殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー 作:謎多き殺人鬼
私が獲物を探して駆け出す中、私はヴィランとの戦闘が激化している事を肌で感じながら木々を掻き分けて忙しいでいると麗日さんと梅雨ちゃんが同じ高校生位の趣味の悪そうなマスクをした女の子と対峙している。
女の子の手には刀身の短いナイフがあり、麗日さんが血が出ている左腕を押さえている姿からあの女の子が襲ったと判断し、女の子に向けて踊り出ると、ナイフを振るう。
女の子は私の接近に気付き、ナイフを避けて大きく後退するとマスク越しでも分かる程の笑みを浮かべた。
「あッ!ジャク様だ!やっと会えて嬉しいです!」
「霧先さん!?」
「もう此処まで来たのね……」
三人は各々の反応を見せるけど私はそれよりも麗日さんを傷付けたヴィランを私は許さない。
「……貴方もヴィラン連合なの?同い歳に見えるけど?」
「トガです!トガヒミコ!」
「……トガヒミコ。貴方は何人の人を殺したの?テレビで見た連続失血事件……貴方でしょ?」
「そうです!好きな人がいますよね!そしてその人みたいになりたいって思ってしまいますよね!」
「(こいつ……!)」
『狂ってやがるな……こんな奴、俺でも見た事がねぇぞ』
殺人鬼の私やアーサーすら凍りつく様な寒気をトガヒミコから感じる中、トガヒミコは構わず続けてくる。
「好きな人と同じになりたいですよね!当然ですよね!同じ物を身に付けちゃったりしますよね!でも、だんだん満足出来なくなっちゃいますよね!その人そのものになりたくなっちゃいますよね!しょうがないですよね!ジャク様はあんまりボロボロじゃありませんがジャク様から漂う血の香りが濃くてとても良い香りで大好きです!だから……」
トガヒミコはナイフを構えて私に微笑んできた。
「だから!ジャク様!!刺して良いですか!!血をチウチウ吸って良いですか!!」
「生憎だけど……流石にそんは趣味は無い!!」
私はそう叫ぶとナイフを投擲し、トガヒミコはそれを軽く避けて私に急接近してナイフを突き出してきた。
私は突き出されたナイフを避けると横薙ぎに振るい、トガヒミコはそれを一歩退いてからナイフを縦に振るってくるのを私はナイフで受け流して突くも頬を掠めて終わる。
「戦い慣れてる……」
「あはは!少し当たっちゃいました!」
私は決定打が与えにくいトガヒミコにどう攻撃するか考えていると麗日さんと梅雨ちゃんの二人はまだいたのだ。
「何やってるの!早く逃げなさい!!」
「で、でも!」
「早く!!」
「あれれ?もしかして……あの子達を狙えば刺しやすくなります?」
最悪な事にトガヒミコが二人に注意を向けてしまった。
トガヒミコは背中から何かを取ると注射器の様な太い針が出てきた。
「この機械は刺すだけでチウチウするそうでお仕事が大変捗るとの事でした。貴方のお友達を刺しますね」
トガヒミコはそう言って駆け出し、二人に向かって行ってしまう。
「だから逃げろって言ったのよ!!」
私はそう叫びながら持っていたナイフを投擲してトガヒミコを狙うけどそれよりも前に接近を見て麗日さんを投げて逃がした梅雨ちゃんを狙ってナイフを振るい、舌を軽く切った。
投擲したナイフはトガヒミコの左肩に当たったけどトガヒミコは痛がる様子も顔を歪める様子もなく……笑っている。
それに私の右腕にあの注射器の機械が刺さっている……いつの間に。
私は少し血を取られたけど注射器の後ろに延びてるチューブを切り落としてから注射器を抜くと投げ捨てた。
「やっぱり刺しやすかったですね!私も痛いですがジャク様の血を貰えました!」
トガヒミコは嬉しそうにしながらピョンピョンと飛んで喜ぶ姿に私は狂ってるとしか思えなかった……いや、私も見方によっては狂ってるのか。
「お願いだから麗日さん、梅雨ちゃん。逃げなさい。多分、貴方達は身を守る為に戦闘許可を貰ってるでしょ?相沢先生がこの事態で身を守る術を与えないなんてあり得ない。それで身を守って逃げて」
「それだと霧先さんが!」
「……お茶子ちゃん。今は逃げましょう。私達は確かに戦闘許可を与えられているわ。でも、それは身を守る為に許されたの。それに此処で戦ってもジルちゃんの邪魔にしかならないわ」
「でも!それだと殺人を見逃すって事になるよ!」
「今の私達に彼女達に勝てるお茶子ちゃん?確かにこれ以上、ジルちゃんに人を殺して欲しくない。でも、だからと言って私達がこれ以上、留まれば彼女の邪魔になるだけじゃなくて私達も危ないって事になる……さっきも見たでしょ?トガヒミコって言う子がジルちゃんの隙を作る為に私達を襲ってきたのを」
