殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私は潜伏場所を探索して取り敢えず近くにあった崖にある小さな洞窟に身を隠した私はスマフォが繋がる事を確認してから綾乃に連絡を取った。
「聞こえるかしら綾乃?」
《えぇ、勿論です。今、車で其方に向かってますから間に合わなくても隠れていて下さいね?》
「分かってるわよ。取り敢えず切るわね。また連絡して頂戴な」
私はそう言ってスマフォを切ると洞窟内の壁に背中を預ける様に座り込むと遠くから聞こえる皆の訓練する音を聞いている内に私はそのまま瞼を閉じていった。
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揺すられる感覚を受けて私は目を開けるといつの間にか眠っていたのか当たりはすっかり夜になっていた。
「起きろ!このヴィラン女!!」
「……何で此処にいるのよ?」
私を起こしたのはマタタビ荘であったあの男の子で怒ってるぞとばかりの顔をしてるけど可愛いだけで特に怖くない。
「此処は俺の秘密基地だぞ!出ていけ!!」
「それは……ごめんね。丁度良い隠れ場所だったから。でも良いじゃない。少し間借りしても」
私はそう言って欠伸しながら背伸びをするとスマフォを確認すれば綾乃からのメッセージがあり、連絡求むの文字が何回かある。
私はスマフォで綾乃に連絡を取るとすぐに綾乃が出た。
《大丈夫ですかジャック様!?連絡がありませんでしたよ!?》
「ごめんごめん。少し寝てたわ。変わった事はあった?」
《特には……お願いですから安否の連絡は下さいね。あと、渋滞に引っ掛かりまして明日には着きますが……もう!夏休みなんて嫌いです!何時間も待ってるのに動きません!!》
「分かった分かった。定期的に連絡するから。それじゃあまたね」
私はそう言って切ると男の子は凄い目付きで私を見てるけど割りと律儀に連絡が終わるのを待っているのはちょっと申し訳ないと思った。
「ねぇ、貴方はなんて名前なの?」
「……洸汰だ」
「そう。洸汰君ね……悪いけどもう暫く此処にいさせてね。別に仕事が始まればすぐに消えるから」
「今、出ていけよ!!仕事って殺人何だろ!誰を殺すんだよ!!」
「これから来る……悪党の群れかしらね」
私はそう言って星空を静かに眺めていると人の気配を感じて洞窟の奥に身を寄せた。
「ごめん。誰か来たわ」
「誰かって?」
「洸汰君?」
その声に洸汰君は反応して私から視線を外して声の掛けられた方を見た。
その声の持ち主は私はよく知っている……出久だ。
今、見つかるのはかなり面倒な事になってしまうからお願いだから洸汰君が私の事を言わないでいて欲しい。
「お腹空いたよね?これ食べなよ」
「テメェ!何故、此処が……!」
「あ、ごめん。足跡を追って……!ご飯食べないのかなと……」
相変わらず誰かを心配する出久らしく洸汰君がご飯を食べずにいた事が気になってやって来たみたいだった。
と言うかカレーの良い匂いが私を襲ってくるんだけど。
「良いよ。いらねぇよ言ったろ。つるむ気などねぇ。俺の秘密基地から出ていけ」
洸汰君って本当に幾つなんだろう……喋り口調と言い、余計な事を知ってたり……後で聞こう。
「個性を伸ばすとか張り切っちゃってさ……気味悪い。そんなにひけらかしたいのかよ力を」
「君の両親さ……ひょっとして水の個性のウォーターホース……?」
「……マンダレイか!?」
「あ、いや、えっと……ごめん!!うん……何か流れで聞いちゃって……情報的にそうかなって……」
水の個性の使い手であるヒーロー、ウォーターホース。
確か夫婦でヒーロー活動をするタイプのヒーローで市民を守る為にヴィラン、マスキュラーとの戦いで命を落としてしまった。
彼らは勇気があり、人を思い、家族の愛が強いヒーローだったと父さんが二人が亡くなった日に言っていた。
「残念な事件だった。覚えてる」
「……うるせぇよ。頭イカれてるよみーんな……馬鹿みたいヒーローとかヴィランとか言っちゃって殺しあって個性とか言っちゃって……ひけらかしてるからそうなるんだ。バーーーカ」
「(洸汰君……)」
『ヒーローだけじゃなくこの社会そのものが嫌いなんだな。まぁ、無理もないな』
「(そうよね。両親を亡くして悲しむ中で名誉ある事だとか何だとか言われても置いていかれたと言う事実には変わらない……どんな醜態を晒しても良いから生きていて欲しかったのがあの子の気持ちなのよ)」
『そうだな』
私とアーサー。
私は母を亡くし、アーサーは母と父の二人を亡くし、掛け替えの無い大切な人すら殺されている。
洸汰君が悲しみ、社会の仕組みに憎む事は私達も分かる。
「何だよ!もう用が無いなら出ていけよ!」
