み、"反・切り裂きジャック"のデモを行う者達がいる一方で。

 

「私刑ではなく正当な裁きだ!!!」

 

「「「私刑ではなく正当な裁きだ!!!」」」

 

「切り裂きジャックは我々のヒーローだ!!!」

 

「「「切り裂きジャックは我々のヒーローだ!!!」」」

 

犯行を容認する"親・切り裂きジャック"のデモが行われると言う事態が起こり、両者が出会えばそのまま言い合いや喧嘩になると言うもはや暴動と言っても過言ではない事態となり、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を巡って親、反で分かれて派閥が作られてしまう始末だった。

 

社会は今、二分する情勢となり、混乱を極める中、闇に潜む者達にも反応があった。

 

「ステ様!ジャク様!どっちも血に濡れて素敵ですねぇ!」

 

大量の血が流れている死体の近くで口元を血で濡らした少女。

 

「後継者か……切り裂きジャックが果たして継ぐ気があるのやら」

 

継ぎ接ぎされた皮が目立つ読めない男。  

 

「後継者がいようが関係ねぇ!俺は彼の夢を継ぐ!!」

 

ステインに憧れを抱く異形系のリザードマンの様な男。

 

ステインの思想に、切り裂きジャックの影響力に反応していく闇に紛れる悪意達はヴィラン連合へと目指す。

 

自分達の各々の思惑の為に。

 

「世間はステインとジャックの話題で持ちきりだな。綾乃」

 

「そうですね。流石はジャック様です」

 

「そう言えばお前はジャック側の人間になったんだったな?一様言っておくが商売元をヴィラン連合に移す気はないか?」

 

「なに言ってるのですか義爛さん。いくら儲けが良くても私は彼女を裏切りませんよ」

 

「そうかい。ヴィラン連合と繋がりを持てばお前ももっと名を挙げられる筈なんだがな」

 

「私は元々は復讐の為に貴方から全てを教わりました。金儲けの為じゃありません。良くしてくれているのは知っていますがジャック様には返しきれない恩を貰いましたから」

 

「成る程ね。俺はヴィラン連合。お前は切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)。互いに商売相手は違うがよろしくやり続けたいものだな」

 

「そうですね」

 

義爛はそう言って微笑むと綾乃も微笑んで師弟である二人は互いに違う道を進む事を選んだ。

 

「ニュースでも新聞でも動画でも殺人鬼が話題になってるなんて……この社会はどうなってしまうんだ……?」

 

「少し前まではヒーローの活躍の話題で持ちきりだった。だが、今はヒーローの失態や不正が中心になり、ジャックのヴィラン殺しが目立つばかりだな……不安はあるがその代わりに」

 

「切り裂きジャックが現れてからは治安が良くなってるしな……もし、切り裂きジャックが捕まったらまた、鳴りを潜めていたヴィランが暴れる様になるのか……?」

 

二人の殺人鬼の話題でこの社会がどうなるのかと人々は色々な場所で議論し。話し合う者達はこれから先の社会に不安を抱え込む中、ヒーロー達は。

 

「切り裂きジャックが正しいのだろうか……」

 

「おい!滅多な事は言うな!」

 

「だが、切り裂きジャックは確かに法から逃れる悪のみを殺す殺人鬼だ!考えてみろ!俺達が必至になって捕またヴィランが突然、釈放されて行方を眩ませた事件の事を!あれ以来、捜査はそのまま中止だ……遺族も悔しいし、俺はヒーローとしてもヴィランに罪を償わせる事が出来なくて悔しいんだよ。こんな事ってあるかよ……」

 

「だからといって私刑を容認するヒーローが何処にいる!!我々の役目はヴィランを捕まえる事だ。例え相手が正しくても法に反するなら心を鬼にしてでもだ」

 

ヒーロー達もまた、分裂しようとしていた。

 

最近になってヴィランの活発化だけでなく、不可解な捜査中止や事件終了やヴィランの釈放などが多発しており、ヒーロー達は挙って抗議した。

 

無論、その中にはトップヒーロー達の姿もあったがそれでも尚、認められる事がなく警察での不可解な事態が収まる事はなかった。

 

それによって切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の私刑に賛同するヒーロー達が現れ始め、中には切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の活動に黙認する様な行動を取り始めるヒーローもいた。

 

悪を許さない強い正義感を持つが故に法に準ずる者と殺人鬼に加担する者と分かれてしまった。

 

そして最近になっておかしくなり始めた警察は。

 

「こ、怖かった……」

 

「笑顔のイメージがあるミルコが鬼の形相で来た時には死んだと思ったよな……何とか帰って貰ったけど」

 

「確かに怒るよな。通り魔殺人の現行犯で捕まえた筈のヴィランが連行してきて僅か10分足らずで釈放……はっきり言って狂ってる」

 

