殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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闇に潜む巨悪

~別視点side~

 

雄英の林間合宿の事件は瞬く間に知れ渡った。

 

ヴィラン連合の開闢行動隊はプロヒーローを一人を重症に追い込み、一人は大量の血痕を遺して行方不明となった。

 

生徒も40名の内、ガスで意識不明が15名、重・軽傷者11名と無傷で済んだ者は13名、行方不明1名と悲惨な結果となった。

 

更に切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)も現れ、マスキュラー、マスタード、ムーンフィッシュと言ったヴィラン達は殺害された状態で発見され、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の犯行だと警察は判断し、行方を追っている。

 

雄英ではマスコミが押し寄せる中、職員会議を開いていた。

 

「ヴィランとの戦闘に備える為の合宿で襲来……恥を承知でのたまおう。ヴィラン活性化の恐れ……と言う我々の認識が甘すぎた。奴等は既に戦争を始めていた。ヒーロー社会を壊す戦争をさ。そして……切り裂きジャックもまた、ヴィラン連合との戦争を始めていた」

 

「認識出来ていたとしても防げていたかどうか……これ程に執拗で矢継ぎ早な展開……オールマイト以降、組織だった犯罪はほぼ淘汰されてましたからね……それに組織化と言えばジャック……ジルの事もあります」

 

「そうだよな……おかしな話だよ。単独犯の彼奴が何で林間合宿の情報を掴んでいたのか気になるよな?」

 

「共犯者……彼女には強力な後ろ楯がいるのは確か……その後ろ楯が姿を見せないのであれば打つ手がない。かなり厳重に隠していた情報をリークする程の者はともかく……過去にジャックを助けた者の所在も掴めていない」

 

ジャックをエンデヴァー達から助け出した黒塗りの車の者達は依然として見つかっていない。 

 

車を廃棄したのか個性で隠したのか……判断が出来ない状態だった。

 

「メディアは雄英非難の話題で持ちきりさ。爆豪君を狙ったのは彼の粗暴な面が少なからず周知されていたからだね。もし、彼がヴィランに懐柔されでもしたら教育機関としての雄英は今度こそおしまいだ」

 

雄英は過去にジルが殺人鬼、切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)となった事実が明るみとなり、カルト教団であるアズエル教会の壊滅までは冷酷で無差別な殺人鬼として世間に認知されていた。

 

その為、自首退学をしたとはいえ雄英には多くの批判が殺到し、一時期は根津は雄英の教育機関を守る為に校長を辞任する事も考えたがアズエル教会の壊滅後の信者達が語ったジルの活躍が広まった事で首の皮が一枚繋がったのだ。

 

とは言え、雄英体育祭の失態が痛い訳ではないが。

 

「信頼云々で言わせて貰うがよ……今回で決定的になったぜ。いるんだろ内通者。合宿先は教師陣とプッシーキャッツしか知らなかった!怪しいのはこれだけじゃねぇ!ケータイの位置情報なり使えば生徒にだって!」

 

「マイク。止めてよ」

 

「止めてたまるか!洗おうぜ!てってー的に!!」

 

「お前は自分が100%白と言う証拠を出せるのか?ここの者を白だと断言出来るのか?」

 

スナイプの言葉にプレゼントマイクは唸る中、スナイプは続ける。

 

「お互い疑心暗鬼となり、内側から崩壊していく……内通者探しは焦って行うべきじゃない」

 

「少なくとも私は君達を信頼している。その私が白だとも証明しきれない訳だが……取り敢えず学校として行わなければならないのは生徒の安全保証さ。内通者の件も踏まえ……予てより考えていた事があるんだ。それは」

 

《でーんーわーがーーー来た!》

 

「すみません。電話が」

 

「会議中っスよ!電話切っときましょーよ!」

 

「(着信音ダサ……)」

 

会議中になった電話に対応する為に出たオールマイトは自身の無力を嘆きながらも電話に出た。

 

「すまん。何だい?塚内君」

 

《今、二人から調書を取っていたんだが思わぬ進展があったぞ!ヴィラン連合の居場所が突き止められるかもしれない》 

 

それはまさにヒーロー達が反撃の狼煙を挙げる一言だった。

 

~side終了~

 

私が次に目を覚ました時にはそこは何処かの工場で、私は冷静に辺りを見渡す中、私の前に不気味なマスクを着けた男が現れた。

 

「初めましてだね。切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)。或いは霧先ジル」

 

「誰なのよあんた?」

 

「僕かい?僕はオールフォーワン。ヴィラン連合を率いている弔の先生みたいなものさ」

 

弔……死柄木弔ね。 

 

彼に師となる人物がいるなんて……驚きね。

 

「君は面白いね。僕が怖くないのかい?」

 

「あんたよりおっかないのが近くにいんのよ」

 

『おい。それ俺か?俺の事か?』

 

何故か焦ってるアーサーをほっておくとオールフォーワンは不適に笑ってきた。

 

「いや、失礼。僕も久しぶりでね。僕を見て、恐れない者はね。そうか……確かに君の中に潜む闇は僕よりも恐ろしいだろうね」

 

「世間話なんて良いから要件は何?」

 

「そうだね……単刀直入に言うと君はもう1つ個性が欲しくないかい?」

 

「……は?」

 

私はオールフォーワンの言っている意味がよく分からなかった。

 

個性をもう1つ手に入れる?

