殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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旧友達の危機

翌朝、私はソファーに深く座り込んで落ち込んでいた。

 

昨日の夜にジャッジが……ジャッジが何者かに射殺された報道が全国のテレビや新聞に取り上げられた。

 

争った形跡があった事からジャッジはヴィランとの戦闘の末に銃による致命傷を受けた様で駆け付けた警察とヒーローがすぐに救急車に連絡したけど駄目だったらしい。

 

『彼奴が死んだか……だが、お前すら拘束できるくらいの彼奴が簡単に殺されると思うか?』

 

「簡単には死なないでしょうね……ネームドヴィランとの戦闘か……身内の裏切りでもない限りは……まさかね」

 

私はジャッジを殺したのは身内つまり、ヒーローがやったのではと思えた。

 

ネームドなんて簡単には見つからないし、況してや偶然会って、偶然殺しましたなんてあり得ない。

 

ヒーローの誰かが不意を突いて殺したと言われた方が納得できる。

 

一度、交戦したくらいだけどそれくらいにジャッジの死は信じられない……

 

「入るぞジル。だいぶ落ち込んでるね……ジル」

 

「ごめん緋色。流石に堪えてね……貴方も暫く顔を見てないって思ってたけど疲れてるわよね?」

 

「そうなんだ。最近、獅子皇会の縄張りで御法度の筈の薬が出回っていてね。その流れ先が同じヤクザである死穢八斎會からだと言う話しでね……はっきり言えば関係が悪化してるんだ。昔はこんな事は無かった筈なのに」

 

「昔は?」

 

「死穢八斎會の組長とはお父様と良き友人で僕も慕ってたんだ。でも、急に病気になって寝たきりになった辺りから若頭の治崎 廻が組を取り仕切り始めてから方針を大きく変えて御法度の筈の薬の売買を始めたんだ。その事業は僕達、獅子皇会の縄張りにも広がってきたと言う所だ」

 

緋色はそう言って不機嫌な表情を見せる。

 

「抗議とかしてるの?」

 

「勿論してるさ。僕達は無益な抗争を避ける為にも何度も抗議や話し合いの場を設けた。だが、奴等は話を聞く様子は無い。僕達を舐めてるのか……或いは聞きたくない事情でもあるのか」

 

緋色は死穢八斎會の暴挙について考え込んでいるとそこへ今度は綾乃がやってきた。

 

「お邪魔しま……あら、緋色さんはご機嫌斜めですか?それにジャック様も元気が無いようで?」

 

「色々あるのよ……それよりどうしたの?」

 

「えぇ、実はとんでもない情報を手に入れまして」

 

「どんなの?」

 

「実は急ですが雄英の林間合宿をヴィラン連合が襲撃すると言う情報です。目的は不明。また嫌がらせじみた襲撃なのかもしれません」

 

「彼奴ら……全く、懲りない連中ね」

 

私はヴィラン連合がまた出久達を襲おうとしている事に腹が立ってくる。

 

「それで?情報は掴んだのは良いが林間合宿の場所は?度重なる失態で雄英の管理レベルは今まで以上に厳しくなっている。簡単には特定出来ないぞ?」

 

「プッシーキャッツのマタタビ荘です」

 

「……は?」

 

「だからプッシーキャッツの所です。正確にはマタタビ荘付近で林間合宿です」

 

「いやいや、何で簡単に情報を掴んでるんだ」

 

「ふふふ。企業秘密です」

 

綾乃はそう言ってウィンクして誤魔化し、緋色は唖然としてるけど決断は早い方が良いし、私はすぐにでも向かう事に決めた。

 

「綾乃が言うなら確かなのね。緋色。私はプッシーキャッツの所に行くわ」

 

「そうかい。まぁ、緑谷達には世話になったからな。知ってて何もしないと言うのは夢見が悪いだろう。だが、僕は死穢八斎會の事があるからこの場から離れられないがね」

 

「大丈夫。いつも通りに帰ってくるから」

 

私はそう言って緋色に近付くと軽めのキスをし、緋色は顔を赤らめて微笑む姿に私は少し照れ臭いと思っていると綾乃の咳払いが聞こえて正気に戻り、私は髪を整えて誤魔化しておく。

 

「綾乃。そこにはすぐに行けるの?」

 

「いつでも飛べる様にしてます。只、帰りは迎えに行かないと……それに襲撃の時期もまだはっきりしていませんが」 

 

「構わない。また連絡するからその場で待機していてね。それじゃ、行ってくるわね緋色」

 

「気を付けてくれ。無理はするなよ?」

 

私はそれを聞いて頷くと綾乃の個性を使ってプッシーキャッツへと向かった。

______

____

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私は綾乃の個性でマタタビ荘付近にやって来た私は付近に先生達やプッシャーキャッツの面々がいない事を確認した。

 

一先ずは誰もいない事と遠くから大きな音が幾つも聞こえる事を確認して此処には誰もいないと判断してスマフォを取り出して連絡しようとした時、後ろから何かが落ちる音が聞こえた。

 

「うん?……あら」

 