「友達……僕は友達さ!……親から個性が引き継がれなくてね……先定的な物で希にあるらしいんだけど……でもそいつはヒーローに憧れちゃって。個性が無いとヒーローになれなくて。そいつさ暫く受け入れられずに練習したんだ。物を引き寄せようとしたり、火を吹こうとしたり……個性に対して色々な考えがあって一概には言えないけど……そこまで否定しちゃうと君が辛くなるだけだよ。えと……だから……」
「うるせぇズケズケと!!出ていけよ!!」
出久の言葉を遮る様に怒鳴る洸汰君に出久は流石に退いたのかカレーだけを置いていくと言う言葉を最後にその場を離れる気配を私は感じた後、洞窟から出てきて洸汰君を見つめる。
「カレー……食べないの?」
「うるせぇ!!お前も出ていけよ!!殺人鬼が!!!」
私は洸汰君を暫く見つめた後、後ろから抱き締めた。
「何だよ!!離せよ!!」
「嫌よ。暫くこうする。貴方も泣いて良いのよ」
「うるせぇ!!うるせぇよ!!」
洸汰君は怒鳴り散らすけど私には強がって泣かないだけの子供にしか見えない。
「大人だって泣くのよ。大切な人を亡くして泣かない人はいない。沢山、泣いて。沢山、怒って。沢山、笑って……前に少しずつ進めば良い。ヒーローになりたくないならやらなくても良い。やれと言う法は無いのだから」
私のその言葉に洸汰君は徐々に泣き出していき、やがて泣いた。
ずっと溜め込んでいた悲しみや怒り、悔しさの感情がやっと爆発して起きた光景に私も母さんの事を思い出して静かに泣いた。
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私達は暫くして泣き止むと二人で星空が綺麗な山の光景を眺めながら落ち着いていた。
「ごめんね。本当なら此処まで関わるつもりはなかったのだけど……」
「良い……色々と言って……ごめんなさい」
「良いわよ。慣れてるし。貴方だって辛かったのでしょう?」
私は洸汰君の頭をそっと撫でると何だか照れ臭そうにしてる姿が可愛くて微笑んでいると洸汰君は不意に立ち上がった。
「マンダレイが呼んでるから帰る」
「そうなの?獣道だし、暗いから気を付けてね」
私は慣れてそうだけど取り敢えず注意すると洸汰君は黙ったままスタスタと歩いて行ってしまい、私は首を傾げながら見送るとアーサーはニヤニヤしていた。
『彼奴。惚れたな?』
「何が?」
『何でもないさ。初めての想いって言うのは叶わないものなんだって事さ』
私はアーサーの言葉に首を傾げながら何でそんな事を言ったのかと一晩中、考える事になった……けど、何時になったらヴィラン来るのよ。
綾乃が間違えたとは思えないし……取り敢えず明日、留守の間に何か食べ物をクスねよ。
~別視点side~
その頃、洸汰は顔を真っ赤にしながらスタスタと歩きながらマタタビ荘に帰って来ると私服姿のマンダレイ達が出迎えた。
「ただいま」
「お帰り洸汰……あれ?ちょっと待って!顔赤いわよ!?」
「どうしたの?」
「あらま。顔真っ赤ね」
「風邪か?体温計を持ってこようか?」
マンダレイ達は洸汰の顔が真っ赤である事に夏風邪かと考えていたが洸汰は首を振った。
「何でもない。しんどくもない」
「いやいや!顔、赤いし一応、体温を計ろう!」
「うむ……しんどい箇所はあるか?頭は?喉は?」
虎はそう聞くと洸汰は少し考えた後、答えた。
「……胸が」
「胸?」
ラグドールは聞くとプッシーキャッツの面々が見つめる中、洸汰は答えた。
「ドキドキして……苦しい?ある人を思い浮かべたら余計にドキドキして苦しくなる」
「……え?」
「それって……」
「おぉ……!」
「成る程な」
四人は洸汰の症状を聞いた瞬間、心配する表情から一転してニヤニヤとした表情を見せた。
「成る程ね~。洸汰もそんな年頃か~」
「今晩はお赤飯にしとけば良かったかな?」
「今からでも間に合うかも!」
「いや無理だ。だが、明日ならいけるぞ」
「お赤飯って何かめでたいのか?」
洸汰がそう聞くとラグドールは笑いながら答えた。
「洸汰が抱えてる病気はね……恋の病よ」
「恋の病?」
「隅に置けないわね~。相手はどんな人なのよ。同い年?雄英の子達?」
洸汰は恋の病と聞いて自分の記憶から思い起こす人物を探すとジルの姿が出てきて洸汰は更に顔を真っ赤にさせると……
「うおぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
奇っ怪な悲鳴を挙げながら駆け出していった。
「あらま。これはよっぽど重症ね」
マンダレイはそう言って駆け出していった洸汰に預かってからあまり感情を現さなかった事を思えば少し前に進んだ事を嬉しく感じた。
まさかその相手が殺人鬼とは思わずに。
~side終了~
オールフォーワンやっちゃう?
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構わん。やれ
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やらんくて良い