 

そんなの一体どうやるのよ……馬鹿みたいね。

 

「疑問に思っているね。無理もない。僕の個性は個性を与える事が出来てね……君に望む個性を与えようじゃないか」

 

「そんな個性もあるのね……で?何で個性を与えたいの?」

 

「君はこの社会の現状を知っているかい?君の行いが良くも悪くも社会を壊し、闇を暴きつつある。個性社会の闇をね……君も見てきただろ?この社会の腐敗と衰退を」

 

確かに私の行いが良い方向にも悪い方向にも転がっている……この社会は腐っている……人を救うべきヒーローが私欲にまみれ、本当に価値のあるヒーロー達の名誉を汚す。

 

私が殺人鬼として活動してからターゲットにはヒーローも少なくない。

 

「君は間違いなくこの社会を壊し、革命ですら成すだろう。だから君に投資と言うべきかな?君の力を増し、更に暴れて貰いたい」

 

「……くだらない」

 

私がそう吐き捨てるとオールフォーワンは興味深く私を見てくる。

 

「革命?投資?馬鹿みたいね……私はね……お前みたいな悪党を皆殺しにするって決めてんのよ。社会の腐敗と言うならお前も含められてるのよ」

 

「成る程……そうきたか。確かに僕すらも殺す気だね。オールマイトの様に」

 

「へぇ、オールマイトが殺す気でね……まぁ、たしかにあんたみたいのが生きてたら安心出来ないわね。回りも物騒だわ。これって全部が脳無でしょ?」

 

「そうだよ。此処はもう破棄する予定だからもうバレても構わない。オールマイト達、ヒーローが駆け付けてくるからね。君の一手が功を奏したと言う事だ」

 

「バレてたのね。発信器」

 

オールフォーワンの手には発信器があり、明らかにバレていたと言うのが丸分かりだった。

 

それでも発信器は無駄に終わらなかった……と、言いたいけどバレてるならわざわざ此処で交渉したりしない筈よね。

 

「別にオールマイト以外が来ようと敵ではないよ。さて……少し時間が余ったね」

 

「殺してあげましょうか?」

 

「残念だけど僕は君に殺されている余裕は無くてね」

 

オールフォーワンがそう言うと私は睨む中、私は隅を方を見た時、裸で寝かされているプッシーキャッツのラグドールを見つけた。

 

私はラグドールの姿を見て怒りを抱きながらオールフォーワンに聞く。

 

「……何でラグドールが此処にいるの?」

 

「あぁ、彼女か。彼女の個性は便利そうだったからね。貰ってしまったよ。確か……サーチだったか?」

 

『こいつ!与えるだけじゃなく奪う事も出来るのか!』

 

オールフォーワンのその言葉を聞いた時、私はもう我慢が出来なかった。

 

「貴様!!」

 

私がナイフを手に振るうとオールフォーワンは軽々とナイフを指で掴んできたけど今はそんな事で動揺する事はしない。

 

「この社会で個性が何れだけ大事な物なのか知ってるでしょ!!」

 

「そうだね。僕の悪い癖でね。珍しい個性があれば貰いたくなるんだ」

 

息をする様に奪う事に戸惑いが無いこの男……こいつは生かしておけない。

 

私はナイフを一度手放すとナイフを二本手に取るとオールフォーワンに切り付けていく。

 

でも、オールフォーワンは軽々と私の攻撃を受け流して一度も攻撃が通らなかった。

 

「君は強い。しかし、若さ故にその強さを生かしきれていないね」

 

「言ってくれるわね!」

 

「臆さずに向かって来るのは素晴らしい。だが、遊びは終わらせよう」

 

オールフォーワンはそう言って私の顔を掴んでくると勝ち誇った笑い声を響かせた。

 

「君を殺すのは簡単だ。この頭を握り潰すだけ。だが、君の個性に利用価値くらいはあるだろうから貰っておくよ」

 

オールフォーワンはそう言って個性を奪おうとした時、急に風景が闇に変わった。

 

「何だ?」

 

