殺人ヒーロー ジャック・ザ・リッパー    作:謎多き殺人鬼

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善の正義、悪の正義

オールマイトは笑っている……でも、眼は全く笑っていない……正に平和の象徴が今、私を捕らえようとしているのが嫌でも分かる威圧感だ。

 

「霧先少女。大人しく投降してくれないか?オールフォーワンを殺害したのは驚いた……しかし、どんな悪人でも正式な場で裁かなくてはならない」

 

「無理ね。正式な場?この男が大人しく牢に入っていてくれるとは思えないわね」

 

「確かにそうだ。だが、それでも法を破る理由にはならない。我々はヒーローだ。君の正義には全く賛同出来ない」

 

「賛同しようがしまいが私は必ず悪を裁く。例え貴方でも邪魔をするなら容赦はしない」

 

私はそう言ってナイフを構えるとオールマイトは身構え、他のヒーローも続こうとした。

 

「ベストジーニスト。霧先少女との戦闘は私一人にやらせてくれないか?」

 

「ッ!?良いのか?」

 

「私はヒーローとして……一人の教師として教え子を正さなければならない。と言う訳だ霧先少女。私と特別授業をしよう」

 

「舐めてるの?確かに私は貴方よりも遥かに弱いけど流石に屈辱よ」

 

「言っただろ?君は私の教え子の一人だ。君を正す為にも私は君と戦い、諭す」

 

「……良いわ。やってやろうじゃない」

 

私は一騎討ちを了承するとオールマイトの雰囲気の重みが増した。

 

「行くぞ……霧先少女!!」

 

オールマイトはそう言って捉えるのが難しい速度で私に迫り、拳の一撃で私を工場の奥に飛ばした。

 

~別視点side~

 

出久、飯田、八百万、切島、轟の五人は拐われた勝己を助けるべく独断で神奈川県の横浜市、神野区にやって来ていた。

 

だが、そこには勝己はおらずいたのは"オールフォーワンを殺した"ジルだった。

 

「(ジルが……オールフォーワンを殺した?)」

 

オールマイトから継承したOFAが彼に向けられず一人の殺人鬼の少女によって呆気なく幕を降ろした。

 

その事実に出久は信じられない思いと同時にジルがもはや手の届かない所にいると言う現実に打ちのめされる感覚を覚えた。

 

「何なんだよ……どうして此処まで出来るんだよジル……!」

 

「……霧先さんはヴィランだ」

 

「飯田さん!」

 

「分かっている!分かっているが……それが事実なんだ……」

 

「飯田の言う通りだ。彼奴はもう……俺達の所には戻らない。帰れないんだ。彼奴が人を殺した以上は」

 

もう帰ってくる事はない旧友に出久達は項垂れながらもオールマイトと戦うジルを見守るしかなかった。

 

「(そう言えばオールマイトの制限時間は大丈夫なのかな……?)」

 

出久は不安に駆られる中、オールマイトが工場奥へと飛び込んでいった。

 

~side終了~

 

オールマイトの先制攻撃に私は何とか耐えるとすぐに建物の影に紛れてオールマイトの視界から外れた。

 

私は壁をよじ登って天井で待ち伏せしているとオールマイトがやって来て辺りを見渡した。

 

「かくれんぼのつもりか?霧先少女!」

 

オールマイトのその言葉が終わると同時に私は飛び降りるとオールマイトの肩にナイフを突き立てた。

 

「貴方相手だとそうせざるえないのよ」

 

「ッ!?」

 

「これくらいだったら死にはしないでしょ?No.1ヒーローさん」

 

「本当に容赦無いな!!」

 

オールマイトはそう言って私を掴み、投げれば私はまた影に紛れて攻撃の機会を伺う。

 

「霧先少女!急がば回れと言う言葉は知っているな!」

 

「危なくて短い道よりも安全で長い道を通ったほうが速く着くと言う意味ですよね!」

 

「そうだ!そして物事は慌てずに着実に進めることが結果として上手くいくという意味でもある!それが我々のやり方だ!君はヴィランを殺す事で裁こうとするがそうした事で社会に大きな混乱が起きた!それが君の望みか!!」

 

オールマイトはそう言いながら拳を振るうけどハズレで私は一瞬の隙を突いて背中からナイフで思いっきり切り裂いた。

 

「ッ!?Sitts(シッツ)!!」

 

「望んでない!でも、そうでもしないと苦しまなくても良い、死ななくても良い人が死ぬ!!もしかしたら貴方の大切な人がそれで良いの!!」

 

私はナイフで突き立てたようとすればオールマイトは私の腕を掴んできた。

 

「良い訳ではない!!だが、我々は苦しまなければならない!もしかしたら我々の大切な誰かを失うかも知れない!だが、それでも我々は法を蔑ろにしてはならない!!私は!我々はヒーローなのだから!!君だってそうだっただろ!!」

 

「もう失いたくないのよ!!」

 

私は腕を離させる為にオールマイトの横腹に蹴りを入れた時、オールマイトは苦しげな表情を見せ、吐血した。

 

そんなつもりじゃなかった……吐血させる様な怪我はさせていなかった筈だった……

 

私はその姿を見て固まっていると落ち着きを取り戻したオールマイトは身構えてきた。

 

「確かに失いたくないよな……私も同じだ。私もお師匠を亡くした。君が殺したオールフォーワンとの戦いでね」

 

オールマイトに師と呼べる人がいるなんて初耳だった。

 

確かに最初からヒーローで強いなんてあり得ない話だけどやはりいるなんて聞いた事が無かった。

 

「恨みはしたさ……殺してやりたいとも思ったさ……だが……憎しみに負けて。衝動に任せて。復讐を果たした所でお師匠が目指し、望んだ世界(もの)にはならないし、叱られてしまうからね」

 

オールマイトはそう言いながら必殺技を出そうとしている……逃げなきゃ……でも、動けない……

 

「だから……君を必ず止める(救う)!!平和の象徴としてでなく!教え子を叱る教師(ヒーロー)として!!」

 

まずい……このままだと……!