梅雨ちゃんの説得に麗日さんは迷いを見せる中、トガヒミコは左肩に刺さったナイフを引き抜くとうっとりした様子で私のナイフを眺めている。
「ジャク様のナイフだぁ……私の血が垂れて綺麗だねぇ!私には少し大振りですが貰っちゃいますね」
「好きにしたら。生きていたらだけど」
「死ぬのは嫌です。ですがもっと貴方とお話したいですね!」
トガヒミコはそう言って駆け出し、私のナイフを片手に突っ込んで来ようとしてきた時、そこに麗日さんが駆けて来た。
「もう止めて!!」
「馬鹿!!そんな闇雲に来るのは!!」
麗日さんが接近したのを見たトガヒミコが私のナイフで突き殺そうとした。
でも、それを避けた麗日さんが見事な近接格闘術でトガヒミコの腕を掴み、押さえると地面に叩きつけた。
「うわ、すご……」
『彼奴の職場体験は何処だったんだ?』
「いや、知らない」
麗日さんが見せた意外な技に私は驚いていると麗日さんはトガヒミコを押さえながら私を見てくる。
「お願いだから……人殺しをしないで……!」
「それは出来ない相談ね。悪は全て根絶やしにするその時まで私は殺人鬼を止めない。それに母さんの仇もまだ取れてない」
「復讐をしたって誰も生き返らないわ」
私の言葉に梅雨ちゃんがもっともな事を言ってきた。
確かに復讐したってもう誰も生き返らない……でも、残された者の気持ちはどうなると言うの?
大切な者を奪った奴がのうのうと生きてヘラヘラ笑っていたら?
私は……私はそんなの許せない!
「そんな事は分かっているわよ……!でも、私はそれでも復讐を果たす。例え私が永遠に殺人鬼として語られても構わない。復讐を成し、犯罪の無い理想の世界を実現出来るのなら私は……悪でも構わない」
「そんなの……そんなの貴方までいなくなるって言うのと同じだよ!!」
麗日の言う通り、私の理想が叶うと事は私も悪として裁かれて潰えたと言う事になる……悪が存在しない世界とはそう言う事なのだから当然よね。
「その覚悟は私にはある。責任を丸投げして全てを終わらせられない。貴方だってヒーローとしての責任を捨てて逃げなかったでしょ?」
麗日さんは逃げようと思えば何時でも逃げれた。
でも、私が交戦を続けようとする事を止める為に、梅雨ちゃんを助ける為に彼女は危険も省みずにトガヒミコを取り押さえた。
これは彼女は無自覚だとしてもヒーローとしての責任を持って対処した行為だとも言えるし、彼女の優しさからも来ていると思う。
「責任と言うのは辛いわね……ヒーローも殺人鬼も。行動一つ々に責任が伴う。私は責任から逃げるつもりはない。私がいつか裁かれると言うのなら潔く、裁きを受けるつもりよ。まだ捕まるつもりはないけどね」
私は二人にそう言い終わった時、トガヒミコが麗日さんの足にあの注射器を突き刺していた。
チューブから伝っていく血は麗日さんの物。
どんな個性があるか分からないトガヒミコに私はナイフを手に向かっていく。
「トガヒミコ!!」
「エッ!?ちょっと待って!?」
「お仕事が一つ出来ました。あと、麗日さん。邪魔です」
私が向かってくる事に戸惑いを見せてしまっま麗日さんの隙を突いてトガヒミコは抜け出すとすぐに距離を取るとすぐにナイフで切り掛かってきた。
一進一退のナイフでの戦いは激しさを増した。
私の投擲したナイフを器用に使いつつ持参していた小型のナイフを投げつけてくるトガヒミコに対して私は一瞬の隙を突きながら少しずつナイフで切り合い、投擲するを繰り返す。
「アッハハ!楽しいねぇ!」
「いい加減しつこいのよ!二人を散々に傷付けて!!」
「もっとお話ししましょう!殺し合いましょう!血を見せ合いましょう!!」
「黙りなさい!この、サイコパス!!」
そうしている内にトガヒミコが姿勢を崩した所で私がナイフでトドメを刺そうとした時、私とトガヒミコの間に氷の壁が出来た。
「ッ!?轟君ね……」
「もうよせ霧先」
「霧先!此処にいたのか!」
「霧先さん!?それに麗日さんに蛙水さんも!」
「障子ちゃん。皆……!」
そこには轟君だけじゃなく、障子君や出久までいる。
数が一気に形勢逆転した所で私は舌打ちするとトガヒミコは素早く森の深い方へ駆け出した。
「人増えたので殺されるのは嫌だから。バイバイ。またねジャク様……素敵……」
逃げ去ろうとしているトガヒミコは最後に何処か見ていた様な気がした。
でも、私は今それを気にしている暇は無い。
「邪魔しないでよね本当に。私も行くわ」
