殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
凶行の夜
保須から帰って来た私はヴィラン連合の手など借りる必要は無いと言う事を証明する為に私は本格的にグリーン・メイスンの調査を始めた。
だけど、やっぱり簡単ではなく寧ろ、唯一の手掛かりは換字式の書類のみでしかも解けたのは極一部に過ぎない。
夜も更けてしまい、私は深い溜め息を吐いてやっぱり嘘でもヴィラン連合の条件に乗るべきだったかと思ってしまう。
『よしとけよ。ヴィラン連合が単に不可侵の約定を結ぶだけで終わらせる訳がない。あれやこれやとしている内にいつの間にかお仲間認定されて引き返せない事になっちまってるぞ』
「分かってるわよ……でも、グリーン・メイスンの手掛かりが掴めない。情報を集めようにも目立ちすぎたし……暫くは目立つ動きは出来ないわね」
『お前の活動に対しての派閥争い。俺達の時には無かった社会現象だからな。まぁ、19世紀のロンドンの報道なんて権力者達が思うがままに動かせたから現代とは違うせいでもあるからだろうな』
「報道の自由は鬱陶しい物だと思うけど……その自由が無ければ権力者達の知らせたい事しか知らせられない物になる。難しい話よね」
私は報道の有方の難しさに答えが出ないけど今はグリーン・メイスンの事に集中したい。
アーサーはどうやってグリーン・メイスンを見つけ出して根絶したのかしら?
「アーサー。貴方はどうやってグリーン・メイスンを見つけたの?」
『そうだな……彼奴らの構成員を見つけ出す所から始まるな。見つけ出したら一人の所を襲ってそいつよりも上のグリーン・メイスンの構成員の名前を答えさせるまで拷問する。聞き出したら始末してその次へ……後は同じだ。その順を辿れば嫌でも辿り着くって寸法だ』
「……悪趣味ね」
『そうでもしないと見つけられない。それがグリーン・メイスンだ。だが、残念だが肝心の構成員をまだ見つけられてすらいない。面倒な事だな』
アーサーはそう言って忌々しげに言う姿からやはりグリーン・メイスンへの憎しみは誰よりも抱いてると思える。
大切な者をグリーン・メイスンに何度も奪われた彼にとってもっとも根絶したい組織なのは確かで私も奴等には恨みがある。
絶対に見つけ出して殺してやる……!
「なら、構成員を見つけないとね」
『やるのか?』
「私はもう引き返せないのよ。だったら何処までも堕ちてやるわ」
私は決意を露にして歩きだすと近くの棚に明けると行き奥にあった取っ手を上げると奥の板が戸の様に開く。
それは隠し棚で奥には個性に頼れない、頼らない時の為のナイフが隠されてあり、大小様々な軽めの装飾が施されたナイフは全て綾乃が取り繕ってくれたサポートアイテムと言える。
私の個性のナイフを参考にして特注された一品に私は満足していて何れもお気に入りだけど消耗品だと言う事も忘れない様に手に取りつつ状態を確かめた後、ベルトに取り付けられた鞘にナイフを仕込んでいく。
「さぁ、仕事の時間よ。アーサー」
『様になったもんだな……ジル』
私とアーサーはそう言い合うと不適に笑いあった。
~別視点side~
保須襲撃事件から暫くして真夜中の事務所でジャスティスはグリーン・メイスンの調査資料と睨む様に見ていた時、レディ・クイックが外出しようとしている姿を見た。
「何処へ行くんだ?」
「少し所要がありまして……すぐに戻ります」
「そうか。気を付けて行けよ。只でさえ物騒な時なんだからな」
レディ・クイックはそれを聞いてから事務所から出て行くとジャスティスはその姿を暫く見た後でやって来たジャッジに言う。
「頼むぞジャッジ。最近の彼奴……様子がおかしいからな」
「分かっています」
ジャッジはそう言ってレディ・クイックを追い掛ける様に事務所を出ていくとジャスティスは項垂れる。
「(俺の考え過ぎだと良いんだがな……頼むぞ、ジャッジ)」
ジャスティスはそう思った後、再びグリーン・メイスンに関する調査資料を見通す。
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場所は変わり、ジャッジは夜の闇に紛れて歩くレディ・クイックを尾行していた。
