殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私が此処に来てから洞窟で過ごして朝になった。
昨日から何も食べてなくてお腹が空いたからマタタビ荘にこっそり忍び込んでカロリーメイトをつまみ食いしていた。
皆が訓練に出掛けている間に食べてるとそこへ洸汰君が通り掛かった。
「……何してんだ?」
「お腹空いちゃって。大丈夫。カロリーメイトだけ貰ったから」
「それ、マンダレイのだぞ。しかもお気に入りのチーズ味」
「あぁ……うん。内緒ね」
私がそう言うと洸汰君は溜め息をつくと私は洸汰君を抱き寄せた。
「ありがとう洸汰君。大好きよ」
「だ、だだだだだ、大好き!?」
洸汰君は私の言葉を聞いて、顔を真っ赤にして固まってしまい私は首を傾げた。
『おいおい。初な少年にストレートに言ってやるなよ』
「(普通にお礼言っただけよ?)」
『はぁ……鈍感め』
アーサーに呆れられる中、私は洸汰君を抱き締めながら頭を撫でてると洸汰君は離れてしまった。
「そ、そんな事より!用が済んだら出てろ!何時、マンダレイ達が来るか分からないんだからな!!」
「そうね。そろそろ出て行くわ。それじゃ洸汰君。また会おうね」
私はそう言ってマタタビ荘から抜け出す為に歩いて行いていった。
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時間は大きく流れて夕方。
何時もの様に洸汰君が秘密基地で過ごす傍ら、私は秘密基地の洞窟に身を隠しながらヴィラン連合が現れるのを待ちながらスマフォで綾乃に連絡していた。
「そう。取り敢えず近くにいるのね?」
《苦労しましたよ……渋滞でほぼ一日掛けてやっと通り抜けたらガス欠して立ち往生。何とかガソリンを調達して動かしてもまだ移動に距離もあって……やっとの思いで着きました》
「ご苦労様。今はゆっくり休んで頂戴」
《そうさせて貰います。では、私は少し寝かせて貰いますので》
綾乃はそう言って電話を切るのを確認した私は一息ついていると肝試しでもしてるのか悲鳴が挙がっている。
私はこのまま誤報であればと思いながら皆が林間合宿を何事も無く終る事を祈っていた……そう……祈っていたのよ。
山の森からガスの様な煙や黒煙が立ち込めており、明らかな非常事態だった。
「な、何だ……あれ?」
「洸汰君!今すぐにマタタビ荘に戻りなさい!決して此処に残らないで駆け足でね!」
「何だよ……何が起きてるんだ?」
「……ヴィランの襲撃よ」
私は情報通りになった事に空気の読めないヴィラン連合の行動に怒りを覚えていると洸汰君以外の気配を感じて視線を向けるとそこにはフード付き外衣とマスクを付けた大男らしき奴がいた。
私は洸汰君を背中に庇いながらナイフを手に対峙した。
「見晴らしの良いところを探して来てみればどうも資料に無かった顔と……有名な殺人鬼様だ」
「私を知っているなら死ぬ覚悟はあるのかしらね……ヴィランが」
「はッ!死ぬ覚悟がなけりゃあヴィランなんてやらねぇよ。なぁ、所でそこにいる子供のセンスの良い帽子。俺のダセェマスクと交換しねぇか?新参は納期がどうとかってこんなオモチャを付けられてんだ」
「子供の物を奪うつもり?ヴィラン以前に人としても終ってるわね」
私は洸汰君の身につけている帽子を欲しがるヴィランに呆れと怒りを覚える中、私は後ろに片手を隠すようにすると洸汰君に逃げる様に合図を送る。
洸汰君は戸惑っているのか暫く動かなかったけどやっと駆け出してくれた……けど、あのヴィランは異常なスピードですぐに洸汰君の逃げ道を塞いでしまった。
「殺人鬼を殺る前に景気に一杯やらせろよ」
「洸汰君!!」
私はヴィランの腕の筋肉が皮でも覆い隠せない程に増強されたのを見て咄嗟に後ろに引っ張ったけど奴の攻撃を躱しきれない体勢になってしまった。