オールフォーワンは驚く中、私の顔を掴んでいた腕が切り飛ばされて私は地面に落ちて咳き込んだ。

 

「ッ!?」

 

オールフォーワンは驚きながら後退りし、私は横を見るとそこには父さんに似た髭面の男がナイフを手にして笑っていた。

 

「おいおい。相棒の孫娘に気安く触れるんじゃねぇよ」

 

「誰だい君は?」 

 

「俺か?俺は……切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)だ!!テメェみたいな悪党を殺す男の名だ。地獄に行くまで覚えときな」  

 

切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)と名乗った男に私はアーサーとは全く違う姿に戸惑う中、そこへもう一人の気配を感じた。

 

「全く……何やってんだジル」

 

「アーサー!」

 

「遅刻だぞ相棒。後で砂糖とミルクをたっぷり入れた紅茶を所望する!」

 

「それってミルクティーじゃ……?」

 

「言っても無駄だ。あの馬鹿舌には普通の味覚は通じない」

 

「聞こえてんぞお前ら!!」 

 

三人でワイワイ騒ぐ中、オールフォーワンには余裕が無くなりつつある事が私には見えた。

 

「良い観察眼だ娘っ子。此処はある意味では精神世界の様な所だ。つまり、今の奴に個性は使えねぇ」

 

「仕留めるなら今、此処でだ。責任を果たせジル。三代目になるのならな」

 

「……そう。私は責任からは逃げない」

 

私はそう言って一歩踏み出すとオールフォーワンは一歩後退りした。

 

「少し待たないか?」

 

「嫌だ」

 

私はそう言ってまた一歩踏み出すとオールフォーワンはまた一歩後退りした。

 

「少しだけさ……」

 

「お前は苦しめて殺してきた人達の願いを聞いた?」

 

私はまたまた一歩踏み出すとオールフォーワンはまたまた一歩後退りした。

 

「僕は終われないんだ……僕は……!!」

 

オールフォーワンはそう言って後退りした時、彼の足に手が纏わりついた。

 

一本所か複数の手がオールフォーワンの身体を掴み、暗い穴に引き摺り込もうと引っ張っている。

 

「どうやら貴方が遊び感覚で奪ってきた人達が地獄から迎えに来たらしいわね?」

 

「嫌だ……!!」

 

「せめてさ。黒幕らしくカッコ良く死んで欲しいわね。さよならオールフォーワン。地獄で苦しめて殺してきた人々から報いを受けなさい。永遠にね」

 

「嫌だあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

私は叫びながら地獄行きを拒絶するオールフォーワンにナイフを突き立てた時、辺り一面の景色が戻っていく。

 

『頑張れよ……ジル』

 

切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を自称した男の声を最後に景色が全て戻った時には私の手には血濡れたナイフが一本。

 

そして、絶望の中で息絶えたであろうオールフォーワンの姿だった。

 

「……終わった?」

 

私はそう呟いた時、突然、工場の壁が崩されるとそこへヒーロー達が雪崩れ込んできた。

 

「ッ!?切り裂きジャック!!」

 

「まさかお前もヴィラン連合の仲間か!?」

 

「違うわよ。それよりラグドールをお願い」

 

「ラグドール!!」

 

私がラグドールの事をお願いするとプッシーキャッツのあの変態のおじさんこと虎がラグドールを抱き抱えた。

 

「ラグドールよ!返事をするのだ!!」

 

「チームメイトか!息はあるのか。良かったな」

 

「しかし……様子が……何をされたのだ……ラグドール!!」

 

「ごめんなさい。ラグドールの個性は奪われた……」

 

「どういう事だジャック!」

 

「今は問答は良い。それよりも脳無の確保を。切り裂きジャック。お前も殺人の容疑で拘束させて貰う」

 

そう指示するのはNo.4ヒーローのベストジーニストね。

 

ベストジーニストの他にも名のあるヒーローがわんさか此処に来ている……厄介だわ。

 

「ジャックの近くに死体があるんだけど!?」

 

「ついさっき殺したから。本当にムカつく奴でね。ラグドールをこんなにしたのもこいつ」

 

「……何があったかは知らないが……ラグドールの仇であっても殺人はどんな理由があろうと容認されない……切り裂きジャック!貴様は法の元に裁かれるべき人間だ!」

 

「そうね。殺人はどんな場合でも悪。私はいつか裁かれると分かってるけど……今じゃない」

 

私はそう言って微笑んで見せると周りのヒーロー達は警戒を露にした時、そこへ最も偉大なヒーローが現れた。

 

「私が君を止めにきた」

 

「オールマイト」

 

オールマイトと私。

 

の交わる事の無い正反対の正義を掲げ合う私達は再び対峙した。

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