「霧先さん!」
私も森の深い方へ駆け出して紛れ込むとそのまま離れた。
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それから私は見逃したり、逃がしたりしてしまったけど拘束された黒の学生服を着た子がいた。
顔を力一杯に殴られたのか、かなり腫れているけど同情をするつもりはない。
今は目を覚ましていて私を見るなり、怯えだした。
「た、助けて!助けて!!殺される!!誰か!!お母さん!!お父さん!!誰でも良いから助けて!!!もうヴィランなんて止めるから!!!」
「人生を棒に振ったわね……さよなら。来世ではなく、地獄へ行く事を願って」
私はそう言ってナイフを心臓に振り下ろすと痛みのあまり叫び、冠絶するヴィランはやがて死んだ。
「3人目……逃げた先にいたベルトを含めれば最低でもヴィランは6人以上……狩りがいのある夜ね」
私はこのヴィランの他にも伸びてたベルトのヴィランも殺しており、これでマスキュラーを含めれば三人目となる。
それでもトガヒミコ、スピナー、オカマを含めれば経験豊富なヴィランがかなりの人数で投入されたと言う事になる。
仲間が危ないけど同時に長年、逃げ続けていたヴィランを殺す絶好の機会。
逃すわけにはいかない。
「それにしても伸びてたり、拘束されてたりされてるわね?」
『それだけ強くなってんだよ彼奴らは。いや、今回はB組も入れてやらないとな?』
「そうね……」
私は歩き出そうとした時、死んだヴィランから声が響いた。
《開闢行動隊!目標回収達成だ!短い間だったがこれにて幕引き!!予定通りこの通信後、五分以内に回収地点へ向え!》
それは通信機の類いによる連絡でヴィラン連合が何かしらを回収して逃げようとしていた。
『聞いたか?』
「えぇ、聞いたわ。急がないと……待って。アーサー。彼奴ら何を回収したのかな?」
『……物ならこんな所に何がある?人しかいない。……おいおい、まさか!』
「私の馬鹿!何で尋問しなかったの!!」
大失態だった。
ヴィラン連合のヴィランを始末出来ると考え、行動に焦りを覚えて尋問もせずに殺し回ってしまった。
奴らの回収物は人……つまり、生徒か教師、プッシーキャッツの誰かと言う事。
回収が完了して逃げると言う事は誰かが捕まったのだ。
『悲観している場合か!!行け!!』
「分かってるわよ!!」
追い付ける以前に見つけられるか分からない……あれ、あれは……何よあの化け物。
チェーンソーやらドリルならハンマーやらくっ付けた脳無が走っている……いや、それより最悪な事が!
「八百万さん!?と……泡瀬さん!?」
「何だその次いでみたいな言い方!?いや、それよりも助けてくれ!!」
追われていたのはB組の泡潮さんも頭から血を流して縫っていた髪がほどけてしまっている八百万さんだった。
私は二人を助ける為にナイフを構えて脳無と対峙した時、脳無は追撃を止めてピタリと止まるとそのまま引き返してしまった。
「帰った……?いや、それよりも八百万さん!!」
「霧先……さん……?」
「痛い思いをしている所だけどごめん!お願いがあるの!発信器を作って!」
「今の貴方のお願いは……聞きたくありませんが……」
八百万さんはそう言いながらも発信器を作ってくれると次に泡潮さんに渡す。
「これを彼奴に付けて!」
「な、何が何だかしらねぇがやってやるよ!!」
そう言って泡潮さんは個性、溶接で発信器を付けてくれた。
これで万が一にでも取り逃がしてもオールマイト達がすぐに追跡してくれる筈。
後は……
「ありがとう。私はあの脳無を追うから泡潮さん。八百万さんをお願いね」
「何が何だか知らねぇが……無理すんなよ!泣くのはA組なんだからな!」
泡潮さんはそう言って八百万さんを抱えて行ってしまうと私は脳無を追跡した。
役目を終えた帰還するなら必ず私を回収地点へ導いてくれる。
必ず奴等の目的を潰す!
「わざわざ追う事も無いよ
「ッ!?」
私は突然、聞こえたその声に驚いた時、私を包み込む様に黒い靄が現れた。
「この個性……黒霧!!」
「手荒ですがご容赦ください。貴方を先生の元へとお連れします」
黒霧はそう言って私を完全に包み込んでしまうとそのまま私を何処かへと連れ去った。
オールフォーワンやっちゃう?
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構わん。やれ
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やらんくて良い