私は攻撃を受ける覚悟を抱いた時、私は崖下から来た誰かに抱えられてヴィランの攻撃を避ける様に庇われると地面を二人で転がった。
この場所を知っているのは洸汰君と私そして……。
「ゴホッ……!怪我は無い!?ジル!」
「……やっぱり、貴方は肝心な時に来てくれるわね」
私はそう言って立ち上がると駆け付けて来てくれた出久の腕を掴んで引っ張りあげて起こした。
これで二対一になった。
でも、私は出来ればあのヴィランは一人で片付けたいと思っている。
「出久。貴方は隙を見て洸汰君を逃がして。私が奴を始末する」
「ジル!君を一人にするなんて!!」
「良いから言われた事をやって!!」
私は強めにそう言って洸汰君の方を見ると涙を流していた。
それは恐怖もあるだろうけど実際には目の前にいるヴィランも原因だとも言える。
出久は悔しげに顔を歪ませた後、洸汰君を抱えて素早く離れたのを確認した私はマスキュラーに姿勢を戻して睨み付ける。
「洸汰君の悪夢は私が祓う……」
私は決意を胸にナイフを強く握りしめて目の前のヴィランを睨み付けるとヴィランは私を見てニヤニヤとし始める。
「良い眼じゃねぇか。気に入ったぜ」
「お前に褒められる謂れはない。快楽の為に人を殺し、人の大切な者を踏みにじったお前を……私は絶対に許さない。殺人鬼、マスキュラー!!私がお前を裁く!!!」
私はそう言ってウォーターホースの仇であるマスキュラーとの戦闘に身を投じた。
マスキュラーは個性である筋肉の増強でスピードとパワーを上げて攻撃して来るのを私はそれを受けない様に立ち回りながら避けつつナイフで切り付ける。
マスキュラーのパワーは簡単にへこみの跡を作る程の力……まともに受けたら一発で終わる。
「はっはは!!やるじゃねぇか!!だが、そんなちゃちなナイフで俺を殺せるか!!」
「鉄とかに強化されていたら勝ち目は薄いけど貴方は筋肉。つまり、肉ならナイフで切り刻んでいれば出血死に持ち込めるわよ」
「それはいけねぇな。だったらその前に殺してやるぜ!!」
マスキュラーの拳がまた、振るわれるけど私はそれを躱してナイフを三本投げればマスキュラーは二本避けて一本は腕で防いだ。
「テメェはヴィラン連合に属してるもんだと思っていたぜ!何でヒーローなんかに与してんだよ!」
「お前みたいな外道を殺す。ヴィラン連合はその集まりなら属す意味は無い」
「はッ!外道の集まりねぇ……ある意味じゃ正しいぜ!だがなジャック!テメェには見えねぇだろうな!好きでヴィランになった奴とヴィランにならざるえなかった奴の違いをな!!」
私はマスキュラーのその言葉に初めて殺した連続強盗犯の事を思い出した。
彼の犯行目的は奥さんの治療費を稼ぐ事。
その為に何人も殺した彼を私は捨て置けず、アーサーと一緒にこの手で殺した。
そして殺人鬼になって間もない頃にその奥さんを死なせた。
私は悪を裁く殺人鬼……でも、彼らにそんな結末を与えるつもりは無かった……私は……
『伏せろ!!』
「ッ!?」
私はアーサーの叫びを聞いて伏せるとマスキュラーの大振りな攻撃が私の頭の位置を通って横切った。
「テメェには覚えがあるようだな……ヴィランにならざるえなかった奴の事をな。だが、殺した!」
「私は……!」
「結局、お前は気前の良い大義を掲げて人を殺すのを楽しんでんだよ!認めろよ!俺と同じだ!!」
「黙れッ!!!」
私はそう叫んでマスキュラーの一瞬の隙を突いて顔を蹴り飛ばすと怯んだ隙を逃さずそのまま頸動脈を切り裂こうとした時、私の身体に衝撃が走って壁に激突した。
身体中が痛い……口から血を吐く中、マスキュラーは余裕そうに私を見ている。
「テメェは何度もヴィランを殺してる様だがな……結局は其処らの雑魚を殺して経験を詰んだ様に思っているだけだ。だから、こんな所で負ける」
「……クソが」
私は此処で死ぬの……?