これはジャスティスの命であり、最近になってよく外出する様になったレディ・クイックを怪しんだ行為だった。
単に出掛けるだけなら良かったが出掛ける様になってからはジャスティスの周りがおかしくなった。
ギリギリまで公表はしない筈だった欲強議員の演説の情報が漏れたり、保須に切り裂きジャックが現れると言う告発があったり、調査中のヴィランが突然、行方不明になったり、死んだりした事もあった。
「(身内を怪しみたくないが……全部、お前が事務所にいない時だった。悪く思うなよ)」
ジャッジはそう思いながら尾行する中、レディ・クイックは近くの古びた地下駐車場へと入って行き、ジャッジはそれに続いて行くと中で何者かと話していた。
「誰だ……?」
ジャッジは話を聞こうともう少し近付こうとした時、レディ・クイックと話していた相手の会話は止まった。
「申し訳ありません。邪魔が入りました」
「……始末はするのですよね?」
「はい。私の手で葬らせて貰います」
「なら、任せましたよ。レディ・クイック」
その人物は去ったのか気配を完全に消し去っていたがジャッジは最後に話していた内容を聞いて引き返そうとした時、大きな破裂音と共にジャッジの足元に銃弾が飛んだ。
「逃げるなジャッジ。此処に来た以上は死んで貰うわ」
「……ヒーローがヴィランの台詞を言うなよ」
ジャッジはそう言いながら物陰から出てくるとレディ・クイックは"ピースメーカー"と呼ばれるヒーロー仕様に独自改良されたリボルバーをジャッジに向けて構えていた。
「ジャッジ……こんな事になるなんて……残念ね」
「残念か……確かにそうだな。お前はそんな奴じゃなかったと思っていた。一体、何に手を出してやがる?」
「死んでいく貴方に言っても仕方ないわ」
レディ・クイックはそう言って撃鉄を起こすと確実に死ぬ様に頭に照準を向けた。
「俺が簡単に死ぬと思ってんのかよ?」
「思ってないわね。どうする?」
「こうすんだよ!!」
ジャッジは素早く警棒を抜いてレディ・クイックに迫ろうとするがレディ・クイックの銃撃により後退せざるえなくなり、物陰に隠れた。
「(落ち着け……彼奴の弾は6発。既に2発使ったから残り4発だ。それまで耐えれば)」
「甘いわよ」
レディ・クイックのその言葉と発砲音と共にジャッジの警棒の持つ腕が銃弾で撃ち抜かれた。
「ぐうッ!?」
ジャッジは堪らず警棒を落とし、撃たれた腕を利き手で押さえて膝をつくといつの間にか来ていたレディ・クイックに銃口を突き付けられた。
「私の個性を忘れてた?それとも貴方を私が撃たないと思ってた?」
「……どうだろうな。お前が個性を使ってまで俺を殺す……その先に何を見てんだよ?」
「私はこの社会のねじ曲げられた真実を白日の下に晒す。権力者達の理想の為に一人のヒーローが暗い牢獄の中に入れられただけでなく自分達に火種が飛ばない様に真実まで曲げた。私は許せない……彼女は確かに殺人はしたけど何でその原因は裁かれないのよ!!」
レディ・クイックはそう言って撃鉄を起こすとジャッジは笑った。
「その為にお前も犯罪者……ヴィランになるのかよ。お前の師であるレディ・ナガンが泣くぜ?」
「軽蔑される事は覚悟のうえよ。……さよなら、ジャッジ。貴方の死を無駄にしない為にも私は引き返せない。それが……私なりの"復讐"だから」
レディ・クイックはそう言ってゆっくりと引き金を引いた。
大きな発砲音と共にジャッジは倒れると血が床に流れていく。
その様子をレディ・クイックは涙を流しながら見た。
「さようなら……ジャッジ。本当に……ごめんなさい……愛してたわ……」
レディ・クイックはそう言って足早に立ち去って行き、残されたジャッジは物言わぬ亡骸となり、銃声を聞き付けた警察のサイレンが辺りに鳴り響いたのだった。
オールフォーワンやっちゃう?
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構わん。やれ
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やらんくて良い