「最近になって一気に上層部が変わっちまってからな……何かに見えない圧力を掛けられてる気もするしな」

 

「とは言え証拠も無く糾弾してもな……今度、詳しく調べて見るか」

 

まともな警官達は今の警察機構の異常事態について話し、調べる事にした警官はその後、行方不明となったそうだ。

 

ありとあらゆる場所で影響を及ぼした保須襲撃事件は深刻な社会問題となり、国は対応に追われる事となった。

 

切り裂かれる様に善の正義悪の正義に分かれていく。

 

その過程で暗躍する闇もまた、姿を少しずつ現そうとしながら。

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保須襲撃事件から少し明けてからオールマイトを除いたトップヒーロー達は集まっていた。

 

トップヒーロー達は現在、起きている親・切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)派と反・切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)派に分かれて争い始めた社会問題に対し険しい顔で現状をどう打開するかを考え、頭を悩ませる。

 

「一人の殺人鬼の為に派閥争いか……全くもって理解が出来んな」

 

ファイバーヒーローのベストジーニストは溜め息を吐く。

 

「可愛そうに……不安が広がりつつある。このままではヒーローはおろか社会にも多大な影響を及ぼしかねない」

 

シールドヒーローのクラストは不安の広がる社会に涙しながら影響の危険性を言う。

 

「まぁ、確かに今回ばかりは対応が遅すぎたとしか言えないな……そろそろ止めないと面倒な事になるね」

 

ウィングヒーローのホークスは頭をかきながら切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)をそろそろ止めるべきと言った。

 

「切り裂きジャックの事は良いんだがよ……最近の警察の連中……頭おかしいんじゃねぇのか?通り魔殺人のヴィランを逃がしやがった。クソが」

 

ラビットヒーローのミルコは不機嫌そうにしながらもう一つの問題である警察機構がまともに機能しない事態を言う。

 

切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を捨て置けばより大きな悪影響を及ぼしかねず、警察機構の対象を捨て置けば捕縛は出来ても逮捕権を持たないヒーローは例えヴィランを捕まえても警察がまともな対応をしない可能性が出てくる。

 

最悪な二択、両方取ろうにも社会全体が不安に陥り、疑心暗鬼になりつつある中で上手く動けるとは思えなかった。

 

そんな現状にエンデヴァーは何も案が出ないとばかりに無言を貫き、トップヒーロー達は八方塞がりなまま話は平行線を辿る羽目になった。

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その頃、ジャスティスは保須から戻ったジャッジから報告を受けていた。

 

「そして保須の路地で彷徨いていたジャックと遭遇し、戦闘になりましたが脳無の襲撃があり、逃げたジャックより民間人の安全を優先した事でジャックを取り逃がした。すまない……あと少しだったが……」

 

「いや、良い。だが、まさか匿名の告発が当たるとはな。驚いたぜ」

 

「えぇ……だが、都合が良すぎる。その匿名の告発者は何処でジャックの居場所を知ったのか。何故、告発に至ったのか。それが分かりません」

 

「……はっきり言うが今回は俺達は利用されちまったな。ジャックを邪魔だと考えた誰かが俺達をけしかけてジャック捕縛に動かさせたんだろうよ」

 

「俺もそう思います。そうじゃなきゃ辻褄が合わない。話題のヴィラン連合かもっと別の組織か……調べる価値はある」

 

「だが今は不安な情勢をどうにか建て直してからだ。こんなんじゃまともな捜査はできねぇ。ジャックの事も次いでに含めて今は治安維持を勤めようぜ」

 

ジャスティスが頬笑みながらそう言うと事務所にレディ・クイックが入ってきた。

 

「戻りました」

 

「お帰り。何か……成果はあったか?」  

 

「いつも通り。平穏な1日で」

 

レディ・クイックが話している時、石が窓を突き破って飛んで来た。

 

その事態に三人は驚かず寧ろ二人はジャスティスを心配する様に見ている。

 

「気にするな。また張り直せば良いさ」

 

「……ジャスティス。暫くは静かな所で休みを取った方が良い。体に障る」

 

「精神もね。とんだ嫌がらせね。建造物破損だし捕まえてくるわ」

 

「よせよせ。一人、二人捕まえたってまた来るさ。それよりもちゃっちゃと切り裂きジャック事件を解決して安心させてやろうぜ」

 

そう笑いながら言うジャスティスに二人は心配する素振りを見せるがそれ以上は何も言わなかった。

 

只、これ以上に悪化するならジャスティスが何れだけ言おうと嫌がらせをしてくる連中を捕まえてやると二人は怒りを露にしながら考えるのだった。

オールフォーワンやっちゃう?

  • 構わん。やれ
  • やらんくて良い
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