 

UNITED STATES OF SMASH(ユナイテッド ステイツ オブ スマッシュ)!!!

 

負ける……

 

オールマイトが必殺技を放った時、工場は吹き飛んでしまい、残されたのは工場の荒れた土地と何故か痩せこけたオールマイトそして……意識が飛びそうになっている私だった。

 

~別視点side~

 

オールマイトと切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の戦いが行われていると言う話は瞬く間に世間に広がっていた。

 

報道関係の人間や野次馬が集まり、遠くから見守る中で爆発し、壊れる工場を見守る中、工場が吹き飛んだ時……そこにいたのは骸骨の様な容貌のオールマイトと負傷して倒れた切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)だった。

 

「な、なんだ……あの姿は……?」

 

「オールマイト……?」

 

「それよりも切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が倒された……?」

 

「な、何が何だか分からねぇけどやっぱり、オールマイト強えぇッ!」

 

「ジャック様が……!」

 

野次馬達は思い々に言う中、報道関係の者達は二人にカメラを向けている。

 

「ご覧下さい!たった今!変わり果てたオールマイトが切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)を下し、勝利しました!!これで残忍な私刑活動は止むのか!」

 

「我々は信じられない思いです!オールマイトの姿は正に骸骨と言えます!しかし、ジャックを倒したのは他ならぬオールマイトであるのは間違いありません!」

 

「私としては切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)が倒れた事が残念でありません。言ってはいけないのは分かっていますが……確かに彼女は正義の人間でした」

 

報道関係者のリポーター達は思い々に言う中で出久達もこの戦いの結果を見て複雑な気持ちを抱いた。

 

「オールマイトが……!」

 

「それよりも霧先さんは!?」

 

「……大丈夫ですわ。確かにオールマイトの一撃を受けていますが息はしている様に見えますわ」

 

「これが彼奴の殺人鬼としての終り方か……」

 

「……オールマイト」

 

変わり果てた平和の象徴に敗れた若き恐怖の象徴の姿に出久達はやるせない気持ちのまま帰宅しようと足を動かした時。

 

「まだだあぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

再び立ち上がったのだ……恐怖の象徴が。

 

~side終了~

 

私は身体中の痛みを我慢しながら立ち上がると額から血が流れているのも気にする暇もなくオールマイトを睨み付けた。

 

私の手には折れてしまったナイフ……これで十分よ。

 

「霧先少女……!」

 

「私は……まだ……負けていない……!」

 

責任を果たす……私の胸にはそれだけが埋められている……オールマイト一人に負ける訳にはいかない!

 

考える暇も無く、私は折れたナイフを手に駆け出すとオールマイトに向かって折れた刃先を突き立てようとする。

 

あれ……オールマイトって悪人だったかしら?

 

私はその一瞬の疑問を抱くけど足が止まらないままオールマイトを突き殺そうとした時、私を押し倒された形で地面を転がった。

 

「駄目だジル!それだけは駄目だ!!」

 

「出久……!?何で此処にいるのよ!!」

 

「僕は……分かっていたけど助けたくて……ごめん……でも、駄目だ!オールマイトを殺しちゃ駄目だ!!君は殺人犯だけど良い人達は殺さなかったじゃないか!!なのにオールマイトを殺したら本当に冷酷な殺人鬼になっちゃうよ!!!」

 

出久の言葉で私は正気に戻った時、変わり果てたオールマイトが目の前にいて私に手を差し伸べていた。

 

「もう帰ろう……君には帰るべき場所がまだ残っている筈だ。罪を償ってまた皆で笑い合おうじゃないか」

 

今の私にその言葉は狡いとしか言えなかった……帰りたかった……また皆で笑い合いたかった……

 

"もう二度と戻れない"

 

マスキュラーの言葉が私に響く……

 

そう……この手は人殺しの手……血で染め上げられてしまった物……

 

"責任を果たせ"

 

アーサーの言葉が私に響く……

 

人を殺した以上は戻れない……悪人とは言え死んでいった者達の命を無駄にしない為にも……恨み言を言われようと私が成した事で浮かばれる様にする為にも…… 

 

私は戻れない!

 

「私は……戻らない」

 

「霧先少女!」

 

「ジル!」

 

「責任を果たさないと」

 

「駄目だ!君がその責任を果たし続ければ本当に戻れなくなる!」

 

「駄目じゃない!私は……人殺しだから……少しでも奪った命を無駄にしない為にも……私は……責任を果たす」

 

私がそう言い終わった時、私の襟が引っ張られる形で引き摺られた。

 

私は引っ張られる方向を見るとそこには綾乃のゲートがあって私を通らせようとしているのが分かった。

 

「ジル!!」

 

でも、私の足を掴んで離さない出久がそこにいた。

 

お互いに引っ張るから痛いのなんのって……ちょっと本当に止めなさい二人とも!

 

「止めなさい!」

 

「止めないよ!」

 

「いや、本当に止めて!普通に痛いから!」

 

「ご、ごめん!でも、離したら君が逃げるから!」

 

お互いに平行線の中、私は困り果てていた時、ゲートから何か出た。

 

それは……銃口だった。

 

「出久!今すぐに離して!!」

 

「え……?」

 

私を助ける為に出久が撃たれる。

 

綾乃か緋色のどちらの銃口か分からないけど最悪のシナリオが出た時。

 

「緑谷少年!!!」

 

オールマイトが銃口の存在に気付き、出久を庇って押し退けた瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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