「もう二度と元に戻れないならせいぜい今の人生を楽しませて貰うだけだ!じゃあな
死ぬわね……あぁ、本当に短い伝説よね……
でも、私はまだ死ぬつもりはない!!!
「アーサー!!!」
『こんな時にだけ人使いが荒いな……たく』
私はアーサーに身を委ねて身体の主導権を渡すとアーサーは痛みも無視してマスキュラーからの攻撃を避けると素早い動きでマスキュラーの肉を切り刻んでいく。
「何だ!?」
「本当に胸糞悪い筋肉野郎だな!!そろそろ地獄へ行きな!!!」
アーサーはそう言ってもはやマスキュラーでも視認できていない速さで地面や宙を動き回り、ナイフで切り刻み、血や肉がいくら飛び散ろうと止めない……敢えて必殺技を付けるとしたら……
"殺人刃舞"
個性をフルに使ってる訳じゃないけど視認しきれない速さで素早く動き、相手の血も肉も関係なく切り刻む……アーサーが見せてくれたこの動きが私に出来たら使えるんだけどね……
「いや、お前の身体だろうが」
『そうだったわね』
私達が軽く話す頃にはマスキュラーは荒い息を吐きながら血塗れで倒れており、もはや動く事すら出来ない。
「これで短いか長いかどうかは……はっきり分かったよな?」
「はぁ……はぁ……急に動きが変わりやがった……なにもんだよ……お前……!!」
マスキュラーは驚きながらも笑っており、根っからの戦闘狂としか言い様がないその姿に私そしてアーサーは呆れと怒りの視線を向けていた。
「何を言っているんだ。俺は霧先ジル。今、この世を騒がす殺人鬼……知ってるだろ?」
「んなわけねぇ!動きも変わった!口調も変わった!全くの別人だ!!がはぁ……ゴホゴホッ!!」
マスキュラーの鋭い観察眼は以外だけどもうどうでも良い。
『アーサー。もう終わらせて』
「了解だ」
アーサーはそう言ってマスキュラーの頸動脈を今度こそ切り裂くとマスキュラーは声一つ出せないまま苦しみ、最後まで笑いながら死んでいった。
「ふぅ……さて、もう戻るぞ」
アーサーはそう言って私に身体を返すと死んだマスキュラーを見下ろす。
「お前が殺した人達の罵声を浴びながら……せいぜい、地獄に堕ちなさい。この死は好き勝手に人を殺した報いよ」
私はそう吐き捨てるとそこへ出久が戻ってきた。
「ジル……!」
「何で戻ってきたのかしらね?貴方はまだ」
「どうして殺したんだ!!ジル!!!」
私の言葉を遮る様に叫んできた出久に私は何も言えなかった。
「どうして!!君は……君はどんな理由でも殺人や犯罪を許さなかった!!どうしてなんだ!!!」
「出久。仕方ないのよ……罪を犯したなら報いを受ける為に法に裁かれなければいけない……でもね。その報いすら受けない奴もいるの。そんなの許せないじゃない。殺して止めるしかない……殺すしかないのよ!!それが法から逃げる奴らを裁く唯一の方法!そして悔しい思いをした人達の救いよ!!」
「そんなのは救いじゃない!!確かに罪を逃れるヴィランはいるよ……でも、殺して止めるなんて……間違っているじゃないか!!」
「はっはは!……出久。だったら貴方はどうするのよ。折角、捕まえたヴィランが裁かれずに釈放されたら?証拠が集まらなくて、逃げられて、捕まらないまま何度も犯罪を犯されたら?どう被害者や遺族に弁明するの?」
出久は私の問いに答えられないまま黙り込む中、私は森に視線を向けた。
「皆が襲われてる……私はヴィランを殺しに行く。止めないでね」
「ッ!?ジル!!」
「止めるな!!まともに答えすら返せない癖に!!!」
私の怒鳴り声に出久は固まると私はその隣を通る前に通り過ぎ様に言う。
「残念ね。貴方なら答えを言ってくれるって信じてたのに」
私はそれだけを言うと皆を襲っているヴィランを殺す為に襲撃現場へと足を運んでいく。
オールフォーワンやっちゃう?
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構わん。やれ
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やらんくて良い