「あ……あぁ……」

 

私が振り返って見た物は角の帽子を被った男の子でマタタビ荘の手伝いをしていたのか手にしていた物を落として私をガン見していた。

 

「ちょっと君。私の事は」

 

「うおわぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

「いやいやいや!ちょっと待ってくれない!?」

 

私は叫びながら逃げ出した男の子を追い掛けて取り敢えず羽交い締めにして掴まえるとかなり暴れて掴みにくい。

 

「離せ!!ヴィラン女!殺人鬼!ショタコン!!!」

 

「いや、最後のは違うからね!?ショタコンじゃないしと言うかショタコンって貴方は幾つなの!?」

 

『とんだマセガキだな。どうする?』

 

「(どうするって……今は幸いな事に遠く離れてるのと音で叫び声は聞こえてないから駆け付けて来ないと思うけど……無理矢理に黙らすのもね。突然、子供がいなくなったりしたら大騒ぎになるし……)」

 

私はこの暴れるやんちゃ小僧をどうしようかと悩みながらも取り敢えず説得する。

 

「ね…ねぇ、君。お姉ちゃんが此処に来た事は皆には内緒にしてくれない?」

 

「うるさい!お前みたいなヴィランなんか!……ヴィランなんか……!」

 

男の子は叫びながらもトーンを徐々に落として何も言わなくなり、暴れるのを止めるのを確認した私は溜め息をつきながら男の子を地面に下ろして同じ目線に合わせて屈んだ。

 

「ヴィランなんかって何かな?ヒーローが来てくれるから?」

 

「黙れよ……ヒーローも個性も嫌いだ。何で俺を置いていったんだよ……!」

 

「……聞くのは野暮だけど君は捨てられたの?」

 

「違う!捨てられてなんかいない!!二人は……死んだ。俺は身寄りが無いから此処に預けられただけだ」

 

「ごめんなさい……御両親を亡くしたなんて……辛いわね」 

 

私は男の子の頭をそっと撫でると意外だって顔をするけど私だって子供に優しくするくらいの優しさは残してるわよ。

 

「私もね……母さんを亡くしたの。殺されてね。だから君の思っている事は分かる。何で置いていったのとか……もっとずっといて欲しかったとか……そう……何でも良いから生きていて欲しかったとかね。母さんの死が切っ掛けで私も今、此処に来てる人達と同じ様にヒーロー目指してたけど止めちゃった」

 

「何でヴィランなんかになったんだよ……ヒーローになるのを止めても生きていけるだろ……?」

 

「復讐してやりたいから」

 

私の一言に男の子は恐怖の顔つきになっちゃった。

 

しまったな……私、殺人鬼に慣れきっちゃって自分でも人を安心させる顔を忘れてしまいそうになる。

 

「ごめんごめん。怖い思いさせたかった訳じゃないの。ただね……どうしても許せないの。母さんを殺して平気で生きてる奴が。法から逃れて人から大切な者を奪って踏みにじる汚い連中が。それが私……殺人鬼、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)よ」

 

私はそう言って立ち上がると固まる男の子を見下ろす様にして警告した。

 

「だからね……お願いだから邪魔をする様な行為はしないでね。もし、私の存在を知らせたりしたら……プッシャーキャッツ達は死にはしなくても怪我をして帰って来る事になるからね。覚えといて」  

 

私はそう言って男の子を背にして潜伏場所を探しに森の中に入って行った。

 

~別視点side~

 

一人残された男の子こと洸汰は恐怖しながらその場にへたり込んだ。

 

マタタビ荘で一人、手伝いの作業をしていた時に殺人鬼、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が現れたのを目撃し、優しげな雰囲気と荒々しい殺意の両方を受けて身体が震えきっていた。

 

「何だよ……何なんだよ……!」

 

切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)は殺された母親の復讐の為にヴィランとなったと聞いた洸汰は自分の両親であるウォーターホース夫妻を殺害したヴィランを憎まなかった事は無かったが殺したい程とは思っていなかった。

 

だが、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)は明確な憎しみと殺意を持ってヴィランとして生きている姿に洸汰は恐怖と同時に怒りを覚えた。

 

「どいつもこいつも身勝手だ……!」

 

ウォーターホースはヒーローを全うして死に、両親を殺したヴィランは逃げ去ってしまい、世間は両親を褒め称える事しかしない。

 

個性に弄ばれる様に奪い、奪われると言う現実にそれが当たり前だと言う世間に洸汰は身勝手な奴等しかいないと思った。

 

彼女の事を言うか?

 

だが、それだと戦闘は避けられなくなり、ヴィランの中でも屈指の実力を持つ切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の警告の通り、死にはしなくても怪我をして帰ってくる事になる。

 

それは何処までの範疇か分からず、下手をすれば再起不能にされて終わるかもしれない。

 

子供ながら彼女が何れだけ危険な存在なのか知っているからこそ、洸汰は決断出来ないまま帰って来た面々を迎える事になった。

 

~side終了~

 

オールフォーワンやっちゃう?

  • 構わん。やれ
  • やらんくて良い
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